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【人】 宵闇 迅……おれではないですけどね。 サプリからでも栄養はきっちり摂るべきだと学んだね。 [嘘ではない。学生時代のバンド仲間の話だ。 節約して新しいギターを買うと言い放った彼は、 入院費の方が高くついたとそれはそれは嘆いていたので、 ――まあ、身につまされる話だったということで。>>67] わかってるんですかね……。 使い古された言い回しだけどね、真里花。 男は狼っていうんです、くれぐれも気をつけるように。 [くれぐれも、にスタッカートがついたのも致し方あるまい。 その狼の群れに居た身からの忠告である。 不満げな声音に眉尻を下げつつも、響いてないな、と 半目になってしまうのもやむなし] (0) 2020/12/31(Thu) 13:31:03 |
【人】 宵闇 迅おまえをひとりで出歩かせるわけにもいきませんよ。 来たのが唐突なら帰るのも唐突かもしれないしね。 ……まあ、おまえも年頃だし、 兄と連れ立つのは気が引けますか。 [冒険心を逸らせているのだろうな、と>>68 そわそわした素振りをみせる妹に内心で和みつつ、 何か話題があれば多少の気まずさもなんとかなるだろうと 楽観的な思考がよぎる。] おまえが4歳ぐらいの時に、温泉饅頭は食ってますよ。 温泉卵も。……いや、あれは温泉で茹でたゆで卵でしたね。 親父が来れなかったからおれとおまえと、母さんで。 覚えてない? [実家から日帰りできる他県の温泉地に、 世話役として引きずり出された記憶を思い浮かべながら問う。 真里花のお世話してたんじゃお母さん休めないでしょとは、 母なりの甘えだったのかもしれないが腹が立った覚えがある。 そんな思考で連れ回される妹が可哀想だと、 ――結果としてその口車に乗ったわけだが*] (1) 2020/12/31(Thu) 13:31:24 |
【人】 宵闇 迅ああ。 おまえが大泣きして泣き止まねぇから、 おれが風呂に入れたあれね……。 [元々風呂なんて烏の行水だった自分は、一足先に部屋に居た。 ぐずって手に余ったらしい妹を託すなり、 そそくさと大浴場に舞い戻った母に、そらみたことかと 半目になったのがついこの前のようだ。 ――おれも温泉に行きたいんだけど、ついてきてくれる? なんて、そんな誘い文句で、 おおきいおふろ、から遠ざけられてご機嫌斜めのお嬢さんと、 ゆっくり温泉を満喫したんだったか。] (10) 2020/12/31(Thu) 23:26:17 |
【墓】 宵闇 迅 ―とある少年のXX― [それからというもの>>+6、 それこそ親のように妹の面倒を見てきた。 無論学生の身分であったので、 都合のつかないこともあったけれど。 時間と予定が許す限り、甲斐甲斐しく世話を焼いた。 ――妹優先してて疲れない? そんな言葉を同級生にかけられることもあったけれど、 寧ろ、浮かんだのは疑問だった。 妹の面倒を見るのは兄の役目だし、当たり前のことだ。 何故この人はそんな当たり前のことを聞くのだろう? どういった回答を求めていたのかは知らないが、 思ったまま話すと何とも言えない顔をされたのを覚えている。 今にして思えばわかる。 彼らがゲームに漫画に、スポーツに、と遊んでいる間、 "彼らたちがやりたいこと"の代わりに、 妹の世話をしている自分は、親の都合でとんでもない 我慢を強いられているように見えたのだろう。 事実、得体のしれない何か、と思っていた頃は、 学校で妹の話が出ても乗り気でなかったのだから仕方ない] (+0) 2021/01/01(Fri) 21:59:10 |
【墓】 宵闇 迅[毎日、できることが増えていく。 話す言葉が増えていく。 少し目を離した隙に迷子になったり、 夜にトイレに起こされたり、遊びに行ったり、 要求が通らないと腕の中から海老反りで逃げようとしてみたり かと思えば足元でもじもじしてみたりして、 少しずつ成長していく様を見ているのは楽しかった。 高校にあがってから、気の置けない友人たちもできた。 学食のテーブルに写真を表示した携帯を置いて、 一人は弟の、自分は妹の話をして、 一人っ子の友人を、羨ましがらせるのが日常になった。] (+1) 2021/01/01(Fri) 21:59:24 |
【墓】 宵闇 迅「いいなァ、妹。オレも妹か弟欲しい」 「うちは弟だからあんまり気にしないが、 女の子の扱いって難しくないか?」 「それはオマエだけ、オマエがいっとうがさつなの」 まあ、間違いなくうちの妹は鴨居に頭ぶつけたら泣くね。 「で、泣いてないよ、っていうんだろ〜? 可愛いなァ」 おまえは我が家には立入禁止やからね、絶対に。 [何でだよ!? と吠える友人を笑いながら、 あることないことを理由にわざとらしく拒絶する。 おれよりでかいからだとか、真顔が怖いからだとか、 チャラいとか、女癖悪いとか、色々。 本当は誰より真面目で誠実な男だと知っているけど。 じゃあおれはいいよな! と朗らかに笑うもうひとりにも、 おまえは弟を鴨居にぶつけるド級のがさつ野郎だから駄目と 理由をつけてやれば、抗議の声は二倍になった。 友人同士のとりとめもない話に当たり前に組み込む程、 兄妹で過ごすことはそれこそ、彼女が成長するまでは、 ――当たり前に続くものだと疑ってもいなかった] (+2) 2021/01/01(Fri) 21:59:46 |
【墓】 宵闇 迅「お母さん離婚するから。 真里花は連れてくけど、アンタは、来ないわよね」 [飲み物を取りに一階に降りたときだった。 リビングに居た母は、なんでもないようにそう言った。 返答に窮した息子をどう思ったのか、 考えておいて、と話を切り上げて自室に引き上げる母を 無言で見送り、そのまま暫く立ち尽くしていた。 青天の霹靂とはまさにこういうことを言うのだろう。 母の実家は飛行機の距離だ。恐らく実家に帰るのだろうし、 そうなれば、滅多なことでは会えなくなる。 流石に高校三年にもなれば、親の性格ぐらい把握できる。 わざわざ来ないだろうと断定して問いかけるくらいだ、 大きい息子が居ると邪魔なんだろう。 此方としても、成人を目前に控えて、 わざわざ母についていく理由はない。 ――でも、妹は?] (+3) 2021/01/01(Fri) 22:00:00 |
【墓】 宵闇 迅[なんとか自分の部屋まで戻って、携帯を開く。 返事をしそびれていたメールを眺めて、少し、躊躇ってから。 そっと、通話ボタンを押した。 コール音の後に、聞き慣れた声がする。 深夜に差し掛かる頃にも関わらず、声音は平常だった。] ……おや、が、 『うん、』 親が、離婚する、って、妹連れて、出てく、って 『――うん、』 アンタは来ないだろ、って、そんなの、 そんなの……、すぐ決められることじゃないのに、 [支離滅裂で、要領を得ない言葉の数々にも、 丁寧に相槌を打ちながら聞いてくれる声は暖かかった。 言葉がつかえて、沈黙した自分に代わり、 こんがらがった思考を解すように、ひとつひとつ、 丁寧に現状と今後を並べる声音に耳を傾けて、目を閉じる。 どうしてこんな選択を強いられるのだろうか。 尊敬してずっと習いたかった先生と――自分の夢か、 自分に懐いて、何かあれば両親より先に自分を頼る妹か、 そのどちらを選ぶのか、或いは選ばないのか、なんて。] (+4) 2021/01/01(Fri) 22:00:20 |
【墓】 宵闇 迅『まあ、考えるだけなら選択肢はたくさんあるよな。 迅はさ、どうしたい?』 ……おれ、は、 …………、 『まずさ、たしかにオマエの話を聞く限り、 妹ちゃんは母親よりオマエな感じだし、 離れたらすごく寂しがるだろうし悲しいだろうけど、 でもそれで責められるべきはオマエじゃなくて親だよな?』 ――そう、かな。 『いやそうだよ、そもそも親の都合で離れるワケだし。 だから、オマエの母親が、妹ちゃんにしっかりと 誠意を尽くしてこういう事情だったんだゴメンなって やんなきゃいけないの! オマエに責任があるとしたらそれからの話だって。 向こうに進学してちょいちょい顔を見せてやるのか、 こっちに残って連絡取ったり会いに行ったりしてやるのか、 そこでも親御さんはさ、オマエがやりたいことをそれこそ 全力で応援する義務があるだろ』 (+5) 2021/01/01(Fri) 22:00:34 |
【墓】 宵闇 迅[義務、と鸚鵡返しにして、数拍。 先程閊えて出てこなかった言葉が、漸く形を得た。] ……まず、相談してほしかった、 『うん、』 妹、の、真里花の、面倒みるのは嫌じゃないし、 好きだけど、……あの人に、言い訳にされるのは嫌で、 ……マリの、ことも、真里花がどうしたいかとか、 あの人聞いてないし、聞くつもりもないし、 『……うん、そーだな』 真里花だって、考えてるのに、ちゃんと言えばわかるのに、 確かに小さいけど、こまい頭で考えとるのに、 なんも聞かんで、勝手すぎるやろ…… 『うん、それ、そのまま言いなよ。 アンタは自分勝手すぎる、ってさ。 妹ちゃんの代わりに、迅が戦ってやりな』 [うなずく。言葉にも音にも出来なかったそれは、 正しく伝わったらしい。小さな笑い声混じりの吐息が落ちて、 がんばりな、と友人がそっと背を押してくれた] (+6) 2021/01/01(Fri) 22:00:56 |
【墓】 宵闇 迅……おれはついていかない。こっちで進学する。 [一晩経って、腹は括った。 洗い物をしていた母は振り向きもせず、水を止めもせず、 ああそう、と短く応じただけだった] ただ、真里花にはちゃんと話して。 言えばちゃんとわかる年齢だよ。 どうして離れ離れになって、一緒に暮らせないのかぐらい―― 「わかったわかった。アンタも早く準備しなさい、遅れるよ」 [結局最後まで此方を見もしないままで。] (+7) 2021/01/01(Fri) 22:01:14 |
【人】 宵闇 迅[廊下に出ても漂う温泉の香りは、どこか郷愁を誘い、 ささくれ立つ心を柔らかく解してくれる気がした。 また眉間にシワが寄ってるぞ、 怖い顔するなよなオニーチャン、 なんて、冗談交じりにからかってくる顔が思い浮かんで、 僅かな笑声を吐息に乗せて追い出した。 ――うん、まあ、なるようになれ。 少なくともこれが夢であるなら、 目をさますのが惜しくなるぐらいに、 幸福な夢であればいい] (29) 2021/01/01(Fri) 23:00:50 |
【人】 宵闇 迅そうだったね。 [泣いてないよ、と。>>17 ぐずぐず鼻を鳴らして、目を真っ赤にしながら言い募る顔を、 よく覚えている。えらいね、と決まって声をかけた。 泣いちゃったとしても真里花はえらいけどね、と付け足して。 ちゃんと手を繋いで歩けば走り出したりしない。 ここは滑るから気をつけて、といえばちゃんと注意した。 そんなこともしてやらなかったから転ぶんだ。 ――当然だ、初めての場所で、人間四年目だったんだから。 大人だってうっかりしたら転ぶのに。 背中を洗って? 撫でて? もらったかわりに、 髪を丁寧に洗ってやったんだったか。 ちゃんと言えば、頭から流したってへいちゃらだった。] (30) 2021/01/01(Fri) 23:01:02 |
【人】 宵闇 迅なにが大丈夫ですか……。 おまえが成長したぶんだけおれは衰えてるんですよ。 [調子のいいことをいう頬をつついて、 みて、と言われた方に視線をやる。>>18] ここのご当地マスコットですかね。 ……気が抜ける顔をしてる。 [※個人の感想です。 ポスターで宣伝するぐらいなら、 きっと物販はそこにあるんだろう。頷いて、歩を向ける。 妹の少し後ろを歩いて、時折内装に目をやりながら歩けば、 程なくしてロビーに到達した。 来たときはフリーズしていて全然見ていなかったが、 一角には確かに土産物屋があるようだった。 つむじをつついて指し示す。目的地です。*] (31) 2021/01/01(Fri) 23:01:11 |
【人】 宵闇 迅泣かないことがね、 いいこととも限らないよ。 [これは受け売りだ。人の。>>32 感情のままに喚き散らすことと、 感情を昇華することは違う。おとなになると泣けなくなる。 まだそれが赦されるうちは、目一杯泣けばいい] "ほぼ"が取れたら、泣いてなんていられなくなるからね。 泣いてしまったって、 ――真里花は頑張ってる、偉い子だから。 [異父妹が生まれたと聞いたのは、いつだったか。 母は若くして自分を産んだし、 もしかしたらあり得る、が現実になった時に、 体よく"おにいちゃん"を言い訳にした母を思い出した。 休みたいなら構わない。母親だって人間だ、疲れもする。 だがそれを、休憩ではなくて放棄の理由にされるのは、 甚だ遺憾だったし、今もなおあの人を好きになれない理由だ。 あの人は、母親じゃない。どこまでいっても女だった。 そして、どこまでも、こどもだった。] (35) 2021/01/01(Fri) 23:49:17 |
【人】 宵闇 迅それは内緒。 [理由は言えない。>>52 見送りに行った空港の帰りだったから。 正確に言えば、友人をひっ捕まえたのではなく、 友人に引っ捕まった、となるのだけれども。結果は同じだ。 理不尽な理由で会いに行くことを拒絶され、 結局、そのまま。合わせる顔がなかった。 悔しかったし、悲しかった。それを覆せなかった自分が。 何も知らないまま、言いなりになるしかない妹が。] まあ、何もないですけどね、こっちは。 親父も真里花に会いたがってましたよ。 [足を止めた妹に、>>53そんなありきたりな未来の話すら、 してやっていなかったことに気づいて、閉口する。 ――いや、漸く彼女は彼女の意思でどこにでも行ける、 そんな年齢になった、というべきか。] (70) 2021/01/02(Sat) 21:54:19 |
【人】 宵闇 迅妹よ、今寝たら兄は昼まで起きません。 絶対に。 [ちょろちょろ駆け回って、買う品を選ぶ妹に声をかけつつ、 自分も周囲をぐるりと見回す。他の宿泊客?もいるらしい。 カップルだろうか。>>51>>66 もしかしたら有名な宿なのかもしれない。 もしや普通に現実では?と過ぎるが、深く考えるのはやめた。 その話題は部屋に戻ってからにしよう。 ここでまごまごしても仕方ない。] どういたしまして。まあ、おれも食べますしね。 ワリカンです。 [袖をひく仕草に、ふ、と口元を緩めて。>>55 何をどう割ったら諭吉を出荷するのかは、まあ。 禁則事項ということで。] 部屋で食べますかね。 (71) 2021/01/02(Sat) 21:54:33 |
【人】 宵闇 迅[そんなじゃれあい>>78を交えて歩けば、 次第に兄妹の距離感を思い出すような気がした。 纏わりつかれても邪険にはしないが、 兄は妹の危機感やら、何やらが心底心配です。] どうだろうね。 一人暮らしだから、そもそも何もされんし。 電話が大音量で鳴るぐらいだったら無理。 [起きたら料理の匂いと腐れ縁二人の顔があって、 心底驚くと同時にいやおこせよ、と思ったりもしたのだが。 それに対しての回答は"起こしても起きなかった"だから、 概ね何をされても起きないで正解な気はする。 鍵を閉めよう、とは思わないのは、似たもの兄妹かもしれない] (84) 2021/01/02(Sat) 23:36:38 |
【人】 宵闇 迅まあ、うたた寝ぐらいだったら起きるけどね、 [眦を緩めて、妹の肉声に耳を傾ける。 ここに来て漸くその余裕が帰ってきたとも言えた。 電話越しとも違う、何も通さない声は、 記憶の中の面影を残したまま、ぐっと女性らしくなった。] 今回はちょっと無理ですね。 真里花は多分、知らないと思うけど、 おれは結構、寝汚くて寝起きが悪いんですよ。 [寝ている間にまさかはじめてのおつかいに旅立ったとは、>>88 当時の自分はまさに寝耳に水だったので、 起きてから目一杯妹を褒めたのを覚えている。 父が居るときは、妹の前でうたた寝することもあった。 それに、妹と暮らしている間は、夜更しもあまりしなかった。 しかし今回は稼働時間が36時間を超えているので、 ちょっとばかりすんなり起きられる自信がない。] (95) 2021/01/03(Sun) 0:45:07 |
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