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人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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視点:


[ぱちりと目が覚めたのは変わらず中庭だった。
お嬢様と呼ぶ声は懐かしくて、ここで聴くはずのない声で、
まだ夢かと呼ばれる方を見た。

屋敷にはあの日の顛末を知っている者が沢山いる。
そのうちの1人が手引きしたに違いなかった。


夢でも見たことのない祭服に片メガネを付けた人。
記憶よりすこし縮んだような背丈に、
最近は高いヒールを履くようになったことに気が付いた。
私この人を知ってる。忘れてないよ 忘れられなかったよ]


 おかえりなさい、リフル


[今度は喉をふるわせて声になってあなたに届いただろう]


 おかえりなさい……

[あの日の面影は少ない方がありがたかった。
泣き出してしまう私《メグ》を後ろに庇って、
とびきりの笑顔を咲かせた。

あなたとの六年越しの再会は笑顔で。

――その後に「お子さんですか……?」と
小さな子を前にちょっと泣きそうな声が続いたのは秘密にしておいて欲しい]

―― 六年越しのお茶会 ――
[彼の時間がゆるすなら、とお茶の準備をしてもらって
リフルとお嬢さんをテーブルに招いた。
私の方も教会に用事があるのだから、
そっちに出向くなら一緒にと
出かけるまでの時間をねだった。
去年はレモンが豊作だったから、
レモネードの蓄えは出来がいいのです。
ぜひあなたと味わいたいの。]

[すっぱくないですか?ってルミお嬢さんに伺いながら、
これまでの話をいくらでもせがんだだろう。
小さな淑女に聴かせられないこともありそうだと汲んだなら]

 今晩、お酒でもいかがですか?

[そっとお嬢さんに聞こえないように囁くのだ。
場所は屋敷の客室だろうか。
外へはあまり行かなくなってしまったし、
部屋に招くのも少し悩んでしまう。主に私の心が暴走する意味で。

氷の溶ける音に耳を傾けながら、ゆっくり話がしたい。
どうですかって保護者さんを伺って萌黄の瞳を見つめた**]

[アジダルは危ない水着を過去に着た事があり、
持っていたらしい。
それなら、女装の1つや2つや3つしてても、
おかしくはないとは常々思っている。
女装姿が見たい訳ではないが、
濃い目の化粧も似合うのではないだろうか。
化粧をしていたなら、
踊り子もそこそこ似合っていた…様な気がする。
なお、先程のランウェイはノーメイク

扉を開いた切っ掛けになったのは汗の滲む男臭さ。
女装を妄想する分には精神影響は薄い。


メンズブラは最近付けている物が多いらしい。
例のマッチョな友人も興味を持ってたし、
きっちりしたのも好きそうだし意外と好むんじゃないか、と

夢から起きて万が一覚えてれば、
送り付ける日が来る………のだろうか?]*

[懐かしい友人に連れられて、案内されたのは玄関を抜ける迄。
用事があるからとさっさとどっかへ行ってしまう彼とは、
今度飲みに行こうと約束だけ交わして。

毎日歩いていた廊下の先で、
知った顔と見知らぬ顔の二人組のメイドと出会う。
帰って来たの?と声を弾ませた顔見知りは、
積もる話もそこそこに、
中庭にあのお方がいらっしゃるわよ、と教えてくれた]

[彼女は変わっただろうか。
己の事を……少しでも覚えてくれているだろうか。

自分に逢う資格があるのかと考えないではなかったけれど。
年月を経た彼女は、今どうしているのか。
元気でいるのか。
それを確かめたい気持ちが優に勝ってしまった]


  ぇっ と……


[けれど、実際目の前に彼女が現れれば言葉が萎む。
おかえりなさいに答えていいものか、迷った。
迷っている間にも、萌黄の瞳は懐かしい人を映して、瞬いて、思い出の姿と照らし合わせる。

あぁ、変わらない。
少し大人っぽくなった。きれいになった。
背が伸びた。(伸びてない)

けど変わらないな、と、
勝手に頬が緩んで、勝手に返事をしていた]


  ただいま……


[色んな事があったのに、何年も経ったのに。
こうしてまた逢えて、彼女が微笑んでくれた事、神に感謝した]

[「お子さんですか」と聞かれれば、あ、と思い出した様にルミを前に優しく押して、
「娘だ」と頷いてから、詳細を説明した。
いきなり養子だと説明するとルミは機嫌を損ねるので。

機嫌は損ねなかった様だが、
ルミはじーーーっと無言でシャーリエを見上げていた。
多分、お姫様の様な姿に憧れたんだろう]

[……いいんだろうか、こんな普通に昔に戻って。
いやオレが逆の立場でもこうするけども。
そう思うと少しは気持ちは軽くなるが、すわりはどうしても悪い。
でもレモネードは美味い。
ルミも「すっぱあい」と口をすぼめながらも、グラスを離さなかった。

この後教会へは是非一緒に、と頷いた。
彼女と関係がある事を知ってもらえば、何かとスムーズになる事も多いと思ったし。
そんな正直な話もしたし、連絡が途絶えた理由も話したし……
盗賊団がどうなったかは、
そのワードがよくなかったものだから、口籠った。
すると、彼女の方から提案があった。]


  ……ルミも一緒で良いか?
  多分、この子途中で寝ますから。


[己にとってはよく知る地でも、ルミにとってはそうではないから。離すのが恐ろしくて、三人で居る事を望んだ。

そうして教会だか、夜の客室だかで落ち着いた頃、
思い出した様に声を上げた]


  あ、そうだ……
  土産とか何もないんだ……悪い。


[すぐに会いに来るつもりで
帰って来た訳ではなかったから……。**]

[まだ覚えていられたままの声が、
ただいま、と空気を震わせた

ちゃんと生きていてくれたことに、感謝と苦しさを覚える。
そこに「娘だ」と小さい子を紹介されるのは
とことん心臓に悪かった。
寝直そうかと思った。


まるい二つの目がこちらを見ていて、
情けないことは避けた。
この子の前ではキチンとした大人でいたいと、
優雅にドレスの裾を持ち上げて一礼をする。
子供受けはいい仕草だけど、
くりくりした目にはどう映ったのだろう]

[庭の住人とその(義)娘さんと
自慢のレモネードを頂きながら積もる話をした
積もる分だけ生きてきたお嬢さんには、庭の花壇を案内した。]

 ずいぶん遠くまで……。
 そうですか、この度教会にお勤めに。

 私、教会の孤児院にはよく行くんです。
 ……跡継ぎを探していて。

 あら、ルミさま気をつけて。
 バラには刺がありますよ。

[蔓バラに触れないように小さな手を包んだ。
小さな淑女には秋桜などいかがだろう。
一輪摘み取って彼女の胸元に飾って、
お綺麗ですよって微笑んだ。]

 ルミさまも一緒に。
 それなら宿が近い方がいいかしら。
 お決まりでないなら屋敷の部屋を用意しますけど。

[教会で宿を手配していたかもしれないが、
一晩はお屋敷にと願った。

教会から戻り夜の客室に、
騎士さまと(義)娘さんを招いた]


 おみやげ?
 ふふ、いいですよ。
 帰ってくるなんて言わなかったじゃないですか。
 帰ってくると思ってなかった、ですから。

[甘い甘いアイスワインのグラスを傾けて、匂いを楽しむ。
リフルには望んだお酒を用意したが、
お嬢さんにはブドウジュースをサーブした。
季節のフレッシュジュースは
去年のワインより贅沢かもしれない]

 しばらくはこの街で牧師さんをするの?
 ……どうしてリフルは私が行くところに現れるんだろう。


 そんなだから好きになっちゃうんですよ。

[くす、といい気分で笑った頃には
ルミさまは眠っていただろうか。
聞かれたって構わないほどに公然の秘密になっていたけど、
お父様のこんな話を聞かせるのは良くないだろうか。
つき合ってるわけでもないのだから。]

[盗賊団の顛末とご両親の話には真摯に頷きを返した。
右目を怪我した話にはモノクルの奥を覗こうとした。
ハガキを送ってくれたこと、王国の音楽家に会いに行ってくれたことには目を細めて懐かしさに浸った。
手紙も届かない地で被害者に寄り添って、
ルミさまと会った話には、]

 騎士さまみたい

[勲章を贈った本人とは思えないセリフで笑った]


 騎士の名に恥じない働きに感謝します。
 よく働いてくれました。
 他国に変わり、礼を申し上げます。

 ……見ない間に素敵な顔になったね。

[このまま手を伸ばしたら
触れたところを撫でてしまいそうで一度握り拳にした。
沢山の人を助け自慢の騎士になった彼の手に
触れないように手を重ねる。
指一本離れたところでも体温は伝わるはず]


 左手は直ったみたいね
 右手は動かせるの……?

[これが気がかりだとばれないように
目をそらしていたから、直接訊く羽目になる。
小さな子と旅をしてきたんだから、支障はないのだろうけど]

 私、責任取れなかったから。
 なにかあったら遠慮なくいってね。
 リフルも私の守る民なんだから。

[ワインを二口飲んでのどの奥に残った言葉を飲み下した]

 あの頃は若かった、ね。
 迷惑かけてごめんね

[『よければお屋敷に住みませんか』
未練がましく顔を出す私に冷や酒を浴びせて
笑顔を彼に向けた**]

 
[基本、無愛想。
 虫のことを語らせれば
 楽しそうとか、活き活きしているとか
 思われることがあっても、

 ”可愛い”なんて
 言われた記憶は
 どこを探しても見つからない。

 妙にくすぐったくて
 そわそわして
 けど、決して居心地が悪い訳じゃない言葉。


   (でも…、貴方の方が
       ずっと似合っている)


 声を立て、
 肩を揺らして笑う姿に思う。]
 

 
[堪らず見惚れていると

 胸の真ん中あたりが
 ぎゅっと少し苦しくなって
 あったかくもなって

 そこから、ベニスカシジャノメが
 次々と翅を広げて
 貴方に向けて
 飛び立って行くような心地が、した。]*
 

──淡色の球体5───

[2度の大きな自己損傷。
幾度かの軽微な廃棄。

幸いにして、現在の記憶に齟齬は出なかったが、
過去の自分については脆く崩れている。

あの人が幸せになった世界で、
あの人を忘却した顔で再度接触するのは嫌だと漠然と考えていた。
余計な事を言って幸せを壊す事は望まない。
無様な姿を晒すくらいなら去るべきだ。

苦しんでいれば、手を伸ばしてしまうほどに、
長い付き合いになった仲間も嫌いではなかった。
だが、自分を消し去る事も心の奥底で恐れた。
国の情勢的に、続けていれば自分の存在を消すのが目に見えて。

独りでいるなら、平和な場所がいいだろうと故郷を選んだ。
万が一の為にも、完全に繋がりを切るつもりはなく、
戻る理由として適当な物が付けやすい。


そうして平和な国に渡り、
1年もせずに海の向こうへ思いを僅かに馳せながら、
意味もなく無為に生きていた。]*

[彼女がルミに動揺していたなんて微塵も気付かず、
優雅な振舞いに、ルミと一緒にほうっと目元を緩ませる。
不意に、最後に見た彼女の姿に重なる。
僅かに涙の気配を感じてしまったが、
彼女の真似を試みるルミに笑ってしまった事で取り繕えた。

お茶席迄の道のり、
ルミは彼女の後姿をきらきらした目でまたずっとじーっと
見ていたものだから、レディはそんな事しないんだぞと教えた。
一度はハッした顔になるが、
それでもシャーリエをちらちら見ていた]

[彼女はレモネードを振る舞ってくれるし、
ルミに花も見せてくれるし。
屋敷の住人に戻った様な、客人になった様な不思議な感覚だ。

花を一緒になって見ているお嬢様とルミの姿は、歳の離れた仲の良い姉妹……と思うには、彼女が大人っぽくなり過ぎて見えた。六年前なら姉妹だ、と思って終わりだったろうに。
少女が女性に花を飾ってもらうその光景。
何だか胸が温められる様な、またも不思議な感覚にとらわれて、「跡継ぎ」の話が逸れたままになった。
ルミが頬を赤らめて「ありがとう」と笑みを返すのを追って、彼女に礼を言う]


  あー宿は教会が用意して……


 「泊まっていっていいの?」


[宿の事は問題ないと遠慮しようと思ったが、
ルミが目を輝かせて割り込む。「ここでねよう!」とまた輝いているルミの目に映るのは、見た事もない美しく整えられた庭だったり、品のあるカーペットだったり、可愛らしい調度品だった。
彼女もすすめてくれたから、じゃあ…と厚意に甘える事にした]

[客室に入るのは、懐かしさの方が勝ったか。
初めに保護された時とか、療養で長い期間貸し切ったものだし]


  あー、まぁ、その……うん……


[責められてる訳でも意地悪でもないとも思うが、帰ってくるなんて、と言われてもごもごして、グラスに口をつける。
わかってる、筋を通していない自分が情けないだけ。
つい彼女と同じものを、と頼んでいたが、
彼女と違って匂いを楽しむ余裕はなかった。
同じくブドウジュースを「おいしい!」としかまだわからないルミは、思ったより早く船を漕いだ。
彼女をベッドに運んでから、
大人だけでグラスを鳴らしたか]


  そう言えば、跡継ぎがどうとか……


[勤め先の話になれば先程の教会に通っているという話を思い出したが、深く聞いていいものか逡巡するより前に彼女が笑って、ごほ、とむせかける。
別に娘が眠っているかは振り返らなかったが、
何とも言えないまま、けれど彼女をじっと見つめ返した。
こっちからするとオレの行く先にあなたが居る、なんですけど。

それすら言ってやれないまま目を逸らした]

[そのほかの色んな話を、彼女は時に真剣に、時に柔らかい面持ちで聞いてくれた。
聞いてくれるのが嬉しくて、もしくはきっと…聞いてほしくて、
自分の口じゃないみたいによく喋った。
たまに横道逸れてどうでもいい遠い国のグルメ情報を話した気もするが、彼女を気に病ませる様な話はしなかっただろう。
騎士さまみたいと言われた時には、]


  そうかも。


[同じく、本人とは思えない軽さで笑う。
ちょっとかしこまった口調で彼女に礼を言われると、
流石に照れくさそうに眉を下げたけれど、

二人の時のくだけた喋り方になって、
彼女の手がふわりと伸びて、
触れないところに重ねられる。
触れずとも……あたたかい]


  ……そうかな?


[もう一度言ってほしいとか確認の意はなかったけれど、聞き返す様なかたちで返事をした。
彼女の手を止めるでもなく、彼女の手から逃げるでもなく、
瞳すらじっと見つめ返したのは、酔っていたのだろうか]

[けれどそれも、短い時間だったか。
右手の話になると、いつもの空気に戻る様にふっと笑う]


  手首から先は動かないですよ。
  でもルミにも助けられてるし、
  あと大体右手はルミが握りたがるから
  どっちにせよ塞がってる事が多いし…
  このままでもいいかなって。

  義手にするならするで、
  それはいつでもできますしね。多分。


[責任は彼女にないと首を振るが、
彼女の"守る民"に含めてくれた事にふふっと声を漏らして笑う。ありがとう、と言ってグラスに口をつけたら、続く彼女の言葉にまたゴフッとむせた。格好悪い……が、
彼女の前では今更かもしれない]


  い、いえ、こちらこそ……


[何だかよくわからない返事をしたのち、
笑顔の彼女に、ぽつぽつ言葉をちりぎながら切り出した]



  あの……
  近い内、お時間ありますか?
  ルミに町を案内したいんです。

  お嬢様に案内してくれっていうのは
  お嬢様頼りないよなって思うんですけど
  六年離れてたオレよりはマシかなとか……

  あのクッキー屋ってまだあります?
  ルミもクッキーがすごく好きで……

  よかったら一緒に町をもう一度……
  今度は最後迄回りたいな、と
  思うんですけど……


  どうだろう?
 

[ド失礼な事も口走りながら、
少々無茶かもしれない誘いを口にする。

彼女との話がまとった頃、ルミが急に起き出して]


 「ここでずっと住みたい……」


[とか言い出したので、ぽんぽんと一度眠れる様に頭を撫で、あやしてやる。ふわっふわのベッドも気に入ったんだろう。

「気にしないで下さいね」と少し困った様に笑ってから、
お開きの際には彼女を部屋迄送る為、ついて行っただろう。**]

[お庭でも客間でも珍しいものに囲まれたルミさまは
はしゃぎ疲れたのか眠ってしまう。
こういうのは女の子の憧れなのかしら。
喜んでくれると振る舞う方も嬉しいもので、
彼女が笑う間は、私も笑顔が曇ることはなかった。]

[彼にとっては馴染みの客間で、
目を閉じたお姫様を手慣れた様子で寝かしつけるリフルに
久しぶりに胸が痛くなる。
そうか、この子は私より彼の近くにいたんだ。
手をつないで同じご飯を食べて同じ場所で眠る。
私が焦がれて仕方なかったあなたのお姫様が、
彼女なのでしょう]


[こういうときお酒も味わわずに
喉を焼いてしまう私が嫌いだ。
自己嫌悪に落ちそうなところを
動揺したリフルに笑わされて、
半歩のところで踏みとどまる。
支えてくれるかと思ったリフルの視線は、
しっかりと私を絡め取ってから逸らされた。]


 ええ。跡継ぎです。
 私も二十年、三十年先を考える年になりました。
 血が繋がっていなくても、国は継がなければ。
 ピアノ弾いてくれると嬉しいけど、
 あれこれ選ぶのも申し訳なくてなかなか……。

 ……それとも。
 遠回しに私が結婚しなかった訳を訊いてる?

[少し真面目な顔で彼を見てから。
冗談ですよおって、グラスを彼のグラスとキスさせて、
乾杯の音を鳴らした]

[離れていた間のリフルの話に
……リフルの声に聴き入っている。

手を繋ぐような真似事は、
ひととき甘い香りを纏ったけれど、
それも彼が笑えば溶けてしまう春の氷だった]


 そう……。利き手は動かないのね。

[気にしないようにジェスチャーで示してくれているが、
私のせいだと責めてくれた方が楽だった。
お金でも義手でも援助しよう。
でも、あなたはお姫様の為に私の助けを袖にする。
リフルの人生に食い込む余地がない。
あなたは1人でどこかへ行ってしまう。
どこにもいけない私を置いて、
お姫様と手を取り合って、どこへでも飛び立ってしまうんだ]


[目眩がする中……リフルの声が遠くに聞こえる。
『ルミに街を案内したい。ルミもクッキーが好きで

住んでいるくせに多くない街の思い出が、
一つ一つ彼の手でお姫様のものに替えられていく。
ああ、お姫様に縁のない、
あの暗い酒場だけが私の思い出に残されるんだ。
……ひどい人]


 リフル。
 ……私6年も1人でがんばったんですよ。
 怖くて寂しくて死んじゃうかと思った。
 待ってるだけの自分が嫌いだった。

 リフルと一緒に苦労したかった。
 頼って欲しかった。隣に居て欲しかった。
 あなたのこと遠く感じたくなんてなかった。

 だいすきよリフル。
 だいきらいリフル。


 ……あのときのキス。返すね。

[抱きしめるくらいに近づいて
ほほを触れあわせるだけのチークキスをした。
ただの挨拶に成り下がったキスで、
過去の淡い願いを切り捨てる。

言わなくちゃ伝わらないってイヤと言うほど思い知った]

[何も言わなかったらあなたは去ってしまった。
今度こそ引き止める。

誰も私の心を揺らさなかったんだ。
あなただけが私をおかしくさせる。
それが好きってこと、特別だということ、
リフルが居なくなって身に染みたの ]


 すきだよ。リフル。
 あなたが好き。
 お付き合いしてほしい。

 だからね。あなたの言葉で聞きたい。
 街を周りたいのは誰?
 ルミさまと回るのは、あの日の続きだと思えないよ。


 私はリフルとデートしてたんだもの。

 

[欲しいのはYESの音だけど、待った、も受け入れましょう。
6年の間リフルのことを考えていられたのは私の話。
彼はそんな暇も無かったでしょうから、ハンデをあげる]


 好きな理由は訊かないでね。
 きっかけはあったけど、理由なんてないの。

 寂しいときに側に現れた人だよ。
 お見舞いしてるうちに仲良くなれた。
 そこから好きになっていったと思う。


[「何故オレに、こんなに構う?
その答えは考えても分からなかった。
お姉さまの代わりに甘えられる人が欲しかったのか、
誰かの役に立ちたいと思ったときに現れたからか。]


 始まりは分からないけど、好きになってたの。
 それってダメかな。

 私のこと、そういう風に見たこと無いなら
 これから見て欲しいって、おかしいかな。

 

[ああ、そういえば「酔っ払いの話は聞きません」と
突き返されたのだった
またお酒の席で言っちゃったな。
ワイングラスに行きかけた手を
水のグラスに引き戻して一口水を飲んだ]


 信じられないなら何度でも言ってあげますよ?


[ふふふって笑えばそれがきっかけで楽しくなってくる。
ねえ、気持ちが先で理由が後って変かな?
好きだから可愛く見えるの。
好きだから許してしまうの。
好きだから役に立ちたいし、
好きになって欲しいから、好きなんだって気が付いた。]

[少し空気が落ち着いた頃、かわいいお姫様が起きてきた。
うるさくしてごめんねと膝を折ったが、彼の方が早い
リフルにあやされて落ち着く様子から、
2人の信頼が透けて見えた。

あのくらい、あなたに信用される人になりたい。
……今からでも間に合いますか。
リフルのそばにいたいと望んでもいいですか。]


 ここに住むのは構いませんよ?
 私と鉢合わせるのは覚悟してもらいますが。


[客間に住まわせ続けるのは悩ましいから、
庭の反対側の離れに部屋がありますよと伝えた。
彼らには騎士の位があるのだから、
家を1つ渡しても良かったのだけれど、
お姫様の願いは叶ったのだろうか。
誰かさんが誰かさんに告白したせいで
時間がかかったかもしれない。]

[お見送りはしっかり受け取って、
私の部屋の前まで来てもらう。
ここで抱きついたら貞操の危機を感じてもらえるだろうか。
それくらい本気だと伝わるだろうか。
どうでもいいことを考えて笑った]


 おやすみなさい。
 また休日に

[ルミさまに街を案内する約束の休日に。
それまでに逢えたなら
それは素敵なこととして受け取りましょう。
そうでなくても、
リフルに教えてもらったおいしいクッキー屋さんから
街を巡れば楽しいことでしょう。

少し明日からが楽しみになって、
ドキドキしている心臓を上から抑えつけた**]


 好きっていうの、緊張する……

 

[ルミが眠った部屋で彼女と二人、盃を交わす。
聞き出さずとも彼女が跡継ぎの話を語ってくれた。]


  ……いや聞いてねぇ……

  そうか、
  してないんだな……


[失礼な話だろうと思って深入りする気がなかったから首を振った。彼女は冗談だと笑う。グラスの音に紛れさせて、呟いた。
自分のせいかと思う僅かな気持ちは、旅の話で流した。
彼女もそんな話をする為に呼んだんじゃないと思ったし…
自分だってこれ迄の事を聞いてほしかったし……]

[距離をあけて手を重ねる。
右手の事を気にしないでほしいと思ったのも本心だし、
彼女を気に病ませたくなかったのに、
結局、己の考えの及ばないところで彼女を傷付ける。
だから彼女の思い出を踏み躙る事を平気で言えるんだ]


  ───、


[何でまたそんな事を言うんだ。
あのときの、と言われても思考が追い付かなくて。
頬に触れた口付けは挨拶の様でも、そうは思えなかった。
もっと苦くて、痛々しく胸迄刺し及ぶ]


  ………お嬢様の方がよっぽど
  色恋に富んでらっしゃる。


[彼女が本心なら彼女の気持ちは切なものだろう。けれどここ迄想ってもらえているとは、想定外だったから。
茶化すつもりはないが、
その情熱には呆れ迄覚えてしまうものだから、つい零す]

[好きな理由?
前もよくわからなかったんだから今更聞かないが、
きっかけがそれなら十分理解は出来る。
先ほどは呆れたものだが、この人は別におかしくない、と、頭の冷静な部分が判断する]


  ………


[「これから見て欲しい」にはすぐには頷けず、言葉を探す。
くだけて喋れる相手だけど、
大切で、守りたくて、特別な人だけれど、
卑しい気持ちでも愛しい気持ちでも触れる事すら躊躇う人を?そういう風に見る?
すぐに「はい」って言える方が、
今迄の気持ちが嘘だという話だろう……
こんな風に思う気持ちは初めてで、
この気持ちだって大切にして来たのに。

彼女の方が酒を飲んでいた事は忘れていた。
水の入ったグラスを傾ける彼女に僅かに眉を寄せる。
楽しそうに笑う彼女はどこか痛々しいのに、
「結構です」と彼女のグラスに水を足してやった]

[起きてしまったルミをあやしてから彼女のもとへ戻る。
それって、オレが再度お嬢様を振った場合でも言えんのか?と、もやもやと渦巻く腹は意地が悪い。お嬢様も大概すごい事言ってる気がするけど]


  構わなくはねぇだろ、
  雇ってる訳でもないのに……


[とは言うものの、家が渡されるというなら揺らぐだろう。子連れには願っても無い話だ。
とりあえず教会の厚意もあるから、翌日からは教会の用意してくれた部屋へ移ると伝えた]


  ……シャーリエ様、

  さみしい思いをさせたのはすみません。
  正直、忘れると思ってました。

  …ぁ………


[馬鹿正直に告げたが、隠す事は何もないだろうとも思う。
……ありがとう、と言おうとして、詰まる。
その言葉に何の意味があるのだろう。
考えれば考えるほどドツボにはまりそうで……

結局、「送ります」と呟いて、席を立っただろう]

[見送った先の部屋の前で、
彼女は寝る前の挨拶をしてくれた]


  おやすみ……
  良い夢を。


[そう言って扉が閉まる迄、頭を下げていた。
ルミの眠る部屋に戻って彼女の隣に潜り込めば、
動かない右手をきゅうと握られる。
義手は外して眠るものだから、頭を撫でてやれないのが残念だ]

― 休日 ―

[当日は黒のシンプルな祭服で、ルミを連れて現れる。
シークレットブーツも履かない。
六年前と似た格好を避けた結果の服装だ。
彼女の屋敷迄迎えにあがって、
ルミの前だけれど、はっきりと尋ねる事にした。
多分己は小難しい顔をしていた。
言っていいものかとか、この言葉で正しいのかとか、ずっと悩んだけれど、やはり不安は拭えぬもので]


  ……あの日の続き、
  じゃなくてもいいか?
  オレもそんなつもりはなかったんだが……

  あんたとデートがしたいんじゃない。

  でも、一緒に行きたい。
  ただ、一緒に居たかったんだ。

  ……それじゃ、駄目か?


[これが、あの提案の答えになっているかはわからない。でも彼女を大切に思う気持ちを偽りたくはなかったから…言霊に込めた。**]

[言葉が足りないから、なんどでもすれ違う
何度繰り返してもすれ違うんだろう。
彼が私をどう思ってるかも聞かずに、
私のわがままに振り回した。
6年間、甘酸っぱさを煮詰めて
焦がしてしまった恋は終わりにする。


またゼロから始めよう。
同じ街に居るのだから、
すれ違うことだって
捕まえることだって叶うのだから]

[教会の用意した部屋がある、とは
牧師にと頼まれてやってきた彼には当たり前の待遇。
考えなかった自分もおかしかった]

 あら、ほんとう?
 必要になったらいってくださいね。

 働かないのに、とは考えないでください。
 私が領民から税を頂いているのは
 領民の為に使うからです。
 貴族のつとめというものです。


[意地の悪い質問をぶつけられたとしても
素知らぬ顔で返す自信はある。
あなたがどこかで苦労している間、
恋と仕事を分けるために、
ぶ厚い仮面を重ねてきたんだから]

[自分の部屋に戻るまでの時間くらいは稼げる]

[だから「忘れると思ってた」なんていわれても、
目を伏せて笑うだけで終わらせた。

本当は断られるのが怖くて仕方ない。
穏やかで薄い、中庭の住人を続ける方が楽だっただろう。
でも、それじゃないって蹴ったのは私なんだ。
戻れなくても仕方がないけど、怖いよ。
 リフル 助けて]

―― 休日の屋敷前 ――
[民族衣装をまとって、髪は三つ編みして垂らして
訪問者の前に立つ。
表から出ようとすると近衛兵がおまけについて来るので、
いつかと同じ裏口で待ち合わせた。

教会で見る牧師さんのなかでも飾り気のない祭服は、
以前、髪をまとめてリボンで結っていたリフルと印象が違う。
ヒールを履いた私が身長を追い越したか、
お姫様に合わせて歩く歩幅のせいか。
ずいぶん大人しくなったように見える。
モノクルと祭服で知的にすら見えて。
以前の彼が知的でなかったというわけではなく……うん


彼の左側の特等席にルミさまが見えたので、
小さく手を振った。
ドレスじゃないけど私だとわかってもらえるかしら]

[お出かけの前に怖い顔した
……それでも前よりは柔らかい表情のリフルから答えを聞いた]

 ……。

 悪い子……。振ってくれもしないんだ。
 でも許したのは私だものね。

 今日は一緒にいてね?


[顔を伏せればルミさまと目があった。
にこりと微笑みかけて、しゃがんで彼の視線から逃げた]

 
 ……さ、行きましょう。
 今日はルミさまと街を回るんですよね。
 お供に選んでいただき光栄です、ルミさま。

 クッキーはなにがお好きかしら。
 この季節なら私はジンジャークッキーが好きです。
 少しスパイスが入っているけど、温まりますよ。

[ミルクと食べるのがおいしいです、と彼女に笑って、
そのままの笑顔でルミさまの反対側のリフルの隣に並んだ。

 ほら、リフルは場所知ってるでしょう?
 大きくなったけど看板はそのままだから間違わないよ

[義手の方をつついて
クッキー屋までのエスコートは丸投げした。
その後は私が引き受けますからいいでしょう?

ガラスの髪飾りのお店なんて、リフル知らないでしょう。
収穫祭が近いから民族衣装を飾っているお店も出ている。
リボンと小さなグロスでお化粧して、ディアンドルを着たら
妖精みたいで可愛らしいに違いない。
ちょっと張り切って、ルミさまをおもてなししよう。
リフルが止めるかは彼の教育方針に寄るんだろう。
後から彼女が贅沢になったとか怒られても、
私そんなの聞いてないもん]

[その日はルミさまがいるから
日が沈む前に別れるのだろう。
すこしぼうっと夕焼けを見ていた]

  また来たいね

[本音のなかに本音を隠した。
リフルとルミさまと、穏やかな時間が楽しい。
六年前と違って、平和にすごせた時間が嬉しい。

お姫様の邪魔をしないように、義手の手に触れた。
秋の空気で冷たい、リフルの手]

 触るのいや?
 少しだけ、こうしててもいいかな……。

[手を繋ぐことも指を絡ませることもせず、
手の甲同士を合わせて、冷やされた息を吐いた。

「また来たい」とは言ったけど次はあるのだろうか。
赤く染まる雲ばかりを見て、リフルの顔は見れなかった。
空でくるくる回るラッコが3人を見下ろしていたけど、
そんな不思議に気が付きもしなかった**]

[彼女の屋敷へ招かれた夜、
彼女は貴族らしくこちらの処遇を述べる。
もてるもののなんとか……だったか。
こういうのはきっと考えたって理解できないと思っていたけれど、教会で働いて、弱き者たちに手を差し伸べて来た今なら少しわかる。多分、持っているものの量が桁違いだろうから、己が理解しているのは一部なのだろうけれど。

彼女が仮面を被った事はわかったけれど……
それを観察する事すら出来ずに、
各々の夢の中へ歩いて行ったのだった]

[そんな記憶もまだ新しい休日。
屋敷の裏口へ赴けば、
そこには少女の様なお嬢様が立っていた。
六年前のあの日より可愛らしい格好だったから、
若返った様な印象だった。

けれどルミは「あー!」とすぐに気付いて手を振った。
彼女のすぐ傍迄行って、変わらない気持ちを吐露すれば、
お互いに苦い思いをした]


  ……お嬢様のお心の広さに感謝します。


  もちろん。


[おどけた様な、それでいて真に謝意を含む声色で頭を下げた後、ぱっと顔を上げて頷いたけれど、逆に彼女はルミの方へしゃがんで微笑み合っていた。
逃げられたというのに、悪い気がしなかった。
この光景が………、]



 「ルミはチョコのが好き!
  ちちはチョコ少ないチョコのクッキーが
  好きって言う」


[にこにこしながらルミはクッキーの話に花を咲かせる。
お嬢様の話にもきちんと耳と傾け、
ジンジャー?あったまる??と首を傾げたり、
ミルクと食べるとおいしい?と目を輝かせたりする様は、
気のせいか、己と居る時よりはつらつとしている様な……]


  あぁ、はいはい。


[彼女につつかれ、彼女を真似したルミにつつかれ、
こそばゆい様な気持ちでクッキー屋へ歩き出す。
自分はよほど締まらない顔をしていたのか、
少しばかり変化があるだろう街並みに目を遣ったりしていたら、通行人がじっと己の顔を見ている。
気恥ずかしくなって、目線を彼女やルミへ向ける。
話していればマシだろうと、
向こうの筋にあった店の話を振ったり、
彼女からガラスの髪飾りの店の話を聞いたりした]

[クッキー屋に着けば
三人で好きなクッキーを選んで袋に詰めてもらう。
ルミが試食のマーブルのクッキーをおいしいおいしいとほっぺたが落ちる様な仕草で絶賛すれば、二枚おまけしてくれたりした。
あれ、二枚って多分ルミとお嬢様の分だよな、と、少し仲間外れにされた様な気分も、悪くなかった。

民族衣装を扱う店に寄れば、
彼女自らルミをコーディネートしてくれた。
ルミには贅沢はさせてやれなかったから、こういうのも良いか、何より可愛いし、と思って微笑ましく見ていたが、服飾諸々の値札を見て首を振った。
ルミは満足そうに鏡の前で踊っている。
ルミの後ろで、ちょっとお嬢様!と小声で抗議したが、素知らぬ顔をされた。更に、]


 「このまえのドレスも着たいなー」


[と、お嬢様をじーっと見て呟く始末。
お嬢様みたいなドレスは子供用でもすんごい高いんだぞと宥めるが、「でもかわいいでしょ?これも!」と小首を傾げてくる]


  ………あぁ、
  可愛いよ。

  ありがとう、おじょうさ……おっと
  ………、


[ルミを可愛くドレスアップしてくれてありがとう、とお嬢様を振り向いて、そう呼んではいけないと口を噤む。
何だっけ、変装用につけた名前。……あぁ、確か…
思い出すのに時間を要して、既に改めて呼ぶ空気ではなくなっていた。
誤魔化す様にふっと笑って、行きましょうかと店を出るだろう]

[楽しい時間はあっという間で、
既に街を照らす光が色を変えていた。
世界にとろりと滲む様なオレンジの世界を、
彼女とルミは見ていた。
オレはそんな二人をこっそりと盗み見ながら、
彼女の「また来たい」に、はいともいいえとも返さなかった。
それでも、拒む様な空気は纏っていなかっただろう]


  いやじゃないですよ。


[ルミが無邪気にぎゅーっと握っている方の右手と違い、
彼女の触れる左手は、本当にただ触れているだけ。
いやな筈がない。
即答したけれど……
したのち、急にあの肌寒さを思い出した。
自分は、何を考えているんだろうか。
……手の甲を裏返そうと、して、]


  ………

 「ちちー、メグさぁん、お空見てー」


[ルミが空を指差した。そこには不思議な光景が浮かんでいたのだけれど、それよりルミが口にした名前にぎょっとした]



  あ、ええと……


[お嬢様も空ではなく、ルミを見ていただろうか。
どう言い訳をしたものか……目を泳がせたのち……

ルミにシャーリエの話をしていた事を話す。
発音が難しかったらしく、短い「メグ」の名前でルミに紹介していたら、そちらで覚えてしまったらしい。
バツが悪そうにぽりぽりと頬を掻いてから、
お嬢様の仮面の下に呼び掛けた]


  なぁ。
  オレも、メグって呼んでもいいか?

  敬してるお嬢様の名前でなくて、
  メグって呼んで……

  それなら少し、
  違う気持ちも持てるかもしれない……


[かもしれないのたとえ話で彼女を期待させて、
また傷付ける可能性だってなくはない。でも、

ルミに優しくしてくれる彼女を見て、今日彼女と話して、彼女と並んで……彼女を守れた時とは違った幸せを感じたんだ。
己の代わりに寝る時にルミの頭を撫でてくれる人が居ればいいと思った。
それはつまり、ルミの母親で、自分の伴侶なんだけれども……]

[小さな確信と小さな衝動を経て、
恋と呼ぶには程遠い気持ちが芽吹いたかもしれない。
程遠いから、彼女から握られたら手を逃がしてしまうが、
この場所からはもう逃げない]


  ……また、来ましょうね。


[ふっと柔らかく笑んだ瞳には、
赤く染まる銀髪の女性だけが映った。

彼女を屋敷へ送り届ける時は、
彼女を真ん中に迎えた三人だっただろう。
今はルミだけが彼女と手を繋いでいるけれど、

いつか、
三人で手を繋いで仲良く歩く日も、来るのかもしれない。**]

[六年前に焦がれていた姿とは違う、
今のリフルが屋敷に迎えに来てくれた

……使用人のシャツとパンツに
髪をまとめたリボンがワンポイントの
動きやすくまとめた身軽な姿から

ローブに義手の大部分を隠しているのに、
落ち着いた黒とそこだけ光る片メガネの
色々あって落ち着いたような姿……]

 
あ、こっちのがかっこいいかも……


[呆気なく次の恋に燃料をくべそうになって、
私の中で私が喧嘩する]


 「もうしんどいから諦めるんじゃなかったの!?」
   なにを聞き分けいい子してるんです?
   諦められないからやり直したんですぅ〜。
   一緒にいて嬉しいんでしょう?
 「ぶりっ子に死を!」

[皆さん頭の中で天使と悪魔の声がすると仰いますが、
私は阿呆と莫迦の声が聞こえます。
この恋もだめかもしれないというのに、
なにを楽しんでいるんだか。

……まあいいや放っておこう。
ルミさまに移さないように深く深くに埋めておこう]

 うん。うん……
 あら、リフルはチョコが少ない方がいいの。
 ルミさまがチョコ多いの食べられるわね?

[ちらりと「ちち」を確認する。
リフルうそつき。
お姫様に譲ってるんでしょう。
……知らないところで父親してるんだ。

嬉しそうにちちとクッキーの話をしてくれる彼女は、
これから行くクッキー屋にも興味をもってくれたようで、
2人でリフルを挟んで歩く道でもおいしい話に花が咲く。

ねえ、ってリフルに話を振れば、たまたま視線が重なって]

 そう、ね。
 ガラスだから光が入るときれいよ。
 きっと気に入ってもらえると思うの。
 
[距離感に戸惑いながら、
久しぶりに萌黄の目を見つめた。
リフルの瞳みたいなイエローグリーンのガラス玉が欲しくて、
こっそり屋敷を抜け出したのは5年前だったかしら。
庭のパラソルに付けて、萌黄越しに見る庭もいいものですよ。

……と言いかけて、ちょっと口ごもった。
なんだかベタ惚れエピソードっぽいから黙っておこう。
先の恋はなかったことにしたんだ。
なにより、今日のリフルは父親の顔をしているんだから、
困らせることはやめておきましょう。]

[おいしいクッキーを堪能して
どこかで習ったように食べ歩きをしようと思ったけれど、
試食の口が甘いままだし、と、
可愛いものを沢山そろえたお店にお姫様をお連れした。

クッキーのおまけは、後で親子で分けてもらえればいい。]

[くるくる回るルミさまのダンスに
まあすてき、ってハミングを乗せる。
作りかけの3拍子のメロディーを、
彼女の動きにあわせてリズムを変える。
つまづきそうになったらテンポを落として手を支え、
ステップが戻ればテンポも戻す。

なにやら抗議が飛んできたから
可愛いでしょう?って歌を止めた。
お姫様なら]

 きっと『ドレスも』似合うのに

[一部ハモったルミさまと顔を見合わせて、ねーって言った]

 リフルで遊ぶのも程々にしましょうね。
 気に入ってもらえて良かった。
 是非その衣装で収穫祭も楽しんでください。

[親子が秋のお祭りに出かける時間はあるのかしら。
リフルの方を伺ってみれば、ありがとう、と聞こえた。
慈愛がこもっていればルミさまのことだなって解ったから、
頷きだけを返した]

[オレンジ色の空の下で彼の冷たい温度に触れている。
これ以上踏み込めないのは、まだ怖いから。
前は手を繋ぐくらい思い切れたのにね。
思い切ったから、歩幅が合わなかったのだろうか]


 「ちちー、メグさぁん、お空見てー


[可愛く空の上を見ているお姫様が、
もうだれも呼ばなくなったあだ名を呼んだ。
まず心を読まれたかと思って彼女を見た。
そして、視線が私を避けているリフルを見た
リフルなら私がメグなのを知っているけど、
どうしてルミさまに教えたんだろう。
答え合わせは困ったものを見つけられたような顔した
リフルがしてくれた。]


 ……っ

[メグ、と口にだされて足がすくむ。
騒いでいた阿呆と莫迦の私も縮こまった。
違う気持ちなんて、期待ばかり膨らんで断れない。
シャーリエじゃない私は、まだ居ていいんだろうか]

[メグって呼ばれて出てきた小さな頃の私だけが、
背の高かったお姉さまを見上げる気持ちのまま空を見た]

[ほら見て、って彼の方を向いて緩んだ心の隙間に、
もう長く聴いていない名前が刺さる。
さんづけで呼ばれることなんてなかった。
ぎこちなく手を握られることなんてなかった。
この人は他の人とは違うんだって、うなずいてしまった。

はふ、と力が抜けたようにその場に座り込む。
離れてしまってもまだ冷たい右手で、
ルミさまを手招きする。]


 
リフルの好きなこと、教えて?



[これからの作戦会議は素早く内密に。
リフルに起こされるよりも前に秘密を二言交わして、
急いで立ち上がった。
年頃の女子には急に立ちくらみがあるのよ、って顔で、
何でもないって笑うけど、
優しい笑顔で見つめられてしまっては、
顔が火照るのをどうしようもないんだ。

――私、またこの人のこと忘れられなくなるんだ。

奇跡の流れ星はまだ降っていたけれど、
視線は空を向かないまま、奇跡の日は暮れていった]

[それからずっと後の日。
2人をピアノの部屋に招いた。
譜面台には一枚の手書き譜が乗っている。

あまりにも恥ずかしい歌詞を書き作曲したのは
エリックという男性。
ということにした私なのは、気が付かれても認めない方針]

[外国語で書かれた詩は私にも歌いづらいが、
ルミさまにもわからない。と思っている。
外国を旅したリフルは聴いて理解してしまうんだろうか]

[修正のあとがおびただしい譜を開けば、
Je te veux《あなたがほしい》のタイトルが現れる。
息を吸い込んでペダルを踏み込み、
3拍子の甘い和音をピアノに歌わせて、歌をうたった]



  手入れ、ねえ。

[ 既に無くなった記憶を世話する必要があるのだろうか。 ……いや、彼は記憶を消す、と言うよりかは「封じる」と言っていたような気もする。それならばこれらは鍵の開けられない箱に閉じられているだけなのだろう。

 そしてこの小さいのはこれらの管理人。あるいは記憶を大切に守っている存在なのだろう。本当の事ばかりを口にする深層意識とは違うようだし。

 ……つまり、どういうことなのだろうか。理解の及ばない悉くに口を引き結び、天を仰ぐように息を吐いた。SFじみた概念は触れこそしても得意ではないのだ。
 正しい真実は取り上げたこれらに映る──……記憶、のみか。再び脳裏に浮かんだビジョンに小さく眉を顰める。
 自分は叱咤した記憶の改竄行為に助けられたものも少なからずあったのだ。]

 出来ちまうって言うのは、
 何もできないよりかずっとよからぬものなのかね……?

[ 好転した案件を見る。彼はその友人が幸福になったことを喜んだんだろうか? ]
 


[ 音もない世界の中、自分の背を見ている彼に声なく問う。
 その真相がどうあれ、自分には彼が身を削って人に捧げているように見えていた。
 無口で不愛想とはいえ理不尽でも傲慢でもない彼のことだ。心を許す人物がこれから増えないとも限らない。出会う人物が彼の力を望まないとも限らないのに。
 球体に額を押し付けるようにして瞬きした。 ]

 もっと自分の事も大切にしてやんなさいよ。

[ 言ったところで届かないのは知っている。同じことを言ってやるべき人がとうにいなくなったのを
 ……聞いていた。]
 


[ 彼もまた忘れていることは悲しいことだけであってほしかった。
 苦しさを忘れれば真っすぐ歩けるわけではないが、理不尽に適応する素直さや、自分を守るために使われた理解力の高さなど、必要のないモノを捨てて欲しいと願うのは庇護欲や老婆心に近いのかもしれない。
 彼だからこそ、か。それとも誰に対してもそう思うのか、判断しようとは考えたこともなかった。

 けれど少なくとも、少なくとも……自分は彼に幸せになってほしいのだ。自分が間違えた分だけ、傷ついた分だけ。
 ……好意を寄せてくれた分だけでも。
 だって、あれほど怒鳴りあって牙を剥きだしにして。お前は間違っていると示してくれたことが、
 それほど嫌ではなかったのだから。]

 自分を潰して得た強さとか、
 そんなの寂しいもんなんだぜ。

[ ほら、お前にだって幸せになる権利はあった。
 自分にだってあったはずだ。今はもう必要ないが。
 誰かが笑ってくれれば、この痛みや苦しみにも意味があるような気がするから、だから……。 ]

 



 あ。


[ ふと、瞬いた。瞬いて、呆れたように噴き出して、笑った。
 そうか、そういうことか。]

 僕は、あれか。そうだ。
 僕の代わりにめいっぱい幸せになってほしかったんだぜ、シグマ。
 ……アキラ。

[ きっと彼の幸せな姿を見れば自分も幸せになれるのだろう。自分が直接幸せになることは許し難い。けれど他人が、よく知った他人が幸せそうに笑ってくれるならきっと。それが一番望ましいことなんだろう。
 なんて傲慢だ、なんてエゴだ。悍ましくて馬鹿らしい。
 救い難いEnablerが本質であるならばこれほど醜いものはないが。これを尤もらしく解説して納得してくれれば御の字だ。

 ……それが「お前の幸せが僕の幸せだ」なんて安っぽくて胡散臭いにも程がある言葉になることに、今は気づけない。

 ───。 ]
 

 




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