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人狼物語 三日月国


150 【R18G】偽曲『主よ、人の望みの喜びよ』【身内】

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【墓】 妄執 ユウキ

>>26 >>27 三十三

「そう。ぁは、ふふ。三十三さんは、篝屋さんが大切なんですねー……」

笑った形のまま、そう返した。笑ってはいるけれど、その実貴方達二人の仲にまるで興味など無いと言うように。そんな、ちょうど己の体のような温度の声色で。

危害は加えない。貴方にも、貴方の先輩にも。
ただ前に進む手助けをするだけだ。
それは善意からなどではない。そんなもの、とうに昔の何処かに置き忘れてしまった。

今青年を動かすのは、ただ一つだけの強い意思のみ。

…………
……

廊下は厄介なものと鉢合わせする可能性がある。
恐らくはすぐ近くの部屋に運んだことだろう。

「治療、どこから手をつけたらいいのやら。ひとまずは止血?少なくとも、血管が傷ついた場所や剥き出しの部分は布を巻くくらいしておかないと。
布……あぁ、伊縫さん……。

 生きているのなら、生きてもらわないと困ります。そうじゃなきゃおれはゆるせませんから」
(+12) 2022/06/07(Tue) 22:57:42

【人】 トラジコメディ フカワ


『叶さん───!!』


それは他愛無い、
無意識のうちの脳の呟きに変換される。

透明な針の山が異形ごと貴方を貫いたのを見れば、
自分の胸まで何かに刺し貫かれたような痛みの錯覚を。

(───どうして?何故?なんで?)

疑問ばかりが頭で膨らんでいくものの、
それは── きっと、全てが終わっても分からないものだ。
仰向けから身を捩らせて、肘を突き、
手を伸ばしてもがいてはみるけれど、
決してどうにもできない目の前の光景を、
(32) 2022/06/07(Tue) 22:59:20

【置】 トラジコメディ フカワ

 
自分がそうなるものとばかり思っていたのが、癪だった。
(L7) 2022/06/07(Tue) 22:59:48
公開: 2022/06/07(Tue) 23:00:00
ナオアキは、他人にとって、理解できない理由なぞどうでもいいことを知っている。
(a45) 2022/06/07(Tue) 23:23:22

ナオアキは、罪の意識は、この期に及んで伊縫に外付けされたものだけだ。
(a46) 2022/06/07(Tue) 23:23:33

ナオアキは、己に地獄は似合いだと思わない。ただ、
(a47) 2022/06/07(Tue) 23:23:44

ナオアキは、己は地獄以外へ至るわけもないと思っている。
(a48) 2022/06/07(Tue) 23:23:47

ナオアキは、頭が痛くなくなった。
(a49) 2022/06/07(Tue) 23:24:01

ナオアキは、動かない。
(a50) 2022/06/07(Tue) 23:24:04

氷肌玉骨を手に ナオアキは、メモを貼った。
(a51) 2022/06/07(Tue) 23:31:20

【人】 未だピンボケ ライカ

>>+12
「ここに来る前からの、知り合いですから」

ただ、それだけを。
だから、貴方のその声色が気になる事はなかった。
どう思われていても、貴方がすることも 自分がするべきことも、変わらない。

前に進むために手を貸してくれるのなら、その手を借りるだけだ。
生きなければならない。生きたい。生かしたい。
こんなところで死んでたまるか。

「麻酔があればよかったんですけど……そうもいきませんから。
 起きた時の痛みは、我慢してもらうしかないですね……」
「布……貴方の荷物にあった、職員の制服も使えますかね。首回り以外は汚れていなかったと思いますし。
 それに伊縫さんもきっとまだ持っているでしょうから。僕が会議室に取りに行ってきますよ」

他に必要なものはありますか、と尋ねながら。
汚れや血を洗うための水もストックから持ってくるべきかと頭を回す。

「……僕だって。
 生きているなら、生きてもらいたいです。生きていたいです。
 そうでなければ、ここに放り込まれた誰もが 報われない」

決して強い人間じゃないけれど、決意だけは。
(33) 2022/06/07(Tue) 23:57:10

【墓】 妄執 ユウキ

>>33 三十三

生への執着を知る。
生かすための決意を聞く。
生きるための覚悟を見る。

「…………」

ずっと、考えていた。
人を人たらしめるものは何なのかと。
進化を続ける理由は何だろうと。


目を細め、貴方の姿を焼き付けるように視線を注いだ。

「制服。そんなのもあったなぁ。そこまで時間が経っていないのに、ああ、ああ、なんだか遠く。ふふ、ふふー。
あの人は、あの時から、あの時に?ふふ。

 ええと……はい、ええ、人前に出る際に酷い怪我を隠したい時とか、きっと役に立つかと。
よかった、無駄ではなかったんだなぁ。


生前なら内に留めておけただろう余計な思考も垂れ流しながら、貴方にお願いを託す。

「……誰もが。血で手が汚れている人でも?」

貴方が一度部屋を出る直前辺りだろうか。
こてんと首を傾けながら、無邪気にそう言葉を投げかけただろう。
(+13) 2022/06/08(Wed) 0:15:11

【人】 西へ行く カナイ


斯くして人と異形の間と化した者はその動きを止めた。

臆病者はそれを見て取って暫くの後、
漸く殆ど硬直したように掴み掛かったままの手を脱力させ、

────ぱきり、


罅の入るような微かな音がして、
その後に透明な凶器が一斉に砕け、
両者は束の間この現に創られた地獄から解放された。

「い"、ぁ う"ぇ ぇっ、」

砕けた拍子に破片が再び肉や臓腑や神経を傷付けて、
倒れ込んだ事によってそれがまた深くへ潜り込んで、
言葉にならない悲鳴を上げ、血反吐を吐いて嘔吐いた。
これも、あの人にした事が自分に返って来ただけの事。

怖い。
怖い。
怖い。
死ぬのは怖い。
逃げたい。
けれど死からなんて、逃れられるわけがない。
(34) 2022/06/08(Wed) 0:20:03

【人】 西へ行く カナイ


「──、……深和さん…」

焦点が定まらなくて、前がよく見えない。
血がどんどん流れ出ていって、寒気がする。
全身から力が抜けていって、指先一本動かすのも億劫だ。
ああ、怖くて仕方がない。


「ぶじ、ですか そこにいますか……?」

それでも余計な思考を追い出して、
理性を掻き集めて、唯一正常な思考に意識を集中する。
まだ、伝えなければならない事がある。
(35) 2022/06/08(Wed) 0:20:50

【人】 西へ行く カナイ


「…仮眠室、に、……弓日向さんが、います」

迎えに行く・・・・・と行って会議室を後にしたけれど、
その後にこうして駆け付けた叶は少女を伴っていなかった。
そのわけを、自らの罪を、話しておかなければならなかった。
あなた達に無用な不安を与えてしまわないように。

「奈尾さんと、…おなじ、ようになってて」

「どうすることも でき、なくて おれが、やりました」

「……あの子が使ってた端末、
 あの部屋に おきっぱなしに、しちゃって」

抱えていた願望、そして呪詛。
叶わなかった望み。

それを与り知らない所で他者に知られるのは嫌だろうから、
大半のテキストファイルにはロックを掛けたけれど。

それでも、唯一の遺品と呼べるものだから。
生きて行く人に託したかった。
(36) 2022/06/08(Wed) 0:22:00

【人】 西へ行く カナイ


「…あはは……」

「頼まれたこと 全然、できなかっ た」

無事で、と言われたのにこのざまだ。
頼んだと言われたのに、迎えに行った少女の事も救えなかった。
生きてという最後の望みさえ叶えられなかった。

当たり前に頼まれた事を、
当たり前にやってのける事すらできなかった。
ああやっぱり、自分はどうしようもなく不甲斐ない人間だ。

「おこられ、るか なあ……」

それなら、怒られても、仕方ないかな。
(37) 2022/06/08(Wed) 0:23:14
カナイは、罪の重さは自身が計るものではなくて。
(a52) 2022/06/08(Wed) 0:28:47

カナイは、与えられる罰も自身が決めるものではないと思っている。
(a53) 2022/06/08(Wed) 0:28:58

カナイは、それは、罪悪感の有無に関わらず。
(a54) 2022/06/08(Wed) 0:29:19

カナイは、だからこれは、なるべくしてそうなっただけの事。
(a55) 2022/06/08(Wed) 0:30:29

【人】 トラジコメディ フカワ


「叶、さん……」

頭痛と吐き気が身体を苛みつつも、
どうにか貴方を救う手立てを考え続けて。
しかしぽろぽろと涙が流れ落ちるばかりで、
それ以外には何も出てこない。

手遅れだということを認めたくないのに、
悪癖となった諦観が身を包んで離してはくれない。

「なんで……オレで、よかったの、に……
 全部……持って行かないでくれよ……!
 ひ、二人の……二人で抱えるもの、だったでしょうが」

這う這うで近づいて行って、
投げ出された掌を両の手で握ると、
急速に失われていく体温が痛いほどに伝わってきた。
(38) 2022/06/08(Wed) 0:44:30

【人】 トラジコメディ フカワ


「オレは……貴方がいたから、
 立ち向かう勇気を貰えたんです。

 オレが頑張らなければ、
 いつか叶さんがそうなってしまうと、
 ───貴方が貴方を害してしまうことを、知っていた」

それを止めたかったのに。
あるいは、どうしても助からないというのなら、
オレも共に、そこへ連れて行ってほしかった。

何もかもが上手くいかないのは、
己がやはり弱者に過ぎないからなのか、
それとも、罪に対する罰がこの形になったのか。

「貴方の、せいで───
 貴方のせいで、無事になっちゃいました。
 
 許さないです。これから、ずっと」

至らなかった自分と、勝手な貴方を。
許したところで、貴方が助かるわけじゃない。
(39) 2022/06/08(Wed) 0:57:19

【人】 トラジコメディ フカワ


「どうして全部事後報告なんですか……貴方って」

思わず、溜息のようなそれが出た。
そういえば近頃は心中で呟くばかりで、
直接愚痴を吐いたりするようなことを忘れていた。

血の混じった裾で目元を拭えば、
頭がどんどん冷めていく。
リアリティに欠けた感覚が、胸の内を満たしていく。

「そうと知っていたら、
 貴方の力を借りようだなんて思わなかった。

 無理させようとか、そんなの御免ですし、
 ねえ、もっと別の方法を考えられたんです。
 オレ達はマジで、どうして……こうなるんですかね」

言った所で全部無駄なことはわかっている。
そもそも他に方法があったかさえ定かじゃない。

けど今は、ありったけの恨み言を言わなきゃ気が済まない。
(40) 2022/06/08(Wed) 1:05:30

【人】 未だピンボケ ライカ

>>+13 結木さん
「じゃあ、先輩に渡した方が良いですね。
 ただでさえ、すぐに眠ってしまうんですから。無防備な背中は隠れた方がいいでしょう」

願いを素直に聞いて、頷いて。
続いた問いには、少しだけ考えるような素振り。

「……少なくとも、ここにいた人達にはそうあってほしいですよ。例え手が汚れていたとしても。
 手を直接汚した人だけが悪人ではないでしょう」

自分だって。救いの手を伸ばす前に、記録することを優先する人間だ。
それが原因で、救えた命を取りこぼしたことも 非難されたこともある。
だから、社会的な悪を断じる権利もないし。そもそも、決めつけることも決めつけられることも好きではないのだ。
自分がそう思って、行動に変えるだけ。

殆どの行いは、自分のためだ。

そう答えると、急ぎ足で会議室へと向かい 必要な物を取りに行くことだろう。
(41) 2022/06/08(Wed) 1:07:09

【人】 トラジコメディ フカワ


「……頼まれて、あげますよ。
 他でもなく、誰にも頼らなかった貴方が、
 初めて俺に対してくれた、“頼み”ですからね」

本当に、どこまでもどうしようもない似た者同士だ。

「オレだって」

「オレだって、何もできなかったんです。
 だからオレも貴方の頼みを叶えてあげられなかったら、
 ちゃんと怒ってください。じゃないと不公平です」

置かれた環境からしてどうしようもなく絶望的で、
自分の力にしか頼れなくて、何かが狂ってしまった。
そうでもしなきゃ、生きていけなかっただけの。

身に過ぎた物を持たされてしまっただけの、人間だ。
(42) 2022/06/08(Wed) 1:19:08

【人】 トラジコメディ フカワ


『───だからいまは、ゆっくり休んでください。
 私も……もう一仕事してから、そちらに行きますから。

 叶さんは、もうひとりじゃないです』


もう音が届くか分からないから、
頭に直接話しかける。細胞レベルの仲間意識があるのだ、
いっそ音にするよりこっちのほうがよく伝わるだろう。

『ひとりじゃないなら───怖くないですよ』


はやがて西に沈むから。
それが今貴方に与えられる、一番の救いになればいい。
(43) 2022/06/08(Wed) 1:23:23
フカワは、些細な秘密と罪しか、この身に持ち合わせていない。
(a56) 2022/06/08(Wed) 1:26:27

フカワは、貴方と自分が死後行く場所があるとしたら、地獄に他ならないとは思っている。
(a57) 2022/06/08(Wed) 1:27:35

フカワは、それで満足だ。
(a58) 2022/06/08(Wed) 1:27:44

【墓】 妄執 ユウキ

>>41 三十三

「そうですか。……」
「報われるとか、報われないとか。気持ちは分からないけれど。
 みんないきてほしいなってことは、わかるなあ」


短く返事をして、青年を見送った。

それは博愛などではない。殆どの行いは自分のため。
きっと貴方はこれからもそうであり続けるのだろうと、そんな印象を抱いて。
貴方の写真はブレることがなさそうだな、とも。残った知性はそう判断した。

「早くおきてくださいね。篝屋さん。貴方の死は礎になりません。
 三十三さんが頑張って生きるには、貴方も生きていないと。今は多分、きっと。
 はやくはやく。ねーぇ。ふふふ。
 おれはまだ、みていませんから。みたいですから。ゆるしません、ゆるせません」


近くに寄って、怪我の具合を時折検分しながら篝屋の顔を覗き込む。

再度此処に三十三が来るまで、未だ意識を失い続ける青年に意味を持たない笑い声を撒いていたのだった。
(+14) 2022/06/08(Wed) 1:46:55
ライカは、暫くすれば戻ってきたのだろう。ペットボトルの水と、首周りの汚れた制服を持って。
(a59) 2022/06/08(Wed) 1:55:06

【人】 西へ行く カナイ


「あは、は」

あったかい手だなあ、なんて思って。
自分の手が冷たいだけだと気付いて、おかしくて。
その後に続いた言葉が、なんだかもっとおかしかった。

「おれが、あなたにとって……恐ろしいものじゃ、ないって
 保証もないん、だから。喜んだっ て、いいのに…」

零れ落ちる涙が少しだけ手を濡らしたような、ないような。

自分が二人の秘密を暴露する可能性だってあっただろう。
自分があなたに危害を加える可能性だってあっただろう。
不確定要素が減るのは、喜ぶべき事だ。

「でも、」

「よかった」

あなたが無事でよかった。
でなければ今こうして正気は保っていられなかっただろう。

許さないでいてくれてよかった。
平気な顔をしていたら、恐ろしいと思っていたかもしれない。
(44) 2022/06/08(Wed) 3:27:52

【人】 西へ行く カナイ


そう言う深和さんだって、
さっきも今も急に呼び付けてばっかりだったくせに。


そんな子どもじみた反論は、
あなたとは逆に、心の内だけのものとなった。
いよいよ力が入らなくなってきて、
息を吸って、声を出す為に腹部に力を入れる事も難しい。

安堵するにつれ、意識が遠退いていく。
それはきっと、この臆病者を最も強く突き動かす意思が
不安や恐怖から成るものだからなのだろう。


曰く、死の間際、最後に残る感覚は聴覚なのだと言う。
そうは言っても限度はあるもので、
そもそも音として聞こえていたとしても
夥しい量の血を失った脳が意味を理解できたかは定かじゃない。
(45) 2022/06/08(Wed) 3:28:20

【人】 西へ行く カナイ


────けれど。

頭の中に直接響くような声に、
心の内にそっと、深く染み込むような安堵に。

能力の行使に必要な触媒は、恐怖の対象。
恐れるものが無ければ、この力は無いのと同じ。



「     」


きっと、ここに来て初めて、やっと。穏やかに笑って。
(46) 2022/06/08(Wed) 3:29:16
カナイは、そっと瞼を下ろした。
(a60) 2022/06/08(Wed) 3:29:24

カナイは、待っている。
(a61) 2022/06/08(Wed) 3:29:30

カナイは、いつか日が昇る事も、いつか日が沈む事も。
(a62) 2022/06/08(Wed) 3:29:36

カナイは、静かに眠ったまま、そのどちらをも、待っている。
(a63) 2022/06/08(Wed) 3:29:41

西へ行く カナイは、メモを貼った。
(a64) 2022/06/08(Wed) 3:30:04

【人】 トラジコメディ フカワ


「───」

一先ず連絡を入れよう。
脅威は既に去って。実験動物は会議室には来ない。
もう、終わったのだと。
(47) 2022/06/08(Wed) 3:59:33
フカワは、端末へ事の顛末を送って。
(a65) 2022/06/08(Wed) 4:00:14

フカワは、しばらく、呆然とその場に座っていた。
(a66) 2022/06/08(Wed) 4:01:11

西へ行く カナイは、メモを貼った。
(a67) 2022/06/08(Wed) 5:45:47

【置】 臆病者 カナイ


叶 西路という人間にとって。

ハリは恐ろしいものを元から断ち、その過ちを突き付けるものだった。
臆病者が、心底恐れるものに立ち向かう為の爪牙だった。
立ち向かって、向き合って、乗り越える為の意思だった。

その振るわれ方がすべてまったく正しいものであったとは言えないだろう。
それは度々その切っ先が自らをも傷付けた事が物語っている。
罪悪感や後ろめたさは初めから抱いていた。見ないふりをしていただけで。


どのような理由があろうとも、罪は罪であり、消えて無くなりはしない。
明確な意思でもって他者に害を為したなら、人を殺したなら。
それは地獄に落ちるに十分な罪科足り得るのだ。

それでも、それ以外の事実だって残り続けて、消えはしない。
結木さん。
弓日向さん。
深和さん。
それだけじゃない、きっと、誰だって。

どれだけ怖くても、やりたくなくても。
あそこで終わらせなければ、
もっと恐ろしい事が起きるのであれば。
きっと、同じようなことをしましたよね。
(L8) 2022/06/08(Wed) 16:10:23
公開: 2022/06/08(Wed) 16:15:00

【置】 西方より日をのぞむ カナイ


斯くして臆病者の爪牙は、
最後にはこの悲劇の筋書きへ向けて振るわれた。

いったい何処から悲劇は始まっていたのだろう。
どうしたらよかったのだろう。
自分達は何処へと進んで行けばよかったのだろう。
ただ必死に逃げ続けた先に何があったというのだろう。

そんな事は、もうどれだけ考えたって手遅れだろうから。
きっと全てはなるべくしてそうなった事だから。

だから今は、残る結果だけが全てなんだろう。

ねえ、まだそこにいますか。
どうしようもない人間でも、誰かを救えましたか。
それでも当たり前に怒られるような事をしたおれの事を、
当たり前に怒ってくれますか。

あの子の引いた弓は、おれの突き立てた爪牙は、みんなの祈り人の望みは。
もしも居るのだとしたら、少しでも神様に届くでしょうか。

そうだとしたら、きっと。
(L9) 2022/06/08(Wed) 16:12:32
公開: 2022/06/08(Wed) 16:15:00
カナイは、それで満足だ。
(a68) 2022/06/08(Wed) 16:12:39

【置】 棕櫚の主日 コゴマ

心配を胸にいだきながらに廊下を駆け戻っていた脚は、
端末に入った連絡への安堵で、僅かにゆるめられた。
けれどもその先に見えた光景は、静か過ぎて。
近づいてきたと気づけないくらいには、遠くの場所で立ち竦む。
誰ともなく声をあげるまで、その光景を見守り続けた。
(L10) 2022/06/08(Wed) 19:00:27
公開: 2022/06/08(Wed) 19:00:00

【人】 未だピンボケ ライカ

2人の元に戻ってきて、篝屋先輩が気を失っている今のうちに 服の上からペットボトルの水をぶちまけるようにかけていく。
痛みを感じるかもしれないが、とにかく酸を流すためにペットボトルを空け続ける。

ちゃんとした応急手当のキットはないから、最低限の治療だけを施して。
上に職員の制服を羽織らせる。

あとは無事に目を覚ましてくれればよいのだけれど。

「……体力も落ちてるでしょうから、無理はさせられないですね」

自分が怪我もなく体力も余っていてよかった。
全員が満身創痍だったら何も出来なくなっていたところだ。
(48) 2022/06/08(Wed) 21:17:32

【墓】 妄執 ユウキ

>>三十三

その青年は治療を手伝いつつ、眠っている篝屋と手当を行い続ける三十三の二人をじぃと見つめていた。

「そうですね。篝屋さん、怪我が怪我ですから本来なら絶対安静してほしいところですけれど。
 んー……、圧倒的に不足してますねー」

人も。物資も。
けれど嘆いたところで何かが降ってくるわけではないのだ。やれる範囲で、やれる事を。


「……ねえ、三十三さん。これは純粋な興味なんですけど」

作業が落ち着いたあたりで青年はおもむろに口を開いた。

「貴方は何故、写真を撮り続けているんですか?
 このような状況になったとしても」

子供のようなくりくりとした瞳を、けれど光を宿していないような眼差しを向けて、貴方にそう問いかける。
体が、意識が、俺の何かがずっと叫んでる。見たい、聞きたい、知りたい。
……何をだろう。
(+15) 2022/06/09(Thu) 17:04:21

【人】 未だピンボケ ライカ

>>+15 結木さん
「本当に。
 伊縫さんも怪我をしていたようですし。深和さんたちももしかしたら何かに出くわしている可能性があります。
 元々、体調や精神面も良くなさそうでしたしね……」

自分だって、余裕があるわけではないけれど。
少なくとも身体だけは、他の誰よりも元気で動き回れるはずだ。

「はい」

何だろう、と手をハンカチで拭いつつ。
先輩に向けていた目を貴方の方へ。
続く言葉に、暫し迷ったのち。

「そう、ですね。
 ……僕の、潜在的な興味―――でしょうか」

あまり認めたくはないんですが、と続けながら。

「僕は元々、人物写真が好きでカメラを触っていたんです。
 生きている人たちの生活、日常を切り取る事が好きだったように思います」

「高校生の頃―――交通事故の現場に鉢合わせるまでは」
(49) 2022/06/09(Thu) 19:36:57

【人】 未だピンボケ ライカ

>>+15 結木さん
「女性が倒れていました。血だまりの中に倒れて、傷だらけで。
 まだ事故が起きたばかりでしたから、生きていたかもしれません」
「僕は、無意識のうちにカメラを構えていました。
 証拠写真のつもりだったと思います。

 通報よりも先にカメラを構えた僕を、周りの人は問い詰めました。非難しました。
 自分でも、興味本位で撮った写真ではないと思い込みたかったんです。きっと」

続ける。

「でも、その頃から」
「僕は生きている人よりも、
死んでいる人 死に直面しようとしている人を切り取ること
に興味を覚えました」

気付けば、向かった先には首を吊っている人が揺れていたり。
飛び降りようとしている人が屋上に立っていたり。
そういったことが増えていた。
それが偶然だったのか、自分が追い求めたものだったのか。
今はもう覚えていないけれど。

(50) 2022/06/09(Thu) 19:46:43

【人】 ピントを合わせて ライカ

>>+15 結木さん
「僕は、死に行く人を。死んでしまった人を。死に直面してなお抗う人を。
 
この手で記録したいんです


「ただ、それだけですよ」
(51) 2022/06/09(Thu) 19:49:48
2022/06/09(Thu) 19:52:28

【置】 氷肌玉骨を手に ナオアキ

 誰もいなくなった会議室。ずるりずるり、粘着質な音がする。

「お留守番アリガト〜、思っていたよりも結構あけちゃった」

「他の人居ないし、さみしかったでしょ。ごめんね」


 弱々しい声をこぼしながら、ソレはなんとか椅子に座り込んだ。床に転がっているよりかは多少見てくれはマシだが、焼け爛れ傷付き、数えきれないほどの穴が開いたソレは、どうにも人とは思えない外見だ。

「……取りに来たはいいケド、これじゃ汚しちゃうのよねェ」


 視線の先には枕があった。あの猫ちゃんカバーの。ふ、と伸ばされた手は途中で止まる。血の赤は何だか分からない黒に塗りつぶされて久しい。どれにしろ、触れることは憚られた。

「ここから動くのも、はァ、しばらく無理そう。テンションで動きすぎ」

「治ったら、そうねェ、汚れ落とすよりも袋持って来た方が早そう」

「置いた場所にあれば、探さなくていいんだケド」

「意識一回飛んじゃってから、静かになったわねェ」

「あんなに五月蠅かったのに」

「どっか行っちゃった? 結局何だったのかしら、アレ」

「アタシ、死なないわ? 死んだかもしれないケド、死ねないの」
(L11) 2022/06/09(Thu) 19:55:20
公開: 2022/06/09(Thu) 20:00:00
ナオアキは、まだやり残したことがある。
(a69) 2022/06/09(Thu) 19:55:32

【置】 氷肌玉骨を手に ナオアキ

「猫チャン猫チャン、ここにいる間、お喋りしましょ?」

「持ち帰るのに、入れ物が欲しくって」

「丁度良かったのよ、アナタ」

「タオルよりも、綿の中の方が壊れなさそうでしょお?」

「あと、」

「作って貰ったモノって、持ち帰ろうとしていいじゃない?」

「こんな非常時でも」


 
「伊縫サン伊縫サン」

「探しに行くからね」

「早く動けるようにならないかしら」

「手だけでも、指だけでも」


「ほしいのよ」

 
(L12) 2022/06/09(Thu) 19:58:06
公開: 2022/06/09(Thu) 20:00:00
ナオアキは、まだ諦めていない。この先も、死んでも。
(a70) 2022/06/09(Thu) 19:59:01

ナオアキは、もう動けない。
(a71) 2022/06/09(Thu) 19:59:17

ナオアキは、猫ちゃんとお喋り。
(a72) 2022/06/09(Thu) 19:59:26