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人狼物語 三日月国


153 『Override Syndrome』

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【人】 女子大生 マユミ

 
 
   一人で勝手にやればいい
   ……かもしれませんけど、
   一度は依存した身ですもの。
   勇気が要る事だったので、立会人が欲しかった。

   思い切った行動だし、
   一度削除したらもう元へは戻せない。
   主治医に確認すべきだと、
   たった今、気が付きました。

   先生、どう思います?


[ スマホをパーク外の海に投げ捨てるつもりはない。
  
普通に不法投棄だし……。

  正規の手続きでエデンから投稿を削除するだけ。
  投稿を消したからって、
  その事実自体が無くなる訳ではない。

  思い出は薄くとも私の心に残り続ける。それで十分。
  と、私個人は思っているけれど、
  医師の見解はどうかしらね。 ]**
 
(27) 2022/06/18(Sat) 22:11:50


[ 投影した先に映る
  それは、己が姿に他ならない。

  一切の装飾を施さない鏡に映る姿を
  目を逸らさずに受け入れることは
  なかなかに根性の要るものだ。

  ああそういえば
  我が家の鏡はいつのまにか
  一枚もなくなった。


  叩き割った、記憶が
  どこか、朧に。  
 ]

 



  鏡は己惚の醸造器であるごとく、
  同時に自慢の消毒器である。
  もし浮華虚栄の念をもってこれに対する時は
  これほど愚物を煽動する道具はない。
  昔から増上慢をもって己を害し
  他を戕うた事蹟の三分の二はたしかに
  鏡の所作である。
  仏国革命の当時物好きな御医者さんが
  改良首きり器械を発明して飛んだ罪を
  つくったように、
  始めて鏡をこしらえた人も定めし
  寝覚のわるい事だろう。
  しかし自分に愛想の尽きかけた時、
  自我の萎縮した折は鏡を見るほど薬になる事はない。
  妍醜瞭然だ。

 




   詭弁だよ。



[ 掠れた声に芯が残る。 ]
 


[ イヤホン越しの声が脳に直接触れるのとは異なり
  彼女の声はどこかふわふわと、
  それでいて妙に現実的な音程で聴覚を震わせる。

  だらだらと流れる汗、小刻みに揺れる指先、
  明らかに通常ではない体調の割に、
  繰り返し呟いた言葉は穏やかで落ち着いていたと思う。

  ……相手にどう届いたかは別として。  ]



   わかったつもりになっているだけだよ。

 


[ 知っているのだろうか
  今、あなたが
  どんな顔をしているか。  ]



   弱さや苦労を認めて
   この国で
   どうやって生きていけ、と?

 



[ 何度も何度も
  何度も何度も何度も
  俺は目にした。

  ─── あなたと同じ瞳の色を。
  痩せこけた野良犬を憐れむのと同じ
  眩しい光を。


  手が
  視線が
  重なる。

  先程も振り払ったはずの彼女の掌は
  再度柔らかく、温かく。

  切り取りたくなってしまう。
 ]
 



   Override Syndrome───?



[ ああ、もう。
  腹が立つ。
  目を逸らして、認めずに、
  生きてきたのに

  こんなにも簡単に
  眼前に現実を突きつけられる。

  国民全員が幸福になる権利があるはずの世の中で
  努力は糞ほども意味をなさないと
  嫉妬の焔が紅蓮に、そして漆黒に
  内面を燃やし尽くしてしまう。 ]
 



   古森さん……いや先生、
   おれは、きっとまともだよ
   精神に異常をきたしていると言われた人間は
   そう言うって相場が決まってるのかも知れない。
   だけどさ


   ─── 先生、楽しそうに見えるからね。

 


[ あの時と、きっと同じ。 ]


   仮に俺が百歩譲って
   OSだとしたら
   ……先生に治せるかい。

   治れば、きっと
   俺は、死ぬけど。

   
持っている側
のあなたには
   わからないかもしれないね。


[ 触れた手を握り返すことはせず
  ただ、薄くにっこりと笑う。

  認めたくないけれど
  嫉妬と無念の気持ちが、溢れそうで。 
 ]
 


[ 許されるなら立ち上がって
  診察室から出ようとするけれど。

  一瞬、流した目線の奥
  縋るような感情が

  
良い医師である
あなたには
  バレてしまったかもしれないね。 ]**

 

【人】 医者 サキ




    削除、な……


[ 必要のないもの、持つべきではないもの
  大元を消してしまえば確かに、解決するんだろう
  思考自体が間違っているとは、思わない。

  スマホごと捨てるとか言われたら
  流石に面食らったけどな
  ただ、いいんじゃないか、と
  すぐには言えなくて、空に目をやった。

  夕雲が怪しく、オレンジの合間で紫がかっている。
  この日、この時間、この場所でしか
  見ることの出来ない何か。
  得ることの出来る、思い出。


                 
それはさ ]

 
(28) 2022/06/20(Mon) 12:28:05

【人】 医者 サキ



   消していいものじゃ、ないよ。


[ 小さく、…酷く、小さく。
  先に出てきたのは、否定。 ]
 
(29) 2022/06/20(Mon) 12:28:26

【人】 医者 サキ



   必要ない、持つべきではない、
   それは、間違ってない
   君の自由だ

   …でもな 削除したら、戻らないだけじゃない
   
   エデンの全ての幸福体験は、
   この世の誰かの薬になりえるんだ
   
   君が必要なくても、
   必要な人がきっといる。

   なら俺は、消していいとは思わない

 
(30) 2022/06/20(Mon) 12:28:43

【人】 医者 サキ


[ SNSのような感覚か、誰かのためにか、
  どんな理由があれど誰かが必ず救われている。
  そして、物語の書き手がいなくなった今、
  残された書物が消えようとしている。

  記憶は、薄れ、変わっていくものだ。
  もし、未来。取り戻したいと願った時に、
  誰も語る人がいなければ
  
  そこまで想像してしまえば、
  止めない理由の方が、遥かに大きい。 ]
 
(31) 2022/06/20(Mon) 12:29:12

【人】 医者 サキ



   …けどね、決めるのは、船越真結実だ。
   考えて。

   考えて考えて考えて、
   その時、君が本当にいいと思ったなら付き合うよ

 
(32) 2022/06/20(Mon) 12:29:22

【人】 医者 サキ


[ 何があっても、明日は来る。

  人は息をして、生きていくのだ。
  誰かを救って、誰かに救われて。

  そうして、最後の1ページを綴る時
  後悔しない方を、選んでいかなければ。 ]**
 
(33) 2022/06/20(Mon) 12:29:36

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 先生の回答は、医師としてのものであり、
  東雲早希個人としてのものでもあるのだろうと、
  私には感じられた。>>29

  私とて、
  軽い気持ちで決断したつもりはないけれど……。
  これで必ずしも万事解決とは思っていない。
  真結実の幸福体験が失われたとしても、
  別の似たような幸福に溺れる可能性は十分にある。
  そこまで追い詰められたら最早、
  確かる道はないだろうけど。


  真結実の幸福には、
  誰かの薬としての存在意義がある。>>30
  先生の意見から、私が汲み取ったのは―――……。
  そうね。
  先生はやっぱり、立派なお医者様なのだと思うわ。 ]

 
(34) 2022/06/20(Mon) 18:35:52

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 投稿が削除されたからと言って、
  幸福だった事実や思い出が無くなる訳ではない。
  それはそれぞれ持つべき個人が持ち続けていればいい。
  というのが私の考えではあるのだけれど。
  今自分が置かれている時世には、そぐわないのだろう。
  自分だってその恩恵に与っておきながら、
  こちらは提供を止めるというのは、
  手前勝手が過ぎるのかもしれない。 ]



   そういう理由で、
   難色を示されるのは少々意外でした。
   でも確かに、それも間違っていないとは思います。

   分かった。
   もう、この話はナシ。忘れて?


[ スマホはドボンと、バッグの底に沈めた。
  幸福体験の削除は結局しないことにしたけれど、
  今の私は何も沈めずに前へは進めない。
  
この瞬間に私は別の覚悟を決めた。 ]

 
(35) 2022/06/20(Mon) 18:36:59

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 何事もなかったように、その後は時が過ぎたと思う。
  キャラクターとツーショットしたいと、
  人垣に突撃したり。
  ナイトパレードも見られたかな?
  ライトアップされたパーク内は、
  また違う顔を覗かせた。 ]


   
先生、今日は付き合ってくれてありがと。

   随分連れまわしちゃったけど、疲れてない?

   アタシも楽しかったよ。
   今度チケット貰った時には、
   ちゃんと一緒に行ける相手、いるといーね?


[ そんなにしょっちゅう貰う訳でもないだろうけど、
  先生のご多幸を祈ってるよ!の気持ち。
             「じゃあまた病院でね」って、
             その日は別れたと思う。 ]**

 
(36) 2022/06/20(Mon) 18:37:48


  [ガラス片に映るのは記憶の欠片。
   しかし屈折した目で見れば虚像にもなる。

   たった一枚の鏡だけで
   思いもしない方へ人は壊れていくもので。

   それを壊すために鏡を割る役割を持った人を
   皆々、W先生Wと、そう呼んできた。]







  [わかったつもりになっているだけ。
   それを否定することは
   自分の立場を否定するのと同じ。


       それが困難を極めるから
       W心療Wは一筋縄じゃいかない。



   



  [同情の目は見飽きただろうか。
   そこに見出す慰めの言葉も意味が無いと
   むしろ毒であると、その目が物語る。


   向けてはならないはずなのに
   それでも抱いてしまう感情は
   セーフティネットに包まれた愉悦。


   医者というのは
   思っていたよりも賢い生き物じゃないから。]






   楽しいなんてことないよ。

   けど私より苦しんでる人が目の前にいて、
   私がその人より弱気じゃだめでしょう?







  [触れた手に応じられることは無い。
   聞こえてくるのは息絶え絶えの悲鳴で。

   医者の性みたいなものかな。
   どうしても嘘はつけなくて。

   見捨てられるはずもない。
   粉々に砕け散るガラス片に紛れる砂金
   あなたに触れる上で、一番大事な心。







  [診察室を出ようとするあなたを
   今度は一切触れずに、その声で引き止める。

   逃げたければ逃げてもいい。
   けれど私はここから動かずにあなたを待つと。

   その覚悟を告げ、答えに耳を澄ませた。]*



【人】 女子大生 マユミ

 
[ 先生とテーマパークにお出かけした後は、
  復調目指して生活リズムを整え、
  慎重に元の健全な生活に戻れるように頑張った。
  同じように火傷痕の残った肌も、
  緩やかに回復していった。 ]


   じゃーん!
   
やっとミニスカート解禁だよ。うれし♪



[ 流石に素足という訳にもいかず、
  コンシーラーで色整えた上でストッキング越しだけど、
  ミニスカートにピンヒールのセットも
  漸くお披露目可能になった。
  周りの反応も上々。
  やっぱりこれが、アタシらしいかな。 ]
 
(37) 2022/06/21(Tue) 18:43:10

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 一時は、慶人をアタシのエゴに
  いつまでも付き合わせるの、
  悪いかなと思ってたんだけどね……。
  それを決めるのは彼本人であるべきで、
  アタシがごちゃごちゃ考えて干渉するのも、
  筋違いかなと思うようになった。

  今でも仲良くやれているよ。

           
本当に愛されてるんだな、真結実アタシは。



  東雲医院にも勿論、変わらず通わせてもらっている。
  すっかり元気になってきたし、
  もう先生に心配かけることも、
  少なくなってきたのではないかと思う。 ]
 
(38) 2022/06/21(Tue) 18:45:16

【人】 女子大生 マユミ

 
 
   先生のおかげで、すっかりよくなってきた!
   アタシね、
   最近エデンに幸福体験をアップロードしたの。

   自分が幸福体験を提供する側になれるなんて、
   夢にも思ってなかった。先生のおかげだね。


[ アタシの経験も薬になって、
  苦しんでいる誰かを救うことができるのかな?
  誰かにとっては毒になっている可能性もあるから、
  それは口に出して言えなかったんだけど。 ]

 
(39) 2022/06/21(Tue) 18:46:13

【人】 女子大生 マユミ

 
[ 一隻の船に、二隻分の荷は積めない。
  うまくバランスを保ちながら、
  ブレンドすることも考えたけれど。
  そういう私の半端な考えが、
  あの結果を招いてしまったのだと思う。



               アタシは船越真結実。
               真に実を結ぶべき妹。

               これが今のアタシが出す、
               パラドックスの答え。 ]**
 
(40) 2022/06/21(Tue) 18:47:38