処刑室へ向かう足取りが軽いわけがない。けれど、行くしかない。
……少しでもしっかりした足取りに見えるように、歩く。

いつも通り。……いつも通りに相違ないように見えるだろう。
ただし、声を発することはなく。

誰かが置いていかれないように、いつも通り、最後尾を。

一瞬だけ、目に理性の色が灯る。

「へぁ……？え……あ？」
「いやだ」


子どものような金切り声が響く。



虚ろな目でぶつぶつと何かを呟きながらシトゥラはロビーから姿を消した。

カストルは、やっぱり怯えた顔をやめることはできないでいる。

けど気にしているのは、シトゥラのほうだった。
「……シトゥラ、大丈夫？」
みんなを見回して、一番大丈夫じゃなさそうに見えるから。

――処刑室に向かう。
声はないが、向かおうとしない者が居るならそれと無く誘導はするだろう。

「よし、では行くか。
　今日も頑張ろう。」
ついてった。

処刑室へと向かう。生者として。
今日の指定はあるだろうか。レーザーガンは今日も右手に。

処刑は全員でやる。　全員で決めた。
その一つを投票したのはだ。

もし怖くても、怖いのはではない。
そのはず。そのはず、そのはず。怖いと言ってはいけない。

前の人から遅れないように、周りからはぐれないように、足元だけを見て歩く。
一昨日や、昨日と同じ夜なのに。何故だろう、顔を上げて前を見るのが怖かった。

「……慣れねえもんだな…… こんなの、慣れたくもねえけど……」

「あ、ああ……！シトゥラ……！」
どうしよう、と周りを見る。アラートも耳に入る。

「……えっと……待って！シャト、聞こえる？ちょっと待ってくれないかな……？」

エメラルドグリーン。
誰のだったか。
視界から消えたと同時に響いた、アラート。

「―――シトゥラ！」

姿を消したその人を追いかけて、ロビーから駆け出した。

シトゥラの悲鳴が聞こえる。最後尾だから、殊更よく聞こえた。
アラートも聞こえた。

振り返って、迷う。　……参加させなければいけないけれど。

「……じゃ、戻ってくるまでの間に諸々進めておこうか」

処刑を、とは言わなかった。処刑室にあるものを見ればある程度やるべきことは伺えるけれど、死亡条件を取り間違えてはならない。

>>2　シトゥラ
金切り声。
一瞬びくりとした後、其方に目を向けて逃げようとする姿に声を掛ける。

「……待て、シトゥラ！」

そう言っても止まることは無いのだろう。
どうするべきか迷った後、もう一つ掛けていく背 >>9 に任せる事にした。

――警告音が鳴り響いている。

ままを探す貴方の、手を取った。

「……駄目だ。それは、そうなる事はヌンキも望んでいないはずだ」

テンガンは、貴方の代わりをする事はできない。
テンガンは、貴方の赦しを貰えなくなっても構わない。
貴方は、望まぬ事を強いるテンガンを憎む権利がある。

「……テンガンに任せて、いいのかな」
でも、自分には連れ戻せそうにない。
あんなふうに逃げ出すことを、強要はできない。

「……逃げちゃったら、こんな風になるんだ」
だから、先に処刑室へとついていく。

「…………、っ」

急ぎ足で、処刑室に入る。
アラートの警告音が響く中、貴方 >>+1 の言葉を聞き届け、近接用のブレードを手に取る。

>>a9
アラートが鳴り響き赤が視界を掠めていく。
泣きじゃくる幼子の腕を離す事は、ない。

「……それでも、だ。
シトゥラ。お前はまだ生かされている。
生きているならやるべき事がある。

……やらなくては、いけない。
俺達はヌンキを送り出さなければ」

>>14 カストル
昨日あなたの手を握っていた人がいないので。数歩歩み寄る。

「……いる？手」

>>17
「……いる！」
ぎゅ、と飛びついた。やはり今日も震えている。