175 【ペアソロRP】爽秋の候 【R18G】
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『……子ども……?
どうして、こんなところに……』
[ ぼそ、と暗闇に声が聞こえるのと同時。
周囲の闇に、
赤
い眼が浮かび上がる。
それもひとつふたつではなくて。
―――…
十
、
二十
、
五十
、と
わたしの四方を取り囲むようにして
無数の
赤
い眼が、爛々と輝いて此方を見つめていた。
―――それが、わたしと彼…辰沙との出会いだった。 ]
| 私はセシリー王女に 多くの幸せと、幸福と、愛を頂きました。 王女がいらっしゃらなければ 今、私がこの場にいることも無く 世界も不安に怯えたままだったでしょう。 世界を守った次は、愛する人を守りたいと思います。 人生を、生涯を──この命を賭して、永遠に。 もう一度……いいえ、何度でも申し上げます。 セシリー姫、俺は貴女を 愛しています 。 [ しゃがみ込み膝を立て、セシリーの手を取り 軽く口付けを落としてから、頭を上げる。 瞳に映る愛しき人の姿は、一層美しさが際立っているが、 見慣れた澄んだ眼差しは、俺の良く知る 普段旅をしていた頃と、何ら変わらない。] (37) 2022/09/20(Tue) 22:09:08 |
| 俺の言うことを、何でも覚えてくれて 俺が転ぶなら、君も転ぶと告げてくれた。 どんな小さな冗談でも、軽口でも。 君が云う言葉、全てが愛おしくて仕方がないんだ。 [ 少し前の事を思い出し >>24>>25、優しく笑みを向ける。 緊張していない訳では無い。 ただ、瞬きをすることすら惜しかった。 この美しい人を、姿を、目に焼き付けたかった。] (38) 2022/09/20(Tue) 22:09:18 |
| [ 間も無く、ぱちぱちぱち、と拍手が背後から起こった。 国王──セシリーの父だった。] 「皆の者、勇者の心はこの通りである! 勇者殿の人柄、我が娘への愛情は、余が保証する。 セシリーも勇者殿を愛しているならば、何ら問題は無い。
ゆくゆくは娘のセシリーと 世界を平和に導いた勇者アスベル・レイフェルスが 契りを交わすことを認めようと思っておる。 余も王として、父として、一人の人間として 心より祝福するつもりである!」 (39) 2022/09/20(Tue) 22:09:37 |
| 「おめでとうございます!」 「姫様と勇者様に幸あれ!」 「新たな記念日が誕生した!」 [ 再び会場が歓声で沸き上がり 祝福の声が四方八方から響き続けていた。*] (40) 2022/09/20(Tue) 22:09:40 |
[ 兄さんとヘンリ、どんな顔しているだろうか。
このことは内緒にしてきたけど、
事前に王やセシリーには話を通していた。
もう式の日程も決まっている。
兄さんや母さんに苦労を掛けさせることもない。
むしろ、良い暮らしも出来るようになる。
ヘンリは、セシリーの護衛件専属の騎士に
なれば良いだろう。
腕の立つ女性、かつセシリーとも友人同士。
ヘンリの為にある役職と言っても過言では無い。
そしたら、俺も、セシリーも安心安全で手放しで喜べる。
と思っていたのだが。]
……?
[ 兄さんとヘンリの姿が見えなかった。
何せこの人数だ、別の場所に移動したか、
単純に人の少ない場所に居るのかもしれない。
気にはなったが、二人はいつでも会える上
大勢に質問攻めに遭ったのもあり
しばらくの間動けずににいた。
二人のリアルタイムの反応も見てみたかったが、
時間ならいくらでもある。
後で兄弟仲間水入らずで
のんびり未来を語り合うのも良いだろう、と。
何も知らず、呑気に考えていた。*
]
――寮から街へ――
[ 朝食の片づけを済ませて、
部屋の外で彼女の着替えが終わるのを待って。
諸々を済ませた頃には十一時前になっていたか。
寮の門を出ようとしたところで、
ちょうどすれ違うようにして顔見知りに会う。 ]
『あ、先生だ!』
[ 彼女のいうほうへ視線を向けると
此方とは反対に寮のほうへと入っていく人物。
彼にも姿が見えるよう――といっても彼のことだから
隠形していても僕の気配は察知しているだろう――実体化して
人前に姿を現す。
たまたま通りかかった学生たちの何人かが
中空から突然現れた僕の姿に驚いたような声を上げる。
それに構わず、目の前の教師に小さく目礼してみせた。 ]
…先生、今日は。
[ 真浄寺 陽仁。
この学園の教師であり、この国でも有数の現役退魔師であり、
―――そして、幼少期に故郷を失った彼女を引き取り、
この学園に入学させた保護者でもある。
…そして、僕にとってはどうにも苦手な人だ。 ]
『やぁ辰沙。
相変わらずシャイボーイだね君は。
もう少し顔の筋肉を柔らかくしないと
女の子にモテないよ?』
…。
[ もにもにと頬を不躾に摘ままれて揉まれる。
どうしてこの師弟はやることがそっくりというか、
似てほしくないところばかり似てしまうんだろう? ]
『お?
辰沙も成長してるんだなぁ。
ちゃんと考えてることが顔に出るようになったね』
『あ、先生もわかりますか!?
辰沙だって、ちゃんと成長してるんです』
[ ……やめよう?
そこで僕を弄る方向で一致団結するの、本当にやめよう?
必死でぺちぺち、頬を揉む手を払ってから。 ]
…それより、ここに貴方がいるのは少し珍しいのでは?
『あ、そういえばそうだね』
[ 彼は寮監ではないし、職員寮に入っているわけでもない。
郊外の住宅街に今は奥さんと一緒に暮らしている。
見たところ、彼女の様子を見に来たとか
用事があるというわけでもなさそうだ。 ]
『あー、わかっちゃった?
実はねー、ここ数日天文科のほうでちょっと色々あってね。
ゆうべは徹夜で詰めてたのさ。
で、ついさっき一段落ついたんで
これから仮眠室で惰眠を貪りにいくところだよ』
…。本当に?
『ほんとだよ!?なに疑っちゃってんの?
よりによって君が!!』
『んー…でも先生だものね……』
『ちょっとちょっと!!
なに理音ちゃんまで先生のこと疑っちゃってるのさ?』
…。
『んーなになに?
日頃の行いが悪いからだ、って?』
[ 心外だーと言わんばかりに
僕の顔から胸元までずずず、と、舐めるように
先生が視線を走らせる。
いや、まぁ、うん。
当たらずとも遠からずですね先生。 ]
『……はー。
とりあえず、先生に信用がないことはよくわかりました。
それはそれとして、二人はデートかい?
なら、楽しんでおいで。
たまには人並みに羽を伸ばすことも重要だからね』
[ 言いながら、彼の大きな手が僕の頭の上へ。
一瞬身構えるものの、その手は優しく僕の頭へ載せられて
わしゃわしゃと軽く頭を撫でられた。
隣にいた彼女にも同じように――彼女に対しては、
髪型が乱れないように軽く触れる程度に――頭を撫でて。
にかっと、如何にも人の悪そうな笑みを浮かべてから
ひらり手を振って建物のほうへと歩いていった。 ]*
…なんか、ものすごくはぐらかされちゃった気がするね?
[ 上手く、言葉にできないけれど。
同じように頭を撫でられた辰沙も
なんだかとても、複雑そうな顔をしてる ]
…ほら。難しい顔しない。
今日はこれから楽しい一日にしないと。ね?
[ 彼の頬に再度、今度は包み込むように柔らかく触れる。 ]
よーし。それじゃあ最初は映画に行こう。
[ 今からバス停までダッシュすれば、
ちょうど駅前行きのバスに乗れるはずだから。
そこから駅前のシアターに行って、映画をみよう。 ]
ほら、辰沙もダッシュ!
せっかくだから一緒に競争ね!
[ 言い終わるより前に、
勢いよく飛び出してバス停まで駆けていく。
人間のわたしと__の辰沙では
勝負にならないなんてわかりきっているけど、
そんなことはどうでもよくて。
ただ、小さくても色んな思い出を、彼と一緒に作りたいんだ。
]*
[ 気付いていなかった。
愛する人の想い人の存在に。
セシリーが好きな人が居る素振りを
何度か見せていたのは知っていた。
でも、それが
同じ人とは思わなかった。
──何故、気付けなかったの。
勇者と姫、お似合いに決まってるじゃない。
私なんかが入る余地なんて、最初から無かったのに。
無意識の間に、真相を知ることを
避けていたのかもしれない。
アスが、セシリーに。
セシリーが、アスに思いを寄せていることを。]
[ 私はアスベルのことが
本当に大好きだったんだ、と改めて思う。
痛い。苦しい。辛い。
心が、肩が、身が。
ぶるぶると震えていく。
眩しすぎる光に覆われて
先が、未来が。何も見えない。
[ わたしと辰沙の競争の行方はまぁさておき。
駅前行きのバスにはどうにか滑り込みで乗り込むことに成功した。
ついでにこれまた運が良いことに座席に座ることもできたので
二人で座って、これから見る予定の映画について簡単に話す。
それから、お昼ご飯に何を食べようかとか、
その後駅前の大きな書店に行ってみようかとか、
書店併設のカフェの人気メニューがどうだとか、
それとも駅からちょっと歩くけれど、
最近リニューアルしたという水族館にいこうかとか。
そんなことを話していれば、あっという間に
バスは駅前のロータリーに。 ]
こっちだよ、辰沙。
[ 彼の手を引いて駅前のシアターへ。
わたしより頭一つかそれ以上に背の高い彼が
おとなしく手を引かれる様子はなんだか微笑ましい。
うん、わかる。
この街に来て半年だけれど、わたしだって
実質学校と寮を往復するだけの毎日で、
なんなら夏休みだって返上しないといけなかったのだから。
いやまぁそれはそれで楽しかったけれど。
生まれて初めての海とか。]
[ 閑話休題。
何が言いたいって、わたしも辰沙も
この街の見るもの全てが初めて尽くしで。
とても、楽しい。
その証拠に、わたしに手を引かれながら、
きょろきょろと落ち着きなく視線を彷徨わせている。
そんな辰沙がなんだか新鮮で、
ああ、学校を抜け出して正解だったなと思う。
そうして辿り着いたシアターで、チケット二枚と
ポップコーンとドリンクをそれぞれ二つずつ購入する。
パンフレットやグッズも気になったけれど、
まずは映画を観てからにしようと意見が一致した。 ]
[ そうして、鑑賞後。 ]
……ぐすっ。
[ さっき辰沙と話した駅前の書店の併設カフェ。
地図アプリで確認したら意外と近かったので
映画が終わったらそこで遅めのランチにしようと、
バス移動の時点で二人で決めていたのだけど。
正直、映画が終わってからも
涙が止まらないというのは予想外だった。
いや、正確にはシアターを出る前に一度止まったけれど
そのあとふとしたタイミングで思い出し涙が出てしまう。 ]
…そんなに泣かないでよ。
[ どんな顔をすればいいのかわからなくて。
ひとまず案内された席に彼女を座らせれば、
ハンカチと水の入ったコップを差し出す。
他の人たちにこの状態を見られたらなんて思われるか。
此方を気遣ってボックス席に案内してくれた店員さんには
素直に感謝しかない。 ]
……うん。ごめんね。
[ 彼が差し出してくれた水を飲んで
それから深呼吸してどうにか気持ちを落ち着かせる。
そんなに悲しい映画だったのかと言われれば
それは少し違っていて。
この国が誇る有名な監督が製作した、
半世紀もの歴史を持つ大人気特撮ヒーロー映画。
結末自体は、ハッピーエンド…なのかしら?
少なくとも、彼は自分が守りたいものを命を賭して守って
そして、彼の仲間たちの許へ帰ってこれたのだから。
それでも、涙が止まらないのは。 ]
あのひとが……映画のなかの主人公が、
辰沙に重なってみえたんだ。
[ 感情表現が下手で、少しどころじゃなく人間離れしていて
でも、とても優しくて純粋な、人ではない主人公。
そんな主人公が、物語の終盤。
地球を救うためにその身を賭してラスボスを倒しにいって
そして発生したブラックホールに吸い込まれて――… ]
……僕に?
[ 正直彼女の言葉がピンと来なくて戸惑ってしまう。
どう考えても、僕が彼と似ているとは思わない。
強いて言えば色合いがほんの少し似ているかもしれないけど。
でも、似ているというのなら。 ]
僕は寧ろ、君のほうが彼に似ていると思うよ。
[変なところで人間離れした献身を発揮するところとか、特に。]
…。
[ 正直、はじめての事態に
どう声をかけたらいいのかわからなかったから、
よしよしと、先程先生がしていたように彼女の頭を撫でる]
……僕は、きっとヒーローにはなれない。
[ どちらかといえば、
僕はラスボス側の存在ではないだろうか?
何より、僕は命を賭してまで誰かを守ろうと思ったり
あの映画の主人公のように誰かを『好き』になったり、
大切になんてできないと思うから。
―――…たった一人、目の前のを除いて。
もしも明日、世界が滅ぶとして。
自分の命と引き換えに、その世界が救われるとして。
僕はそのとき自分の命を差し出せるとは
どうしても思えない。
ずっと、人間たちから『 』と呼ばれてきた。
彼等のことを思い出すたび、胸の奥を深く抉られるような
この身を焼かれるような、どうしようもない、
やり場のない感情が心を苛む。 ]
……理音。
[ いつもことあるごとに彼女が僕にそうするように、
いつか幼い彼女にそうしたように
彼女の頬に自分の手を添える。
僕は、きっとあんな献身的な行動はとれない。
ヒーローなんてものにはきっとなれない。
なりたいとも、思わない。
―――それでも。
もしも君が望むことがあったなら。
或いは彼女が危機に陥って、僕の命一つで
それらを贖うことができたなら。
―――…そのときは、きっと。
僕は命を投げ出すことを選んでしまうだろう。 ]
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