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人狼物語 三日月国


179 【突発R18】向日葵の花枯れる頃【ソロ可】

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【人】 高山 智恵

 これは今日より、少しだけ前の日の話。
 今年のハロウィーン限定メニューの提供を始めてからの話なので、まあそこまで前の話って訳でもないかな。
 その時に、あのお客様が再びうちのカフェのドアベルを鳴らしたんだ>>2:54


「いらっしゃいませ! ―――… 」


 そう、夏の頃に二人連れで来店してきたお客様方の片方だ。
 お客様の顔は比較的覚えているほうかなという自覚はあったのだけれど、あの二人組の初来店時にあった出来事が実に印象的だったものだから、彼らの顔についてはより印象深く覚えていた。
(9) 2022/10/21(Fri) 9:12:16

【人】 高山 智恵


 ( ナンパ野郎のほうはいないんだ。
良かった〜
 )


 ……なんて第一感想は口にできないどころか、顔にすら出しちゃダメだろう。客に対して(それも、良識あるほうの客に対して)流石に失礼すぎる。

 念のために付け加えておくと、件の「ナンパ野郎」はこのカフェの出禁リストには入っていない。あの夏の初来店時だって、こちらの注意に従わず迷惑行為を再三繰り返した訳ではなかったからね。
 とはいえあれはお連れ様の制止と監視あってこそだった可能性もあるので、仮にナンパ男のほうがお一人様で来店してきた場合は要注意対象ではあったんだけれども……。
(10) 2022/10/21(Fri) 9:12:43

【人】 高山 智恵

 そうそう、改めてになるけれど、迷惑行為を再三繰り返す客には
カフェ出禁
措置が取られる>>1:66
 しつこいナンパの件はさっきも話した通り>>1:65だけれど、ナンパの形を取らない性的な嫌がらせについても同様だ(言うまでもないよね)。このような行為>>2:L1を再三繰り返す客は当然出禁の対象になる。
 あ、「再三繰り返す」の定義については、敢えて非公開にしているのでよろしくね。あとうちの店内にも防犯カメラは当然のようにあるので、その心算で。


 この措置は従業員を守るためであるのと同時に、他のお客様を、そしてこのカフェ自体を守るためでもある。
 うちのカフェは、ご飯を求める学生たちの拠り所であり、近隣住民――お年寄りも含めた人々の憩いの場であり、通りがかりの人がふらっと身を落ち着けられる場所であり、駆け込める居場所でもある。
 そんな店が迷惑行為をまかり通らせるような場所になってしまえば、店長たちが20年以上守ってきた在り方が台無しになっちゃうって。憩いに来てまで誰かの嫌がらせの声を(傍からでも)聞きたい客なんてのもまず、いないだろうし。

 え? ハロパやクリパで学生諸君が店でバカ騒ぎするのはいいのかって?
 出禁事項に該当しない限りは、別に。
該当しない限りはね。
(11) 2022/10/21(Fri) 9:15:03

【人】 高山 智恵

 っと、話を戻そう。
 休日は大学の講義も全然(あるいはそんなに)ないこともあって、講義の合間を縫う学生の姿はほぼ無いと言っていい。
 下宿生などで休日も近隣で暮らしている(そして遊びなどの予定もない)子か、或いは元々の住民かが客層の中心になる。結果として平日よりも空きやすい。それでもランチタイムはなかなかに混むけれどね!

 そんなこの日のピークタイム過ぎに、たった一人で訪れたそのお客様。
 この時ちょうど入口近くにいた同僚が彼を案内する。他のテーブル席にも空きはあったけれど、「お一人様である」ということがはっきりしているなら、促す先はカウンター席だ>>2:55

 私の方はといえばこの時テーブル席のお年寄り方や学生たちを担当していたから、時折カウンター内やキッチン内へ戻る際にこのお一人様の様子をちらと見遣る程度だったのだけれど、彼の前に「あの」パンプキンタルトが届けられた>>2:57のは見えていた。
 前に来た時も季節のフルーツのデザートを注文していたこのお客様だったけれど、今回のオーダーも季節限定のスイーツ。それもハロウィーンらしくかつ、一番素朴なもの。
 多分この人、店長と食の話が合う気がする(もしかしたら、店長拘りの品>>2:*1と知った上で注文したのかもね)。
(12) 2022/10/21(Fri) 9:18:38

【人】 高山 智恵

 ややあってから、彼がうちの同僚を呼んで、追加で“ 黒猫のホットココア ”>>2:60を注文する声が聞こえた。
……自分が考案したメニューだからいちいち反応するとか嬉しくなるとかそんな訳じゃないってば! 断じてそんなメニュー初採用して貰った新人みたいなこと……
いやそりゃ嬉しいんだけれど……

 とはいえタルトもまだ半分残っているところからすると、これを食後の一杯に、という訳ではないっぽい。
 ううん、もしかして実はタルトは口に合わなくて残した? あるいは――…


「はい! ただいまお伺いします」


 ふっと挟まった思考は、私を呼ぶおじいさんの声によって遮られた。
(13) 2022/10/21(Fri) 9:20:00

【人】 高山 智恵

 結局その日、私が件のお一人様と何かしら話したりすることはなかった。あの黒猫のココアの感想をちょっくら聞きに行くという時間的余裕も無かった、けれども。

 以前の来店時はナンパ男の件で謝罪してくれたり、そのナンパ男を鋭く睨んだり(元々目つきが鋭い印象はあったけれど)
チョップしたり
といった言動ばかりがつい印象に残っていたのだけれど――。
 そのナンパ男……相方共々、パスタやデザートのシェアを楽しんでいた姿だって、そういえば確かにあの時はあったのだ。直接感想の言葉を伝えられずとも、その様子は伝わってきていた。
 それに対して、たったひとりだけで来たこの日は、どうだったか。


( タルトが口に合わなかったんじゃなくて――
  食べきれなくなるくらいに塞いでた、か。
  あるいは、一人じゃ食が進まない、か。 )


 業務中はそこまで回らなかった思考を、仕事上がりのバックヤードで思う。
 振り返ってみれば、あのお客様、入店した時からなんだか俯きがちだったし。顔にまで何か出ているような感じ……は、分からなかったけれど>>2:56
 何が彼を俯かせていたのかは分からない。職場絡みのことかもしれないし、家族の事情かもしれない。或いはそれこそ、マブダチナンパ野郎と仲違いするようなことでもあったのかもしれない。
 この件について、あの時彼に応対していた同僚につい尋ねもしたのだけれど、「流石にそこまで判るわけないやん」とのことだった。そりゃそうか。
(14) 2022/10/21(Fri) 9:21:07

【人】 高山 智恵

 まあ、パンプキンタルト自体がケチつけられるようなものじゃなかったっていうのは店として安心できることなのだけれど。
 実際、あの後タルトは全部食べ切ったみたいだし>>2:63――。
 あの温かいココアのお陰で食欲戻った塞ぐ気持ちが落ち着いたのかなー、と思うのはちょっと自意識過剰だったかもしれない。
 

( ……私だって、なあ )


 ことあるごとに塞ぐままじゃ居られないでしょ、とこの頃の嫌気>>0:7を抱えながら思う。
 けれども、なんとかしなきゃってぱっと思ったところで、すぐさまに吹っ切れる訳がない。
 それこそあのココアを呑んだお客様だって、その場しのぎみたいな感じで食欲戻っただけなのかも――とも思い直しながら。
 ……いや、彼が本当にあれ一杯で気持ちの切り替えとか踏ん切りとかついたって言うなら、発案者としては鼻高々なんだけれどさ。
(15) 2022/10/21(Fri) 9:21:50

【人】 高山 智恵

 さて、うちのカフェのメニューは凡そ、店長と初期の仲間スタッフが考案したレシピが土台になっている(パンプキンタルトはまさにその一つだ)。中には創業当時から全くレシピを変えていないものもある(エビピラフとか)。
 その一方で、新たに入ったシェフやパティシエがレシピを考案し(時には既存のそれを改良し!)、退店してからもレシピだけは店に置いていった、というものもある。

 この“ 黒猫のホットココア ”のレシピのベースは、あのの残していったレシピ>>2:106
 常設メニューの中にあるホットココアもガトーショコラも、彼女が書き残したレシピそのまま。現在うちで出しているBランチやロコモコ丼のハンバーグの配合も、彼女が改良したものだ。

 私はわざわざ・・・・、彼女が残したものをベースにした新メニューを今年のハロウィーンメニューに推薦した。
 そんな“ 黒猫のホットココア ”が今、冷えてくる季節に向かう中、カフェを訪れるお客様を温めている。
(16) 2022/10/21(Fri) 9:22:30

【人】 高山 智恵

 猫は気まぐれで、薄情に見えて、特に凶暴なようでいて――それでもちゃんと体温のある生き物だ。


 ――私は嬉しいのはきっと、彼女が残したものが
   ちゃんと認められていると感じたから。
   そして、その彼女は今――



 …………変に考えるのはここまでにしておいた。
 明日も明後日もお客様を迎えるだけ。そう、内心でひとりごちる。

 そして、はっきりと意識したんだ。
 私たちのカフェは、愉快なお二人様にも、ひとりきりのお客様にも、居ていい場所として開かれているんだと。
 ほっと一息つけるココアだって、そうしたお客様のためのものなのだと。**
(17) 2022/10/21(Fri) 9:22:53

【人】 高山 智恵

 カズ君から呼び止められ、私は振り向いた>>18
 追加のオーダー……という訳ではなさそうだ。だってここは彼に案内したテーブル席じゃなくカウンターだ。それに――


「ああ、うん。――さんでしょ?
 今日は特にうちには……、……」


 カズ君と二人で来店していた時に聞き拾っていた名前を口にしながら「来てなかったなー」と言い掛けて、口を止めた。
 ――あれ? 本当に今日は来てなかった?
 ぼんやりとした引っかかりが、頭の中でぱっと線を結ぶ。


「いや、来てた来てた!
 ランチタイムに来てデミオム食べてったよ」


 今日の昼のことを度忘れしていたのは、当然のように店員にとって目まぐるしく忙しい時間帯だったからであり。
 彼女も“ いつも通り ”ワンコインランチをオーダーしていたからであり。
 そして、その彼女から何かしらの話を聞いた覚えがなかったからだ。
(33) 2022/10/22(Sat) 10:48:34

【人】 高山 智恵

 ――そう、“ いつもなら話してくれる ”感想>>2:79の一つすらも、聞いた覚えがない。


「……なんだか今日はちょっと、
 あの子、元気なさそうだったかも」


 実際のところ、本当に元気なかったのか否か、までは未だに判らなかったけれども――。
 あの時どうして、うちによく通ってきてくれている彼女に「どうかしたの?」の他愛ない一言すら掛けられなかったか。
 ピークタイムの多忙の所為にしてしまえばそれまでだが、今の状況とも合わせて考えるとどうしても悔やむものが抱かれる。
 ――いや、まだ「まさか」の話>>21だって決まった訳じゃない。けれども。
(34) 2022/10/22(Sat) 10:48:58

【人】 高山 智恵

 私の返答を聞くなり、カズ君はすぐに、その場に代金を置いて店を出て行った>>19


「ってあっ、ちょっとカズ君――お客様!」


 はっと呼び止める声が口をついて出てきたけれど、多分もう彼の背には届いていないだろう。
 カウンターに置かれたお金はぱっと見50円くらい多かったのだけれど、まあその件は今は本当にどうでもいい。
(海外の飲食店みたいなチップ制とかはうちには特にないので、不正会計疑いとか起きないように一応差額は控えておくことにした)

 脳裏を過ったのは、もっと別のこと――彼が無理してまで一人であの子を探し回ったりしないか、だ。
 ホットココアの代金(よりも少し多いお金)をひとまずレジにぶち込んでから、私は一度バックヤードへと走った。
(35) 2022/10/22(Sat) 10:49:18

【人】 高山 智恵

 この時は丁度、ダンサーのあの子が出勤してくる時間帯だ。
 タイムカードを押しに来た彼を見つけられたので、ちょっくら捕まえて声を掛けた。


「あのさ、いきなりで悪いんだけれど……。
 ――君、カズ君とはラインとか何かやってる?」


『えっ智恵さ――高山さん、どうしたんですかいきなり』


 本当は私から直にメッセージしたいところだったけれど、生憎カズ君とは、少なくとも個人的にはSNS等での繋がりがない。
店のアカウントからメッセージ送信を試みることは流石に考えなかった。

 同じチーム所属なら兎も角、ライバルチームのメンバー同士がどの程度SNSで繋がっているかはよくわからない。バンド同士やアーティスト同士の横の繋がりであれば話に聞くけれど……。
 ただ少なくとも彼はカズ君とは知り合いらしいので、好敵手なら好敵手なりに、何かしら個人的な繋がりがあってもおかしくはないと思ったんだ。
(36) 2022/10/22(Sat) 10:50:12

【人】 高山 智恵


「もし今すぐ連絡できるようなら、言っといて。
 『あの子のことで、もしものことがありそうなら
  大人でも警察でも頼れ』って。
 私の名前付きで言っておけばカズ君も聞くでしょ」


 向こうの返答を待たずに用件を続けてしまったのは、私も多分にちょっと焦っていたからかもしれない。他のお客様の応対のこともあったものだからね。
 私の心配がカズ君に伝わってるなら、私からの伝言としてこの言葉を“ 好敵手 ”が伝えてきても、そこまで不審には捉えられない筈だ。
(37) 2022/10/22(Sat) 10:51:41

【人】 高山 智恵

 ただ一つ明確に問題があるとすれば、私の名前を出させることで、この子に「このカフェでバイトしていることを自ら好敵手にバラす」ことを強要させかねなくなる、くらいか。
 うん、カズ君自身はこの子がうちの店にいることに全然気づいていないみたいだったので……。何せ以前、他のお客様のテーブルまで行き来する際にカズ君たちのすぐ横を通り過ぎた時にすら、カズ君のほうからは全く反応がなかったくらいだったから>>2:82。普段の印象って本当に大きいなあ……。


『……、……わかりました。
 なんとか、やってみます』


 この返答通りにこの子が「好敵手のアイツ」に連絡するかは分からないし(そもそも連絡できるかも不明だし)、もし何もしなかったとしても、私から怒る心算はなかった(そもそもこれ、業務外要望なので)。
 普通に上司から部下への無茶ぶりっていうのもあったけれど、若い子たち(ばかりとは勿論限らないけれど)の中には警察に対しての後ろめたさや不信感を抱えている子たちもいるのだから>>1:111
(38) 2022/10/22(Sat) 10:52:09

【人】 高山 智恵

 もっとも、姿の見えないあの子に関しては、これまでの話を聞く限りだと下宿生ではなく、実家で親御さんと同居しているらしい>>21(ついでに言えばカズ君も実家暮らしっぽい>>1:59)。
 その親が過度の放任主義か、電話すらもできない状態か、或いは子供の外泊予定とかを予め伝えられてたりしていない限りは、娘の帰りが異常に遅い時には親御さんから警察への電話を考えるだろう。

 けれどももし万が一、親御さんすらも動かなかったら? カズ君ひとりしか、あの子を探しに行かなかったら?
 事の経緯の一端に触れている大人として―― 一端だけ、とは言っても――もしこれが最悪の事態に繋がってしまったら、気が重いなんてもんじゃない。


( あの子も――それにカズ君にも、
  何もないといいんだけれど…… )
(39) 2022/10/22(Sat) 10:54:03

【人】 高山 智恵

 さて、今のこの状況で、私自身にできることといえば。 
 変わらずこのカフェでお客様をお迎えする、ということだ。

 昼に一度うちの店を訪れ、その後のカズ君との待ち合わせには来なかったあの子だけれど、何かの拍子にまたうちのドアベルを鳴らさない、とも限らない。
 だからもし彼女が来てくれた時のために、私はここにいる。勤務時間の件とかを置いといても、だ。
 その時には、「カズ君は一度うちに来てから、あなたあの子を探しに出て行った」ということも知らせないといけないからね。**
(40) 2022/10/22(Sat) 10:56:03
高山 智恵は、メモを貼った。
(a0) 2022/10/22(Sat) 11:34:22

高山 智恵は、メモを貼った。
(a1) 2022/10/22(Sat) 11:35:03

高山 智恵は、メモを貼った。
(a2) 2022/10/22(Sat) 11:37:08

【人】 高山 智恵

 いつも通り慌ただしかったり、いつもよりも気掛かりが絶えなかったり――これは、そんな今日の営業が終わってからの話。
 ……うん、いくら顔なじみのカズ君相手とはいえ“ お客様 ”相手にガチのタメ口で話していた辺り>>33、本気で無自覚の疲労だとか心労だとかが重なっていたらしい。帰ったらきちんと休もう……明日が丁度私の休みで良かった……。

 さて、もうすぐ帰れるという頃にバックヤードで見かけたのは、布を掛けられた大きな円錐形――クリスマスツリー。今日霧ヶ峰さんが奥の倉庫から出してきてくれたものだろう。
 電球などの飾りも含めたチェックもちゃんとこなしてくれたらしく、近くのゴミ入れの中に捨てられた飾りが光を弾くのが見えた。
 霧ヶ峰さんが地味な細かい作業だけじゃなくて力仕事まできっちり確実にこなしてくれる>>2:L1のは、率直に言って、店としては非常に助かる。地味ながらも大切な戦力、と言っていい。
(41) 2022/10/22(Sat) 17:14:06

【人】 高山 智恵

 ……のだけれど、微妙に違和感を覚えて、ゴミ入れの中を覗き込んだ。


「これ、まだ全然使えなくない?」


 思わず声に出してしまった――うん、そうつい言ってしまうくらい、捨てられていたそのツリー飾りは綺麗だった>>2:75。ベタつき汚れもカビも、極度の変色もなかった。
 ――あの霧ヶ峰さんに限ってこんな適当な仕事する?
 そう訝しみながらよく目を凝らしてみると、その綺麗な飾りと似たような飾りが他にも捨てられているのが見えた(どこがどう似ていたのか、は一旦置いて)。そちらも摘まみ上げてみればやはり、特別汚れや損傷が見られるものではなくて――。


( あー、そういうことか )


 これらの飾りがゴミ入れに放り込まれていた理由にひとつ心当たりを得ながら、それでも普通に「捨てるには惜しい」状態のものだと思えたそれらを、そっと回収しておいた。
 このツリー一式とか飾りとか、一応、お店の予算内で購入しているものだからね!
(42) 2022/10/22(Sat) 17:15:59

【人】 高山 智恵

 ただ、回収したとはいっても、即座に黙って布の下のツリーにこれらの飾りを付け直す訳ではない。
 今日のところはとりあえず、例の飾りは私のロッカーに入れておくことにした。後のことは後日店長と相談しよう。


( 霧ヶ峰さん、やっぱ大分堪えてたんだな…… )


 捨てられていた飾り付けのデザインに共通していたのは、「あの俳優さん」の役柄を想起させるモチーフ、だ。
 思い出した。これを私にさらっと教えてきたのは、アートやってるバイトの子だ>>2:98
 そして霧ヶ峰さん自身が、自分の口で自分の「推し」について話したことは、そういえば、なかった。
 ……教えられた当時は「そうなんだ」くらいに聞いていたけれど、今思えばあの子、
他者の個人情報晒す心算のない趣味を広めてた
んだな。もうすぐギャラリーで学生展だって言ってたから、学生展が終わってからさりげなく注意しておかないと(去年の話だから、本当、さりげなくね)。
 え? あの子霧ヶ峰さん普通にどう見たって態度で誰推しかバレバレな子じゃんって? いくらバレバレに見えたって、それでも秘密を他人に広めるもんじゃないよ……。
(43) 2022/10/22(Sat) 17:16:29

【人】 高山 智恵

 件の飾りをわざわざ戻したりしなかった――霧ヶ峰さんの目の届くところから一旦隠したのは、(おそらく)傷心していた人への配慮といえば配慮だったのだけれど、店側にとっては(金額的にはささやかな)損失ともいえる。
 けれどもこの出来事は少し、ほんの少しだけ、ちょっとだけ安心できるものだった。

 だってこれ、見たくないものを見続けるという「無理」をしない、という選択を霧ヶ峰さんが採れたということなのだから。
(44) 2022/10/22(Sat) 17:18:14

【人】 高山 智恵

 店長からの共有事項でも、実際に見聞きした霧ヶ峰さんの勤務態度でも把握していること。
 彼女は客からの嫌がらせを「平気な顔で」スルーする>>2:L1
 そしてちゃんと上層部に報告してくれるし、助けもちゃんと求めるし、他の子が受けた嫌がらせについても同様に対応して助けてくれてる>>2:L2
 彼女は勤務上の悩みを一人で抱え込んでいるようには見えないし、新人研修で指導したことをきちんと生かせる、それでいて他の子の状況にまで気を配ることもできる、いわば「デキる」従業員に見える。

 見えるん、だけれど。
 それってイコール「精神ずぶとい系」って訳じゃないよね、と私は思ってる。
 「平気な顔で」って言うけれど、営業スマイルって、ただでさえ素顔を隠す仮面と似たようなものだ。あの子の場合はそのスマイルがそれこそ貼り付いて固定されているように見えるものだから、余計に仮面めいた印象がある。
 つまり彼女の「平気な顔」は、必ずしも本当に平気とは限らない、ってこと。
 セクハラに関していえば、霧ヶ峰さんが受けたのは本当に「たまに」程度のようだけれど……それでも、ね。
(45) 2022/10/22(Sat) 17:19:46

【人】 高山 智恵

 他の従業員たちがあからさまにギョっとするような汚れ仕事や力仕事だって、文句の一つも言わずにやり遂げる霧ヶ峰さんだ。
 だからって、文句言わないんだから仕事押し付け続けていいって訳でもない>>41
 いつも通りに笑ってみせてる顔の裏で彼女がどんな「無理」をおしているか、判らないのだから。


 そんなあの子が「無理なもの」をちゃんと回避したんだ、と内心ひとり思いながら、私は家路に就いた。
 多分、苦笑いしてたんだろうなあ、この時の私――
(46) 2022/10/22(Sat) 17:20:24

【人】 高山 智恵


 ――私は無理してない?
   自分の気持ち、無理して殺そうとしてない?


 ――あのだって、今、ひとりきりで・・・・・・無理してない?
   あの娘の側には今、誰がいる? 誰が助けてくれている?




 ……ああ、今日はもうさっさと、うち帰ろう。**
(47) 2022/10/22(Sat) 17:31:30
高山 智恵は、メモを貼った。
(a3) 2022/10/22(Sat) 17:36:51

【人】 高山 智恵

 結局あの日業務外要望を押し付けてしまったバイトの子からは、その日のうちに、ちゃんとカズ君と連絡が取れたとの報告があった。そのカズ君から私宛に「ありがとうございます」の伝言を受けた、とも。
 ……バレたくないバイトの件が結局バレたか否か>>52>>53は不明のまま、だけれど(あの子の顔色を見る限りだと、気恥ずかしさとか、そういうのは無かったっぽい)。

 手短に報告されたのはそれだけで、あの子が他に何かカズ君から聞いたり話したりしたか>>54>>55>>57>>58というのは聞かなかったけれども。ちゃんとカズ君にこちらからの伝言が届いたというのは判ったから、それだけでも胸が幾らか楽になった。
 これでカズ君が一人で突っ走ってしまう心配はなくなったし、いざという時には頼みにできる大人たちが動くだろう。
 あとは、昼に来たっきりのあの子亜由美が無事であればいい。さらに望むならば――あの子やカズ君が多分抱えてるんだろう浮かなさが、ちゃんと晴れてくれればいい。


 そうして日も暮れてから店を閉じるまでの間に、また何かあったかどうか――それについてはまた別の話に。
(83) 2022/10/23(Sun) 16:08:37

【人】 高山 智恵

 さて、まだ一つ話していなかったことがある。
 “ 彼女 ”が去年カフェを辞めた、そのいきさつだ。

 ……といっても、特別衝撃的な出来事があった訳じゃない。
 単に独立の準備をするからというだけの、いわば円満退職だ。店長も、彼女の新たな航海を後押しする形で、笑って送り出した。
 尤もこの時、キッチンスタッフの穴を埋める人材引き継ぎの件で色々あったんだけれど……まあそれはいいや(色々あった程度には、彼女はシェフ兼パティシエとして優秀だった、ってことだ)。

 それ以降、彼女はこの街に戻ってきていない。
 別の街でカフェの開業を始めるためにあちこち奔走しながら、所々で見つけた“ 素敵なもの ”の写真を私に送ってきているんだろうと、私は思っていた。
(84) 2022/10/23(Sun) 16:12:04

【人】 高山 智恵

 物理的に遠く離れても結局途切れることのない、この一方的な気持ちは、思えば本当にずるずると長く続いていた。

 告白してみる勇気も勢いも持てなかったうちに、「彼女はあのひとを見ているんだ」と知った日>>2:106
 それからも何年も何年も、「あり得ない」期待ばかり考えながら彼女の隣で働いていた。
 どこかであの男に幻滅してくれないかな、なんていう捻くれた期待すら、抱いていた。結局、正直な彼女の口からは、そんな幻滅が零れることなんてなかったんだけれどね――。

 ……こんなこと考えるだけで、大分、自己嫌悪ってひどくなってくる。
 打ち明ける勇気も持てなければ断ち切る勇気も出せない私なりに、どうすれば、と今夜も考えるんだな――…
(85) 2022/10/23(Sun) 16:13:15

【人】 高山 智恵

( いっそさ、ちゃんとあのに告白して嫌われてみる? )

 多分これ、何度も何度も考えてる。
 けれどもそれは、できない。

 ――だってあの娘が私を嫌って離れたら、
   他に誰が側にいるの?
   あの男ですら、あの娘の側にいる訳じゃないんだよ?
   あの子みたいに、探してくれるカズ君
   気遣ってくれる子が他にいる保証なんてない。
(86) 2022/10/23(Sun) 16:16:29

【人】 高山 智恵


 ……結局、彼女に嫌われること、拒絶されることを、私は恐れ続けている。
 そんな恐れだって、無理してでも超えなくちゃ、片想いを自分から絶ち切るなんて芸当はできやしないんだろう。

 ――私がそういう無理なんてしてたら、
   他の若い子たちに「無理しない」なんて
   言える顔もないでしょ?

 
(87) 2022/10/23(Sun) 16:18:33

【人】 高山 智恵

 こんな夜に限って、スマホアプリのプレイリストのランダム再生で掛かってくるのは、“ あなたはあなたのままでいい ”なんてメッセージを乗せた柔らかなヴォーカルだ。


( 私は私のままで――、か )


 私を、“ 私の想い ”を自分で殺してしまうことなく、それでいて想いを薄れさせ、手放すには――。


( あの男こそ、絶対あの娘に相応しいって
  ……そう認められるようになったら、いいのかな )
 
(88) 2022/10/23(Sun) 16:19:36
 




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