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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

ナイト・バー「Pollo Nero」の3階、従業員用に与えられた狭苦しい部屋
はあ、と漏れた息が、窓ガラスを白く染めた。

「こんな時も仕事か、あのガキ」

ビアンカ・ロッカは、育ちが悪い。
男性を喜ばせる仕事をしている以上、好まれる立ち居振る舞いというものを技術として身につけはしたが、こうして独り言ちるようなときはそれなりに口が悪くなる。

肩越しに振り返る。
二人で分けるにはキリがわるく七枚、皿の上に並べられたブルスケッタ。
バターでソテーしたきのことベーコンを、チーズといっしょにバゲットのうえに乗せただけ。
家庭料理トラットリアと呼ぶにも手軽すぎる皿の脇には、ミルクとレモネートが入ったグラスが置かれている。

「………さっさと荷物も、纏めさせないといけないのに」

がん、と爪先で、窓の下の壁を蹴る。
窓硝子がほんの少し揺れて、そこに映った不機嫌そうな自分の顔を揺らした。


「はー……」

こつん、と。窓枠に額を押し付けて。

「ガキは嫌い……」


そのあともずっと、ブルスケッタがすっかり冷えてしまうまで、人々が行き交う通りを、見下ろし続けた。
(5) 2022/08/17(Wed) 23:59:32
ビアンカは、あの日のヴェルデに手を伸ばした。
(a0) 2022/08/18(Thu) 0:55:04

ビアンカは、あの日のヴェルデの頬に触れた。
(a1) 2022/08/18(Thu) 0:56:23

ビアンカは、あの日、ヴェルデの足を思い切り踏んづけた。
(a2) 2022/08/18(Thu) 0:58:22

【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

PiPiPiPiPiPiPi.....


冷めたブルスケッタを、皿からひとつ。
指先で抓みあげて口に運びながら、やかましくなり始めたを取る。

「……はい、【Pollo Nero】。
 なぁに? 今日も休むの?
 あんたね、マジでバカなの?
 生理は一月に一回──…」

電話口の向こう、従業員のひとりがなにごとか喚いている。
それを聞くたび、

「……」

ビアンカは、口許に笑みを浮かべて。

「……」

浮かべて。

「………
あ、そう
(6) 2022/08/18(Thu) 1:02:14

【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

「そう」


まだ何か、喋っているスマホの通話をぶつ、と切って。
(7) 2022/08/18(Thu) 1:03:33
ビアンカは、ブルスケッタが乗った皿を壁に叩きつけた。
(a3) 2022/08/18(Thu) 1:04:17

【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

硬質な音が、劈くように響き渡る。
べしゃりと汚らしく壁に張り付いたキノコのソテーが、ぼたぼたと不快な音を立ててカーペットの上に落ちた。

「…………」

胸を抑える。
ぎりぎりと指が鎖骨の間に食い込んで、そうしたって抑えきれないくらいに肺が何度も不規則に膨み、胸を内側から圧迫する。

「……、……、……」

――何度も、何度も。

砕け散った皿を、のろのろと片づけながら。


ビアンカは、口許を笑みのかたちにゆがめた。
そうすること以外、なんにもできなかった。
(8) 2022/08/18(Thu) 1:06:35

【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

/* 抜け
>>6
指先で抓みあげて口に運びながら、やかましくなり始めたを取る。 

〜やかましく鳴り始めたスマホを取る。
(9) 2022/08/18(Thu) 1:09:34
ビアンカは、あの日。  「知ってる」 と、笑って。
(a4) 2022/08/18(Thu) 13:23:30

ビアンカは、「またね」と繰り返した。
(a11) 2022/08/18(Thu) 18:02:26

【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

かつ、かつ、かつ。

石畳は今日も、リズミカルに音をたてる。

女は今日も、傘を片手に街を歩いていた。

かつ、かつ、かつ。
かつ、かつ
かつ


ときたまよろめいて、こけそうになりながら。
目許を覆い隠すほどの濃いアイシャドウを、燃え盛るすい星のように曳いて。

眸だけは真っ直ぐに、前を見る。

かつ、かつ、かつ。


ビアンカはこの街で、石畳がたてるこの音が好きだった。
それ以外は、みんな嫌いだった。
(18) 2022/08/18(Thu) 18:04:40
ビアンカは、引き金を引いた。
(a23) 2022/08/18(Thu) 23:44:05

ビアンカは、もう、どうでもよかった。たった一つのこと以外。
(a42) 2022/08/20(Sat) 19:21:52

【人】 小夜啼鳥 ビアンカ

大通りから一本逸れた場所。
石畳の上のベンチに、ひとりの女が座っていた。
モノトーンのフリル・ドレスに、傘が一本。

俯いたその横顔は十分に整っているといえるもので、
多少濃いメイクも夜の街灯の下、女の流れるような鼻梁や大きな瞳を美しく彩っていた──本来なら。

今はそんなメイクよりも目立つ大きなカーゼで、顔の左側が覆われてしまっている。その下の頬はどす黒く内出血していて、美しい輪郭の半分を醜くゆがめているようだ。
さらに骨折でもしたのか、包帯とガーゼで巻かれた右腕をサポーターで吊っている。気取ったようなネイビーのアームカバーが、ゴシックな服のうえですっかりと浮いていた。

――それでも、祭りの陽気と酒精に浮かれ、声をかけてくる男もいた。けれど、そんな物好きな男も。

「見せもんじゃねえぞ」

顔をあげた女のどろりとした瞳で睨みつけられて、愛想笑いをして去っていった。

クソがVa a cagare

そちらを見もせずに悪態を投げつけて、充血した眸をまた降ろす。
左手に持った携帯端末をじっと睨みつけたまま、女はずっとそこに座っている。
ただ、何かを待つように。
(58) 2022/08/20(Sat) 19:37:16