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【見】 時雨[天窓から光差し込む体育館。 正面口を潜り抜ける一瞬。 きつく眉根を寄せた。 側壁の外に通じる扉の横、列の端に陣取り、 伸びた襟足を払って、椅子の背に浅くもたれる。 今日課されたのは、講演会の会場設置の手伝いと、 “出来る範囲”での聴講。 有り難い特別措置ではあるが───] よりによって、これはさぁー………どうなの? [垂れ幕の演題に目を遣り、微かな声でぼやく。] (@0) 2024/04/29(Mon) 10:43:17 |
【見】 時雨[退屈だった。誰も彼も。 何時しか緩く閉ざしていた瞼を、 時折薄く開き、壁時計に視線を走らせる。 ─────もぉ、いいでしょ。そろそろ。 生欠伸を連発するようになってきたし、頭痛もする。 御座なりな拍手の鳴り響く中、潮時だと心に決めて 組んだ足を解いた。 その時。 登壇者の控え席で立ち上がる、一人の少年。 離れた距離から。ふわ、と匂い立つ。] ─────………… [浮かした腰を再び下ろしたのは、無意識だった*] (@1) 2024/04/29(Mon) 10:47:19 |
【見】 時雨[少年の独壇場は。 時間にして、十分にも満たなかっただろう。 演者は、滞りなく別の学生へと移った。 盛んな拍手が鳴り止み、 次の演説が始まり、終わり。 また拍手が起きて、ようやく。 さっきの少年に、拍手を送りそびれたことに気づいた。 それからは。 時間の経過は、 あっという間に感じた。 混じり合う臭いに覚えた人酔さえも 綺麗さっぱり忘れて。] (@3) 2024/04/29(Mon) 13:18:26 |
【見】 時雨[校長の閉会の挨拶。 最後に、登壇者全員が控え席で立ち上がり、 聴衆へと向き直り、再び一礼する。 少し遅れて、音高く拍手を送った。 聴講席を回り込んで出口へと向かう学生達。 通り過ぎていく一団に混じる、一際明るい色。 くらりと頭の芯が痺れて。] ───……ぁ、 待って、 [気づけば。その少年に、声を掛けていた*] (@4) 2024/04/29(Mon) 13:20:39 |
【見】 時雨[手をとり、その体温を知った瞬間。 心臓が強く跳ねた。 頭の芯が、また。深く揺さぶられる心地。 身体が、お腹の底からかぁっと熱くなる。] ぅ、 ン ………、…………?[慌てて唇に指先を宛てがい、きゅ、と唇を噛む。 そうだ、この子αだった。 俺のα。 けど、でも。 このくらいで。 数日前に終わったばかりだ、いくら何でも早すぎる。 ─────霞む意識に、軽く頭を振る。 肩口でぱさりと音が立った。] (@9) 2024/04/29(Mon) 22:09:47 |
【見】 時雨[何人もの生徒が立ち上がって、 体育館から出ていく中。 椅子に腰を落としたままで、 背中の後ろに挟んでいた リーフレットを引っ張り出す。] “世良 健人”───…… [こう書くんだ。 聞き覚えのある苗字。 指先で優しく撫ぜると、震えが少し鎮まった。 ふっと視線を上げ、出口へと。視線を送った**] (@11) 2024/04/29(Mon) 22:15:08 |
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