【人】 未だピンボケ ライカ>>+12 「ここに来る前からの、知り合いですから」 ただ、それだけを。 だから、貴方のその声色が気になる事はなかった。 どう思われていても、貴方がすることも 自分がするべきことも、変わらない。 前に進むために手を貸してくれるのなら、その手を借りるだけだ。 生きなければならない。生きたい。生かしたい。 こんなところで死んでたまるか。 「麻酔があればよかったんですけど……そうもいきませんから。 起きた時の痛みは、我慢してもらうしかないですね……」 「布……貴方の荷物にあった、職員の制服も使えますかね。首回り以外は汚れていなかったと思いますし。 それに伊縫さんもきっとまだ持っているでしょうから。僕が会議室に取りに行ってきますよ」 他に必要なものはありますか、と尋ねながら。 汚れや血を洗うための水もストックから持ってくるべきかと頭を回す。 「……僕だって。 生きているなら、生きてもらいたいです。生きていたいです。 そうでなければ、ここに放り込まれた誰もが 報われない」 決して強い人間じゃないけれど、決意だけは。 (33) 2022/06/07(Tue) 23:57:10 |
【墓】 妄執 ユウキ>>33 三十三 生への執着を知る。 生かすための決意を聞く。 生きるための覚悟を見る。 「…………」 ずっと、考えていた。 人を人たらしめるものは何なのかと。 進化を続ける理由は何だろうと。 目を細め、貴方の姿を焼き付けるように視線を注いだ。 「制服。そんなのもあったなぁ。そこまで時間が経っていないのに、ああ、ああ、なんだか遠く。ふふ、ふふー。 あの人は、あの時から、あの時に?ふふ。 ええと……はい、ええ、人前に出る際に酷い怪我を隠したい時とか、きっと役に立つかと。 よかった、無駄ではなかったんだなぁ。 」生前なら内に留めておけただろう余計な思考も垂れ流しながら、貴方にお願いを託す。 「……誰もが。血で手が汚れている人でも?」 貴方が一度部屋を出る直前辺りだろうか。 こてんと首を傾けながら、無邪気にそう言葉を投げかけただろう。 (+13) 2022/06/08(Wed) 0:15:11 |