124 【身内P村】二十四節気の灯守り【R15RP村】
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[——最近、夢を見てしまう
わたしを捨てたわたしが、色んな人と笑い合うことを
| [ふいに、菓子類が並ぶ一角にとろけたチョコレートの香り >>73。 ココアやカフェモカなどはドリンクとして提供されている面もあるが、この深くあまい香りは、先ほどまではあまり感じなかった。] 雨水。 いい匂い。なーに食べてんの。 [桜餅を食べるはずだったその足で、つられるようにふらふらと*] (74) 2022/01/24(Mon) 14:31:38 |
先代大雪が籠る直前。
妙な騒ぎが領域内で起きている、と
そんな事を明かしていたことも有ったろう。
「 急に子供の泣き声がして、そんでサ、
みいんな可笑しくなっちまうんだって ……
ったく、ウチで何が起きているんだか。 」
「 元凶は、探りを入れている処だが、さて。
何とかしてくれって言われてもね、
こっちもどうすりゃいいんだか。 」
「 まあ暫くはごたごたしてるだろうよ。
あんたも気を付けな、小満の坊や。 」
すこし骨ばった手で、そんな事を先代は言って。
姿をすっかり見せなくなるのは、数日後の話。
私が灯守りとしてはたらくようになったのと、
彼が灯守りとなった時期は、そう離れていない。
どこか同期のような心地で居る部分はある。
先代の処暑とも、顔を合わせる機会は有ったろう。
その頃は、人間の姿で人前に出るなど、と
怯えて、どこに行くにもぬいぐるみを動かして
どうにか会合や業務をこなしていた頃だが。
もっと周囲を見る目が自分にあればとは、
これは……もう過ぎた話。
あの頃は自分のことで精いっぱいだった。
自信がどう評されていたとまでは 終ぞ知らず。*
| [声掛けに振り向く様子 >>80はあるも、言葉は続かなかった。 大丈夫、食べながらしゃべらないいい子を待つのは苦ではない。] へえ、苺にチョコレート。 いい組み合わせだね。甘さと、酸と、苦み。 さっぱりした果汁にしっかりしたチョコレート。 いいの? じゃあ遠慮なく。 [雨水の能力でとろけていくチョコレート。 皿には影響のない様子なんかを見れば、やはり常日頃からの心配 >>75なんていらないよなあ、とどこか誰かを思う。 目の前のフルーツたちから苺にバナナ、オレンジを適当に拾い上げて絡めると、近場にあったクラッカーに乗せてひとくち。] ん。 合いそうだと思ったやつ、どれもいいな。 [パーティー会場でこうした新しい食べ方に出会うのは重畳。] (82) 2022/01/24(Mon) 19:35:40 |
| ああ、雨水も来るのか。 小雪も案外誘ってるんだな。 [こっちが勝手に増やしてる気になっていたけど、向こうも宴会に乗り気らしいと知れる。 が、自慢話があったと聞けば、小さく息を吐き。] 人数は気にしないけど、期待に沿えなかったらごめんよ? 何せ料理するの久しぶりなんだ。 [ここ何年かは頻度が高めの傾向にあるが、本来は本当に気まぐれ。 馴染みの冬至が遊びにきたときだって、自分ではフライパンを握らなかったこともある。] (83) 2022/01/24(Mon) 19:36:51 |
| 希望は、そうだね。 リクエストしていいなら、今どこかチーズ持ってこないかなって思ってるんだけど。 雨水だったらハムとかソーセージ、ベーコンとかでもいいな…… ま、食べたいもの持っておいで。 どうなるかは保証しないけど。 [村雨相手だったら一も二もなく酒って声を上げるところだけど、そもそも今回は小雪のとこのワインが主役だし。 ああけど、たまには雨水の酒も口が欲しがる。村雨が息災の内には、飲みに行こうと心に決めた。 ] (84) 2022/01/24(Mon) 19:37:58 |
―― とある風が知る記憶 ――
「 おや、冬至さん
こんにちは。こちらに来られるなんて珍しい……おや
お久しぶりです、おつるさんまで。
そして、そちらは…… 」
[ 冬至の彼女が蛍を連れて処暑の領域を訪ねると、田園風景にひとり立つ彼を見つけられただろう。
先代処暑の頃の領域は、夕景の時間が大変長かった。
空色が薄くなり、徐々に紅み掛かり、橙に焼け、紫へと変わる。
それをゆっくりと繰り返していた。
それから今と違うのは、田畑の割合。
先代の頃は、一面の金色ではなく、畑の割合もそれなりで、様々な作物が実っていた。
更に先々代から見ると、田の割合が増えているのが分かるだろうけれど、それはさておき。
その焼ける空を眺めていたところ、端末ではない本体の彼女の一行と顔を合わせたのだった。 ]
[ 先代処暑と冬至の彼女の関わりは深い。
ブドウの甘い、瑞々しい香りから始まった関係は、
回数を重ねること、留まることを知らず。
雪兎の入り口の大きさに合わせて小さいものを。大きいものも、偶に直接彼女に送っていた。
彼女からも色々な物が返ってきた。送られてくる可愛らしいものが、先代は好きだった。
中でも金平糖が多いことに気付いたならば、ある時「金平糖がお好きなんですか?」と、臆面もなく尋ねたこともあっただろう。
しかし、こうして彼女が態々訪ねてくるのは珍しい。
不思議そうに彼女を見ると、足元には“蛍”であるゆきうさぎ。
小さい身体に合わせるようにしゃがみこんで挨拶を。
それから、腕の中に見覚えのない、“新しい”蛍。 ]
「 わあ……
いずるさん。初めまして。灯守り・処暑です……うん? 」
[ 元気よく跳ねる、ひとまわり小さい雪兎に、笑みが零れる。
可愛さに温かい気持ちになりながらも自己紹介をすると、寄ってくる雪兎。
その姿をよく見てみると……見覚えがある気がした。 ]
「 ……いずるさん。前に何処かでお会いしましたか? 」
[ 先代は考えるように首を傾げた。
……先代は、少々天然気質な人であった。
とっくのとうにすっかり溶けた雪と、目の前の雪兎が繋がらなかったというのもある。 ]
[ 冬至の彼女には正体を教えてもらえたか。
聞けたならば、納得しながらも、あの雪兎が動いていることに、そして彼女の蛍となったことに、感動した顔をしただろう。 ]
「 はい……兄弟みたいで可愛らしいですね、ふふ
いえ、私の方こそありがとうございます 」
[ 夕景の中で、雪兎の“兄弟”が遊ぶのを眺め、目を細める。
その温かい光景にとてつもない幸福感を感じた。
むしろ、自分の方こそ感謝しても足りない。
自分の雪兎をこれから冬至の彼女の側に置いてくれることに。
此方を見上げる彼女ににっこりと笑い掛ける。
こんな姿であっても、自身の倍どころではない長くを生きている。
可愛らしいと思う反面、大先輩としてとても慕っているから。 ]
「 欲しい物……うーん……
本当に、お礼なんて要らないんですが…… 」
[ 申し出には首を傾げて迷う彼がいただろう。
本当に、雪兎を“蛍”にしてくれた、とそれだけで充分すぎるのだから。 ]
「 ……それじゃあ、冬至さんのお話を聞かせてくれませんか?
辛いこととか、悩んでいることとか、言えないこととか、
僕を頼ってもらえれば嬉しいです
冬至さんから見れば頼りないかもしれないですが……
僕も“灯守り”ですから 」
[ 「ね、ゆきさん」と、名前を知っていたらそう呼んで。
ゆっくりと彼女の正面へと回り、彼は穏やかに笑い掛けた。
あれ?これはお礼になってないですか?と彼が気づくのかは……冬至の彼女の返答に依るだろうけれど。
きっとその時も、僕の我儘な“お願い”です、と主張するのだろう。 ]
[ 彼女が彼を頼ったかはともかくとして、
その苦言は、その“お願い事”にも掛かっていたのかもしれない。
]
「 ……分かっては、いるつもりなんですけど 」
[ 言われた彼は、痛いところを突かれた、とばかりに苦笑するだろう。
分かっているつもりで本当に分かっていないということまで、彼には自覚がある。 ]
「 ごめんなさい、ご心配をお掛けしてますね
……気を付けます 」
[ 小柄な身体の頭に手を置いて撫でようとする。
自戒を伴った言葉。自分の姿を見て、彼女は余計に思うこともあるのだろう、と。
しかし彼は、民を目の前にすればそれに寄り添おうとしたし――そうして、悲劇は繰り返す。
彼女に、幸せを願われていることも、知らぬまま。
* ]
| そーね。 酸っぱくなくてもおいしいけど。 [ >>93バナナチョコクラッカーの組み合わせを味わう様子にやや目を細め。 見た目よりは年上というのを知っているが、まだ新人というのもあり、言動が幼めなのもありでなんとなく子供を見ているような気分。] (102) 2022/01/24(Mon) 21:05:29 |
| 私と小雪のほかは、冬至と立秋と、あとは 小蝶……えっと、啓蟄のところの菜虫化蝶を、灯守りごと誘ってるとこ。 小雪が他に誘ってたら、増えるかもね。 [慣れた愛称はいつの間にか広まって他にも呼ぶのがいるけれど、かといって彼女が知るとは限らない。 正しく言い直して、メンバーを伝える。] 期待してもいいことないよー。 ふつうの手料理程度だって、ほんとに。 あいつも料理するだろう、先代。 [ぐっと握られる手 >>94には、やや困って眉下げる。] (105) 2022/01/24(Mon) 21:19:00 |
| ふふ。期待してる。 特産をいただけるのは嬉しいな。 [献立はだいたい考えながら欲しいものをリクエストしてはいるのだが、まあ食材ってのは集まればなんとかなるもんだと思っている。 こんなだから期待しないでほしいのだが、評判は上がっていくんだな、なぜか。] 村雨と? うん、……まあ、仲はいいほうだと思うよ。 話聞いて久しぶりに飲みたいなって思ってたとこ。 村雨にはよく面倒見てもらったし、うちの先代にもちょっと似てて―― ……なんか、変な話聞いてない? [ >>96楽しげに話していたと聞けば、嫌な予感がする。 先入観を持たせない為と語らずいたのであれば、深い話はしていないと思いたいのだが。 何せ村雨には本当に世話になってしまっているので、話題が事欠かないだろうと警戒する。] (106) 2022/01/24(Mon) 21:33:09 |
─龍池紫明という男・1─
[ 七年前に退位した、龍池紫明の灯守り在位期間は
約百六十年。
現役の灯守りで、彼と同時期に灯守りであった者は
多々居れど、就任した当初を知る者となれば限られるだろう。
就任当時、彼の年齢は十にも満たない
酷く手のかかる子供だったことを。
紫明の先代は、在位数か月で突然失踪し
(暗殺説、自殺説、駆け落ち等、様々な説がある)
後継者の目星どころか蛍すらいなかった状況、
霜降域は空前絶後の混乱に見舞われる。
では、新たな後継者候補は、と云えば。
前灯守りの血縁は論外。
栄光も一転、既に面汚しと石を投げられる状態であり、
既に一族郎党他の領域に亡命したとされる。
数週間後、中央域の出向職員が、前灯守りの関係者を
探し出してきたものの、
その間、空位に滑り込んだように継承したのは
小暑域出身の無名の少年・龍池紫明だった。]
[ 霜降域の灯守りは、ほぼ霜降域出身者からの選出であり、
髪色は銀、赤、黄系が多いのだが
霜降域の出身でも無く、鴉のような黒髪である彼の継承は
誰もが予測していないものだった。
対立候補が現れながらも、紫明が就任出来たのは、
外様の幼子を御輿に乗せ、傀儡として操るべく
野望を企てた者達。
一族の子が着任することで、財産や権力を得るべく
浮足立った親族達の手柄と言える。
世間一般では、この少年灯守りは
正統なる次期霜降への「つなぎ」の役割でしか無かった。
誰しもが、そう思っていた。 ]
『頂点に立ったからには、ずっと立ち続けてやるからな!』
[ 少年紫明は、大人顔負けの聡明さ、知性の高さから
周囲の企てには気付いていた。
その上で自らの姿を二十年近く成長させ
二十代中〜後半位の容姿に留め
霜降域の混乱を自らの手で平定させ、新灯守りの座に就く。
会合でも年齢を感じさせない発言や所作、立派な態度で
中央域の職員や他の灯守りから一目置かれるようになる。
とはいえ、これはあくまで
「作り上げられた立派な灯守り様」の姿でしか無かった。
自らの才を鼻にかけた傲慢我儘少年時代は
数十年続いていた為、当時の彼を知る者は
表と裏を使い分けるその様子を見て
避ける者や対立する者も少なく無かったとか。
歳月を重ね、我儘少年も精神的に年相応の大人となり
子供時代の黒歴史を語られば、顔を覆う程に精神も成長した。
これが、大半が知っている「龍池紫明」である。]
[ 尚、葵は紫明の過去──我儘で面倒だった少年時代の話は
聞いてはいたのだが]
紫明様、我儘な子だったのですか? 意外ですね。
でも、男の子なんて皆ヤンチャなものですよ〜
ふふふっ。
[ どうせ尾びれをつけて盛っているのだろうと、
本来の問題児っぷりを砂糖
(2)(1)2d10個分は甘く見ている。
紫明も、夢を見ている方が幸せだろう、と
これ以上は修正せず、彼女の理想を崩さずにいたのだった。]**
[ 彼、あるいは彼女。
処暑様はおそらくわたしとそう変わらない、
灯守り様です。
処暑様に対するわたしが持っている印象は
人を恐れている。
人を寄せ付けようとしない。
通り過ぎるはずの大嵐の中から抜けられないような
それに近いものでした。
少なくとも悠然としてお餅を頂くような方では
なかったように思いました。
決して長くも、短くもなかった時の流れ。
わたしはきっとあなたの苦悩も、
とまどいのなにひとつも知らないままに
雪に閉ざされた世界を眺めていたのでしょう。 ]
[ 話は少し変わります。
それはわたしがはじめて、手紙を出したとき。
何通も出したって返ってくるものは
その半分すらもありませんでした。
面白半分でしたことです。
返ってこないことには何ら思うことはなくとも
ローザのように丁寧なお返事が返ってくることは
わたしはほんとうに嬉しかった。
「大寒」とつけてしまえば
また違ったものが帰る気がして。
『わたし』ははじめて、
『わたし』になまえをつけました。
エアリス、雪の雫。
大寒域では聞きなれない名前の並びです。
領域に残されていた本からいただいて。
便宜上、先代様が存命のころは
わたしは寒月と呼ばれていました。
エアリスはたびたび、誰かへと文を届けます。
何度めかの手紙を送ったあと。
その一通は届きました。
]
今日は雪をとどけにいってきました。
届けなくとも雪は降りつづくのですが
季節によって少し降る雪がかわるのです。
あなたは今何をしていますか?
この空の続くはずの下にいるあなた。
花は咲いていますか?
どんな風が吹いていますか?
[ ある日は風景を、
ある日はお食事の内容だったり。
だからわたし、
あなたがどの手紙にお返事をくれたのか
正直きちんと理解していませんでした。
だってあなたのお返事は観察日記の延長で
返信と呼べるものであったかはちょっぴりあやしい。 ]
[ でも嬉しかった。
こちらからは宛先もなくて、
あなたからの差し出し人の名前もない。
ななしさんから届く風景の文は
風が踊っているかのようなのに
それが自分にはわからないと言ってるようでした。
でも、わたしはあなたの風景が好きでした。
わたしにはあなたのように、見渡せる風はないけれど。
写実的で、絵ではないからこそ、心が溢れるみたいな。
だからわたし、わたしは
あなたのことがすきでした。 ]
ななしさん。
あなたは、世界が好きですか?
[ ある日わたしはななしさんにだけ、
そんな事を書いた事があります。
お返事はあったかもしれませんし、
なかったかもしれません。
ぼんやりと浮かぶ街明かり。
季節の殆どは雪で覆われています。
薄暗い空は陽の光を忘れたようです。
短い春の期間に、人々は備えをして、
日々を生き抜くような世界です。
彩の花はありません。
豊かな緑は、雪の下。
わたしは、他の灯守り様をお出迎えすることはあれど
わたしが行くことはありませんでした。 ]
[ お誘い下さった灯守り様には
そうしていつも断っていました。
わたしが大寒域を嫌いになったら
この場所は壊れてしまうのでしょうか?
多少は、灯守りらしく
そんなことを考えてみたりして、
時には立春様からいただたいた葉書を、
清明様が持ってくるお花を飾りながら
わたし、ななしさんに出した問いの
自分の問いを、考えていました。
ずっと。 ]
ななしさんへ
今日は久方ぶりに外へ来ました。
お外で感じる風はあたたかくて、
これでもまだ寒い方なのだそうですけれど。
わたし、外の風はこわいと思っていました。
今でもすこしこわいです。
けれど、はだしでひとり歩くよりきっと、ずっと
心地よいのでしょうね。
ななしさんは今日はどんな一日でしたか?
わたし、あなたのお友達になりたいです。
いつか、わたしとお話してくださいますか?
ゆきだるまとしずく
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