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人狼物語 三日月国


177 【誰歓RP】bAroQueチップで遊ぶ村【月見】

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視点:


【人】 修理屋 一二三

[月見団子の有無を尋ねる九朗の後から声をかける。]


 おう、今年の秋実はうさぎ面か。


[義足の発条と発条を軋ませながら重心を移し、
ひょこひょこと跳ねる仔兎の頭を軽い仕草でぽんと撫でた。
ここの看板娘は月で餅や薬を作っているという兎よりも
秋実はよく跳ねてはたらく働き者だ。>>2:45

感心感心、と小さな子供でも褒めるように接したが、
考えればこの子ももう二十歳になる頃合いだったな。
九朗の奴にも
「子供扱いは失礼ですよ」と窘められる。]
(28) 2022/10/06(Thu) 22:56:06

【人】 修理屋 一二三

[歳のころが十八から二十五って言えば、
成人も過ぎて所謂結婚適齢期ってやつだ。
生憎その年頃をよその島飛び回って過ごしてた俺や九朗には
縁の遠い話だったが、働き者の秋実には
見合い話のひとつやふたつあっても不思議じゃねぇなと。

我ながら飛び石みてぇにあちこち飛び回る思考に、
浮つくにも程があるなと溜息を吐いた。

その間にも九朗は秋実に向かって指を二本立て
「それじゃあお月見団子、ふたつ、お願いしますね。」
と穏やかに微笑んでいる。]


 どうせならここでひとつ食べて行かねぇか?
 飯食った後じゃせっかくの団子が固くなっちまうだろ。


[露店の席が空いていればそこに腰を落ち着け、
熱いほうじ茶とおすすめの塩こんぶを合わせて注文する。*]
(29) 2022/10/06(Thu) 22:56:27

【人】 修理屋 一二三


 なぁ、九朗…

[手の中の湯のみに月を閉じ込めながら、
俺は目の前を行きかう人の波を見るともなしに眺めながら
隣で買ったばかりの月見団子を吟味している男の名を呼んだ。]


 お前、本当にもう作らねぇのか?


[そいつは何度目の問いかけだったか。
月並みなたとえだが、それこそ数えきれないほどって奴だ。
この数年、何千回思案して、実際に何度口に出しただろう。
そんで九朗の答えはいつもこうだ。

「………作りませんよ、もう。」

その昔、九朗は腕のいい人形技師だった。
着想や発想力で言えば、
風の噂で聞こえた豊里という新鋭の人形技師もそうだろう。]
(41) 2022/10/07(Fri) 1:40:45

【人】 修理屋 一二三

[それがある日、突然人形を作らなくなった。
代わりに魚竜や仕事上の事故で手足を欠いた奴のために
一点物の義手や義足を作り始めた。

あれほど人形作りに夢中になっていたくせに、
なにがきっかけで方向転換を決めたのか。
それこそ聞かなくともわかりきってる。

俺の足だ。]
(42) 2022/10/07(Fri) 1:41:08

【人】 修理屋 一二三


「言ったでしょう?
 あなたが今使っているその義足あしで最後ですって。」


[聞き分けのない子供に諭して聞かせるように、
九朗の声は怒りもせず、焦りもせず、凪いだように穏やかだった。

それが俺は、たまらなく気に入らねぇ…。

とっさに体が動いてたと言えば聞こえはいいが。
俺はあいつを守ったつもりで両足を失い、
九朗から夢中になっていた人形作りを取り上げた挙句、
技術の限界を突き付けて、作ることを辞めさせちまった。]
(43) 2022/10/07(Fri) 1:41:31

【人】 修理屋 一二三

 なぁ九朗、そうは言っても技術は日々進歩だ。
 あの頃にはできなかった事も、断念したことも、
 今の技術ならできるだろう?

 なのにお前がそっぽを向いて
 目と耳塞いじまってどうする。

 お前にもう一度、
 足や腕を作って欲しいって言う奴が
 年に何人も俺の工房に来るんだ。

 お前の店にも来てるだろう?
 お前の作った義肢ほどしっくり馴染むやつはねぇ。
 傷んだ部品を交換して
 使えるように整備することはできるが、
 完全に壊れちまったもんは、
 俺じゃどうしようもねぇんだ。


[九朗のやつが困ったように眉尻を下げて
口をつぐむのにも構わず、
俺は長年の迷いや鬱憤を吐き出すように
矢継ぎ早に言葉を口にする。
だが何を言ったところで、
九朗の意思のなにも変わらない。

この数年、何度言葉を尽くしたって、
変わりやしなかった。*]
(44) 2022/10/07(Fri) 1:42:57