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人狼物語 三日月国


83 【R18】ラブリーナイト・りたーんず!【ペアRP】

情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:人


【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

  ー 夢の終わり ー

[千由里と別れてしまえば
 俺には家に帰る他道はなくて、
 例え振り向いても追い縋っても
 一時の夢には戻れない。

 そうしてきっと俺はひとりとぼとぼ
 家に帰るんだ。
 絵美から出迎えの言葉もなく
 梨花の泣き声で押しつぶされそうな家に。

 重い足を引きずるようにマンションまで辿り着くと
 玄関にちょこんと梨花が座っていた。
 今しがたまで母ではない女と
 一夜を過してきた父を、何にも知らない顔で
 にっこり笑って出迎えると
 梨花は足りない舌で「ぱっぱ」と呼んだ。]


  ただいま、梨花。
  …………ママは?


[尋ねれば、「ママ、ねんねしてぅ。」と応え
 梨花は俺に抱っこをねだる。
 どっしりと、重い。
 子ども特有の甘酸っぱい匂いを感じながら
 奥へと足を進めると、絵美は和室で
 洗濯物の山に囲まれたまま横になっていた。]
(0) 2021/07/14(Wed) 15:07:50

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙



  絵美、ただいま。


[呼び掛けても返事はない。
 網戸から吹き込む風が、絵美の前髪を吹き上げ
 その疲れに浮腫んだ顔を晒す。

 久しぶりに俺と過ごす時間が嬉しいのか
 梨花はひっきりなしに俺に話し掛けてきて
 俺はその他愛ない話に耳を傾ける。

 でも、まるで平らげた馳走に思いを馳せるように
 頭の中には千由里の顔がチラついた。
 キスのひとつひとつ、汗ばむ肌の味……
 それは掛け替えのない、未来を生きるための糧。]


  梨花、ママねんねしてるから
  パパと一緒にプリンセスソフィア観ようよ。


[パパの顔に戻った俺はそんな提案をしながら
 梨花とのひとときを過ごすだろう。]
(1) 2021/07/14(Wed) 15:08:19

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[─────けれど、
 夜まで起き上がらない絵美に
 「いつまで寝てるの?」って声を掛けて、
 絵美の身体が冷たくなっているのに気付くまで
 俺は何も知らないでいた。


 俺が夜を過ごすうちに、
 神様は絵美の生命を天へと昇らせ
 代わりに、梨花だけを置いていった。


 そうして、逃げることも出来ない「パパ」の名前が
 俺の上により一層重く伸し掛ることなんか
 バカな俺は全然、気付かなかったんだ。]
(2) 2021/07/14(Wed) 15:10:42

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[絵美が死んでいるのに気付いてからのこと、
 実は全然覚えていない。

 どうして?なんて問う暇なんかなく
 無情にも日々の瑣末事は押し寄せてきたし、
 瑣末じゃない諸々も抱えきれないほどあった。

 料理も、洗い物も、洗濯も、掃除も
 分からないけど、頑張るしかなくて、
 でも、全然上手く出来なくて。
 上手く作れななかった料理を出したら
 「ママのがおいしい。ママのがいい」って
 そう言われる度、死にたくなった。

 ほら、パパじゃダメだって、って
 逃げ込めるところなんか、何処にもなくて、
 仕事から帰って、家の事やって、泣かれて
 寝なくて、梨花が熱出して、仕事も出来なくて
 そんな日々が続く。

 たまにどうにもならない苛立ちが募って
 梨花に当たると、ママ、って泣くから
 気持ちを内へと殺すようになった。
 絵美が生きていた時より
 ずっとずっと辛い毎日が連綿と続いていた。]
(3) 2021/07/14(Wed) 15:11:17

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[ふと、思うんだ。

 絵美にも「ママ」になる覚悟が
 あった訳じゃなくって、
 どうやっていいか分からない、
 このどうしようも無い状況から
 「助けて」って俺に手を伸ばしてた
 だけじゃないかって。

 だとしたら、これはきっと罰だ。
 一人抜け出し、夢を見ようとしたことへの。

 でも、罰なら受け入れなくっちゃ、って
 そう思うのに、「おいしくない」って
 食べてもらえなかった卵焼きをゴミ箱に捨てる時
 もう、どうしようもなく涙が止まらなかった。]
(4) 2021/07/14(Wed) 15:11:39

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[でも、時々、ね。

 梨花がご飯食べてくれて
 新しい言葉覚えたり、歌を歌ってくれたり
 下手くそな似顔絵で「ぱぱだいすき」って
 描いてくれたりしてさ……

 そんな一瞬のことが、すごく嬉しくて。]
(5) 2021/07/14(Wed) 15:14:27

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[─────そうして、あっという間に
 あの夜から半年が過ぎてしまった。

 たまたまその夜は梨花がすんなり寝てくれたから
 一人静かに夜風に当たりたくて
 そっと家から抜け出したんだ。
 玄関横にある鏡に映った自分の顔は
 すっかり「おじさん」の顔をしてて、
 それを見たせいか、夜の公園から臨む夜景は
 ぼんやりと滲んで見える。

 家の灯りや街灯が色とりどりに点って
 まるであのアクアリウムを思い出す。
 ……覚えているとも、あの日食べた
 レモンケーキの味とか、交したキスの甘さまで。

 でも今の俺を見たら、きっと千由里は
 こんな窶れたおじさんに「好き」なんて
 言ってくれないに違いない。

 ベンチの上にぐったりと項垂れると
 涙は足元の砂の中へと消えていった。]*
(6) 2021/07/14(Wed) 15:14:53

【人】 敷島 虎牙

[目覚めた俺の鼻腔を紫煙がくすぐる。
 視線を向ければ、とっくに目覚めていた
 千由里と目が合った。]


  ……おはよ。


[気怠い体をベッドの上で転がすと
 俺は柔く微笑んで、両の腕を彼女へ開く。]


  ぎゅーして。


[抱っこをねだるように甘えて。
 こっちに飛び込んできてくれたら
 思いっ切り抱き締めてキスをしよう。
 寝起きだから、ちょっと口が粘つくかな。
 でも今キスしたいんだから仕方ない。]
(15) 2021/07/14(Wed) 21:10:39

【人】 敷島 虎牙

[そうして、気が済むまで
 チェックアウトまでの時間をベタベタ過ごそう。
 シャワーで性の残渣を洗い流すのも惜しいけど
 家に帰るなら、と丁寧に汗を流した。

 千由里のうなじや肩の痛々しさと比べて
 俺の身体には傷一つない。
 中に胤を残しているわけでもない。
 何食わぬ顔で帰れば、きっと
 絵美も俺には何も言わない。はず。

 綺麗さっぱりな身体のまま
 千由里と駅まで手を繋いで向かったら
 最後にひとつ、キスだけしたい。]


  ちゆ、本当にありがとう。
  ……俺の相手が、君で良かった。


[別れを惜しむように髪を一筋、指に搦めて
 俺は眉を下げて微笑む。
 本当だよ?嘘じゃない。
 それでも家に帰らないといけないってだけで。]
(16) 2021/07/14(Wed) 21:18:47

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[だから、予想もしてなかった。
 電車の中で考えていた絵美への言い訳なんか
 ひとつも役に立たないこととか、
 また暇を見つけてこの企画に参加したいなーなんて
 甘っちょろい幻想が砕かれるのとか、
 自分が思ってたより子を育てることが重い事すら。

 会社の同僚や部下、上司は気遣ってくれるし、
 近所に住むお節介なおばちゃんとかも
 よく声をかけてくれる。
 更新しなくなったブログにも気遣うコメントが
 あったかもしれないけど、そこまで見れない。

 正直、怖かった。
 絵美を真綿で締めるように殺したのは俺で、
 人はそれを知って、後ろ指を指してやしないか。
 「あいつは人殺しだ」「ロクでもない男だ」って
 みんなが知っている気がして。]
(18) 2021/07/14(Wed) 21:29:35

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[誰でもいい。
 ちゃんと俺を見てくれる人が欲しい……
 そう願うことすら、自分には許されない。

 公園で俯く俺は、どうにもならない自分の心を
 じっと殺していたんだと思う。

 梨花と買い物に行く時も、怖くて
 周りをよく見ることも出来なくて。

 ただ、都合のいいことを願うことに慣れた俺は
 抱きしめてくれる誰かの存在を渇望して。]*
(19) 2021/07/14(Wed) 21:34:01

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[そうして夢から帰って待ち受けていたのは
 終わりの見えない悪夢のような現実で。

 罪悪感と無力感とに押し潰されそうになって
 日々を生きて……そうして漸く暇を見つけて
 夜の公園まで逃げてきてしまった。

 根元からぶつりと切り離されて
 荒い波間を漂う海藻にでも
 なってしまったかのような心許無さに
 小さく震えていると……]


  …………ちゆ、り、さん……


[顔を上げれば、あの時と同じまんまの
 千由里が、夜の灯りを背に立っていたか。

 ずっとそばにいたなんて、知らない。
 きっとあのまま俺を忘れて
 もっと熱を埋めてくれる誰かを
 見つけてしまったのかなって思ってた。
 ……いや、そうじゃないなら、
 あの日よりも痩せて疲れ果てた顔の俺に
 幻滅して、きっと離れていくのだろう、と。]
(32) 2021/07/15(Thu) 14:58:52

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[「本当に、久しぶりだね」。
 そう言おうと開いた唇からは
 奇妙なうめき声だけが出た。

 もう顔も見られたくなくて、
 それでも耐えきれなかった俺は
 此方へ歩を進める身体をきつく抱いて
 まるで子どもみたいに泣いてしまう。

 逢いたかった。 会いたくなかった。
 助けて欲しい。 助けを乞う資格がない。
 どうしよう。  どうしようもない。
 でも、     だいすき。


 いろんな気持ちがとめどなく溢れて、
 千由里の肩口を濡らしていく。]
(33) 2021/07/15(Thu) 14:59:45

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[冷静さを取り戻すまでしばし肩を借りたら
 やがて洟を啜って離れていこうとするだろう。]


  ごめ……俺、あの後からずっと
  もうどうしていいか分かんなくて……


[ベンチに腰を下ろすまでに
 千由里がそばに居てくれるのなら
 あれから何が起きたかを話そうか。

 帰ったら妻が亡くなっていて、
 今は娘とふたりで暮らしていること。
 医者からは死因は致死性不整脈と言われ
 特に責められたわけじゃないけれど
 気付くまで遅くなったのを自分で悔いてること。
 娘の梨花の育児からずっと逃げていたせいで
 家事も育児も手探りで、
 それでも「ママがいい」と毎日のように泣くこと。

 全部、千由里には正直に打ち明けようか。]
(34) 2021/07/15(Thu) 15:00:10

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[言ってどうなるわけじゃない。
 あの日見た夢には、もう、戻れないだろうし。
 でも、そばに居てくれるのならそれだけで
 俺はひとりぼっちじゃないって事実が
 何より俺を落ち着けてくれるだろう。

 すんすんと鼻を鳴らしながら
 それでも大人の顔を作ってみせようと
 目を擦り、微笑みを作ってみせる。]


  …………ダメだね、俺。
  何もかもから逃げて、都合悪いところは
  人に頼ってばっかりだ。


[そうやって千由里から子どもを奪って
 逃げ仰せた男がいるのを、俺は知らない。
 前の俺ならきっと、同じことをした。

 でも今は、無理だ。そんな酷いこと。]
(35) 2021/07/15(Thu) 15:01:27

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[嫌われる勇気も、でも独りになる勇気もない俺は
 頬にこびり付いた涙の跡を手の甲で拭いつつ
 この場に適当な話題をひり出そうとする。]


  あー……千由里は、あれからどうしていたの?
  ─────あと、もし知ってたら、
  三つ編みのやり方、教えてくれないかな。


[聞いてまた、後悔する。
 もうちょい余裕を取り戻せたらって思うのに
 全然思ってたのと違うのが出ちゃって。
 突っかけてきただけのスニーカーの爪先へ
 視線を落としながら、それでもそばにいる存在を
 この場につなぎとめようと。]*
(36) 2021/07/15(Thu) 15:07:47

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[「ちゆ」ってあの夜みたいに呼んで
 柔らかい髪を梳いてあげたら
 もっと喜んでくれたのかな。
 でも、ごめん。もう、そんな資格はない。

 抱いた体はどくどくと脈打ってて、
 確かな生命の匂いがした。
 それがまた、胸がぎゅうっと
 締め付けられるような心地になって
 また新しい涙が頬を伝っていく。

 辛かった。
 でもそれを泣くのが、自分で許せなくて。
 家も、絵美も壊して、梨花からママを奪って、
 それでどの面下げて泣くの?って。

 千由里の肩を濡らしても
 振り払われなかったのをいいことに
 今しばらくだけ、自分の心を解き放った。]
(59) 2021/07/16(Fri) 11:24:03

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[そうして話を聞いてもらえれば
 少しずつ落ち着きを取り戻していく。
 「話聞くだけ」って千由里は言うけれど
 聞いてくれるだけの魔法はすごい。
 ずっと俺のこと考えてくれてた、って
 今この状況になってそれほど嬉しい言葉はなくて
 つい、また嗚咽を漏らしてしまう。]


  保育園行ってみたら、同い年くらいの
  女の子達、結構凝った髪型しててね。
  「パパだから出来ない」って、
  思われたくないし、言いたくもないんだ。


[三つ編みを習いたい理由を打ち明ける時は
 やっぱりちょっと恥ずかしくて
 照れ笑いで誤魔化した。
 千由里が笑顔の奥に秘めた気持ちにまだ俺は届かない。
 隣にいる体温が、嬉しくて、つい
 ベンチの上でそっと指を絡める。]


  もうすぐ3歳。
  もう、ずっとずっとしゃべってるし、
  それ以上にずっと歌う子なんだ。


[絵美が遺していった、俺の子ども。
 今一番、守らねばならない存在。]
(60) 2021/07/16(Fri) 11:25:06

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙



  会ってみる?
  やんなっちゃうくらい俺に似てるよ。


[くすくす笑って、それからふとあの夜を思い出す。
 「ママになってよ」なんて
 責任を取る気もないのに吐き出した自分に
 今更、心底腹が立つ。

 怖いけど、千由里の方を向いたら
 どんな顔してただろう。
 瑣末事に溢れかえった脳みそで
 それでも千由里への気持ちを整理して……]


  ………………正直、ね。
  いろんな事があって、考える余裕も無かったけど
  この夜景を見て、ちゆ、のこと、思い出してた。
  あの時デートしたアクアリウムみたい、って。


[少しずつ、吐き出していく。]
(61) 2021/07/16(Fri) 11:29:03

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙



  全部人に押し付けて、逃げて
  そのくせ「愛してる」なんてよく言えたなって
  今となっては恥ずかしいけど……
  でも、ちゆが幸せでいてくれたら、って
  その気持ちは嘘じゃない。
  ずっと俺の事覚えてくれたのも、嬉しい。

  …………だから、もし良かったら、さ。
  またこうして、会って欲しいと思うんだ。


[あれだけキスして、獣みたいにセックスしたくせに
 今は手を繋ぐのが関の山。
 だけど、震える手で千由里の手を握って
 心の奥の寂しい部分を、晒け出す。]
(62) 2021/07/16(Fri) 11:29:26

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[話を聞いてくれるのが嬉しくて
 ついつい梨花のことばっかり話してしまって
 きっと俺が千由里の様子に気がつくのは
 ちらりと見た彼女の表情が
 思っていたより静かなのに気付く頃。]


  忘れたり、しないよ。


[なんだろ、女の子と会話してて
 他の女の子の話しちゃった時みたいな
 ぞわっとした感覚。

 でもちょっと、可愛いって思ってしまう。
 張り合わなくていいんだよ。]
(73) 2021/07/16(Fri) 21:01:48

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙

[問いかけには、じっと黙って言葉を探す。]


  俺にとってのちゆはね─────


[もちろん「一夜限りの相手」ではない。
 もちろん「ママ」でもない。
 「お嫁さん」なんて、望んでいいの?
 いろんな言葉に当てはめようにも
 上手く当てはまる言葉が浮かばなかった。]


  今一番、幸せでいて欲しい人、かな。


[近しい言葉が、それだった。]
(74) 2021/07/16(Fri) 21:04:03

【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙



  もしあの日、ちゆと一緒に駆け落ちして
  家から逃げ出しちゃったとしても、
  俺はまた結局ちゆからも逃げたと思う。
  子どもができても殺させて、
  そんでごちゃごちゃ言わなさそうな子を探す。
  それがどんなに酷いことかも知らないで。


[握った手は、まだそこに居てくれたかな。
 顔を上げたら、幻滅の顔があったりしないか。
 また視線をスニーカーに落として
 自分の心を吐き出していく。]
(75) 2021/07/16(Fri) 21:04:27