【人】 XIV『節制』 シトラ[ いくらかの会話がひと段落した頃 不意にクロさんが、何か見つけたような声を上げた。>>85 その視線の先を釣られて追えば、 探していたひとが、そこに立っていた。>>52] アリアちゃん……っ おかえり、なさい……! うん、わたしも お話できた……と、思う 今、お話できて、……良かった。 [ どこかほっとした様子のクロさんの返事を聴いて、 一拍遅れてわたしも胸を撫で下ろす。 元々、アリアちゃんの考えが聴きたくて探していた。 クロさんのリクエストにこくこくと頷き その回答に、固唾を飲んで耳を傾けた。 ] (167) 2022/12/18(Sun) 22:29:19 |
【人】 XIV『節制』 シトラわたしと、同じ…… [ わたしが何を選ぼうとしたか、 わたしはまだ、 明確には彼女に伝えていないはずだ。 伝える前から答えの予想がある程度ついているのか、 どんな答えでも、合わせようとしてくれているのか ] …………、 [ 凛と涼やかな声で紡がれるアリアちゃんの意見は>>53、 意志を固めようとしてなお、覚束ない わたしの心を支えてくれる。 二人の会話を時折頷きつつ脇で聴きながら、 ひとつ、ふと思うことがあった。] (168) 2022/12/18(Sun) 22:29:32 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ わたしがクロさんを避けてしまっていたのも 後ろめたさに打ちひしがれそうになっていたのも この魂に刻み込まれた誰かの心が引き起こしていたのなら、 アリアちゃんは? アリアちゃんがわたしの傍に いつも居ようとしてくれるのは、 いつも居ようとしてくれたのも、 『隠者』の心が引き起こしているのだとしたら? その声が自分のものじゃないって気付いたとき それでも、わたしの傍に居てくれる──? ] (169) 2022/12/18(Sun) 22:29:53 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……わたしも、 そういうものだと……、思う 世界が滅んでも、滅ばなくても 誰かは、ぜったいに、悲しむことになる。 [ 聡明な彼女の言葉には一言一句過不足がない。 須らく追従になってしまう意見を口にして ] だから、 少しでも悲しむひとの少ない方を、選びたいの。 ……そう、思ったんだけれど 世界は滅ぶ方が望ましい、って 思ってるひとも、きっと、少なからず居て…… ……わたしが、 世界は……滅んでほしくない、って 思うから そちらの方が、悲しむひとは 少ないように思える、だけ……かも、しれなくて…… [ 出来得る限り中立な立場で在りたいと そう願う心がわたしの中の天秤を惑わせる。] (170) 2022/12/18(Sun) 22:30:03 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ ただ、] 新しい宗教? ──ふふ それも……良いかも、しれないね。 アリアちゃんが教祖様なら わたし、喜んで伝道師になるよ。 [ 神様に真っ向から勝負を仕掛けるような 威勢のいい発言をするアリアちゃんは 誰に囚われるでもない、彼女本人の声のように思えて わたしは少しだけ、安心できたんだ ]* (171) 2022/12/18(Sun) 22:30:43 |
【人】 XIV『節制』 シトラ── 少し前・クロさんと [ 質問に対する彼の答えを聴いて 心の底から安堵するのは、確かにわたしの心。 わたしたちの心は、もしかして 『節制』と『運命の輪』ほどは 離れてはいないんじゃないだろうか。 そう思ったのは、束の間のことだった。 皆がいるならどちらでもいい、と彼は言う。>>146 願う幸せは同じはずなのに、違う。 もっと、根本的な部分が。] ……わたしも、今が、幸せです この洋館でのあたたかい暮らしは それまでのわたしには……なかったもの、だから お話しあったこと、教わったこと、学んだこと 囲んだ食卓、お祝い、お茶会、合唱団…… 一緒に過ごさせてもらった時間、すべてが かけがえのない、大切な……想い出です できるならわたしも、 みんなと……これからも、みんなと、一緒にいたい その気持ちは、きっと同じ……です、よね。 (174) 2022/12/18(Sun) 23:06:14 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……でも、 みんなそれぞれにきっと 譲れないものが、あって みんなそれぞれにきっと 大切なものも、ある 崩壊を悲しむひとも、面白がるひとも 望むひとも、諦めてしまうひとも、きっといて もし、世界が滅ぼされず済んだとして 神様の希望に背いたひとが 箱庭に歓迎されるとは……わたしは、思えなくて もし、世界が滅ぶと、すれば ……この世界に大切なもののある、ひとたちは 箱庭で幸せには、なれない……そう、思います。 [ どちらを選ぼうと、『みんなで』は難しい。 歩み寄って譲歩し合わない限りは。 わたしの思考はどうしてもそこに行きついてしまう。] じゃあ……クロさんは、 [ そのお話は、探し人が戻ってきたことで一時中断になった。] (175) 2022/12/18(Sun) 23:06:32 |
【人】 XIV『節制』 シトラ …………ただ 最終的に決めるのは 神様、ですし クロさんの幸せを……願う、気持ちは 今も、変わっていません。 [ アリアちゃんを出迎えつつ小さく呟いた一言が 彼に届いたかどうかは、わからない。]* (178) 2022/12/18(Sun) 23:07:19 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a55) 2022/12/19(Mon) 0:22:24 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ そう。 今が苦しいひともいるかもしれない。 この世界を捨てて新しい世界へ行った方が 幸せになれるひとも居るのかもしれない。 何が幸福で 何が不幸か 考え方も捉え方も感じ方も、みんなちがう。 どちらがみんなの幸せに繋がるかも わたしの量れるものではなくて、 けれど世界が壊れてしまえば 心を痛めるひとは、少なからずいるはず。 話した感じ何人か居た、と言うクロさんの言葉に>>173 またひとつ、心に決めた意志が固くなった。 ] (319) 2022/12/19(Mon) 14:00:32 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ クロさんは強い。 わたしにはない勇気と、自己を持っている。 玄関ホールで、動揺して、呆然として わたしが両脚を凍り付かせて動けなくなっている間にも 彼は素直に心の内を打ち明けて あの場に集まったみんなと今みたいに話をして、 自分の脚で、一歩でも前に進もうとしていたのだ。 彼にとっての最優先事項が 何を置いても洋館のみんなになるのも納得がいく。 アリアちゃんと彼の会話が途切れるまで、横で聴いて ] わたしも、 お話、してくれて…… 話してくれて、聴いて……くれて ありがとうございました ……クロさん。 [ 同時に、 彼と話をしたことで今更気付いたことがあった。 ] (320) 2022/12/19(Mon) 14:00:40 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ わたしは、わたしの大切に想うものに できるだけ序列を付けたくはなくて 誰かに何かを求めることが、元々すごく苦手だ。 ] (321) 2022/12/19(Mon) 14:00:54 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ いつからそうだったのかは思い出せない。 生まれ持った気質なのかもしれないし 後天的にそうなったのかもしれない。 頼ること、甘えること 教えを乞うこと、助けを呼ぶこと。 手を伸ばすことも、会話を欲することも 話を聴いてもらうことも元来苦手だ。 洋館で暮らし始めてからすこしずつ、 ごく限定的に求められるようになってきた今も 『周囲に求める』行為の中で特に苦手とするものが 誰かと争うことだった。 好ましく感じるものと苦手とするものは確かにある。 より心地良さを覚える方へと身を委ねてしまう。 誰かと誰かが言い争う場面を目の当たりにしたとして その姿に胸がひどく痛んでも、 止めに入った方が良いと思っても、それができない。 多くを望んでも、 この手が取れるものは限られていると知りながら どの声をも聴こうとしてわたし自身を見失う。] (322) 2022/12/19(Mon) 14:01:11 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 誰の感情もが適切に思えて わたしの感情はなにもかも間違いに思えた。 平穏と安寧を優先したいがために 本当の気持ちに鍵を掛けて心の奥底深くしまい込む。 声に出す勇気のない心の内を 代弁するように涙が溢れだす。 もうずっと、いつだってそう。 わたしが何かを思い、考えるとき 何かを行動に移そうとするとき 誰かの声が、わたしの内の何かが わたしの心をまず抑制する。] (323) 2022/12/19(Mon) 14:01:28 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 公平で、平等で在りたい。 マドカさんほど強いこだわりではなくとも 多分、近しい価値観がわたしにもある。 特に洋館に来たばかりの頃は、 可愛がってもらえることを戸惑ってばかりいた。 幸せだと感じれば、 その分の不幸に見舞われなければ 釣り合いが取れないと無意識に感じている。 辛いことがあれば、 その分の幸福がどこかで得られるはずだと 無意識のうちに信じたがっている。 ただ、徹底して揉め事を避けたいわたしは 彼のように自分の考えに基づいて 積極的な行動を起こせはしないし、 同じ価値観を誰かに強要したいとも思わない。 自分の幸福が誰かの不幸の上にしか成り立たないのなら わたしの幸福は捨て置いて構わないと、 光あるところに必ず影ができてしまうなら わたしが、影になろうと。 波風立たず穏便に済みさえすれば 現状が何ひとつ変えられずともそれが一番良いのだと、 幼い頃からそう自分に言い聞かせて生きてきた。] (324) 2022/12/19(Mon) 14:02:23 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 悲しむひとはすこしでも少ない方がいい。 できるならみんなしあわせでいてほしい。 いつだってそう思っているはずなのに、 揉め事の気配がそこにあれば それがどんなに些細なものでもわたしは避けてしまう。 わたしがみんなのことを特別に感じようと みんなにとってのわたしはさして重要ではないだろうと 心のどこかで、そう思っている。 体よく居合わせて引ける袖がひとつくらい減っても 大した問題にはならないと思っている。 自分はいつ死んだって構わないと思っているのに、 みんなには生きていてほしいと思っている。 結局は、ぜんぶ自分本位でしかない。 誰かに求める強さを持っている彼の方が、余程眩しい ] ──わたしも、 [ 彼を真似て、 ぎこちない敬礼のポーズを返そうとして>>298 続いた言葉>>299にびくりと心臓が跳ねた。] (325) 2022/12/19(Mon) 14:03:16 |
【人】 XIV『節制』 シトラ…………、 そう…………です、よね [ 怒りも、無念も、ないはずがない。 苦手とされるのも当然のこと。 湧き上がる後悔の念と圧し潰されそうな罪悪感。 言葉を交わしあってなお 竦む足。 眉を下げて俯き、言葉に詰まっていれば 憎んではいなさそうだと、彼は言う。 その一言が、わたしにおずおずと顔を上げさせた。] へっ…………!? な、なで…………!!? [ もし背中を叩かれても、 わたしはそれを謹んで受け容れるでしょう。 けれど、撫でてあげたい、となれば話はまた別だ。 そんな風に思ってくれているなんて 思ってもみなかった。] (326) 2022/12/19(Mon) 14:04:01 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 端々に滲む気遣い。 彼が他の誰かと話すときと変わらない、 明るい調子で語られる激励の言葉。 わたしたちの間に長く横たわっていた分厚い氷が すべてとはゆかずとも、解け出したように思えて ……また泣きそうになって ぎゅっと瞼を瞑って堪えた。] しゃ、しゃきっと…… しゃきっ、と…………し、します……! [ 立ち上がって、ぴし、と背筋を伸ばす。 また明日、と彼を見送る。 ──これが最後になるのは、いやだ。 心からそう思えたのが、 一番の変化だったかもしれない。]* (327) 2022/12/19(Mon) 14:04:13 |
XIV『節制』 シトラは、メモを貼った。 (a74) 2022/12/19(Mon) 14:45:54 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 薬草園から去りゆくクロさんの背が見えなくなってから わたしは再び、椅子に腰を下ろした。 誰しもにいつかは平等に訪れる死が 刻限までも平等に訪れるのなら、 世界の崩壊は、ある意味では 『平等』と言えるんだろうか。 そう考えるひとも、中には 居るのかもしれない。けれど、] ……アリアちゃんの作ったお薬で 命を救われてきたひとたちや、 まだ生まれて、間もなくて 何が悲しいのか、楽しいのかさえ まだわからない小さな子たちまで わたしに優しくしてくれたひとたちまで 崩壊に巻き込まれてしまうのは…… …………わたし、やっぱり 嫌だ。 [ 故郷に残した両親も、村のみんなだって今頃 必死で羊やアルパカたちを避難させているかもしれない。 決心を固めるように声にした。] (356) 2022/12/19(Mon) 17:14:18 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 辛く感じることもあった。 いっそ死んでしまえたら楽なのかもしれないと 思った日が、ないではなかった。 けれど悲しむ人ごとみんないなくなればいいと 願うほど、この世界を恨んではいない。] お茶会で使った、可愛いティーセットも 美味しい紅茶の茶葉も、 テオブロマの材料も、野菜も、果物も この世界のどこかで誰かが、作って ここまで届けてくれたもので フォルスさんがプレゼントしてくれた ノートも、ペンだって きっとたくさんの誰かの手を介して わたしのところまで来てくれて…… [ フォルスさんがいつか贈ってくれたノートは>>0:692、 わたしのやってみたいことをひたすらに書き連ねた やりたいことリストノートになっていた。 文字を手習いするための紙も、 知識を得るため読んできた書物も この世界の誰かが生み出したもの。 外には、まだ知らない世界が無限に広がっている。 ] (357) 2022/12/19(Mon) 17:14:41 |
【人】 XIV『節制』 シトラ……直に関わり合いになることはなくても、 気付かないうちにお世話になったひとたちも この世界にはきっと、大勢いるんだと思うの [ お世話係のひとたちも含めて 洋館で一緒に暮らしてきた誰かが 悲しむ姿を、わたしは見たくない。] ……壊れてほしく、ない 神様には、そうお願いする。 アリアちゃんは……? [ 青と緑の瞳を、正面からまっすぐに見つめた。] (358) 2022/12/19(Mon) 17:14:56 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ アリアちゃんは憶えているだろうか。 まだぐしゃぐしゃの文字しか 満足に書けなかった頃の話だから、 彼女は忘れてしまったかもしれない。 「──わたし、文字が読めるようになって タナトスさんみたいな、 綺麗な文字が書けるように、なったら いつか 自分の瞳で 世界を見に行ってみたいな。 それでね、 あの、 その………… ……あ、アリアちゃんさえ 良ければ わたしと、一緒に 来てくれませんか……っ!」 そんな会話をした日も、あったこと。 ] (359) 2022/12/19(Mon) 17:15:09 |
【人】 XIV『節制』 シトラ[ 教祖になる気はない、の一言に わかってるよ、って ふっと口元を緩めて>>289 ] 当たらずとも遠からず…… ……良かったら、 詳しく聴かせてほしいな アリアちゃんの思うところ。 [ そうして彼女の声に、静かに耳を傾けはじめた。 たとえそれが日を跨ぐほど長い話になろうと、 わたしから話を遮ることはない ]* (360) 2022/12/19(Mon) 17:15:16 |
(a77) 2022/12/19(Mon) 17:20:33 |
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