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![]() | 【人】 瀬戸 海瑠すごい…… [術が始まれば、周囲の空気どころか、 森羅万象がかたちや色、性質を変えてこの場を自分達の領域にしてしまう。>>18>>19 その光景をただぼうっと見ている訳にはいかない。 術者を始末しなければ自分達が消えてしまうと理解した魔物たちが、彼めがけて集まる姿が見えたから、右手のペンを構えて、それを阻止する為に捕縛の力を顕現させた] (数、多い……!) [これだけの数を相手にした事はない。 そもそも一人で捕縛した事だって、 片手で十分数えられる回数しかない。 視界がこれだけ霧がかっているのも初めてだけど、気配はわかるし、彼に向っていく悪しき者を見定める事はできる。 鞭の様にしなる光で一匹、二匹、と地面に縫い留めていくが、段々と追い付かなくなってくる。 それぞれの力は大した事なくても、彼に指一本触れさせない様に立ち回るには、経験が乏し過ぎた] (35) 2023/04/30(Sun) 6:14:59 |
![]() | 【人】 瀬戸 海瑠[おそらく最後の一匹だった魔を捕まえるのが間に合わなくて、 魔と彼の間に無理矢理割って入った。 彼の術の邪魔になってはいけないからと声を上げるのも我慢してその場に膝を着いたけれど、 その時響いた厳かな声を合図に、自分に障っている魔が散り散りになっていく。 調伏……浄化だ。 地面に伏せさせていた魔も全部一緒に消えて行って、 彼が見事にこの場を鎮めたんだ、とわかって、 傍に立っている彼を見上げた。 彼は怪我もしてなさそう……。 ほっとして力が抜けて、彼の背中側の地面に座り込んでしまう。 名前を呼ばれたら>>20、そのままの格好で返事をする] お疲れ様です、翡翠さん…… [あぁ、彼を悲しませてしまうかな、と思った。 彼は自分が傷付く事をよしとしてなかったから……] (36) 2023/04/30(Sun) 6:15:44 |
![]() | 【人】 瀬戸 海瑠[心配させない為にさっと立ち上がって 何でもない風を装いたかったけれど、 水着だから、お臍の横あたりにできた赤い痣は隠せないだろうし、割り込んだ衝撃か使い過ぎて負荷がかかったのか、 媒介にしているペンが割れてその破片が巻きスカートの紐部分を掠ったみたいで、スカートが腰から落ちている。 そんな状態で、 誤魔化そうとする方がきっと彼はよく思わないだろうから、 座ったまま声を掛けた] 翡翠さんが無事でよかったです。 ……ごめんなさい、怪我してしまって…… [憑こうとしたのか突き飛ばそうとしたのか、皮膚に影響を与えた痣は人の指みたいなかたちで軽く腫れている。 ちょっと気持ち悪かったけれど、 彼が術を施してくれたのなら、簡単に治るものだっただろう] (37) 2023/04/30(Sun) 6:16:21 |
![]() | 【人】 瀬戸 海瑠[退魔士の家に生まれているのだから危険はつきもので、 怪我のひとつやふたつ覚悟の上だし、 実家に帰ってひっそりと身近な魔に対処するだけよりずっと過酷な道を選んでいるのもわかっている。 自分の事を大切に想ってくれていても、 そこは割り切ってくれていると思っていた。 でもそうじゃないんだと知れば、 彼が言う事に頷くしかない] ――はい。 [彼の心を守る為にできる事は、強くなる事しかない。 彼の言う事ももっともだと思ったから、 しっかりと頷いたけど、 自分の不甲斐なさに胸が痛い。 謝る事も、他に言葉を尽くす事もできなかった] (40) 2023/04/30(Sun) 6:18:26 |
![]() | 【人】 瀬戸 海瑠……少し、 自分の話を聞いてもらってもいいですか? [お腹の足しに、と付け足して顔を上げる。 まっすぐに彼を見つめる自分の顔は、穏やかな表情だった] 契りを、 交わしたいと思うんです。 貴方と。 [少しだけ距離を縮めて、 彼の左手を持ち上げて、その薬指にそっと口付ける] (44) 2023/04/30(Sun) 6:20:46 |
![]() | 【人】 瀬戸 海瑠[もう一度約束してほしい。 不安だとか確認したいという意図はなく、彼の弱さを知っても自分は貴方と契りを交わしたいと伝えたかった。 約束は一人ではできないから、彼にも応えてほしかった。 だってここは、そういう場所なんでしょう? あのカップルの男女、ちゃんと二人で逃げていた。 恐ろしいだろうに片方を置き去りにしなかった二人は、これからもずっと幸せに過ごすんだろうと、思えたんです。**] (45) 2023/04/30(Sun) 6:23:20 |
![]() | 【人】 瀬戸 海瑠― 回想:噂の岩窟で ― [術中はまわりの出来事に一切動じなくて、 まるで何も見えていない別の世界の人みたいだったけど、 無事に術が終わると、いつもの様子に戻った。 否、声を荒げて跪く彼は、 いつもの様子とはかけ離れていた。>>46 こんなに動揺させてしまった原因は自分にあるから、 肩を抱かれても苦し気に眉を寄せてしまう。 申告しなくても傷の在り処に気付いた彼の纏う空気が一瞬、ピリと凍り付く様な燃える様な振動をこちらにも感じさせたが、 次第に冷静に、 そして悲しそうな顔になっていった。>>47] いえ…… 自分が未熟なだけで…… [彼に怪我がなくてよかったと思ったけど、こんなに悲しそうな顔をさせるならさっきの言葉>>37は撤回したくなる。 彼が悪いんじゃないと伝えても届かない事が、歯痒かった] (55) 2023/04/30(Sun) 19:20:39 |
![]() | 【人】 北神 海瑠― いつかの夕方 ― [烏の鳴く声に時計を見れば、もう夕刻。 そろそろかなと思った時に玄関扉が開く音が聞こえたから急ぎそちらに向かって、] おかえりなさい、翡翠さん。 [彼の帰りを笑顔で出迎えて、 重そうな荷物があれば受け取ろう。 奥から漂う香りに彼が気付いたら ふふ、と笑って一緒に居間へ入る] たこ焼き、焼けましたよ。 [食べるの久々ですよねと笑って、 後は回すだけだったたこ焼きの前でキリを構える。 その手つきは武器を持つ様なものではなく、 ごく自然かつ丁寧なものであったけれど、 くるっと回したら刺したところが悪かったのか、ぽーーんと空を飛んでいって、用意していたお皿に着地した] (61) 2023/04/30(Sun) 22:37:08 |
![]() | 【人】 北神 海瑠……用意しておきますから、 おてて洗って、着替えて来て下さいね。 一緒に食べましょう。 [気恥ずかしさから口元を隠しながら、 ひとまず食卓につく準備をして来てもらおうと促す。 口元を覆った左手の薬指には あの日の誓いがかたちになった様な輪っかがはめられていて、今日もきらきらと煌めいていた。**] (62) 2023/04/30(Sun) 22:37:36 |