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【人】 ユスティどうせ要らないと言っても聞かないだろう。 初めから断る選択肢など許されていない。 返答に困ったユスティはため息混じりに 保留という逃げの手段へと転じるしかなかった。* (114) 2023/09/27(Wed) 10:06:14 |
【人】 ユスティユスティが言葉を失ったのは想像に難くない。 自分のルーツくらい知っておこうとは思わないのか ありのまま我が道を生きる天才の感性は 自らの常識ではやはり語れない。 天才とは極端に興味の矛先が偏るものだと 誰かが言っていたのだが エウロパにもその片鱗が見えた瞬間だった。 思わず眉間を指で押えながら 魔法でエウロパの持つ参考書のページを捲る。 ページは木星群にある衛星の内容が書かれた 場所でぴたりと止まりユスティは解説を挟む。 (129) 2023/09/27(Wed) 20:25:48 |
【人】 ユスティ「エウロパという衛星は表面が氷になっていて その奥にはたくさんの水があるとされるけど 最近では生命が生き残れるだけの 環境があるとも言われているんだ。 遠い将来エウロパに人が移住する そんなことも有り得るかもしれないね。」 (130) 2023/09/27(Wed) 20:26:44 |
【人】 ユスティ「そもそも、人に頼らずして 成し遂げるからこその成功でしょ。 日頃やろうとしていることなのに キミに手伝われてたら意味が無いんだよ。」 (133) 2023/09/27(Wed) 20:29:24 |
【人】 ユスティ何もおかしなことは言っていないはず。 だがそれで彼女を納得させられた、 というわけでもなさそうだ。 むしろ行くなと前に立ち塞がれるように 物理的な逃げ場まで塞がれてしまう。 (134) 2023/09/27(Wed) 20:30:44 |
【人】 ユスティ「相変わらず燃費が悪いね。 何か食べていったらいいんじゃない?」 そこは魔力との関係も否定できないから だらしないなどと言う気もなく。 ため息をつくエウロパは流石に不憫で ついつい買い食いの提案をしてしまう。 後は自分だけそそくさと帰ろうと思うのだが それを果たしてエウロパが許してくれるかどうか。* (137) 2023/09/27(Wed) 20:34:28 |
【人】 ユスティ危うく馬鹿と言いかけた。 何とか耐えた自分を褒めてやりたいと ユスティは気を取り直す。 氷になにか嫌な思い出でもあるのか。 エウロパの表情は暗い。 昔、森の中だけ季節が変わった あの時のこととなにか関係があるのだろうか。 考えたところで仕方がないのだが。 この勉学と魔法の技については エウロパという少女はまだまだ謎が深い。 きっと未熟さの中に眠る信念のような芯を ユスティが知ろうともしないせいだ。 (153) 2023/09/29(Fri) 23:35:12 |
【人】 ユスティ勉強範囲ではない話に食いつかれても困るのだが、 興味を否定する行為は学びにおいては毒になる。 本当なら歳が十になる頃には看破すべき ステージのはずなのだが、 まだ到達していないのならば合わせる他ない。 誰かの力を借りるの悪いことじゃない、などと 救われない正論を言われて顔を顰めるのは エウロパのステージの話とはまた別のことだが。 (155) 2023/09/29(Fri) 23:38:14 |
【人】 ユスティ「仮に力を借りたり、助け合ったり そうやって大きな物事を達成する時には 携わる人同士の力がある程度 釣り合っていなければダメなんだ。」 (156) 2023/09/29(Fri) 23:38:35 |
【人】 ユスティ「例えばキミの力を借りて ボクがなにか難しい術を成功させたとしよう。 キミとボクが同じくらいの力なら 協力し合ったと誰が見てもわかる。 でも今キミの力を借りるボクをみたら 皆はボクの事をなんて言うと思う?」 (157) 2023/09/29(Fri) 23:39:36 |
【人】 ユスティユスティはそれ以上を語らず暗に告げる。 エウロパとの間で協力など成立しない。 だからキミにしてもらうことなど何も無いのだと。 決して相入れることなどないし 狐は狐としかつるめない。 その国境を改めて示しながら どこか侘しげにため息をついた。 (160) 2023/09/29(Fri) 23:42:57 |
【人】 ユスティ突如としてユスティに電流走る。 やはりエウロパはただで帰す気がないらしい。 本当は自室で簡素な食事でも作ろうと だからエウロパの誘いには乗れないと そう言おうとして口篭った。 「私もユスティのご飯食べたい!」 と言われる未来しか見えない。 それだけは本当に勘弁して欲しい。 どうにかして断る理由を考えていると エウロパに手を取られた。 男なら嬉しいはずの女の子からお誘い。 だが当の本人にとってはまるで手錠だ。 (161) 2023/09/29(Fri) 23:43:59 |
【人】 ユスティ魔力の分流は肌同士の接触により起きる。 触れれば触れるほど分流の地点は増え より多量の魔力を伝達できるものだ。 しかしエウロパの量は異常であり 手を繋ぐだけでも支障が出かねない。 ごめんと謝りながら手を離しながら どうして自分が謝っているのかと戸惑っていると 何を想ったのか、エウロパの足が止まった。 (163) 2023/09/29(Fri) 23:45:32 |
【人】 ユスティ静かに答える。しかしユスティには分からなかった。 その質問はエウロパにとってなんの意図があるのか。 自分が仮に他の人に同じことをしたとしても それが処置でエウロパも同じやり方を知っていたら きっと同じことをするのではないか。 そこになんの差があるというのだろうか。 (166) 2023/09/29(Fri) 23:47:14 |
【人】 ユスティそんな風に立ち止まったせいか それとたまたまか。 お目当てのホットドックの看板には SOLD OUTの文字が書かれていた。 「時間も遅かったからね。 代わりのものでも食べればいいんじゃない? 今日世界が終わるわけじゃないんだから。」 しれっと最後の一個だったコロッケを買うと 肩を落とすどころか蹲るエウロパが なぜかとても哀れに見えてしまった。 まるでこの世の終わりみたいな空気を発して それを横目に一人だけ食べるということもできず。 (167) 2023/09/29(Fri) 23:49:51 |
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