「………」
「――はぁ〜……」

*電球の彼は、自分が埋葬されていく様を眺めます。
*なんとも奇妙な感覚ですが、それはそれ。
*溜息の所以はそこにはないようです。

「……リディ、なんとなく勘付いているのでしょう？」
「……私の遺体など放っておいて、すぐにでも逃げて欲しいのですが」

*電球の彼は、明かりを小さく落とします。

「――伝わるわけも、ないですもんねぇ」

「…………………」

「迎えるの、嫌ですねぇ」

「私も好きだったんですけどね〜、ノル」

「勿論今もですが」

*届くことはない独り言です。

「だ〜れも嫌いにはなれませんよ、私は」
「皆好きだったので」



*せめて、せめて。
*私が生きていれば、どうにかできたのでしょうか。

*これは、言葉には出来ず。ただ留めておくだけでした。

*もう、とうに死んでいるのに。
*生きている頃も、何処から行っているか分からなかったのに。

*それでも、ひゅっと。息を飲みました。

*それは正しく、目を逸らしたくなる様な、最悪の光景でしたが。
*電球の彼は、目を逸らしませんでした。



【私は、……私は、早々とそこから居なくなってしまったから。
生きていられなかったから】
【……だから、守れなかったから】

【この現実から、…………目を逸らしては、いけない】

*涙を流すこともできない電球の彼は、
*ただただ、そのこうけいをみていました。