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人狼物語 三日月国


174 完全RP村【crush apple〜誰の林檎が砕けたの?】

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??? 工藤美郷は、メモを貼った。
(a16) 2022/09/08(Thu) 7:14:30

【人】 ??? 工藤美郷

──回想・廊下にて──


[名づけの提案に、女は首を振った。]

 いらない。
 あなたが何と言おうと、私も工藤美郷です。

[彼女の理想と、現実の彼女。それがどれほど乖離していようとも、もとは同じ一つのもの。
 ならば違う名前などいらない。たとえ誰に認められなくても、偽物と呼ばれようとも、同じ魂の表と裏だと、彼女は信じているから。]

 そう……本当に、タチが悪い。

[気持ちを汲んで、その心に沿って行動することができるならば。
 感情の癖の近しい相手であればあるほど、汲み取る精度は高まるのだろう。
                    
多数派

 けれど、工藤の心の傾向は、あまりにも“普通”からはかけ離れている。
 やるせなかった。根底にあるのが善意であるが故に。]
(97) 2022/09/08(Thu) 21:04:04

【人】 ??? 工藤美郷

──回想・特別展の前に移動後>>258~──


[特別展の前に行くと、小泉先輩は息を飲んだ>>2:257
 陰惨な風景に、それでも気を取り直したのか、やがて小泉先輩が問いかけてきた>>2:258
 女は不敵に笑う。]

 随分とムシのいい相談ですね。
 ……良いですよ。この子が望むなら、いつでも替わってあげる。

[もし小泉先輩が、絵の女を溶かしていたのなら、これ以上の交代は叶わなかっただろう。
 つまり、例え怪異を相手にしても不必要に傷つけない、彼の心の在り様>>2:213が招いた善果だ。
 悔しいので言葉にはしてやらないが。]
(98) 2022/09/08(Thu) 21:05:17

【人】 工藤美郷


[そうして──]

 
(99) 2022/09/08(Thu) 21:05:54

【人】 1年生 工藤美郷

[そうして。
 不器用な工藤美郷は、絵の中から引きずり出されると、勢い余って小泉先輩に倒れこんだ。]

 ……………………。

[何度か瞬きをすると、状況を把握するようにあたりを見渡す。
 後ろを振り返れば、何事も無かったかのように、工藤の絵が収まっていた。
 絵は先程までとほとんど変わらない。変わったことと言えば、脛に一つの傷もついていないことだけ。
 それから工藤は身を起こすと、自らの足でしっかりと立ち、じっと小泉先輩を見上げた。>>2:260

 私と小泉先輩は分かり合えない。

[抑揚無く、事実を確認するように繰り返した。
 彼の言う「思い込み」はまさしく真実で、ぴたりと分かり合えることはきっと無いのだろう。
 だが、すれ違いながらでも、関わることはできる。
 今、先輩が話しかけてくれているように。]
(100) 2022/09/08(Thu) 21:06:58

【人】 1年生 工藤美郷


 ……………………。

[工藤は、先輩の話を、言葉にしてもらわねば決して察することのできない胸の内を、じっと聞いていた>>2:260>>2:261>>2:262
 頷くことも無く。目を逸らすことも無く。
 その二つの丸い瞳の中には、小泉先輩が映っていた。]

 ……小泉先輩が何と言おうと、私にとっては魔法でした。
 私のことは分からなくても、小泉先輩は、店長やその他の人とはうまくやっていたから。

 私は忖度しないのではなく、できないのです。
 他の人たちがそれを高い精度で行って、滞りなく人と関わっているのが、どこかでずっと羨ましかった。
 
(101) 2022/09/08(Thu) 21:07:42

【人】 1年生 工藤美郷

[それから、しばらく口を噤んだ。
思い出していたからだ。先程までのことを。]
(102) 2022/09/08(Thu) 21:09:08

【人】 ??? 工藤美郷


『眠っているのなら、
 ここから出さないと話を聞いてもらえないのかな?
 絵の中に手を入れるだけで、
 こちらの話を聞いてもらうことは可能だろうか?』

[もう一つの問いかけ>>2:259
 それに、彼女はこう返した。]

 私とこの子が同時に外に出ることは無い。
 昼と夜とが一度には訪れないように。
 だから、手を入れただけでは、この子は何も反応しない。
 この子が絵の中にいる限り、私はここに居る。
 この子が絵から出れば、私がそこに入る。

[このように、絵から引きずり出すことを促した。
隠し事を一つ残したまま。]
(103) 2022/09/08(Thu) 21:12:26

【人】 1年生 工藤美郷


 ……彼女が私の代わりに動いていた時のことを、覚えています。
 彼女が私の口を借りて、小泉先輩と話したことも。

[それは、絵の中の女の、最後の隠し事。
 手を入れただけで聞えるか、という問いかけ>>2:259には、反応しない、と答えた。
 聞えない、とは言っていない。小泉先輩が話したことも、彼女の中でずっと聞いていた。]
(104) 2022/09/08(Thu) 21:13:37

【人】 1年生 工藤美郷


 彼女の中に私の心が溶けている間、おそらくは私にも皆さんと同じように世界が見えていました。
 全く同じではなくても、かなり近しく。
 小泉先輩の顔を見れば、私を疑っているのが分かりました。
 声を聴くだけで、怒っていることも分かりました。
 その怒りの後ろに、私や、他の人たちの身を案じる心を見ました。
 それらの先輩の心に気づくたびに、私の中に先輩を評価する心が溢れ、合わせて反応するたびに苦しくなりました。

[「彼は私を疑う人」と評価して、だからごまかさなければいけないと思った。
「彼は私に怒っている」と評価して、だから逃れなければいけないと思った。
 評価に応じた、「だからこうしなければいけない」という思い。]

 あれは、精度の高い妄想だったのでしょう……

[その能力は、人間社会を円滑に回すためには欠かせないものだけれど、自分の心を潰す圧力も伴っていた。
 この心を他の人たちが持っているのならば、なるほど、工藤とはまた別種の生きづらさを抱えているのだろう。]
(105) 2022/09/08(Thu) 21:14:45

【人】 1年生 工藤美郷


 同時に、その心の揺らぎに振り回されるあまりに、普段感じられるものが膜を貼ったように鈍くなりました。
 時折流れる風の向きや、空間に当たる音や、肌に触れる感触が、どうでも良くなりました。人に気を取られるあまりに、私を取り巻く環境に鈍感になっていた。
 小泉先輩に使えて私には使えない魔法があるように、私に使えて小泉先輩には使えない魔法がある。そのことに気づきました。

[誰だって欠点がある。お互いに補い合えるように。>>2:262
 完璧であれば、完璧であるがゆえに人を苦しめてしまう。
 同時に、誰にでも突出した能力がある。ただ、あまりにも自然にこなせてしまうから、長所は短所よりも見えにくいだけで。
 その能力で誰かを補うことができるのならば。]
(106) 2022/09/08(Thu) 21:15:34

【人】 1年生 工藤美郷


 そうであれば、私は私だけの魔法を使って、もう少し生きていたい。そう、願っています……。

[たとえ、砕けた命が自分のものでも。迎えが来るまでの間だったとしても。]
(107) 2022/09/08(Thu) 21:15:57

【人】 1年生 工藤美郷

[それから工藤は、迷いなく言った。己の望みを、忖度することなく。]

 私には小泉先輩の力が必要です。
 私の行いで傷ついた時には、どの行いで傷ついたのか言ってください。
 私が誰かを傷つけていたら、そのことを教えてください。
 私には分からない人の心を、先輩の言葉で説明してください。

[そのための時間が、あと僅かしか残されていなくとも。決して無駄にはならないから。]*
(108) 2022/09/08(Thu) 21:16:22
1年生 工藤美郷は、メモを貼った。
(a39) 2022/09/08(Thu) 21:23:15

【人】 1年生 工藤美郷

──天使降臨>>0──

[さて、それからしばらく後のこと。天使のお告げはどこで聞いただろうか。
 今泉先輩とはその後顔を合わすことは無かったが、無事に目覚めたようだ。
 もしも工藤が目を覚ましたら、話すこともあるかもしれない。]

 香坂さんと武藤先輩。

[二人の名前を繰り返した。
 良いお別れ。果たして、彼らが目覚めるまでの間に、話す時間があるだろうか。
 もしそのような機会があれば、]

 おめでとうございます。良かったですね。ご無事で。

[と、天使の言葉をなぞるように、伝えただろう。]**
(121) 2022/09/08(Thu) 22:17:26
1年生 工藤美郷は、メモを貼った。
(a40) 2022/09/08(Thu) 22:19:30

【人】 1年生 工藤美郷

──特別展前>>3:123──


 先輩は最初からはうまくやれなくても、失敗から学んだ。>>125
 いちいち聞かなくても、人の反応から察した。

[工藤は失敗だけでは学べない。だからいちいち質問して、一つずつ丁寧に躓かなければいけない。
 その代わり、指摘されても傷つかない無頓着さを持っていた。
 それは人によっては強さと見えるのかもしれなかった。
 工藤の長い話を、小泉先輩は時折相槌を打ちながら聞いた。
 その苦しみを現実のものと肯定されれば、>>3:126

 ……………………。

[工藤はしばらくの間沈黙した。
 あの時のような、評価が産む苦しみは、もう胸の中には宿らないけれど。]
(191) 2022/09/09(Fri) 7:06:38

【人】 1年生 工藤美郷

そうですね。例えば……

[と、工藤の面倒な魔法のことを話しただろう。>>3:127
肌に当たる服の感触が気になって、同じ素材しか着れないこと。
 天井の低い場所では、音が逃げなくて耳が痛くなること。だからよくイヤフォンをつけていること。
 同じ食材を食べても毎回違う味に感じてしまうこと。
 林檎一つ食べるにしても。品種が違えば果肉の歯触りが変わる。
 口に入れて、咀嚼するうちに温度が上がれば、酸とえぐみの香りが解けて、舌がひきつれる感覚が起こる。
 皮にわずかに残る農薬の香り。洗った水道水の塩素の匂い。そういったものにえずいてしまう。
 切れにくい包丁で切れば、繊維のもつれが気になる。かといって、ステンレスより鋭い切れ味の鉄包丁を使えば、今度は鉄の味がする。

 鋭すぎる五感の上、多くの人が当たり前に行っている、不要な情報を捨てる能力が低い。
 そういった特性を持つ工藤にとって、世の中はうるさかった。

 だから工藤は同じ事ばかりを繰り返す。同じ音楽を聴き、同じ時間に動き、同じ食べ物を選ぶ。情報が多くて混乱しても、同じ事を繰り返していけば秩序が生まれるから。]
(192) 2022/09/09(Fri) 7:08:28

【人】 1年生 工藤美郷


 こういったことは、当たり前のものだと思い込んでいました。
 自分の体しか使ったことが無いので。
 私に皆さんの思考の癖の説明が必要なように、皆さんにも私の説明が必要なのですね。

[何を説明し、何を省くか。
 その取捨選択能力は、おそらくこれから小泉先輩のサポートで身に着けていくものなのだろうけれど。]
(193) 2022/09/09(Fri) 7:09:40

【人】 1年生 工藤美郷


 小泉先輩の主観と、他のみんなの主観が違う……>>3:129
 思いつきませんでした。皆さんは、感情を伝播させるから。

[当たり前のことを、教えてもらう必要がある。
 相手が笑えば、つられて笑う。
 相手が怒れば、つられて怒る。
 そういった反応がごく当然に行われるのを見続けるうちに、工藤の中には、周りの人を子ではなく群生態として見る癖がついていた。]
(194) 2022/09/09(Fri) 7:10:03

【人】 1年生 工藤美郷

[やがて会話は移り変わり、かつてのバイトの話へと。>>3:131

 “普通”……
 実体の無いものには為りようがありませんが。

[小さいころから強制されてきたという、“普通”の呪い。
 工藤とて、大人からはそのように求められた。だがあまりにもその才に乏しかったため、諦められた。
 小泉先輩は能力があるが故に、応えてしまった。]
(195) 2022/09/09(Fri) 7:12:15

【人】 1年生 工藤美郷


 ……………………。

 先輩がどう思っていたか>>3:131>>3:132は伝わりました。きちんと、とは断定できませんが。
 ですが、行いの疑問視を否定的に捉えるのは、私にとっては厄介な思考の癖です。

[きっと、そう思わせないように柔らかく伝えるのは、工藤の最も不得手とするところ。
 だから結局、疑問に思ったことは、遠慮なく言ってしまう。]

 先輩が良かれと思ってやっている方法は、小泉先輩が抜ければ成り立ちません。
 先輩は四年生、就職と共に居なくなる人です。
 調整は、現場を円滑に回すために必要なものでしょう。ですがその方法を、先輩が一番うまくできるからとやってしまえば、やがて困るのはあの店です。今は上手くいっていても。
 それとも先輩はあのパン屋に就職するのですか。

[もしかしたら、来年を待たずしてその「困るとき」はやって来てしまうのかもしれないけれど。
 あの時できなかった話の続きを、ここで、した。]*
(196) 2022/09/09(Fri) 7:13:49

【人】 1年生 工藤美郷

──会話の後──

 では私もレストランに向かいます。
 オムライスとおにぎりは先輩が食べればいい。

[と言いながら足を向けようとしたとき、工藤はふと口を噤むと、]

 津崎先輩がこちらに来ていますね。>>183
 合流しますか。

[当たり前のように言った。
 まだそれは、足音もまだ遠く、耳鳴りと勘違いしてしまうほどかすかな時。
 だが工藤は耳に聞こえる足音の癖や、履いていた靴の素材からそう推察できた。
 工藤には実体の無いものが分からない。
 その代わり、実態のあるものを感じ取る能力は、人一倍優れていた。

 やがて、「コイ先輩?」と呼びかける声も聞こえてきたか。]**
(197) 2022/09/09(Fri) 7:14:26
1年生 工藤美郷は、メモを貼った。
(a65) 2022/09/09(Fri) 7:24:37

【人】 1年生 工藤美郷

──回想・特別展前──

 本当に?

[褒め言葉>>3:217がよほど意外だったのか、工藤は数度目を瞬かせた。
 それは、表情の無い工藤にとって、最大限の驚きの表現だった。]

 ……珍しい反応です。

[工藤は我儘な奴。みんな我慢しているのに、
 少しは集団に合わせることを学ばないと、みんな離れていくよ。
 そうやって言われ続けてきたから。
 工藤にとって耐えがたい音や、味や、匂い。そういった不快なものを、他の人は皆我慢しているのだと思い込んでいた。まさか感じ方が弱いとは、想像もしていなかった。
 自分にとっての当たり前を、言葉にして説明できれば>>3:218、我儘とは言わないでくれる人が増えるのだろうか。
 相手と反応を合わせることができなくても、それもまた一つの彩りと見てもらえるのだろうか。]

(何が可笑しいんだろう……)

[自重めいた笑い>>3:220の意味も、理解できなくても。]
(300) 2022/09/09(Fri) 19:17:35

【人】 1年生 工藤美郷


『「私は」こう思ったけど、実際は違うのでしょうか』

[工藤は繰り返して練習した。自分の血肉とするように。
 人の言葉を模倣して、会話の型にしてしまう。それは工藤がよくやる癖だった。
 相手の言葉を真似ていれば、同じ言葉を繰り返していれば、不必要に不快な思いをさせずに済みそうだから。

 相手の思考を汲み取って確認する方法も教えてもらえたけれど、]

 それは私には難しいです。

[できることから一歩ずつ進めることにした。

 できないことはまだ多い。
 小泉先輩のバイトの話>>3:221も、じっと聞いていたがやはり難しい部分はある。
 引継ぎの事情までは納得できたが、比喩表現が理解できず、「何故突然蟻の話になったのですか? 今はパン屋の話をしているのですが」などと話の腰を折りながらも、根気強く説明してもらって、少しずつ理解していっただろう。]
(303) 2022/09/09(Fri) 19:18:12

【人】 1年生 工藤美郷

──合流直前──

[津崎先輩や武藤先輩に合流する直前、小泉先輩が朝霞さんのことを伝えたか>>3:222。]

 記憶喪失。
 器質的な異常は無いのですか。

[精神的なショックによるものならともかく、どこかをぶつけたり、脳梗塞によるものであれば命が危ない。
だが、おそらくはその段階では詳しい事情は分からなかっただろう。
 レストランに向かうのが早足になった。
 もちろん数回躓いた。]*
(304) 2022/09/09(Fri) 19:18:46
1年生 工藤美郷は、メモを貼った。
(a104) 2022/09/09(Fri) 19:20:56

【人】 1年生 工藤美郷

──津崎先輩とちょっとお喋り>>226──


[ハンカチを差し出されたことは、覚えている。]

 ハンカチは絵の中の彼女が持っていきました。
 だから返せません。

[名前も、現実の生活も、全ては工藤のもの。
 絵の中の彼女には叶わなかった。
 ならばせめて、顔の崩れた彼女のために差し出されたハンカチぐらい、彼女の手元に残ってもいいだろう。
 その後は、沈黙したまま小泉先輩と津崎先輩との会話を見つめていた。]
(310) 2022/09/09(Fri) 19:41:03

【人】 1年生 工藤美郷

[やがて第14展示室のことを言われれば>>237、]

 ピアノがお喋りするのですか。

[もちろん工藤の脳内ではピアノが『レディッスンジェントルメーン』と喋っている。比喩表現とは思わない。
 だが今は、]

 行きません。レストランに行きます。

[そう答えた。]*
(311) 2022/09/09(Fri) 19:42:51

【人】 1年生 工藤美郷

[直接言うよう促され、>>312

 はい。返せませんって直接言います。

[それだけ答えた。]*
(313) 2022/09/09(Fri) 19:47:28

【人】 1年生 工藤美郷

──回想・特別展前で武藤先輩とあいさつ──


[津崎先輩と一緒にやってきた武藤先輩>>158に、天使の言葉をそのまま繰り返す。]

 はい。また起きたら会おう。

[起きなければ、もう会うことは無いけれど。]

 礼。

[初めて気づいたように繰り返すと、]

 ……『ありがとう』?

[そこで疑問形になった。
しかも松本先輩のいないところでやった。]*
(319) 2022/09/09(Fri) 20:02:53

【人】 1年生 工藤美郷

──移動・特別展前→レストラン──

[そうしてレストランに戻ると、食べ物の匂いがいきれのように工藤を包み込んだ。
 その中に嗅ぎ覚えの無い臭いがして、工藤は一瞬立ちすくむ。
 正確に言うならば、なじみのある香りではあった。だがあまりにも濃密すぎて、最早別種のように感じられた。
 むせかえるような、林檎の匂い。
 植物は、音ではなく香りで会話をする。
 それは限界まで熟した、腐り落ちる寸前の林檎の悲鳴。獣を呼び寄せ、食わせることで、熟した林檎を間引くための。おまけに、並行するように鉄の味が空気に混じっている。
煮詰めたような濃厚な芳香が、粘度さえ伴って充満していた。
 そのくせ、机の上に置かれた林檎は鮮度が良さそうで、とてもそんな香りを帯びるとは思えない。]

 くさい……

[ここで怪我をすると、血であって血じゃないものが流れる。
 津崎先輩の言葉を思い出した。
 なるほど林檎が怪我していると思えば、この香りも納得だ。]
(330) 2022/09/09(Fri) 20:32:29

【人】 1年生 工藤美郷

[工藤が黙り込んでいる時か。
 黒崎先輩がペットボトルの水を追加しに持ってきてくれた際>>3:277に、]

 黒崎先輩から強い林檎の香りがします。

[それは、もしかしたら手を怪我したせいかもしれなかった。]

 あと、アルコールの匂いもします。

[いらんことも言った。
 そういえば他にも飲んでいる匂いの人がいた気がする。]*
(331) 2022/09/09(Fri) 20:33:10

【人】 1年生 工藤美郷

──魔法>>3:327──

[それはどのタイミングだったか。
 黒崎先輩の合図>>328で、窓を見る。
 屋上から紙吹雪が振りまかれた。]

 ………………。

[工藤は身を起こすと、机やら椅子やらに体のあちこちをぶつけながら、ふらふらと窓際に寄る。
 切り取られた色、が、空気に煽られて、くるくると回る。淡い裏面と濃い表面が、太陽の光を受けて、斜めに影の線を作る。
 工藤はそれをじっと見つめていた。鋭敏な色彩感覚で。
届かないと知りながら、松本先輩の放った色とりどりの魔法に手を伸ばした。
 結果として、窓に手を押し当てる形になった。]*
(334) 2022/09/09(Fri) 20:44:08