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人狼物語 三日月国


28 【恋愛RP】星降る宴の必然を【R15】

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視点:人


【人】 詐欺師 アダム


[ 青年の混乱が伝わって来る。
  嗚呼、何故優しい嘘で終われなかったのか。
  悔やんだとて、吐いた言葉は戻せない。
  それにアダムはもう、嘘の吐き方を忘れてしまった。

  男が、何かを言い聞かせるように、瞳を閉じた。
  次にその双眸がこちらを捕らえた瞬間。
  それが裁きの時なのだろう。

  隙はあった、街に逃げることもできた。
  そうすれば、よかったはずだったのに。
  そうは、しなかった。 ]
  
(16) 2020/05/19(Tue) 8:27:31

【人】 詐欺師 アダム


[ ゆっくりと瞳が開かれる。

  向けられるだろう、罵倒の言葉を待つ。
  それどころか、剣で斬りつけられも
  文句は言えなかった。 ]


  ……ぇ


[ 思わず声が出た。

  彼の問いは意外なもので。>>5
  同時に、至極当然のものにも思えた。

  本当のことは、言えなかった。>>0:84
  そのくせ、嘘は言いたくなかった。
  
  だから私達は、互いにそれを知らないで
  ここまできた。 ]

(17) 2020/05/19(Tue) 8:28:50

【人】 詐欺師 アダム


[ 物心ついた時から、アダムは既に孤児だった。
  親に貰った名は、覚えていない。

  だからこの名は、
  胸も腰もなくて、ガリガリの手足が
  まるで男の子のようだった頃。
  スラムの仲間がくれたもの。

  男性を示す呼び名は、決して貴族の淑女に付けられる
  それではない。
  だからアダムはずっと偽りを名乗ってきた。

  それでもアダムは、ずっとアダムだった。 ]
 
(18) 2020/05/19(Tue) 8:29:23

【人】 詐欺師 アダム



  ブーヨプスキュリテの騎士。 
  よければ、貴方の名前も聞かせてもらえる?


[ 出会いの瞬間をやり直すように。
  互いの名を求める男女の後ろで。

  一つの星が尾を引きながら落ちて行った。 ]**  
 
(19) 2020/05/19(Tue) 8:29:28

【人】 詐欺師 アダム



  ………馬鹿、ね。


[ 騎士ではないただのバジル。>>28
  それは女を見逃すということだ。
  こんな、愚かで卑怯な女を。
  彼の真っすぐな心根を理解しているからこそ
  その決断に胸が苦しくなる。

  込み上げるものを隠そうと
  彼の胸元に飛び込みたい衝動に駆られた。
  
  しかし彼の優しい両手に抱かれる資格
  アダムには、ない。

  だからそれ以上は何も言わず。
  ただ、泣きそうな顔で、微笑んで。 ]
 
(30) 2020/05/19(Tue) 15:55:15

【人】 詐欺師 アダム


[ ――――流れ星。
  そんな呟きにつられて、アダムも空を仰ぐと
  黙したまま、光の軌跡を瞳に映す。 ]


  ……お願い事、できた?


[ その答えを得ても、得られなくとも。
  星明かりが照らす道を
  二人、手を繋いで歩く行く。

  ……夜明けが来なければいいのにと。
  そんな思いを込めるように、ゆっくりと。 ]
 
(31) 2020/05/19(Tue) 15:56:52

【人】 詐欺師 アダム


[ アダムには、帰る場所がない。

  送ってもらうのも、
  チェックアウトを済ませた
  既にアダムの場所ではない宿しかない。>>2:14

  スーツケースを回収したら。
  夢の時間は終わりを迎える

  男に背を向けると、別の国へ流れるだろう。
  これまでのように、
  別れの言葉だけを、残して。 ]
   
(32) 2020/05/19(Tue) 15:57:32

【人】 詐欺師 アダム


[ 初めてその名を口にしたのなら。

  さようならとは異なる別れの言葉を。 ]
 
(33) 2020/05/19(Tue) 15:58:49

【人】 詐欺師 アダム


[ 夢は醒めてしまった。
  だからこれは、夢の続きのお話だ。

  ブーヨプスキュリテを出て
  アダムが向かう先にあるのは、
  次の国ではなく、前の国。 ]
  
(34) 2020/05/19(Tue) 15:59:17

【人】 詐欺師 アダム


[ 夢から醒めたのなら。
  次に見るのは現実だ。

  その為の一歩を、今踏み出して。 ]
  
(35) 2020/05/19(Tue) 16:02:34

【人】 詐欺師 アダム


[ これから始まるのは、
  今まで騙してきた男達への謝罪の旅。

  何年かかるかも分からない。
  許しを得られると考える方が甘い。
  アダムのこれまでの所業を思えば、
  途中で果てる可能性もある。

  ……それでも、全てを終え
  誰よりも立派な騎士となった
  誰よりも愛する男の元へと、帰ってきた女の胸には

  ベガとアルタイル。
  二つの星が煌めいている。>>2:198 ]
 
(36) 2020/05/19(Tue) 16:03:05

【人】 詐欺師 アダム

      
[ そんな、夢ですら見るのを
  やめてしまったような。
  甘ったるい優しい結末を想像して。

  アダムは小さく微笑んだ。 ]**
 
(37) 2020/05/19(Tue) 16:05:03

【人】 詐欺師 アダム


      
はじまり

  ―― epilogue ――



  待ちなさい、馬鹿鳥!!
  この ――― っ


[ かかとの低い靴で、走りながら
  思わずスラム譲りのスラングを吐きそうになるのを
  アダムは何とか押し留めた。

  長く整えられた爪は短く切り揃えられ、
  かつて伸ばしていた髪も、肩ほどまでしかない。
 
  お嬢様の振りをしていたのは、もはや過去のこと。
  それでも女性として、なけなしの理性を総動員して。 ]
   
(71) 2020/05/20(Wed) 12:17:12

【人】 詐欺師 アダム


[ ―――― アダムの旅はまだ続いている。

  幸か不幸か、アダムの標的は裕福なお人好しが主だった。
  その散財で破産したものもおらず、>>0:50
  別れ際も円満にと心掛けていたためか、>>1:266
  当初覚悟していたような目には
  今のところあっていない。

  ……許してもらえたとして
  自身の罪が消えるわけではないと
  理解しているけれど。 ]
 
(72) 2020/05/20(Wed) 12:17:30

【人】 詐欺師 アダム


[ 中には条件を提示する男もいた。
  ―――― 曰く、
 「君が騙しせしめたのと、同じ金額を稼いでみなさい。」

  勿論、労働でねと言われれば、
  アダム自身も異論はない。 

  現在アダムはとある屋敷で侍女として働いている。
  今までなら一晩で稼げていたお金、
  得るのに何ヶ月も費やした。

  それは当たり前のことだけど――――。 ]
 
(73) 2020/05/20(Wed) 12:17:50

【人】 詐欺師 アダム



  貴方の元へ帰る頃には
  私、しわくちゃのおばあちゃんになってそう。


[ 気づいてもらえるかな。
  クスッと笑いながら
  着替えのために、身に付けていたペンダントを
  窓際に置けば。

  光物に目がない烏は>>71
  獲物を放っておいてはくれなかった。 ]
 
(74) 2020/05/20(Wed) 12:18:33

【人】 詐欺師 アダム


[ 空を飛ぶ生物に対して
  地を這う人類はあまりにも無力だった。
  追いかけながらも、どうしたものかと
  必死に頭を巡らせた頃。 


  ―――― 一陣の風が、大地を渡った。


  突風に煽られた烏は、
  獲物を落とし、飛び去った。
  空中に投げ出されたアクセサリーは
  そのまま風に乗って流れていく。

  アダムは慌てて身を翻すと、
  その行方を視線で追う。 ]
 
(75) 2020/05/20(Wed) 12:18:48

【人】 詐欺師 アダム



  ………… ぁ


[ 目を、見開いた。
  時が止まったかのような錯覚を覚える。
  しばらく黙ったまま、その光景を見つめていた。

  どうやら誰かが拾ってくれたようで。
  前方にいる人物の手には、
  ベガとアルタイルが穏やかな光を放っていた。>>36 ]


  ………ありがとう。


[ やがて目を細めて、微笑むと、
  ゆっくりと口を開く。 ]
 
(76) 2020/05/20(Wed) 12:19:07