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【人】 灰原 詩桜私だって、智詞さんだけだもん………。 [降ろしてもらったら、前側から抱きついて ぐりぐり、また胸元に頭を擦り付ける。 ちゃんと分かってるよ!って、しがみついて 後日、大丈夫だよって マカロンを焼いてお店に届けた、そんな後日談。 だって、成瀬さんにはより良い環境で働いて欲しいし 智詞さんだって、安心して働いて欲しいからね。 ……それからもごく稀に 良いなあー、って気持ちは出るけれど 本当にごくごく稀、になった。 それから更に経った頃。] (484) 2020/08/04(Tue) 8:44:39 |
【人】 薄氷 詩桜─大学4年、秋頃─ [結婚してから一年と少しが経ったころ。 平和に過ごしていたし、 資格の勉強も頑張っていくつか取得していたし、 家事もこなしていた……と思いたい私だけど。 就活のストレスからか ぐったりすることが多くなってきていた。 卒論の方はどうにかなる見通しだけれど なんだか最近、眠くて、眠くて。 朝に起きれない。 昼間も眠くてたまらない。 暇があればこんこんと眠ってしまう。 そんな日々が続いていた。]** (486) 2020/08/04(Tue) 8:46:39 |
【人】 薄氷 詩桜─花火大会─ [そうね、恋人同士の時間を大切にしたいとも思う。 だけど、恋人同士だからこそこんな語らいができると思う。 それに、今もまだずっと恋人同士みたいな両親もいるから きっとずっと私は智詞さんに恋をしたまま。 それは次第に形を変えていくかもしれないけれど あなたが一番大好き、と言う気持ちはきっと変わらない。 …子供ができたらその種類も変わるのかな? なんて。それもまだ想像の世界。 でも男の子を肩車する背中がとても広く見えて、 なんだかとても頼もしくて。 …昨日の今日でなんだけど、 なんか惚れ直しちゃった、なんて。] (500) 2020/08/04(Tue) 20:11:28 |
【人】 薄氷 詩桜─実りの季節─ [わたしも、まだ恋人気分でも良かったと思う。 だけど友達や、主に母さんから色々話されて 一年経った頃に「自然に任せようか」と提案した。 それは、やっぱり智詞さんが10年上だったことと 私自身の就職と卒業のタイミングがある。 子供が欲しいと言ったとき、直ぐに授かるとは限らない。 仕事が順調になってから…とのんびりしていて わたしが30の時でも智詞さんは40。 子供が成人式の時に智詞さんが還暦。 ……と聞くと、成る程確かに早めが良いかもと 還暦の父を持つ友人からの話は説得力があった。 それにそうやってタイムリミットがあると思うと わたしが働き始めて直ぐに妊娠………も、 雇う側からしたらどうなのか。 少なくとも計画を練れ、と言うのなら 働き始めて数年は仕事に専念……、 なんてやっていると時間はどんどん過ぎていく。 あの夏祭りの日以来、子供がいたらなと思っていた。 わたしは一人っ子だったから 兄弟がいたら良いなと詞葉さんを見ても思ってて。 だから、計画的には難しいけれど 学生のうちから自然に任せて。 そんな選択肢を選んだのは少し前のこと。 ちなみに相談の時は年齢のことよりも ]就職のタイミングの方で説明しました。 実際そちらもその通りだなあと思ったから。 (506) 2020/08/04(Tue) 20:42:07 |
【人】 薄氷 詩桜…………ん、でも、……………? [ぼんやりした頭で、 お義母さんと詞葉お姉ちゃんの言葉に>>497 首を傾げるわたしの姿がある。 おめでた。 まあ、そう言う事は、してる。 夫婦だし。自然に任せようと考えてた。 でも、ほら、おめでたって。 流し場に駆け込んで「うっ…」(じゃばー) はっ、まさか詩桜さん……! みたいなイメージ。 うっ、とはなってないし……ただひたすら眠い。 あとなんか凄く……ミカン食べたい……? 流石に病院に向かう時は目が覚めて そうなのかな、どうなのかな、と半信半疑。 待合室でウトウトして。 診察室にはさすがに一人で入って、 出てきた私の顔は真っ赤だった。] (507) 2020/08/04(Tue) 20:42:32 |
【人】 薄氷 詩桜………智詞、さん。 [そしてちょっと涙目になりながら彼のもとへ。 ぎゅ、と彼の腕にしがみつきながら その隣に座って。] (508) 2020/08/04(Tue) 20:43:06 |
【人】 薄氷 詩桜…………………………双子、だって。 [ちょっとはわはわしながら、ぽつりと報告。 その後先生にちゃんと呼ばれて、 エコー写真の説明を受けていた。 予定日はちょうど4月頃。 まだまだ写真を見ても人の形も分からなくて 小さな小さな命の粒だけど。] ……いるんだ、赤ちゃん……。 [まだお腹はぺたんこで実感が湧かない。 眠り悪阻もあるんですよ、と説明されて 成る程なあと思いながらも じんわり、幸せを噛み締めていた。]* (509) 2020/08/04(Tue) 20:43:23 |
【人】 薄氷 詩桜え、家事はするよ? 動けるなら動いた方が良いって先生も……。 むしろお腹が大きくなってきてからの方が 二人いる分、大変になるらしいから 今のうちに動いてた方が良いかなって。 あ、でも、運転はしません。 ……就活も、ストップ……する。 [別に病気じゃないんだから、とクスクス笑った。 むしろお腹がまだ軽いうちはさせて欲しい。 勿論無理はしないから、と提案する。 みんなに知らせるのも安定期までは 極々身内だけで良いのでは? なんて。 意見を擦り合わせつつも幸せで。 でも、また移動中にウトウトしてしまう。 それは、とても幸せな転寝だった。]* (518) 2020/08/04(Tue) 21:50:42 |
【人】 薄氷 詩桜─そうして、それから─ [夏に、双子の女の子。 冬に、双子の男の子。 男の子女の子二人ずつ授かった私たちは 賑やかで楽しい、平和な生活を 続けて行ったことでしょう。 薄氷古書店に増えていく本の種類。 写真集には、あの日通りすがりに 見かけたかもしれない人の姿があったかもしれない。 不思議な人の縁は途切れてもまたつないで紡いで 新たな広がって行くのがなんだかとても不思議だった。 羽井さんと市村さんが、 成瀬さんとその想い人が、 結婚したならぜひ祝福させてほしいし その前にジャン先生と清平さんかな? 子供たちのつながりもきっと広がって 私たちのまわりはきっと賑やか。 自分の色が苦手だったわたしと、智詞さん。 でも私たちの色を繋いで紡いでいく子供達を見ていると やっぱりこの色で良かったなって 私、いま、とてもそう思うのよ。] (566) 2020/08/05(Wed) 20:37:56 |
【人】 薄氷 詩桜ね、懐かしいわね、あなた。 またこのホテルに泊まれるなんて。 [あなたと色々な思い出が紡げてよかった。 嬉しいことも悲しいことも辛いことも幸せなことも あなたと一緒だったから素晴らしいものだった。 子供たちももう大人になって それでもね、わたし、 まだあなたに恋をし続けているの。 目の色はお互いに東雲色と天色のまま。 わたしが貴方と同じ髪の色になるまで、 あともう少し。 シワが刻まれた指先を絡めて、 久々にこの街のこのホテルにきたのよ。 懐かしいわね、次に来れるのはいつかしら?] (567) 2020/08/05(Wed) 20:38:15 |
【人】 薄氷 詩桜今日は、美味しいワインを探しましょう? ね、智詞さん。 [でもね、貴方とまだまだ一緒の時間を過ごしたい。 お互いに長生きしましょうね。 そう笑いかけて、貴方に寄り添って。 わたしはこれからもそうして生きて行くんだわ。]** (568) 2020/08/05(Wed) 20:38:33 |
【人】 薄氷 詩桜………。 [そわそわ、薄氷古書店の店先に 顔を出すのは 旅行の後まもないある日のこと。 だってあなたに会いたかったから。 そうして、わたしは智詞さんとの物語を 一歩一歩、刻んでいく。]* (580) 2020/08/05(Wed) 21:32:40 |
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