【人】 軍医 ルーク ―― 外壁 ――[ 天の孔から落ちてきた機獣の先鋒は、数体。 四足型、蜘蛛型、それから―― 自分の視力では、落ちてくるその姿を すべて捕えることは出来ない。 手足を折り畳み、地上へと真っ逆さまに落ちてくる。 隕石――という言葉は知らないけれど、 もし知っていたなら、それに例えたことだろう。 それらは轟音と共に地に落ちて、 一斉に、金属が軋むような咆哮を上げた。 防衛部隊の陣取る外壁の長距離砲台が、 着地点に火を吹いた。 轟音が地を揺らし、砲声が空を貫き、 もうもうと舞い上がる土煙の中で、戦いが始まる。 地上に居て近接戦を行っているであろう攻撃部隊の姿は、 土煙と爆炎の向こうに紛れて、 此処からでは既に視認できない。] (292) 2020/05/26(Tue) 22:55:30 |
【人】 軍医 ルーク[ 此処から見えていた一体――蜘蛛型の身体が沈み込み、 脚が力を溜める。 地を蹴りひと飛びに、まるで獲物を狙うように跳躍し、 着地するや、回転を始めた頭部から、 四方八方に弾が放たれる。 胴体を狙った防衛部隊の砲撃は、 その装甲に弾かれたようだった。 振り上げた鉤爪が、 その巨体からは想像もつかない速度で振り下ろされ、 その切っ先が足元を穿とうとしたその瞬間、 跳ね飛ばされるように、蜘蛛脚が千切れて宙を舞う。 外壁からの長距離射撃か、 あるいは近接で誰かが撃ったか、切り飛ばしたか、 それすら分からない。 千切れた脚は宙を舞い、荒れ地に今も残る建物の残骸を、 まるで紙で出来た箱のように押しつぶした。] (293) 2020/05/26(Tue) 22:56:55 |
【人】 軍医 ルーク[ 戦場は此処から遠く、けれどもその距離は近い。 機獣が全速力で駆け出したなら、 瞬く間に射程圏内に入るだろう。 その場所は此処から近く、けれどもひどく遠い。 帰ってきてくれるとどれ程に信じていても、 爆音が轟くたびに、閃光が閃くたびに、 どうかその場所に彼がいないよう、無事であるようにと、 ぺんぎんを抱く腕に力が籠る。 潰してしまわないようにと腕を戒めながら、 かたかたと震える指に、 きゅう、と小さな声を上げて、ぺんぎんの羽が触れた。] 大丈夫だ…… [ 自分自身にそう言い聞かせるように呟いた声もまた、 ひどく震えていて。 それでも目を逸らすことは、しない。 最後まで、ちゃんと見守っている。見ている。] (294) 2020/05/26(Tue) 22:57:46 |
【人】 軍医 ルーク[ どれほどそうしていただろう、 天の大穴から、再び落ちてくるものがある。 ぞくりと、背筋が凍り付く。 “総攻撃” それは、どれほどの規模の攻撃なのだろう? 天の大穴の上には、どれほどの兵器が残されている? 押し寄せる濁流のように、次々と投下される機獣は、 その一体がどれ程のひとを殺すだけの力を持っているのか。 ―― ぎらり、と、 視界の片隅で、何かが光った。 落ちてくる一体の軌道が変わる、 此方へと、落ちてくる。 ]――…っ! [ これまでにはいなかった機体、 これまでにはなかった状況だった。 それが何かを頭が理解するよりも先に、 総毛立つ尻尾が、耳が、その危険を全力で告げる。] (295) 2020/05/26(Tue) 22:59:37 |
【人】 軍医 ルーク[ 咄嗟にぺんぎんを庇い、物陰に飛び込み、伏せる。 耳を劈く轟音が、先ほどまでよりも遥かに近くで炸裂し、 爆風が巻き起こり、外壁を打つ。 吹き飛ばされそうな衝撃を、うつぶせに伏せたまま、 地面にしがみ付くようにして必死でやり過ごす。 フードが風に飛ばされ、白い耳が露になる。 その耳が捕らえたのは、二重三重に轟く砲撃音だ。 外壁の方向が攻撃された、 けれども、直撃はしていない。 狙いを外したのか、防衛部隊が防いだのか、 あるいはそれとは別の何かが起こったのか、 何が起こったのかは分からない、けれど――… 言うことを聞かない脚を励まし、よろりとたちあがれば、 外壁の向こう見えたのは、 今までに見たことがない形の機体が、三体。 捻じれた首が回転し、昆虫のような複眼が、 ぎろりと外壁を――その向こうの前線基地を睨み据える。 遠くにあるはずのその目が、酷く間近に見えた気がした。 射抜かれたように、脚が竦んで動かない。 直感する。 あいつらは、基地を狙っている。] (296) 2020/05/26(Tue) 23:00:46 |
【人】 軍医 ルーク――…、 いいか、逃げるよ、 この場所は駄目だ。 [ 先程の爆音のせいか、 ぺんぎんに語り掛ける自分の声が遠くに聞こえる。 以前の自分であったら、自身の命にすら頓着せずに、 外壁に留まり続けていたかもしれないけれど―― 今は、違う。 自分のいる場所に敵は近づけさせないと、 彼はそう言ってくれた。 何かあったら、名前を呼んでと。 けれど、自分だって、足手纏いになるだけじゃいけない。 外壁どころか基地のどこにいたとしても、 安全な場所なんてきっとない。 それでも少しでも逃げやすい場所で、自分の身を守らないと。 戦いが終わったら、怪我人だって出ていることだろう。 彼が守りたいと思った者たちだ、 自分の責務でもある、皆を“死なせない”ようにするために。 それに、なによりも。 ちゃんと、最後まで見守って、 帰って来るのを “ 待っている ”。 足を励まし、ぺんぎんと共に外壁の階段へと。] (297) 2020/05/26(Tue) 23:02:36 |
【人】 軍医 ルーク[ 蟲型の機獣三体の“前方からの”突撃に紛れるように、 静かに戦場を迂回して移動する“もう一体”の存在に、 いまはまだ、気付かない。]* (298) 2020/05/26(Tue) 23:03:13 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a23) 2020/05/26(Tue) 23:47:59 |
軍医 ルークは、メモを貼った。 (a25) 2020/05/27(Wed) 0:43:12 |
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