【人】 インタリオ[ 装身具の行方など知る由も無いだろう。>>126 教会の走狗如きが重要性を分かりはしない。 かつては別の形で悪魔の愛し仔が、 現代では翠の星とその協力団体が各国でばらまいたことを知れども 表向きには、愛し仔と志を同じくする者の証なのだから。 どれ程優秀な才覚を持った細工師であろうとも、 ただの人間ならば真の意味で完成は出来ないブローチは ゲヘナに縛られる悪魔の依代となり、体現を手助けする。 神の使徒の預かり知らぬ陰で、幾度も男は現世に現れた。 契約関係にある人間が永らく生き続けている為に、 儀式を伴う召喚に応じることは無いのだけれど。 持ち合わせた“嗜好“により活用される頻度は高い。 ] (191) 2022/05/19(Thu) 2:48:24 |
【人】 インタリオ[ 軽快な足取りで表通りに姿を現したなんとも非現実的な男を、 幼い子供が指を差し、母親は不思議そうに我が子を見つめる。 殆どの人間達は反応すらしていない。 時期にそぐわない肌寒さを感じた者達でも敏いほうだ。 自分の信じる常識しか見れなくなってしまった自覚も無く、 妄言に覆われた哀れな現代の人間達。 彼らを全く気にもせずすれ違い、並び歩き、時にすり抜けて 男はやがて車道へと歩み出た。 向かって来る警察車両を見つめる表情はやはり笑顔だった。 対し緊急の停止を試みけたたましく地を擦った車。 つまり、少なくとも運転手は見えている。 瞬間、男は跳ね虫のように跳躍した。 ] (192) 2022/05/19(Thu) 2:48:38 |
【人】 インタリオヤッホ! [ 巨大な棺桶に車輪を着けたようなその乗り物――護送車は>>125 正面から見ると飛び出た丸いライトが、まるで虫の触角のようで。 ボンネットの上に着地した悪魔に、親近感を抱かせた。 ガラス越しに見える人間達は恐怖の表情で何が叫んでいるが、 悪魔が関心を持つのは唯一人顔すら見えない敗北者のみ。>>123 ] ねね、その後ろの仔ってアレイズ・クロウリーだよね? 君達よく捕まえたじゃないか、凄い凄い! [ 間延びしたやけに愛想良く明るい声の主は、 一度は停止しようとした筈が運転手の狂乱で暴走を始めた車の上、 張り付いたように一向に振り落とされない男。 運転手の喚きは悪魔と目を合わせて以降、 恐怖を示すものから「見えない」と繰り返すように変わっているが 理由について詳しく考える余裕がある者が果たしていたかどうか。 布袋越しの籠もる声が何か反応を示しても、示さなくとも。 形ばかり国僕の制服を纏った神の犬は、 悲鳴ばかりで喧しく、再会の語らいを難しくさせている。 おまけに銃まで抜いて、狙い始めるものだから。 ] (193) 2022/05/19(Thu) 2:48:53 |
【人】 インタリオああ、もういいかぁ [ やはり笑い混じりで場に不似合いな響きを持っていたものの、 明らかに声の温度が変わる。 元より猶予でしか無かった時間は望み通り短縮される。 再び生じた黒色は靄というには歪に蠢き実体がある。 それらは隔たるものなど無いかのように車両へ入り込み、 哀れな人間達を車外に転がり出ることも許さず “音”と集合で包み込み逃さず、喰らいつく。 未だ捕らえられたままの異端の主宰もまた、同じく黒に襲われる。 ただし彼の身に立てられる歯は無い。 視界を奪われたまま、無数の音と絶叫で聴覚もまともに働かないまま 何処かへ落ちていくような感覚が、 懐かしさがアレイズの全身と脳に齎されただろう。 ]* (194) 2022/05/19(Thu) 2:49:15 |
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