鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a27) 2020/09/22(Tue) 17:53:55 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―コンペ会場― [ 雑踏をかき分けて、 大庭園内の中心・特設舞台に近づいてゆく。 現在の演目は何だろうか… ここからではよく見えないが、 少なくとも、 あの娘はまだ登壇していないようだった。 コンペ会場は、朝方に来たときよりも、 さらに多くの観客で、雑然と賑わっていた。 さらに、朝来たときは見つけられなかったが、 一般観衆のひしめく場所とは 一線を画したところに、 特等スペースのようなものが設けられている。 ] (185) 2020/09/22(Tue) 22:44:05 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ こちらは一般観衆達とは全く違う待遇のようで、 1人1人にデスクをあてがわれていて、 身に付けている物から察するに、 席次が上の者から順に、出場者から見て左から右へと、 横並びに並んでいるようだった。>>1:108 あれが…審査員か。 [ 遠くない未来に対峙する相手達。 彼らがどのような審美眼を持つのか…。 自分らの演奏を認めるのか、 それとも一閃のもとに斬り捨てるのか。 こんな遠目からでは、 想像すらすることもかなわなかった。] (187) 2020/09/22(Tue) 22:45:59 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ すぐ後方には、一見して王族と分かるような 装いをした人間達が、舞台を鑑賞している。>>38 掛けている肘掛け椅子も、下に敷いたクロスも、 調度品みな煌びやかで、 そして、なかなかにエキゾチックだ。 (そう思うのも、遠い異国から来た エリクソンだけなのかもしれないが。) あの中にリジィという王子が居るのだ。 遠く海を渡った向こうの、一国の王子が、 自分達が目指していた音楽祭に、 ちょうど同じ時期に招待をくれた。] ――なんて僥倖に恵まれているのだろうか。 (189) 2020/09/22(Tue) 22:46:54 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ しばらく思いを馳せていると、 唐突に肩をたたかれた。 四弦担当のディミトリエが、 不機嫌そうな顔で立っている。 ] 『エリク。こんなとこで何してるんだい。 楽器のリペアほっぽってさ。』 [ 呆れた、というように息をついて、] 『機材トラブルが発生したって本部に伝えたら、 出順、明日に延期してくれるみたいだよ。』 (190) 2020/09/22(Tue) 22:47:30 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 聞くに、 コンペでは急なスケジュールの変更などは ざらにあるらしく、>>46>47 特に問題なく話を通すことが出来たらしい。 現在、他の審査員や出演者の都合と調整中らしく また、二日目は会場が室内になることとの兼ね合いもあり、 明確な返事はまだだそうだ。 ] 『今は僕らも練習終わって息抜き中だから、 君も夕飯の終わる時間にまた来いよ。』 [ ディミトリエは去って行った。 久しぶりに祖国に帰り、 知己との旧交を温めたりするのかもしれない。 彼の背中を見送りながら、 服装こそ自分と同じ全身黒のアシンメトリー なのに、彼が着ると、 持ち前の上品さが損なわれないのは何故だろう。 などとぼんやり考えていた。 ]* (191) 2020/09/22(Tue) 22:48:07 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a33) 2020/09/22(Tue) 22:53:02 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a34) 2020/09/22(Tue) 23:00:01 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a35) 2020/09/23(Wed) 2:09:15 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―コンペ会場・観客エリア前方― [ 運良く人の流れに乗り、 観客エリア最前列、 舞台全体を見渡せる位置まで出ることができた。 初めて聞くこの軽快なアンサンブルの正体は 何だろうと首を捻っていたが、 舞台上の2人の人間が演奏しているのは、 ベル部分が湾曲した金色の楽器と、 蛇腹を押したり引いたりしながら弾く 鍵盤楽器。>>197 どちらもエリクソンにとって初めてのもので、 呆気にとられて聴き入ってしまった。 ] (239) 2020/09/23(Wed) 13:12:02 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ みな演奏中は静かに耳を傾けているが、 演目が終わるや否や、会場全体が慌ただしくなる。 観客エリアはもちろん、 審査員エリアの周辺でも それは例外ではなく。 腕章をつけた多くのスタッフが、 観客に呼びかけたり、事務連絡を叫んだりと、 忙しそうに立ち回り始めた。 『ご報告申し上げます! 1日目出場予定の挑戦者から……』>>196 『報告です!次の挑戦者が倒れ……』>>199 一連の報告の中に、おそらく、 自分らの出順延期要請も 含まれているのだろう。 この雰囲気なら、特に問題なく てきぱきと要請を受け付けてくれそうだ。] (240) 2020/09/23(Wed) 13:12:19 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 舞台が屋内になるということで多少の 調整は必要だが、 会場側で変更が必要な箇所については、 今回の遠征で渉外役を 買ってくれているディミトリエが、 事細かに話を通してくれているだろう。 …例えば、カーテンを用いて会場全体を 暗くするなど。>>196 また、出順を夜に設定するなど。>>196 ] (241) 2020/09/23(Wed) 13:14:23 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ それに、自国から連れてきた多くの スタッフ達―― 照明や全体の構成をプランニングする 舞台技術者や、 最高の音像を作るための、機器の配置を指揮する 専属の舞台機構調整技能士、 楽器を立てかけるスタンド等の小道具担当者、 衣装・メイク担当者、 他諸々。 総勢50人余りの裏方陣とも 綿密に打ち合わせをしている事だろう。] (242) 2020/09/23(Wed) 13:14:55 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 既に夕刻になりつつある時間帯。 コンペの1日目ももう終わってしまうか… と思ったとき。 今か今かと待っていたあの姿が ついに面前に現れた。 左手首にブレスレットを巻いた彼女は>152 昨日見た、貼り付いたような笑顔とも、 一時だけ思い詰めるかのように瞳を閉じた時の 顔つき>>0:59とも違っていて。 何か一つ、大きな殻を破ったような、軽やかな 表情をしているように… 彼の目には映った。>>204 気づけば辺りは、今まさに 赤く燃える夕日に包まれようとしていた。>>232 茜色に彩られた、非現実的な空間。 それを背景にして、神から賜りし声をもつ娘は、 ――歌う。>>207>>208 ] (243) 2020/09/23(Wed) 13:16:30 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ その歌声は、 昨日の橋の上で奏でられたそれより、 より感動を持って、 そして清々しく晴れやかなものに聞こえた。 賛美歌を引き金に、条件反射のような フラッシュバック>>0:92が起きそうになるのを ギリギリで踏みとどまり、彼女の姿を見上げる。 そのような暗い回想を誘うものは… …もう彼女の歌にはなかった。 ] (244) 2020/09/23(Wed) 13:16:42 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ ――彼女が歌い終える。 今までは演目が終わるやいなや 人々が動き出していたが、 今は誰一人としてそれをせず。 一時の静寂ののち、>>233 ────『最っっっ高だわ!!』 審査員席から放たれた一言を皮切りとして。>>234 割れんばかりの、 拍手。驚嘆。讃辞の声。 それらが怒濤のように吹き上がり、 会場を揺らした。] (245) 2020/09/23(Wed) 13:17:04 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 今この瞬間、彼女は コンペの優勝者の座を争うライバルと 化したわけだが、 そんなことは全く頭に入らなかった。 いまや自身も、彼女のオーディエンスの一人。 気づけば自分も最前列で手を叩き、 舞台に向かって拳を振り上げながら、 驚嘆の声を上げていた。]* (246) 2020/09/23(Wed) 13:18:25 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a42) 2020/09/23(Wed) 13:26:10 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―回想・小さな楽器工房で― [ 人でごった返すコンペ会場で、 仲間のディミトリエから出順延期の 知らせを受ける>>190、その1時間ほど前――] ――『部品見つからないと思った? この国も捨てたもんじゃないでしょ。』 そう言った彼女は得意げに、 初めて、自分に笑みを見せてくれた。 改めて店内を見渡す。 弦楽器専門の工房かと思いきや、 トランペットなどの金管楽器の修理をする ローラーや、 またリペアのみならず楽器製作も 行っているのか、木材を削り出す道具や、 塗料なども取りそろえてあって>>0:22、 なかなか手広く店を営んでいる様子が 見て取れた。] (274) 2020/09/23(Wed) 19:50:48 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン (275) 2020/09/23(Wed) 19:52:39 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 彼女がリジィ第三王子との、たった一瞬の 出会い>>182をきっかけに、留学先で電子六弦の 部品を仕入れていた>>183とは… ――危機に瀕したこの場においても、リジィの存在が 自分に道標を与えてくれていたなどとは、 つゆ知らず。 ] (276) 2020/09/23(Wed) 19:53:43 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―現在・コンペ会場最前列― そろそろ楽器屋の彼女が、 完成したバネを届けに来る頃だろう…。 [ 未だ止むことを知らない、 拍手と歓声の渦の中心で>>271 一人、約束を思い出す。 次に自分のすべきこととともに。熱を持って。 間もなく彼は会場を後にし、宿に向かうだろう]* (277) 2020/09/23(Wed) 19:59:11 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a50) 2020/09/23(Wed) 20:03:11 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―コンペ会場― ―視線を感じる― [ 不思議な興奮に満ちた会場。 ――とある審査員が自ら名乗りを上げ、舞台の娘と 共演を果たしたことは、一部の人々に かなりの衝撃を与えたようだ>>237―― 未だその熱は冷めぬままに、 会場を後にする聴衆達。 なにやら浮ついたような、恍惚としたような そんな空気は、彼すらも包み込む。 観客エリアの最前列を離れ、 審査員席の横を通り、 その後方の王族の席を抜け、 ……そこで、 ひやりとした視線を、感じた。] (299) 2020/09/23(Wed) 22:45:27 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ ひたと立ち止まり、視線の正体を探す。 会場内は、見渡す限りの笑顔。笑顔。笑顔。 ここじゃない――。 王族席に視線を移す。 王族の中に一人、音盤とおぼしき物を持った 目立つ風貌の若者 ――前髪を伸ばし、後ろ毛をすぐにそれとは 分からないように逆立てていて、 はっきり言って王族らしからぬ髪型だ―― がいたが、その者はこちらに気づかない様子。 その、対岸の王族席に、>>38 正体はいた。 長い距離を超え、間を行き交う人々に 阻まれようとも、 ただ一点、ただ自分一人だけを射貫くように、 ジットリと湿り気を帯びた視線を 動かさない、双眸が。 ] (300) 2020/09/23(Wed) 22:46:52 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 第二王子レイズ――彼はその名を知らない。 しかしその男こそが弟たる第三王子リジィから 『雑音』との罵声とともに 6人組の音盤を奪って捨て、>>0:102 また今回の招聘でも、 その人望から失敗に終わったとはいえ 裏でリジィの願望を挫くべく画策していた 帳本人で。 男はちらりと、対岸にいる目立つ髪の若者の 様子を窺うように一瞥すると、 こちらに歩を進めてきた。 ] (301) 2020/09/23(Wed) 22:47:40 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 切るような視線が、 いつか見た目の前にそそり立つような 針葉樹の枯れ木を想起させる。 出演が決まった時にマスコミに書かれた。 メンバー達はくだらないと笑い飛ばした ゴシップ記事の下品な色彩が目にチラつく。 ――お前のやってきた事を俺は知ってるぞと ]己を見透かし、嗤うそんな目を、 ―――覚えている。 (302) 2020/09/23(Wed) 22:51:19 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ …脳内で何かが警鐘を報せた。 逃げるように視線を外し、場を離れようとする。 しかし辺りは恍惚とした人間達がひしめき合い 思うように進めない。 男はずんずんと近づき、 しかしすんでのところで視線を外し、 ――横切った…? しかし、奴はすれ違いざまに 小さな、小さな声で言葉を残し、 去って行ったのだ。] ――『貴様のような下賤な人間が 高尚たるこの一族を穢すな。』 [ ……と。]* (303) 2020/09/23(Wed) 22:52:47 |
(a52) 2020/09/23(Wed) 23:18:25 |
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