167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】
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| 【コーヒーショップ:アルボーレ】
「いらっしゃいませ」
いつも通り、さして流行っていない店内。 さりとて客足が途絶えるという程の事も無く。
オーダーの声が掛かれば、それをマスターへ伝えて。 開いた時間は、お掃除をするか、店内の猫と戯れる。 それが少女の日常、ゆったりと進む平和な時間。
「〜♪」
小さく鼻歌を歌うくらいには、少女は上機嫌。 艶やかな黒猫の毛並みを整えている。 (11) 2022/08/08(Mon) 23:52:59 |
「近頃は、随分と」
祭りに華やぐ街の喧騒。
時折紛れ込む雑音。
その音は鼓膜を揺らさない。
「幻聴がひどいな」
在り得ざる残響は真実のものではない。
否定的な言葉も、肯定的な言葉も、何れも幻聴でしかない。
そうでなければならない。
「だが、あんたの声だけは聞こえない」
「もしも漸く全てが正しくなり始めたなら……」
酒、異性、熱狂。
少々口を滑らせるくらいなら薬に頼らなくていい。
このどれか、もしくは全部を浴びせれば良い。
そうして得たものを流すだけでちょっとした小遣いになる。
大変有難い事に。
罪悪感が全くないわけではない、が。
ただし、
バレる訳にはいかない。決して。
万に一つでもこの小遣い稼ぎがバレた。
その時は――
【街中】
祭りの影響か、どこもかしこも賑やかな喧騒に溢れている。
さざめき行き交う人波を眺める少年は、どこか所在なさげに息をつく。
スニーカーのつま先が、トンと石畳を蹴った。
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