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【人】 オリト シア―― SASANKAへ ―― [旅行から帰ってしばらくは仕事に追われた。 旅先で買ったお土産は、同僚たちにはまずまずの反応を貰って。 「旅行どうだった?」と尋ねられたら「 すっごく楽しかった! 」と間髪入れずに応えた。留守の間に溜まった書類をこなしていく。 SASANKAへ行くようになってから外食費が嵩んでいるから、 残業は前よりも少し多くするようになった。 いくらかの軍資金を貯めて、書類の山となっていた束も崩せた頃。 今日は久々にSASANKAに顔を出せそうだという旨のメッセージを彼に送る。 SASANKAに行くのも、彼に会うのも旅行以来だから心が弾んだ。] (76) 2021/05/26(Wed) 14:11:47 |
【人】 オリト シア[残業もそこそこに切り上げて、私服に着替えてSASANKAへと向かう。 旅行中に付けられた首筋の痕は、大分目立たなくなった。 おそらく注意してみないと気づかない程度には。 夏が近づいているから、蒸れる首元を出したくて。 髪を纏め直して、サイドに束ねて蝶に巻きつける。 今日も紫の蝶が、髪に揺れている――。 SASANKAまでの道なりを、逸る気持ちを抑えて歩いて。 ようやく見えてきたうさぎのシルエットに「久しぶり。」と再会の挨拶を。 迎えてくれた感謝に指先でしっぽを撫でてから扉を潜った。*] (77) 2021/05/26(Wed) 14:13:56 |
【人】 オリト シア[店内に入れば、すぐに彼が見つけてくれた。>>79 久しぶりに聞いた彼の声が相変わらず優しくて目尻が緩む。] こんばんは。 え、そうですか? 最近、ちゃんと食べてなかったからかな……。 [彼に言われて頬を抑える。 確かにここ数日、帰りが遅かったからスーパー残り物になったお惣菜や、チンするだけの冷凍パスタなんかで食事を済ませてしまっていた。 体重計にも毎日乗っていたけど、最近はサボっていたから体重の変動には気づけない。 見た目に出る程だったら困るな、と眉尻が下がる。] 今日はいっぱい食べるので、大丈夫ですよ。 ハンバーグ、大好きです。 [ぐっと両手を拳に作り変えて笑って見せながら、ブラックボードへと視線を移す。] (80) 2021/05/26(Wed) 15:33:50 |
【人】 オリト シア[ブラックボードに書かれた食材は今日も好きなものばかりが並ぶ。 中でも野菜は特に。トウモロコシもスナップエンドウも、人参も食べたい。] あ、あとトウモロコシで。 一品お願いしてもいいですか? [トウモロコシの黄色は、彼が選んでくれた淡い色のスカーフを思い出す。 スツールに腰を掛けて、そんなリクエストを一つ。] (81) 2021/05/26(Wed) 15:35:19 |
【人】 オリト シア[嵐さんに髪型を褒められたなら>>86、照れ臭さに髪を弄る。] 暑くなってきたので、 纏めてみるのもいいかなと思いまして。 [蝶に触れたらサイドに取った後れ毛が、はらりと束になって落ちた。] 宇張さんはショートカット、お似合いですよね。 髪、伸ばさないんですか? ショートカットもお似合いですけど、 髪を伸ばした宇張さんも見てみたいです。 ね、嵐さん。 [そんな話題を振りながら。 カウンターに有村さんの姿が見えたから、洋ナシのノンアルコールシードルを頼む。 以前、飲んだ時に美味しかったから、同じものを。 その内、ノンアルコールじゃなくて、アルコールが入っているのを作って貰うのもいいかもしれない。*] (91) 2021/05/26(Wed) 16:29:26 |
【人】 オリト シア[基依さんに自分でも気づかなかった身体の変化を指摘されて、よく見ているなぁとしみじみと思う。 ちょっとしたことで見られる体重の変化は、悩みの一つでもある。 太ってお肉がついちゃうのも嫌だけど、あまり痩せ過ぎて骨ばった身体を見られるのも抵抗がある。ほら、抱き心地がどうこうって聞くし。 此方の様子を伺う彼を安心させるように笑って。 これからの食事に気を配ろうと誓いを立てた。] わぁ、コーンスープ好きです。 お店の味? どんなのだろう。 [ハンバーグのソースは耳慣れないもの>>87だったから、小首を傾げた。 彼の腕なら、おいしい以外のものが出てくるはずもないので。そこはおまかせすることにして。 水に口をつけながら、いつものようにカウンターキッチンに向かう彼の姿を眼が追いかけた。] (93) 2021/05/26(Wed) 17:43:36 |
【人】 オリト シア[ホールをメインに働いていた彼も好きだったけれど。 厨房に立つ姿を見るようになってからは、垣間見える真摯な眼差しにどきどきして、やっぱり厨房で働く彼が好きだな、と実感する。 野菜を器用に剥く指先も、大きな鍋を持つ力強い腕も。何もかも。 その器用な手が、力強い腕が、私に触れるのかと思うと―――、 止めよう、これ以上考えたら胸の高鳴りが収まらない。 注文したドリンクが届いて、半分ほど量を減らした頃。 ふわりといい香りが漂ってくる。>>89 コーンスープの甘い香りに、お肉から滴る赤ワインと玉葱のソース。] わあ、……おいしそう! ラップサラダもいいですね。 スナップエンドウもにんじんも好きなんです。 [両手を組み合わせてはしゃいで、まずは料理の見た目を堪能する。 ハンバーグが好きな兄に自慢しようと、スマホでぱしゃりと一枚収めて。 冷めない内に、いただきます。と両手を合わせてからナイフとフォークを手にとった。] (94) 2021/05/26(Wed) 17:44:24 |
【人】 オリト シア[シャリピアンソースはステーキに掛かっているのを何度か見かけたことがあった。 ナイフでハンバーグに切れ目を入れて、一口サイズにして。 みじん切りされた玉葱がお肉に絡む。脂が浮かんでいるのはお肉の脂だけではなさそうだ。バターと赤ワインの豊潤な香りが鼻孔を刺激した。 口当たりは牛肉で作られたハンバーグよりもさっぱりしているのに、玉葱がそこに絡むから甘さが残る。] ん、おいしい [口の中でお肉の脂がとろけてなくなる。 トルティーヤチップスでエスプーマを掬えば、泡がたっぷりとチップスの上に乗る。 歯を立てたら、さくりと音がして触感がいい。一口だけじゃ飽き足らず、二口、三口と口にしてから、コーンスープへと移る。 コーンスープと聞いたから温かいものを想像していたけれど、出されたものは冷たかった。 スプーンで掬って口元へ運べば、コーンのまろやかさが沁み渡る。コーンだけではないのか、溶けた玉葱と崩れたじゃがいもも見つかった。 十分に煮込まれた野菜がほろほろと口の中で溶けていく。] (95) 2021/05/26(Wed) 17:45:12 |
【人】 オリト シアん〜……、お腹も満たされるけど、 気持ちも満たされる〜……おいし…… [ほわり、美味しさに表情が緩んで。幸福感でいっぱいに満たされた。] (96) 2021/05/26(Wed) 17:45:34 |
【人】 オリト シア[美味しいからついつい食事が進む。 半分ほどお皿を空けたところで、カウンター越しから食べっぷりを指摘されて、頬を染めた。] う……、だって美味しいんですもん。 お腹も空いてたし……、ついついお箸が進んじゃう。 [久しぶりのまともな食事。 それがお店であろうとも彼の手料理となれば食べないはずもなく。 好物とあってラップサラダまで追加注文してしまった。 ハンバーグをフォークで刺して、口に含んで。 幸せそう>>109と言われれば、ふにゃりと様相を崩す。] そりゃ、好きな人が作ってくれた ご飯を食べられるんですから。 幸せです。 [完食したお皿は、ソースも残らずに綺麗に空になった。] (113) 2021/05/26(Wed) 20:57:37 |
【人】 オリト シア[ナフキンで口元を拭って、グラスを傾ける。 早くも懐かしい味は、甘い洋梨の香り。 すっきりとした味わいが喉元を過ぎていく。 不意に彼の口から、おめかし。なんて言葉が出てきて。 意図が分からずに「ニョッキ?」なんて尋ね返した。 ニョッキとおめかしの共通点が見つからないけれど、 誘われたなら断る理由もなく、はい。と頷く。] ニョッキって確かじゃがいものパスタ? ですよね? じゃがいももパスタも好きです。 いつになりますか? [ちょうど夏に向けて、 サマーワンピースを買おうと思っていたところ。 食事中に服を汚してはいけないからとずっと避けていたけれど、思い切って真っ白なワンピースに手を出してみるのもいいかもしれない。 なんて、考えながら。 また一つ増えた約束事に、心が踊った。*] (114) 2021/05/26(Wed) 20:58:12 |
【人】 オリト シア[ニョッキにそんなに種類があるなんて知らなかった。] わぁ、どれも好きです。 チーズもあるんですね。 ソースは? トマトソースですか? 生地から作るの、面白そうですね。 [両手を打ち合わせて、「楽しみにしてますね」と、微笑んで。 早速スマホを取り出してアプリのスケジュール帳を確認する。 いくつか候補を上げて、予定が合いそうな日を二人で選んで。 予定が決まったら、うさぎのアイコンをその日に設定した。 来たる未来にわくわくしながら、胸にスマホを抱く。] じゃあ、この日に有休取っておきますね。 朝に一緒に出かけられるの久々だから、嬉しい。 [前もって予定を立てて、おめかしして欲しいなんて注文まで入るということは、何かしらきっと特別な日になるだろう。 サプライズ?まさかね? 膨らむ期待にそわそわして落ち着かなくなったけど、彼が私を喜ばせるために考えてくれたことなら、何だって嬉しい。*] (128) 2021/05/26(Wed) 21:44:18 |
【人】 オリト シア[リマインダには頷きを。 忘れない内に指を滑らせて、送っておくことにして。] 秘密? 当日のお楽しみ、ですか? ジェノバソースってバジルですよね。 それもいいなぁ……。 [顎元にスマホを当てて、トントンとリズムを刻みながら、歯切れの悪い彼>>140をじっと見つめる。 まだ彼は全てを明かす気はない様子。 それならそれで先の楽しみとしてとっておこう。 一度、失敗したプロポーズに出されたビーフシチュー、 パーティの時に出してくれた二人の色が彩られたデザート。 料理に意味を持たせる彼のことを知っている。 何気なく出されたニョッキにもきっと、彼なりの思惑があるのだろうと予想して。] 基依さんが驚くくらい、 めいっぱい、オシャレしてきますね。 [今は深くは触れないようにして、笑いかけた。*] (150) 2021/05/26(Wed) 22:50:20 |
【人】 オリト シア―― *** ―― [久しぶりの有休は奮発して2連休。 昼過ぎに自宅を出て、まずはネイルサロンへ寄って指先を彩ってもらう。 カラーは薄いピンクにグレーを混ぜて。 散りばめらたラメと白い花が指先で花開く。 指に彼のカラーが添えられて、両手を開いて眺めて表情が緩む。 その後は、美容室にも寄ってメイクと髪を整えてもらった。 髪を編み込んでもらって中央で束ねて、ハーフアップにしたら薄紫のリボンで留めて、アクセントに彼から貰った紫の蝶を踊らせる。 メイクは白いドレスに合うように甘めのピンクベースにしてもらった。 ふわふわしすぎないように、口元は鮮明なピンクのリップを引いて引き締めて。 肩口まで開いたオフショルダーのドレスは少し奮発した。 めいっぱいおしゃれをしていくと言ったから、多少大胆なデザインでも許してもらおう。] (173) 2021/05/27(Thu) 0:57:03 |
【人】 オリト シア[その日のブラックボードには、おすすめ料理にニョッキが並ぶ。>>163 料理をしながら語られる彼の言葉に耳を傾けて。 時折相槌を打ちながら、応える。 普段の何気ない「いつも」を特別と言ってくれることが嬉しくて。 「毎日」が欲しいと望む彼と同じ気持ちであることを伝える。] 私も、毎日一緒に居られたらいいなって思います。 [彼の家に通うようになってから、彼と別れて自宅に帰ることが寂しくなった。 仕事を終えた彼を迎える日は、ねぎらいの言葉を掛けて彼を癒やして。 仕事に向かう彼を送り出す日は、いってきますのキスをして見送る。 そんな日が、毎日続けばいいと心から思う。] (175) 2021/05/27(Thu) 0:57:28 |
【人】 オリト シア[締められる言葉と共に、眼の前に出された料理は。 私の好きなじゃがいもがたくさん詰まっていて、紫のじゃがいもにグレーのソースに彩られていた。 お皿の中央でうさぎが笑っている。 「これからの人生」に「紫のうさぎ」それを意味する言葉に胸が詰まる。 料理と、基依さんを交互に見比べて、その言葉が間違いでないか確かめるように。何度も彼と眼を見合わせた。 手を取られて、薬指を指し示されて。 ストレートに言い直された言葉に、間違いはないと知る。 感極まって、胸が打ち震えて。 じわりと目尻に涙が浮かぶ。 答えなどとうに決まっていた。 ずっと、ずっと一方的に視線が追いかけていたその姿が。 今は、真摯に眼差しを返されて私の姿を映し出す。] (177) 2021/05/27(Thu) 0:58:58 |
【人】 オリト シア[目尻に浮かんだ涙を指先で払う。] ――――――はい。 私を、幸せにしてください。 貴方じゃないと、だめなんです。 [これからは、大好きな人とずっと――、 「いただきます」と「ごちそうさま」を、「毎日」一緒に。**] (178) 2021/05/27(Thu) 0:59:23 |
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