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人狼物語 三日月国


76 【ネタRP】ナニやらシないと出られない!【事前ペアR18G】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


到着: 小泉義哉

【人】 小泉義哉



好かれた理由は、優しいから。
振られた理由も、優しいから。


(1) 2021/06/03(Thu) 22:25:43

【人】 小泉義哉

[数年間越しの交際相手に、新しい恋人ができた。

 一生を共に過ごしたかったのかと問われると
 そこまで燃え上がるような情熱はなかった。

 ただ、浮気をするような性格でも無し
 女性との交際は長く続くことが多かったから
 幾度かのありきたりな出会いと別れを繰り返すうちに
 年齢もそれなりになった。
 たまたまそのタイミングで付き合っていた相手がいたから
 そこそこの安心感と、大部分の惰性によって
 結婚するのだろうと予測していた矢先のことである。]
(2) 2021/06/03(Thu) 22:26:52

【人】 小泉義哉

[そんな相手でも別れを告げられれば
 それなりに落ち込む。
 仕事に支障は出していないと思っていたのだが
 親しい先輩には勘づかれた。]

「まぁ、ちょうどよかったんじゃないか?
 オマエつまんない男だから
 全く遊びを知らないまま結婚すると
 後でリバウンド来るぞ。
 恋人だけが女じゃなし、もっと周りを見渡してみろよ。
 あの子とか可愛いじゃんか、ほら取引先の。
 オマエ仲いいだろ?」

[誰を指しているのかはすぐに分かったが
「いやぁ」だからこそ小泉は苦笑いした。
「なんでだよ、不満か?」とからかってくる先輩に
 どうやって矛先を変えられるだろうかと
 思考を巡らせた。]


 そうじゃないんです。ただ、あの女性(ヒト)は──


[ちょうどその時社用のスマホが震えて助かった。]
(3) 2021/06/03(Thu) 22:34:18

【人】 小泉義哉

[逃げるなよ、となおも絡んでくる先輩を
 わざと無視して電話に出ると
 噂をすればなんとやら、
『取引先の可愛いあの子』>>3からだった。

 タイミングの良さに少し驚きながらも
 電話を口実にして、先輩に気づかれる前にと
 足早に離れる。

 彼には入社当初から世話になっていて
 たいていの仕事の悩みは共有していたが
 この言葉の続きは言いたくなかった。]
(4) 2021/06/03(Thu) 22:35:10

【人】 小泉義哉

[──ただ、彼女はあまりにも清潔すぎるのだと。]**
(5) 2021/06/03(Thu) 22:35:29
小泉義哉は、メモを貼った。
(a0) 2021/06/03(Thu) 22:39:30

【人】 小泉義哉

[女子は男子より早熟だ。
 日アサの戦隊ものと毎日のご飯が
 興味のほとんどを占めていた少年は
 やったぁ、とごく単純に喜んだ。>>14


 それじゃあ僕は、カナおねえちゃんが
 たくさんたくさん おりょうりできるように
 いっぱいいっぱい 食べ物とってくる! 


[みかんのようなまんまるタンポポや
 うどんのような長いシロツメクサを
 せっせと「およめさん」のもとに運べば
 思いのほかうれしそうにしてくれたから>>15
 つられてケラケラと笑った。

 葉っぱのお皿に乗せられるはずのシロツメクサは
 予想外なことに、彼女が器用に冠にしてしまったから
 食欲しか頭にない少年は、
 編み込みのうどんを食べるつもりで
 冠を乗せた柔らかい髪に口づけてみたり。
 そうして他愛なくじゃれついていた幼少期。]
(40) 2021/06/04(Fri) 6:09:24

【人】 小泉義哉

[ほんの少し義哉よりも誕生日が早い少女が
 本当のごはんを作れるようになって>>16からも親しかった。
 しかし、少年が思春期を迎え、恋を理解する年頃になっても
 彼女との関係は友人のまま。

 親しすぎる相手にはかえって恋愛感情を持ちにくい。
 ましてや、性のホルモンが体内に満ち満ちて、
 思考さえも卑猥な妄想が支配するようになってくると
 彼女は、その欲を向けるにはあまりにも清潔すぎた。

 約束は覚えていたけれど
 幼い日の口約束など、
 今更蒸し返されたら彼女も困るだろう。
 恋仲だけが男女の親しさでも無し、
 友人としての良好な関係であり続けた。]
(41) 2021/06/04(Fri) 6:11:53

【人】 小泉義哉

[経験を重ねるうちに悟ったことがある。
 男女の関係になってしまえば
 あとは徐々に冷められていくだけ。

 だから、きっと ──── 
次も、君は選ばない。
]**
(42) 2021/06/04(Fri) 6:13:15
小泉義哉は、メモを貼った。
(a8) 2021/06/04(Fri) 6:15:10

【人】 小泉義哉

[やがて二人は大人になった。
 幼馴染は実家の弁当屋を継いで
 若いながらも切り盛りしてみせた。
 対する青年には継ぐべき稼業もなければ
 事業を起こすほどの負けん気もなし、
 生粋の雇われ人気質。
 就職難の荒波を乗り越えて食品卸業者を選んだのは
 幼馴染を意識したのもあったかもしれない。

 主な仕事は、食堂や弁当屋に食材の営業をかけること。
 受注があれば配送もこなし、
 発注忘れ常習犯の都合のいい運び屋になることも。

『もりや』の担当になれたのは幸運だった。
 ギリギリに発注書を送ってくる客や
 買う気もないサンプル乞食の相手に疲れると、
 なんやかやと理由をつけては幼馴染のもとを訪れた。
「こんにちは」じゃなくて「ただいま」なんて
 おどけた挨拶をかけながら。]
(62) 2021/06/04(Fri) 19:33:13

【人】 小泉義哉

[立場こそ違えども、
 一緒に働いていれば誠実な仕事ぶりは伝わってくる。]


 あれ、この鮭うちが卸したやつだよね?
 なんか安く売りすぎじゃない?


[「同じの卸した別のところは、一つ千円で売ってたけど」
 ──なんてよそ様の事情は、さすがに教えられないが。
「香菜ちゃん、鮭弁当ちょーだい」という
 松田のじいさんの呼びかけに
 くるくるとせわしなく動き回りながらも
 「はーい」と朗らかに対応する姿を見ていれば
 つい手助けもしたくなる。
 ひょっとしたら、余計なお節介だったかもしれないが。]


 ……これじゃ利益取れないでしょ。
 鮭をこれ以上安くするのは厳しいけど
 ちょうどホッケの大量受注があったんだ。
 その分仕入れ値も抑えられたから
 ここにも安く都合できると思うよ。どう?

 
(63) 2021/06/04(Fri) 19:34:26

【人】 小泉義哉

[最初の方は、細やかなこだわりがわからずに
「コロッケ作りが楽になるよ」……なんて言って
 ポテト粉末を持ってきて、触感が悪くなると断られた。
 卸業者として付き合っていれば
 さっくり揚がった黄金色のおいしさは
 丁寧な手間の積み重ねで守られているのだと気づかされる。

 梅干しもお新香も、いくらでも既製品があるんだし
 早起きして真っ赤な目で>>0:29仕込まなくてもいいじゃん。
 フライものにかけるソースだって
 高い小袋つけるよりも
 ボトルからかけたほうがずっと安いのに
 折角さくっと揚がってるから、と
 こだわりが歯がゆいぐらい。

 だけど確かに、彼女の店で食べる弁当は
 漬物一つ、揚げ物一つ、よそでは食べられなくて
 彼女に肥えさせられた舌が、何度も足を運ばせた。]
(64) 2021/06/04(Fri) 19:35:39

【人】 小泉義哉



 ……また! >>0:16
 なんかラグビーやってるとかいう男のところ行った。
 俺と違って強引なのがいいんだと。
 ……やっぱ、女子ってそういうもんなの?


[気心知れた仲だ
と思っていた
から
 泣き言も何度か漏らしただろう。
 ジューシーな唐揚げは熱々で
(作り置きもあるはずなのに、
 彼女はいつでも揚げたてを出してくれた)
 ハフハフ言いながら頬張っていれば
(これだって下味にってしょうがペーストを渡したら
 自分でおろした方が風味がいいと断られた)
 帰るころには表情は明るくなっていただろう。

 貴重な女子の意見を求めたけれど、
 返事はどうだったか。
 彼女は秘密主義なのか、
 こちらの話は聞いてくれるものの
 自分の色恋話となると言葉を濁されたこともあっただろう。
 心を開いているのは自分だけか、なんて
 一抹の寂しさを抱いていたのだけど。

 想像力の乏しい男は
 もしも実際に彼女から相談を受けていたら
 どんな気持ちになったかなんて、思い当らず。
(65) 2021/06/04(Fri) 19:38:30

【人】 小泉義哉

[この関係性が、いつまでも続くのだと思い込んでいた。

 二人してあの部屋に閉じ込められるまでは。]*
(66) 2021/06/04(Fri) 19:38:54

【人】 小泉義哉

[二日酔いで目が覚めた。気分は最悪だ。]


 ……SNSなんて見なきゃよかった……


[分かっていても、心が弱っているときほど
 スマホに親指が吸い込まれていくのはなぜだろう。

 幼馴染に話を聞いてもらっても、精神の回復には波がある。
 そして、ふらりと下になびいた時に
 魔が差して普段は見もせぬSNSを開くのだ。
 かつての同級生が気づけば二児の親になっていたり
 縁を切ったはずの元カノが
「友達ですか?」と紹介されたりして
 酷い精神汚染を受けた。友達じゃない。

 年に一度も会わない同級生が今どうしてるかなんて
 人生において最もどうでもいい情報の一つだ。
 それなのに勝手に比べて
 停滞どころか後退した自分に落ち込んで
 発泡酒を浴びるほどあおったのは覚えている。]
(71) 2021/06/04(Fri) 21:24:32

【人】 小泉義哉

[布団も敷かずに転がった気がするが
 目が覚めた場所はベッドの中だった。
 やけに大きく、枕も二つ並んでいたが
 一人で広々寝ていてもむなしいだけだ。

 全く見覚えのない部屋には、自分一人。
 部屋の中心にはテーブルがあり
 ラミネート加工された紙が一枚置かれている。
 ホテルによくある施設説明だ。

 訳も分からぬままにぺらりと手に取ると
 小さく音を立てて何かが落ちた。
 拾い上げるのは後にして紙を読むと
 馬鹿馬鹿しい脱出方法が簡潔に記されていた。]
(72) 2021/06/04(Fri) 21:25:40

【人】 だって男の子だもん 小泉義哉



 ──シないと出られない部屋?


[音読しても意味が分からない。
 ちょうどその時、ブブ……と音を立てて
 床に落ちたもの>>72が震えだした。ローター。]


 …………。


[なんとなくポケットに突っ込んでしまったスケベ心は許してほしい。]
(73) 2021/06/04(Fri) 21:27:03

【人】 小泉義哉

[改めて部屋を見渡してみると、ご丁寧なことに、枕元には
 
コンドーム

 紳士の嗜みまで置いてある。

 そこまで見てやっと理解した。つまりまだ夢の中なのだ。
 ベッドからやたらと目につく位置に設置された鏡には
 目の落ちくぼんだ青年が苦笑いしていた。
 そもそも一人でどうやってナニやらすれば良いのか。]
(74) 2021/06/04(Fri) 21:27:45

【人】 小泉義哉

[夢の中でまで冴えない状況に溜息を一つこぼして、
 まずは部屋を出てしまおうと
 ひとつきりのドアへと向かう。
 出られないはずの部屋だが、ノブは何の支障も無く開いた。
 ま、そうだよな、別にちょっと残念なんかじゃない
 ……と誰にでもなく言い訳をしながら視線を上げると、
 外ではなくもう一つの部屋につながっていた。>>0:30

 世界観の異なる鮮やかな内装にも虚を突かれたが
 それ以上に目を引く存在>>0:31
 はっと驚いたような顔をして立ちすくんでしまった。]
(75) 2021/06/04(Fri) 21:28:52

【人】 小泉義哉



 は 、 えぇ? 香 ── 安住……?


[照明はほの暗く、部屋の隅々までは見えないが
 光の刺す中心には今起きかえったばかりの香菜が
 大きな目を夢のように見開いてじっと小泉を見た。
 その瞳は小動物のように頼りなく揺れて
 心細いのか、柔らかそうな自らの体を抱きしめていた。
 いつもは清潔にまとめられた髪は無造作におろされ
 剥き出しの肩に散っている。
 思わず鎖骨を視線でたどれば、その下の薄い生地を
 男にはない曲線が押し上げていて思わず息を飲んだ。
 その衣服と呼ぶにはあまりにも頼りない布地を見れば
 腰から下は布団に隠れて見えないはずなのに
 かけ布団の下に伸びる二本の足が
 妙に艶めかしい想像を搔き立てた。

 あまりにもそぐわない幼馴染の背後、その枕元に
 やっぱり紳士のアメニティを見つけて
 あまりの状況にくらくらとめまいがした。]
(76) 2021/06/04(Fri) 21:30:03

【人】 小泉義哉

[しばらく言葉を見つけられずに
 所在なく視線をさまよわせていたが
 バスローブが二つ並んでいるのに気づくと
 意を決したように彼女を正面から見据え
 大股に歩みよって剥き出しの肩にかけた。]


 訳が分からないけど……とにかく出口を探そう。
 安住だって嫌でしょ、こんなところ


[──と言ってから、果たして彼女は
 この部屋の説明を読んだだろうかと疑問に思った。
 しかし尋ねるほどの勇気はなく
 むっつりと不機嫌そうに押し黙ったまま
 くるりと背を向けて、彼女の準備が整うのを待った。]**
(77) 2021/06/04(Fri) 21:31:02
小泉義哉は、メモを貼った。
(a14) 2021/06/04(Fri) 22:27:28

小泉義哉は、メモを貼った。
(a17) 2021/06/04(Fri) 23:12:49

【人】 小泉義哉



 思うだけじゃなくて>>102、か……


[そこを突かれると痛い。
 言葉にするほどの思いなどさほどなかったことを
 見透かされたような気になった。
 好かれればわざわざ傷つけたくもなし、
 付き合ってみるもののやがて粗にも気づかれ
 ちくちく言われるうちに面倒になる。

 振られれば悲しい。しかしそれは
 慕わしい女性を失ったからというよりも
 自分を好いてくれる存在に拒絶されて
 プライドが傷ついた、と表現する方が正しい。

 結局のところ、表面的には優しげな皮をかぶっているが
 くるまれた本質は怠惰によって成り立っているのを
 鋭い女の嗅覚で感づかれるのだろう。

 一抹の後ろめたさこそあれど、
 人間なんて多かれ少なかれそんなものと
 内心開き直っているのがまた良く無い。
 そのくせ、批判はされるのは怖いから
 どっしり構えることができず
 卑屈さがにじみ出てしまう。]
(118) 2021/06/05(Sat) 20:27:58

【人】 小泉義哉



 それは、安住みたいに?


[くるくると爪楊枝をもてあそびながら聞き返した。
 紛らわしいタイミングだったから
「安住みたいなまともな子」と言ったように
 とらえられてしまったかもしれないけれど
 そういう意味で言ったのではない。


 彼女のように悠然と構えていられれば
 確かに良い相手に恵まれるだろう。

 事実、一緒に過ごしていると
 肩の力がほぐれ、内向いていた心が解放されるような
 人を惹きつける心地よさがあった。
 だが同じようにできれば苦労はしないと
 苦笑いを返した。]
(119) 2021/06/05(Sat) 20:29:21

【人】 小泉義哉

[鋭い勘も持たない男は
 彼女が明るい笑顔の下で
 柔らかな心を痛めていることなど
 思いもよらなかった。]
(120) 2021/06/05(Sat) 20:30:15

【人】 小泉義哉

[突然の来訪者に、香菜はぎくりと身を震わせた>>104
 小泉の存在を認めると、ほっとしたような
 それでいて気まずそうな、複雑な表情を浮かべた。
 パンと胸を張った、自信に満ち満ちたいつもの笑顔は
 今はなりを潜めている。

 いじらしく肩を落とす様は幾回りも小さく見えて
 気心知れた相手のはずなのに
 まるで知らない別人のようで
 どうやって会話をすれば良いか迷った。]
(121) 2021/06/05(Sat) 20:31:24

【人】 小泉義哉

[結局気の利いた言葉は言えず
 押し黙ったまま背中を向けたものの
 身なりを整える衣擦れの音が生々しい。
 テレビもついていない二人きりの部屋では
 些細な音も妙に意識してしまって
 今しがた目にしてしまった素肌を
 ありありと思い起こさせた。

 上の空で、彼女の突っ込みを聞き漏らして
「うん?」生返事とともに聞き返そうとすると
 不意に空気が動いて、肌を隠した香菜が
 追い抜いて行った。

 通り過ぎる際、バスローブからのぞく裸のかかとに
 視線を鋭くちらっと宿してしまったが、
 ごく一瞬のことだったし
 彼女はドアに気を取られていたから
 気づかれなかっただろう。]
(122) 2021/06/05(Sat) 20:33:43

【人】 小泉義哉



 あ、別にそっちも


[制止する前に音を立ててドアが開かれた。
 背中越しにも明らかな動揺を見せながら
 開けたのと同じ速度でぱたんと閉じる。]


 …………


[セックスしないと出られない部屋だそうです、
 とはまさか言えず。]
(123) 2021/06/05(Sat) 20:34:13

【人】 小泉義哉

[彼女は状況が分かっているのか分かっていないのか
 くつろぐための衣服を固く結びあげながら
 くるくると思考を巡らせていたようだが
 やがて持ち前の気風の良さを取り戻すと
 勇ましくはっぱをかけてきた。]


 ……まぁ、そうだね。
 閉じ込められた以上、入ってきた場所があるはずだし。
 出口は分かりにくく隠されてるだけかも。


[安直なAVじゃあるまいし、
 まさか本当にシないと出られない部屋ではないだろう。
 第一、彼女の言う通り首謀者がいるとしたら
 言葉通りに従ったところで解放してくれるとも思えない。
 何しろ大人二人を拉致監禁するような相手だ。まともじゃない。]
(124) 2021/06/05(Sat) 20:35:41

【人】 小泉義哉

[奮い立つ心を分けられて頷いたが
 彼女が勇ましくロープの裾をまくり上げると
 どうにも目に毒で、不自然に目を泳がせた。

 威勢のいい料理人の香菜のこと、
 袖程度、暑い厨房でもよくまくり上げているのだが
 良くも悪くも清潔で健全な仕事着ではなく
 性の匂い立つような衣服を身にまとっていると
 すっと伸びる健康的な二の腕の柔らかさが
 不思議に悪魔じみた誘惑を感じさせた。]


 それじゃあ、俺はこっちの方から探してみる。
 手分けした方が早いだろうし。
 なんか見つけたら呼んで。


[部屋の雰囲気に充てられて妙な気を起こさぬように
 適当な口実をつけて香菜に背を向けたものの
 ものの数秒もしないうちに何かを見つけたようだ。]
(125) 2021/06/05(Sat) 20:36:37

【人】 小泉義哉



 何? 鍵でもあった、……!?


[そこには少女のようにおどけながら
 大人のマジカルステッキを振る幼馴染がいた。>>106


 え? あー …… ハハ、なつかしー……


[しらじらしいカラ笑いを絞り出しながら
 禍々しい棒と、香菜の場違いな表情を交互に見やる。

 女には快感を、男には征服感を与えるその棒は
 毒々しいイボのついた趣味の悪い品物で
 なぜか根元の方から枝分かれしている、
 世の中広しといえど、押しなべて女の鞘は一本道だろうに。]
(126) 2021/06/05(Sat) 20:37:41

【人】 小泉義哉



 …… はぁ …… あのさぁ、


[凍り付いた時間を溶いたのは、男が先だった。
 小さく嘆息すると、諦めたように頭を振って
 ずかずかと歩み寄った。

 彼女が数歩下がろうとも
 狭い部屋ではそう身も引けないだろう。
 成長してからはついぞ無かったほど近くに身を寄せ
 バイブを握る手を取り、もう一方の腕は彼女の腰に回した。]
(127) 2021/06/05(Sat) 20:38:53

【人】 小泉義哉



 香菜は忘れてるみたいだけど、俺も男なんだよね。
 ……自分が大事なら、挑発しないでくれる?


[触れた指先が、強烈な電気のように
 彼女の腕の細さと、頼りない腰の柔らかさを
 脳に伝えてきて驚いた。

 まずい、とどこか冷静な自分が警鐘を鳴らす。
 だがそれ以上に酷く乱暴な気分になっていた。
 色っぽく考えないように、と意識をそらしていたのに
 能天気にアダルトグッズを見せびらかす彼女が腹立たしい。
 
まさか成熟した肉を持つ彼女が
 使い道を知らぬとは思いもよらず。


 こんなのは人として最低な行為だ、と理性が叫び、
 同時にどうにでもなれという投げやりな暴力性が
 嵐のように胸の内に渦巻いた。]
(128) 2021/06/05(Sat) 20:40:12

【人】 小泉義哉



 ……ごめん。
 ちょっと、頭冷やさなきゃいけないみたいだ。


[何がきっかけだったか。
 我に返ったのは、ほとんど奇跡と言っていい。

 白くなるほどきつく握りしめていた手を解放すると
 頭を振って彼女から離れ、床に向かって謝罪した。]**
(129) 2021/06/05(Sat) 20:44:25

【人】 小泉義哉

[恋の戯れにおいて何の面白みもない朴念仁のこと
 思わせぶりな駆け引きのつもりは毛頭なく
 急に沈黙した>>130幼馴染を不思議そうに見やった。
 
「どうかしたの?」と問いかけるよりも先に
 ずっと店内にいた初老の男が香菜に呼びかけた。

 そこそこの時間邪魔していたこともあり
 そのタイミングで小泉も帰ることにしたのだが
 店を出ると、今しがた会計を済ませた客が呼び止めてきた。
 彼は幼馴染の父親で、古くからの付き合いがあり
 幼いころには「子猿どもめ」と可愛がられていたのだが
 成長するにつれて小泉の方はすっかり疎遠になっていた。

 呼び止められた理由が思い当らず
 きょとんとしていると、男は嘆息した。
「お前は悪い奴じゃないが、最悪な男だなぁ」
 しみじみとした呟きが、夕刻の雑踏に紛れ込んだ。]
(153) 2021/06/06(Sun) 10:10:38

【人】 小泉義哉

[引き留めるのが間に合わず>>131
 珍しい表情を浮かべた香菜に睨みつけられる。]


 …………ナンカスミマセン……


[内心自分に非はないと感じていても、とりあえず謝って
 その場をおさめようとしてしまう悪癖が小泉にはあった。]
(154) 2021/06/06(Sun) 10:11:00

【人】 小泉義哉

[けれど、挑発には謝罪を返さなかった。
 大股で歩み寄ったから、彼女の後ずさりなど無駄なこと>>132

 厚いタオル地をまとったところで
 乳房の丸みは隠しようもなく
 ゆったり羽織るように作られたローブを
 きつく結びあげていたから、むしろ紐が食い込んで
 豊かな乳房を強調していた。
 その曲線が、平たい男の胸と重なってもなお近づくと
 二つの心臓に挟まれた肉が、柔らかく撓む。

 最初は呆気にとられていた顔がみるみる怯えに歪んで
 挑発してきたのはそちらのくせに
 何を怖れるのかと腹が立った。]
(155) 2021/06/06(Sun) 10:13:10

【人】 小泉義哉

[その時、淫らな部屋の何もかもが消え失せて
 神聖な境内の、穏やかな木漏れ日が降り注いだ。
 穢れを知らぬままの香菜が、白い花々の冠を乗せ
 照れくさそうにまつ毛を伏し、ゆっくりと瞬いて、
 溢れんばかりの幸福を宿して微笑む様を、見た。]
(156) 2021/06/06(Sun) 10:15:27

【人】 小泉義哉

[この女性を、こんな風に犯してはならない。

 それはごく一瞬の美しい幻想だったが
 強烈に胸に焼き付いた。

 たちまち猥雑な部屋に意識が戻って
 腕の中の香菜は不安気に硬直していた。
 欲の昂りは納まる気配が無く、痛いぐらいだったが
 乱暴な気持ちは霧散していた。]


 ……いや


[返された謝罪>>133に、言葉短に返す。
 笑えない冗談だったにしても
 悪気はなかったのは確かだ。]
(157) 2021/06/06(Sun) 10:16:10

【人】 小泉義哉

[手分けして探索したものの、碌な働きはできなかった。
 さして広くもない密室でのこと、
 性の欲望が渦巻いていても解消する術はない。
 だがそれ以上に、先ほどの美しい幻想が
 今度はもやもやとした蟠りとなって胸の中で重く凝る。

 彼女もいつか、幻想ではなく
 現実で花嫁となる日が来るだろう。
 どっしりと構えた彼女のこと
 きっと良い相手に恵まれる。
 彼女は秘密主義だから
 今既に交際相手がいるのかもしれない。

 自分は心から祝えるだろうか。
 あの幸福な微笑みで他の男を見上げる様を
 笑顔で見守れるだろうか。]
(158) 2021/06/06(Sun) 10:17:15

【人】 小泉義哉

[その時、結論の出ない問いの螺旋を祓うように
 大げさな嬌声と水音が響き渡り>>134、飛び上がった。

 香菜が混乱したように局を変え、そのたびに
 いろいろな体位で絡み合う男女(時々同性)が
 大画面の迫力で映し出され
 ひとまずリモコンを借りて電源を切った。

 枝分かれしたあれを男に対しても
 そのように使う猛者がいるとは知らなかった、
 いらぬ見識が深まった。]


 まぁ……期待しない方がいいんじゃない?


[ちらりと見た番組表は
 どれも頭が痛くなるような言葉が並んでいたから
 やんわりとたしなめた。
 AVのタイトルやキャッチコピーって
 なぜか駄洒落好きが喜びそうな秀逸なものが多い。]
(159) 2021/06/06(Sun) 10:17:52

【人】 小泉義哉

[きぃんと耳の痛むような静寂が戻ってくる。
 また気まずさを思い出して
 隣室へと探索を移す香菜を見送った。
 その時には、紙>>135のことなどすっかり頭から抜け落ちていた。

 だから彼女が鼻をすすりながらも紙を持ってきたとき
 ぎょっとして言葉を失った。

 確認の勇気も持たなかった小泉とは対照的に
 香菜は真正面から向き合ってきた。]


 ……読んだ。


[見上げてくる視線が痛くて、ふいと顔をそむけた。
 不器用な男は寄り添って隣に座ることもできず
 観念したようにうなだれながら
 内実では彼女の涙に酷く落胆していた。
 女性の方が性行為が重いのは分かっていたが
 泣くほど嫌悪されているとは思いあたらなかった。


「心配しなくても襲わないよ」とか
「ほかにも方法があるかもしれない」とか
 安心させられそうな言葉はいくつか浮かんだが
 どれも口に乗せてしまえば上滑りしていきそうで
 結局選んだのは沈黙。]*
(160) 2021/06/06(Sun) 10:19:35