22 【身内】Valentine's black art【R18】
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[ジェレミーまで、雨模様。
これまでで一番、
心を許して貰えた気がする。
強がりで、相手に心配かけたくなくて、
嫌われたくなくて、離れられない。
たぶん俺たちは、似たもの同士なんだ。]
[彼の左耳の先、自身から見て
右上の方向を一点に見つめながら
こちらに向けられている指先十本全てに
唇を押しつけていった
その後に。]
……、所で。話を聞いていて
俺の問題を解決して貰いつつ
ジェレミーが誓約に囚われずに
生きられるようになる方法を思い付いた
条件を揃える必要はあるが……
一先ず聞いて欲しい
[そんな風、語り始めた。]
根本的な解決ではないが
問題を問題ではなくしてしまう
その方法は
所詮は机上の空論。
……そんな風に言われたよ、俺の理論は
見つけたのはこの世で最も複雑な術式だ
理解し遂行する頭脳と技術を
持ち合わせたとしても
発動に必要な魔力量が膨大であり
ひとりの人間では到底
実現不可能であったからだ
どんなに魔力の高い術士でも無理だった
しかし、魔力を貯めておける……
そんな優れた外部媒体が完成すれば
不可能は不可能ではなくなる
ジェレミーの研究で俺の理論は証明されるんだよ
[無為に溢れ出し周囲を破壊する己の魔力を
貯めておくことが出来たなら――、
と、考えたことがなかった訳ではない。
けれど、不死を得てしてまで生き存える価値が
果たして自分にあるのか、解らず。
だから、魔力を増やす研究に助力こそすれ
自身の研究テーマにすることはなかったのだ。]
[10歳の時に発表した不老不死理論。
その内容を簡単に説明すると、
対象に降り掛かる死の原因となるものを
発動前に打ち消し無効化する強力なプロテクターを
対象に纏わせるというものだ。
一瞬ごとに肉体は老化する前の状態に戻るから
寿命という概念を失い
暗殺者の刃が身体を貫くことは叶わず
死という代償を支払わせる誓約は
破った瞬間に消え去る。]
[自分のためなら、証明は不要だった。
けれど、自らの命より大切なこの人が
柵をなくして自由に生きられるようになるのなら
それを貴方自身が望んでくれるのなら
出来ることを尽くしたい。]
……ジェレミーが、……
俺と永遠を望んでくれるなら、だけど……
[そこだけ弱気な声になった。
ヒトのことわりから外れ、永きを生きる。
簡単に決断できることではないだろうと、思うから。
軽く咳払いして、続ける。]
実現のためには
ジェレミーの研究を完成させることが
必須条件だが
既にオルグレン家に察知されているとしたら
今後はもっと直截的に
命を狙ってくることもあり得るだろう
[ただで奪わせるつもりはないにしても]
研究資金と安全な場所を提供してくれる
オルグレン家に比肩し息が掛かってもいない
貴族の後ろ盾があれば安心なんだが――…
[そこで初めて、右上に向けていた視線を
目の前の彼へと、向けた。
思い浮かんだ家名を声に載せて良いか躊躇って。]
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