【置】 夏の雪 ユメカワさいごの一歩を踏み出して、二人浮遊感に身を委ねて ──流石に高い所から落ちるのは、少し怖いな。 ──また失敗したら、どうしよう。 ほんの刹那に過った不安は、きっと君と同じだったけれど。 煩い風の音の中、か細い声を拾って、 そんな不安を振り払って、より強く君を掻き抱いて、ただ君だけを見る。 もしも君が死に切れなかったなら、 やはり優しくその苦しみを終わらせてあげよう。 どんな最期が待っていようと、もう離さない。 そして、終わりはやはりあっけないものだった。 少なくとも、これ以上死の苦しみを得る事のない 死人である夢川にとっては、ではあるのだけれど。 (L1) 2022/07/15(Fri) 1:42:21 公開: 2022/07/15(Fri) 1:45:00 |
【人】 夢中 ユメカワ>>0 ネコジマ ぼたぼた、髪から額へ頬へ零れ落ちる血をそのままに。 かたかた、音のする方へと緩慢に視線を向けた。 そのありさまはただ虚像が剥げ落ちたのか、 それとも死に損なったのか、何れも定かじゃない。 「稔」 名前を呼んで、目を細めて笑う。うれしいな。 あの時、ちゃんと見届けてくれると言った君だから。 きっと来てくれると思っていたから、驚きは無いけれど。 「うん。一人じゃ大変だから手伝ってもらっていい? そろそろ行かないと、遅刻しちゃうかも」 素人目に見ても生きているはずがないと判る血溜まりの中。 いつも通りに笑って、いつも通りに甘ったれた台詞を吐いて。 傍に居る来家をそっと抱き寄せた。 早くおはようが言いたいな。 言うまでもなく、行き先は出欠を取ったあの教室だ。 (1) 2022/07/15(Fri) 1:43:40 |
ネコジマは、通り過ぎた時に、死んでるなぁと思った。 (a2) 2022/07/15(Fri) 2:10:34 |
ネコジマは、今見ても、死んでるなぁと思った。 (a3) 2022/07/15(Fri) 2:10:37 |
【人】 夢中 ユメカワ>>2 ネコジマ 君に手伝ってもらって、小柄な身体を荷台に下ろして。 君が自ずとそうするなら、手押し車の取っ手は任せてしまおう。 そういった善意に甘えるのは、やっぱり好きだ。 「約束、じゃないけど」 「先生が出欠取るのに遅れたらよくないから」 まだ少しだけ、体温の残る頬を時折撫でながら。 きいきい、からから、少しばかり頼りない音をさせて。 ぱたぱた、ぽたぽた、赤い点々を残しながら歩いていく。 道すがらに話すのはさも当たり前の事のようで、 けれども今話すには、なんだか前提がおかしな話でもあって。 「稔はさあ」 それからぽつり、じつに他愛無い問い掛けのように口を開いて。 「何から逃げてたの」 君が俺から目を逸らしていた事なんて知っている。 前々からの疑問を投げ掛けた。きっとこれが最後だから。 高い所から落ちれば夢から覚められる、なんて言うけれど。 二人飛び降りても、何もかも消えて無くなりやしないのだから やっぱり何処までもこれは現実らしい。 (3) 2022/07/15(Fri) 3:17:56 |
(n0) 2022/07/15(Fri) 10:03:20 |
【人】 気狂 ネコジマ>>4 ユメカワ 猫島はすぐには言葉を続けなかったけど、 待っていれば話してくれる時の彼に見えたから、 あなたはきっと待ってくれていた。 「…前の父さんは殺したら死んだんですよ。くるしいくるしいをして」 「母さんがくるしいくるしいだったから。だから猫島はそうしました」 「死んだ前の父さんは何も出来なくなりました」 「またくるしいくるしいになるのは嫌です」 「殺したのに。死んでも。 …何かができちゃうなんて、思いたくねぇんすよ」 呟くくらいの声で話してあげた。誰にも言ったことがないこと。 あなたの疑問を取り除けるように。きっとこれが最後だから。 (5) 2022/07/15(Fri) 11:34:35 |
ネコジマは、結局、逃げきれていないね。 (a4) 2022/07/15(Fri) 11:35:23 |
【人】 気狂 ネコジマ【???】 「あ、増えてる」 教室に来家を運び込んで。 どこに座らせようかと辺りを見て、気付いた。 ほとんど寝ているみたいに死んでいる山中がいる。 寝てるんだなぁとは、猫島はあんまり思わなかった。 席に着いていたら、この二人は隣だっただろう。 「雪ニイはどこ座るんです?」 一緒に教室に来た夢川に意識を戻した。 あなた達もきっと隣だ。さて席はどこだろう。 (6) 2022/07/15(Fri) 11:38:12 |
ユメカワは、そう思って欲しくはないけれど。 (a5) 2022/07/15(Fri) 16:24:33 |
ユメカワは、君達の前に確かにある岐路を指すだけ。 (a6) 2022/07/15(Fri) 16:26:02 |
ユメカワは、それでも、君達が迷うなら。 (a7) 2022/07/15(Fri) 16:26:10 |
ユメカワは、その手を引く事はできる。いつも通り、甘ったれたふりをして。 (a8) 2022/07/15(Fri) 16:26:16 |
【人】 夢中 ユメカワ【???】 >>6 ネコジマ そんな道すがら、暫しの会話の後。 「ん。裏道も来てたんだね」 猫島に続いて、ひょいと教室を覗き込んで。 視線の先、ひとつ増えていた人影を見て なんでもない日々の中、友達の姿を見付けたようにそう言った。 他の誰かが連れて来たのかな。それとも自分から来たのかな。 だって先生が連れて来たなら、 きっとちゃんと着席させてあげていただろうから。 「窓際の、そこ。」 来家の傍からは離れず、山中を着席させる様子を見守って。 それから、投げ掛けられた問いに空いた席を指差した。 場所と意図が伝われば、もう一人。同じ様に着席させてしまおう。 並んだ机は、ふたりぶん。 俺の隣は、君の隣は、やっぱり、特等席だから。 (7) 2022/07/15(Fri) 16:27:45 |
【人】 夢中 ユメカワ【???】 >>8 ネコジマ よいしょ、ごく軽い掛け声のあと。 ちいさな身体をそっと椅子に座らせて、机に寄り掛からせた。 多分、机に顔を伏せて寝ているみたいなかたち。 そんな来家の頭を、髪を梳くみたいに優しく数度撫でて。 それから、君の問いに、ああ、と小さく声を漏らした。 ポケットを探れば、名前の書かれた布はちゃんとそこにある。 多分、血に汚れてもいないだろう。 「はい。埋め直すの、お願いしてもいい? 元の場所に戻すのでも、もっと良い場所に埋めるのでも 先生に──梢ちゃんに伝えられさえすれば、 きっと場所は何処でもいいはずだから」 きっと言わずとも、元の場所に戻すなり、 埋める場所を教えるなり、してはくれるのだろうけど。 念の為の言葉を添えて、件の布を君に差し出した。 本当はしっかりと弔った方が良いのだろうけど、 自分達にはそれは難しい話だろうし。 であれば、缶の中へと収められた彼らに間接的でも縁があり 子ども達の庇護者たろうとする彼女の与り知る所にあるのが一番だろうから。 (9) 2022/07/16(Sat) 1:49:34 |
ネコジマは、鳥飼にタオルを返した。くびに。 (a9) 2022/07/16(Sat) 12:43:14 |
ネコジマは、いってきま〜す。間延びした声。皆の教室を出ていった。てぽてぽ。 (a10) 2022/07/16(Sat) 12:46:47 |
シロマは、線を引いた。 (a11) 2022/07/16(Sat) 12:54:07 |
ネコジマは、白間を見つけた。 (a12) 2022/07/16(Sat) 13:14:08 |
友達 ネコジマは、メモを貼った。 (a13) 2022/07/16(Sat) 13:25:29 |
シロマは、出席簿に名前を書き加えた。 (a14) 2022/07/16(Sat) 16:46:56 |
【人】 幸福 ライカ【???】 落ちて、運ばれて、どこかの何かに座らされて。 「………ん、」 優しい温度が髪を撫ぜる。心地良い話し声も聞こえる。 頭がぼんやりするけど、何だかとても良い所に居る気がする。 ─────ぱち、 月白色の眼がほのかに開いて、ゆるりと顔を上げていく。 「………あれ、」 ここ、どこだっけ。さっきまで、何してたっけ。確か、深雪が事故に遭って。後悔や悔悟を紛らわす何かを探しに、肝試しに参加して。それから─── 「──……ッ!!?」 思い出した。 飛び降りたんだ、僕W達Wは。 がば、と上体を起こす。 不思議と体のどこも痛くなくて、首を傾げては、夢だったのかと辺りを見渡す。 「……あ、あれ? 何……なんで…………?」 視界に入るは、生きていない者たち。 何が何だか、分からなくなってきた。 (11) 2022/07/16(Sat) 21:01:10 |
ユメカワは、猫島に手を振った。またね。 (a15) 2022/07/16(Sat) 23:34:04 |
夢中 ユメカワは、メモを貼った。 (a16) 2022/07/16(Sat) 23:35:29 |
【人】 夢中 ユメカワ【???】 >>11 ライカ 「──おはよ、夏彦。」 ずっと君を待っていた。 ずっと、またこうしておはようを言える日を待っていた。 もう戻らないと思っていた日々が、戻って来た。 「…調子はどう?俺、今度は上手くやれたのかな……」 ひとりの生者は去って、今は生きていない者ばかりの教室の中。 周りに広がる光景が大した事じゃないみたいに、 けど、君の様子に少しだけ気兼ねしたように。 きっといつも通りの姿で、いつも通りに君に笑い掛けた。 夢見るいろは確かにそこにあって、きっと夢ではない。 夢の中に、その先に生きる者にとっては。 今ここにある永遠こそが現実だ。 (14) 2022/07/17(Sun) 1:55:21 |
気狂 ネコジマは、メモを貼った。 (a18) 2022/07/17(Sun) 11:52:08 |
ネコジマは、乾いた声でわらって、 (a19) 2022/07/17(Sun) 12:42:47 |
ネコジマは、いろんなものが綯い交ぜになったこころでわらって、 (a20) 2022/07/17(Sun) 12:45:33 |
ネコジマは、ただ、わらった。 (a21) 2022/07/17(Sun) 12:46:21 |
ネコジマは、猫島はほとんど迷っていない。道を決める要素は、あとひとつだけ。 (a22) 2022/07/17(Sun) 12:48:34 |
ネコジマは、先生の許可をもらえて、息を吐いた。緊張していた顔が少しゆるむ。よかった。 (a23) 2022/07/17(Sun) 16:46:41 |
ユメカワは、きっと笑っていた。 (a24) 2022/07/18(Mon) 4:31:51 |
ユメカワは、昔からなんにも変わらない。これまでも、これからも。 (a25) 2022/07/18(Mon) 4:32:31 |
ネコジマは、「しませんよ」 ひとこと、それだけ言っていた。 (a26) 2022/07/18(Mon) 6:00:12 |
ネコジマは、わかってもらえてうれしい。 (a27) 2022/07/20(Wed) 21:25:03 |
ネコジマは、滲んだ程度のその憐れみを、心配なのだと思った。だから、 (a28) 2022/07/20(Wed) 21:25:08 |
ネコジマは、わらって頷いて、それで先生と別れていたのだった。 (a29) 2022/07/20(Wed) 21:25:48 |
【置】 友達 ネコジマ【屋根裏】 「──そすね。長かったと思いますよ、猫島も」 「君は猫島よりも我慢がたくさんできるいい子なんですね」 「はい、考えておきます」 「考えておくだけですって」 (L2) 2022/07/20(Wed) 21:33:18 公開: 2022/07/20(Wed) 21:35:00 |
【人】 気狂 ネコジマ【みんなの教室】 と、と、と。 お骨のかんかんを抱えて、猫島は教室に戻ってきた。 教室には誰がいるだろう。誰もいないだなんてことは、きっとない。 「ただいま」 きょろ、室内を見回して。 真ん中あたりの空いてる席に缶を置く。さみしくないね。 それから教室に置いていた花火の袋を開けて、何本か缶の横に添えた。 続けて、動かない身体たちの──確か利き手だったと、 猫島が記憶している方の手に花火を持たせて。 抜き取った靴紐なんかで、落ちないように結びつけていく。 (16) 2022/07/20(Wed) 22:22:45 |
ネコジマは、笑顔で別れを告げて、みんなの教室を出て行った。 (a31) 2022/07/20(Wed) 22:27:20 |
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