【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―『グランソ・シュトランド』最上階― [ ディミトリエがバルコニーに入ってきた。 昨日の出順変更要請、ならびに 会場変更に伴う各種手続きや打ち合わせは すべて彼が捌いてくれていた。 そこでの決定事項を、現在 各メンバーに報告して回ってるらしい。 曰く、本日の出順は夜。 他に夜時間を指定した出演者はいないらしく、 意図せずとも、自分らが コンペの最後を飾ることになったようだ。>>6] (40) 2020/09/24(Thu) 11:25:45 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ また宮廷楽長の指示で、 50名のスタッフ陣にも 通行証等の手配が完了しており。>>1:309 さらに"休憩"と称し、30分の転換時間を 設けてくれるという。>>4>>5 ] 『転換のゴタツキが一つの懸念だったからな。 俺達からはなにも言わなかったのに さすが、気が利く人たちだな。』 [ そう言ってディミトリエは明るく笑った。] (41) 2020/09/24(Thu) 11:26:41 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン 『転換時間はもう少し延長も出来るようだが>>6 このままで大丈夫だよな?』 [ あぁ。と曖昧な返事だけ返す。 大丈夫か、酷い顔色だぞ、と 改まった顔で問われたが。 その間ずっと、 煙草を吸う手を止める事はなかった。]* (42) 2020/09/24(Thu) 11:27:22 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a9) 2020/09/24(Thu) 11:31:24 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a10) 2020/09/24(Thu) 11:36:08 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a21) 2020/09/25(Fri) 1:23:45 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a22) 2020/09/25(Fri) 1:31:36 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a30) 2020/09/25(Fri) 13:47:01 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a36) 2020/09/25(Fri) 17:20:01 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―1日目夜・宿のロビーにて― 『待ってない。』 [ 外連味のない、一言。>>84 彼女が大して待たなかったのは 本当なのだろう、と妙に納得する。 初めて会った時から、 彼女は、あまり多くを語らない人物に 見えていた。 だがその一方で、鋭い五感で思慮深く 外界を捉えているようにも。 ] (136) 2020/09/25(Fri) 20:38:33 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ …なぜ今、 彼女の話を聞きたいと思ったのだろう。 あの時、会場から…世の中全体から>>303 一人取り残された感覚が ずっと尾を引いていて。 誰かの手でつなぎ止められていたい、 そう思ったのかも知れない。] (137) 2020/09/25(Fri) 20:39:53 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ ロビーの端のソファに腰を落ち着け、 彼女の思い出話に耳を傾ける。>>84 途中、彼女の手がポケットに伸びる 瞬間があり。>>86 身に覚えのあるその動きに、 あぁ、と破顔して。] 一緒に吸おうか。 [ そう言って、自ら煙草を取り出すことも あっただろうか。] (138) 2020/09/25(Fri) 20:40:09 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ …第三王子リジィがあの工房に来た。>>84 …それがきっかけで彼女は、 電子六弦の部品を仕入れていた。 その店に自分が転がり込み、 すんでの所で危機を脱することができた。 まるで自分がこの音楽祭に出るまでの道筋に、 つねにリジィがいて、 歩むべき場所に、マイルストーンを ぽんと置いているようだ。] (139) 2020/09/25(Fri) 20:40:34 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン (140) 2020/09/25(Fri) 20:42:05 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―記憶の深みへ― [ リジィが置いてくれたマイルストーン。>>139 それを蹴散らすかのような存在を 思い出す。>>1:301 恐らくリジィとは血縁関係に あるであろう男。 …いつかディミトリエが言っていたか。 自分らを招聘した第三王子は 多少、素行不良のきらいがありつつも 新しい物を吸収するその柔軟性から 民からの信頼厚く、 対して実兄である第二王子は頑迷かつ狭量、 "古き良き"伝統に満ちた国家体制を懐古し それを目指すべく動いているため 先進的な第三王子とは 恐ろしい程にそりが合わず、 そのうえ彼に人望が集まっている状況に 嫉妬して、事ある毎にこすい画策をして 邪魔をしていると。 ] (141) 2020/09/25(Fri) 20:44:01 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 聞いた話を総合するに。 恐らく第二王子レイズは、 リジィから趣味を奪っても>>0:102 彼が折れないどころか、 その界隈の人間と交流を始めたり>>0:103 そのうえl彼にとって"伝統"を体現する 場であるはずの音楽祭に 俺ら6人を勝手に呼んで、 さぞ怒り狂った事だろう。 当然、招聘を阻止すべく動き、 ――その過程で、俺という都合のいい材料が 転がってたというわけだ。 >>1:303] (142) 2020/09/25(Fri) 20:44:45 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ ゴシップ記事に書かれた、>>1:302 扇情的な文句。] ――『かの国民的六弦奏者は あの集団誘拐・リンチ事件の 実行犯だった!?』 [ 誰も信じなかった。証拠が無かったから。 でも俺だけは分かった。 地位を。名声を。得るたびに。 執拗に顔を覗かせる。過去。 このとき、悟った。 俺のような下衆は、 外面上はどうあっても 本当の意味で日の光を浴びることは 決して無いのだと。] (143) 2020/09/25(Fri) 20:45:42 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―回想・遠い記憶― ―いつだったかは、もう忘れた― [ 深い霧。鈍色の空。 触れれば指を切ってしまいそうな、 冷たく尖った針葉樹林。 この季節にもなれば、もう霜が降りても おかしくないような、 寒く荒涼とした、高緯度に位置する国。 その国の、さらに枯れ果てた田舎の教会 ――教悔堂と呼ばれていた―― で、俺は幼少期を過ごした。 教会といっても、コンセールカリヨンの それとは大分違う、土着の宗教。 村とも呼べない限界集落だった俺の故郷は きわめて閉鎖的で、 信仰されていた宗教も、地元の要衝を 掌握する名士達の手で、長い年月をかけて 都合の良いモノに作り変えられていたようだ。 俺らの時代は、その教義が最も 苛烈を極めていた頃だったらしいと、 後から新聞で読んだ。 教悔堂とは名ばかりのそこで行われていた 所業は、筆舌に尽くしがたい。] (144) 2020/09/25(Fri) 20:47:40 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 信じられないと思われるだろうが、 当時の俺は 奴等の所業を疑うこともなかった。 少しでも悪事を働けば、 木彫の偶像を恭しく擁した大人達の手で、 "罰"が下されることも。 一定の年齢になると、 "神"の采配通りに、その子供の格に見合う 新たな"家"に貰われ、そこから姿を消すことも。 それらを当然の摂理だと、信じ込み。 ときには雑用を買って出ることも あっただろうか。 ] (145) 2020/09/25(Fri) 20:48:31 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 逃げようと思ったのも、 13歳の冬が最初で最後。 扉を開けて外に出たところで、 そそり立つ針葉樹林の枯れ木に 四方を阻まれるばかりで、 その自然の要塞は、 逃げるアテどころか、 そも逃げるという発想さえ 押さえ込むのに十分すぎるほどだった。] (146) 2020/09/25(Fri) 20:49:00 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 俺は、別に孤児じゃあない。 それなのに教悔堂に住んでいたのは、 父親が、そこと契約していたから。 父親は、『お前がいた方が"仕事"が捗る』 と、日曜日になると決まって 俺を薄汚れたバンに乗せ、田舎道を走った。 俺はというと、何もしない。 バンの向かう先で、父親が拐かしてきた 見知らぬ子供に向かって 笑顔を貼り付けて笑いかけて、 乗車をためらうその子らの背中を、 そっと押すだけ。 ――『ガキが1人いた方が ガキ共は安心するからな』 歯の溶けた無精髭まみれの口元を 薄く歪めて笑いながら、 父親はよくそう言っていた。 ] (147) 2020/09/25(Fri) 20:49:18 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ "仕事"を終えると、 父親は僅かばかりの駄賃を俺に与えた。 そして、俺に金を握らせた後は必ず、 濁った目を不気味に光らせて 俺の顔をのぞき込んでこう言う。 ・・・・・・ 『分かってるな?』 お前も誘拐に荷担してるぞ。手に握られた その"報酬"が最たる証拠だ――と その目は語っていた。] (148) 2020/09/25(Fri) 20:49:30 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ その子供達がどうなったかは分からない。 13歳の時に、隙を見て 定期的に日用品を卸す配達業者の 車両に潜り込み、逃げてから。 奴等が検挙されたのは1年後のこと。 長年の隠蔽工作が暴かれ 首謀者達が逮捕される、その中に、 『誘拐した子供達の "監督役" をしていた少年がいる』そんな噂が立ったが、 その実像が明らかになることはなかった。 俺の父親はとうに死んでいて、関係者も 父親の素性は何も知らなかったらしい。 しばらくすると、そんな事件すら 庶民の関心事が他へ移っていくと同時に 忘れ去られた。 ] (149) 2020/09/25(Fri) 20:49:43 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ …俺の作る曲に、明るい曲は一つもない。 通常よりも太い弦を張り、 調弦を下げに下げ、 極限的に歪ませた音像を用い、 全てが短調。 拍のスピードも、鈍重なミドルか ブラストビートが炸裂する 馬鹿みたいに速いやつの、両極端。] (151) 2020/09/25(Fri) 20:51:02 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 配送便に乗って逃げてきた都市で、 電子六弦に、今の仲間に、音楽に出会った。 そのうち、音楽が 自分から切っても切り離せないものに なっていった。 その自分の"核"たる音楽に、 ]忌むべき記憶は あからさまに陰影を与えている。 (152) 2020/09/25(Fri) 20:51:49 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン――時は戻って 1日目夜―― ――宿のロビーにて―― …… …………。 [ 鮮明な回想録が脳内を駆け巡り。 暗澹たる事実に、 今、ようやく気づく。 真意を隠しながら、 しかし自分の音楽に絶望しきるなど 出来るわけがなくて、 共感など望まない、でも少しでも 音楽を信じていられるよすがが欲しいと、 横に座る彼女に、>>86 台詞を選びながら慎重に言葉を紡いだ。] (153) 2020/09/25(Fri) 20:53:10 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン …俺も、自分の力ではどうしようもない 実の親に勝手に決められたことを していたことがあった。 お前と違って、>>85 そこで得られたことなど何一つないが。 それでも、 俺の人生を一番変えたのは、電子六弦だと思う。 …お前のバネだってそうだ。 お前がリペアをしていたお陰で 助けられたんだからな。 [ 自分を信じ込めるように、そう言った。] (154) 2020/09/25(Fri) 20:53:55 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 日はとうに沈み、 そろそろ夜の練習が始まる頃合い。 変な話につきあわせて悪かったな、と わざと無愛想に 突き放す言い方をして、席を立つ。 心の底に、まだわだかまりを残したまま。 ] コンペ、明日の夜に出る。 [ そう、最後に言い残して。]* (155) 2020/09/25(Fri) 20:54:52 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a39) 2020/09/25(Fri) 20:58:21 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ ――それでも。 捨てられない、捨てられる筈のない、もの。 音楽という存在… 自分の重苦しい楽曲も。 沈鬱な歌詞も。 とうに愛憎をも超越し、 自分の一部になっていたのだと。] (194) 2020/09/26(Sat) 12:17:48 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―昨夜・宿のロビーにて― [ 去り際に。 煙草を吸うならいい場所があるよと 楽器工房の彼女が耳打ちしてくれる。>>172 どこかと聞くと、それは 自分がこの国に来たときに 居心地の悪さから設営中のコンペ会場から逃げて 油を売っていた場所だった。>>0:3 あの場所で彼女も一服していたのか。 想像したその姿が様になっていて、 くっくっと笑った。 ] (195) 2020/09/26(Sat) 12:19:07 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 悟った真実、その底は昏く深く。 胸中に渦巻く靄が消えたわけでは無い。 しかし、] 『いいよ。 コンペ見に行く。』>>172 [ 昨日から変わらない、外連味のない口調で そう言う彼女に。 (…いい音を届けないとな。) 思い浮かんだのは、そんな、 先程まで見失いかけていた感情。 しかし奏者としてずっと持ち続けていた あたりまえの感情だった。 ] (196) 2020/09/26(Sat) 12:19:56 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―夕刻・コンペ会場― [ ――そして今。 本日の戦場―舞踏用大ホールの前に立っている。 ヨハン、ディミトリエ、 ノード、ニルソン、ダンテ。 地獄みたいだった山奥の寒村を抜け出して、 その先で出会えた5人の仲間と、 己の 武器 を携えて。会場アナウンスが、『30分間の休憩』 を告げる。>>166 仕組まれた命運を打ち破るように。 関係者用の搬入口から ホールという名の戦場に、 6人並んで踏み込んでゆく。 ――さあ、舞台転換の開始だ。 ]* (197) 2020/09/26(Sat) 12:25:23 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a50) 2020/09/26(Sat) 12:31:14 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―コンペ会場・通路― [審査員用の控え室と、>>202 ホールを結ぶ通路。 舞台袖に向かう途中、 目立つ紫のドレスを纏った婦人 ―この表現は独身の彼女には適切では ないのだが、そうとは知らず― とすれ違った。 その銀色の腕章の意味が分かった ディミトリエだけが、彼女に会釈をする。 ] (206) 2020/09/26(Sat) 14:22:47 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[エリクソンは何も知らず、 その女性を一瞥したのみ。 彼女が新旧国籍一切不問の 無類に音楽を愛する『大変人』で、>>1:8 異国から来た自分らのことを ずっと気に掛けてくれていたことも、>>202 いつの日かリジィに音盤を与え、>>0:54 間接的に招聘の一要因になっていたことも、 そして、昨日からずっと中心でコンペを動かし、 厳しい指摘を与えながらも、 つねに新たな才能を見逃さなかった、 幾つになっても輝きを失わぬ目も。 互いのことは、最後まで知らぬまま。 彼女は審査員席へ。 6人は舞台袖に繋がる通路へ。 思惑は交差しながらも 両者は同じ目的地に向かい、歩き去って行った。 ]* (207) 2020/09/26(Sat) 14:23:49 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―コンペ会場・舞台― [裏方を示す腕章を付けた会場スタッフと共に、 会場入り直前まで打ち合わせした通りに 機材を配置してゆく。] 今回、音楽祭に臨むにあたっては 一つの懸念があった>>1:11 自分らの武器の一つにノードの電子洋琴による シンフォニックなサウンドがある。 しかし、今回の審査員は、 平台やその他弦管楽器の、プロ集団。 電子楽器は、どんなに性能のいいもの ―オリジナルの楽器の再現性が高いもの―でも 微妙なニュアンスの付け方や響かせ方、 あらゆる面において 生の楽器には勝てない。 他の奏者達とも比較され 減点されること間違いなしだろう。 ] (208) 2020/09/26(Sat) 14:28:59 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ゆえに、 今回はウワモノにシンフォニック要素がなく 逆に電子楽器ならではの音を、 リズムセクションに置いた楽曲を 主軸に採用することになった。 リズムセクションとの同期には やや面倒な、別の機材がいる。 事前に打ち込まれた、 64チャンネルで構成された楽曲情報。 その中で、拍だけを鳴らした1チャンネルのみを 無線で飛ばし、 メンバー全員が耳に装着している 小型の再生装置に送られる。 これで全員がずれることなく 自動演奏と同期して演奏が出来るという寸法だ。 また、これだけ規模の大きい会場、 しかも電子楽器で大音量を奏でるとなると、 舞台の両端同士、 また床や壁に音が反響し、 自分らに跳ね返ってくる音に遅延が生じる。 無線再生装置には、 それを遮断する効果もあった。 ] (209) 2020/09/26(Sat) 14:29:27 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[舞台が室内ということで ある特定の音と、会場のどこかの壁が 変に共振を起こすことがないかは 一番の気がかりだったが、 流石はコンセールカリヨン随一の舞踏用ホール、 そんなことは一切無かった。 遠目には…あれは二階席だろうか? 先ほどすれ違った紫ドレスの婦人が 座っている一角がある。>>0 ばっちりだ。 音響装置の配置は、 ちょうど、彼ら審査員の位置で収束するように 計算されていた。 (なるほど、彼女も審査員か) 先ほどすれ違った彼女の 凜とした表情を思い出す。 今は表情はおろか姿もぼんやりとしか見えない その座席を見据え。 どんな評価でも受けてやろう。 そう心を決めた。] (210) 2020/09/26(Sat) 14:43:09 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 日はとうに西へ落ち 沢山の小さな連れとともに会場に入る者、 失意とともに会場を去る者、 馬車で会場に向かう者。 会場におらずとも、 どこか他の場所で、流れる音に耳を澄ます者。 人によって多少はあれど、 たった二日間のコンペの中でも、 音楽によって喜び、憂い。 様々な感情が生まれただろうか。 そのコンペも、間もなく終わりを 迎えようとしている。 ]* (211) 2020/09/26(Sat) 15:00:09 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 昨日ちらと見かけた、派手髪の若者が、>>1:300 少年のように頬を紅潮させて此方を見ている。 その対岸にいるのは、あの男。>>1:301 憎々しげな表情で舞台を睨め据えている。 ――もう、逃げることはしない。 お前みたいな視線は慣れている。 こともなげに視線を外し、 派手髪の若者に目を戻すと、 彼はこちらをずっと見ていたのか 計ったように笑みを向けて、 音盤らしきものをこちらに振って見せた。] (212) 2020/09/26(Sat) 15:11:27 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 最終調整が終わり、 ダンテが裏方に向かって合図する。 場内の照明がフッ…と消えた。 それまで明るく照らし出されていた 赤と金を基調とした内観も、>>1 中央の豪華なシャンデリアも、>>0 闇に隠され、もう見えない。 ――『辺りが闇に沈む頃。』 日陰者の俺が、 日の当たる者達にとって代わることのできる 唯一の瞬間。 ――ようこそ。俺らの舞台へ。 (213) 2020/09/26(Sat) 15:13:37 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a53) 2020/09/26(Sat) 15:15:08 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a54) 2020/09/26(Sat) 15:20:11 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン―舞踏用大ホール・舞台上― [ 暗幕の張り巡らされた会場。>>213 ホールが闇に包まれると、 千人規模の観客は 潮が引いたように静まりかえった。 キリキリとした耳鳴りがしてきそうな その静寂を破るように…曲が始まった。 ] (230) 2020/09/26(Sat) 20:31:08 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 精緻に計算された不協和音とともに 開始する#1。 枯れた音。沈み込む重圧感。 その上に重ねられる、 這い出るような低いグロウル。 曲全体に通底する仄暗さの間にはしかし、 電子ではない"生の"六弦による とろけるようなアルペジオが差し挟まれ、 そこが哀愁漂う叙情性を付加している。 …まるで、寒く霧深い、 針葉樹林の森のように。 哀愁漂う情景を想起させるとの 評価を受けており、 俺の原体験を色濃く残しているのは明白 6人組といえばこの楽曲、と言われる キラーチューンは、 それなくしては生まれなかったものだろう ]* (231) 2020/09/26(Sat) 20:31:26 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ メランコリーと耽美の狭間を行き交う#1が 終わるやいなや、 エレクトロニックな打ち込み音が 会場を包み、 そのまま、先程とは打って変わって "激しさ"を全面に押した#2へ。 序盤の打ち込み音は、それ以降も 拍を刻むように続き 曲の躍動感をさらに加速させている。 食い気味のリズムは、 クライマックスで唐突に 落ち着いたと思いきや、 その上に、トレブルの効いた 強靱なファルセットが重なった。 主歌唱のダンテの声遣いが両極端 な楽曲が、二曲連続で並ぶ。 かなり負担を掛けたが 完璧に歌いこなしてくれた。 ]* (232) 2020/09/26(Sat) 20:31:42 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 前2曲とはまた趣を異にする、 短調で激しさはありつつも、 どこか前向きさを感じさせる#3。 ツインの電子六弦がメロディー部を担い 絡み合いながらハーモニーを作り、 楽器演奏者も副歌唱者として全員参加、 合いの手とハーモニーを添え 歌唱に厚みを与えている。 作曲はディミトリエ。 俺の作った他の曲に比べてポップに聞こえ 好きになれなかったが、 コンセールカリヨン出身の、 品のいい彼らしい曲だ。 ]* (233) 2020/09/26(Sat) 20:32:04 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 最後の#4。 これは、今までと一変した雰囲気を持つ。 昨日、一晩で仕上げた エリクソンの新曲。 六弦のフィードバックと 怒濤のスネアロールで始まるこの曲は 低い調弦も激しい音像も 変わらないが、どこか涼しげなドライさを 感じさせる音像。 歌詞は、抑圧された少年が 電子六弦を手にして 決意を固めるというもの。 壊れゆく世界の中で、 信じるものはただ自分のみという 悟りを開いている 最後には葛藤と決意に満ちた 歌い上げるような歌唱で以て、 曲は終わる。 ] (234) 2020/09/26(Sat) 20:32:29 |
【人】 鋼鉄の六弦奏者 エリクソン[ 鬱々とした『陰』から始まり、 その正体を知り、 飲み込みながら、 "その先"を見据える『陽』への進化。 この二日間、この国で過ごした 自分自身の変化を表すような セットリストと共に。 ――全ての演奏が、終わった。 ]* (235) 2020/09/26(Sat) 20:33:45 |
鋼鉄の六弦奏者 エリクソンは、メモを貼った。 (a56) 2020/09/26(Sat) 20:37:32 |
(a62) 2020/09/26(Sat) 22:56:36 |
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