167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】
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| 【街中】
「眩し」
低い声でぽつりと漏れた太陽への文句は、 こんな人通りじゃ誰の耳にも届かなかったかもしれない。 建物の隙間の暗い方から出てきた男は、一度立ち止まってぐるりと辺りを見回してからのたのたと歩き始めた。 よく磨かれた靴を鳴らして、一つ気の抜けた欠伸をする。 報告面倒臭えとか、眠いなあとか、そんなことをぶつくさと言いながら腕時計を見て。
「……ジェラテリアにでも寄るか」
暑いし、時間あるし、とやはり独り言ちながらふらりと足取りは脇道に逸れていった。 暢気なものだ、とは自覚している。 (2) 2022/08/08(Mon) 22:06:18 |
| アベラルドは、通りすがりに自分の横を飛んで行く風船の紐を掴んだ。追ってきた少女に差し出し、背を見送る。 【街中】 (a1) 2022/08/08(Mon) 22:13:00 |
「近頃は、随分と」
祭りに華やぐ街の喧騒。
時折紛れ込む雑音。
その音は鼓膜を揺らさない。
「幻聴がひどいな」
在り得ざる残響は真実のものではない。
否定的な言葉も、肯定的な言葉も、何れも幻聴でしかない。
そうでなければならない。
「だが、あんたの声だけは聞こえない」
「もしも漸く全てが正しくなり始めたなら……」
酒、異性、熱狂。
少々口を滑らせるくらいなら薬に頼らなくていい。
このどれか、もしくは全部を浴びせれば良い。
そうして得たものを流すだけでちょっとした小遣いになる。
大変有難い事に。
罪悪感が全くないわけではない、が。
ただし、
バレる訳にはいかない。決して。
万に一つでもこの小遣い稼ぎがバレた。
その時は――
【街中】
祭りの影響か、どこもかしこも賑やかな喧騒に溢れている。
さざめき行き交う人波を眺める少年は、どこか所在なさげに息をつく。
スニーカーのつま先が、トンと石畳を蹴った。
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