大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a7) 2022/11/21(Mon) 16:51:50 |
【人】 大富豪 シメオン─ 中央広場 ─ [男は探していた、女神に捧げるべき『美』を。 手に入れた数々の美術コレクション、そのどれをとっても『フェス』に相応しい『美』ではあるものの、だがそれでは足りないと考えていた。 女神のお眼鏡に叶うもの。 例えばそれは、ずっと昔に捧げた己の剣技のような、世に唯一無二の、そしめ瞬きの間に消えてしまいかねない刹那の美しさ。 男はそれを探していた。] 踊り子のリリー。 で、間違いないかな? [空を見上げる女>>12に声をかけたのは雑踏の中。 それは有象無象の中のひとつの可能性。] 私はジョスイ…シメオン・ジョスイという。 探し物をしているのだが手伝っては貰えないか? [それは『美』となり得る原石。 つまり男はこの踊り子にその可能性を見ていた。] (30) 2022/11/21(Mon) 17:16:25 |
【人】 大富豪 シメオン[財界に顔が効くか、それとも各ギルドの上層部でもなければ男の顔は知らなくても当然だろう。街の有力者の顔など広く知られるものではない。 だけど、その名前はもしかすると聞き覚えがあるかもしれない。 かの大富豪。 そして数々の『美』への投資家。 それは『パトロン』という意味も含むものであり、見初められればこの街での成功は約束されたも同然だという噂だ。 勿論その機を逃し日陰から抜け出せない者も多くあったが。] 以前に見させて貰った。 少しいいかな。 [その言葉は女にとってどのような意味を持つだろうか。*] (31) 2022/11/21(Mon) 17:17:32 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [男が声を掛けたのは歌姫では無かった。 その『美』は未だ燻っていた。 磨き方を知らぬ原石、輝き方を知らぬ星影。] 己の可能性を信じるか? [曲の終わり、次の演奏の合間に男は女>>29の元にいた。 値踏みするような視線は女の今の価値を、そしてこれからの価値を推し量ろうとする。] 底の知れた『美』には興味がなくてな。 それよりも未だ見ぬ『美』を探している。 [それは歌姫のこと。 当然に思うだろう疑問「なぜ歌姫ではなく自分なのか」それを先回りした答え。つまりそれは今の時点で女の『美』は歌姫に劣るということでもあった。] (41) 2022/11/21(Mon) 17:47:09 |
【人】 大富豪 シメオン[チャリンと何枚かの金貨がテーブルを叩く。] 今夜の稼ぎはこれで充分かな。 [それは女に向けられた言葉であり、店主へ向けられた言葉でもあった。 つまり、これから演奏をするはずの女の時間を買うということで、テーブルに置かれた金貨はバーの演奏では何日もかけなければならない額だった。*] (42) 2022/11/21(Mon) 17:47:36 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a10) 2022/11/21(Mon) 17:48:51 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [それは怒りだろうか、それとも焦りか。 女の中に眠る激情が、情動が、荒れ狂う風となって男を襲う。音が音を超えて耳の奥へと響き渡る。] ……足りぬ…… [小さく呟かれた言葉。 ただしその『音』は女の奏でる音に絡みつく様に、もしくは隙間を縫うようにして女の耳に確かに届く。 その情念も情動も、叩きつけられる音の何もかもが女そのものである様に感じられて、だが故にその音はそれでしか無い。] (62) 2022/11/21(Mon) 19:12:44 |
【人】 大富豪 シメオン[それは確かに素晴らしい一音であった。] だが……まだまだだ。 [何かが足りない。 技術では無い、それは未だ伸び代があるのは確かだ。 楽器の質でも無い、それが超一流とは呼べないのも確かだ。 ではそれは何か。 何が彼女の『美』を未完成のままにしているのか。] (63) 2022/11/21(Mon) 19:14:13 |
【人】 大富豪 シメオン[男は穏やかな雰囲気のまま女の演奏に耳を傾けていた。 リクエストなどはしない。 ただ女の奏でる音を聞いている。 穏やかな波間。 柔らかな木漏れ日。 情景が浮かぶ。 その演奏技術は確かなものだった。 歌姫を歌姫にしたのも、舞姫を舞姫にしたのも彼女の音なのかもしれない。 素晴らしい演奏と、それはわかっていたこと。 だが、『美』としては未だ未完成のまま。 男にはそう感じられた。*] (64) 2022/11/21(Mon) 19:16:22 |
【人】 大富豪 シメオン─ 中央広場 ─ 素晴らしい踊りだった。 踊りはどこで習ったのかな? [男の声は柔らかく優しい色であった。 それは雑踏の中でも女の耳によく届いた。 好々爺然としながらもその立ち姿には貫禄というものが備わっている。] しかし、女神に捧げる『美』には些か…… [「足りない」という言葉はあえて紡がれなかった。 それを口にする必要もない、男にとってそれは明らかなことだった。] (72) 2022/11/21(Mon) 19:40:23 |
【人】 大富豪 シメオンどうだろうか。 私に手助けをさせて貰えないだろうか。 [この街では誰しもが修練や研鑽を惜しまない。 だけどそれだけでは届かないのが現実だった。 どれだけ努力を積み上げても足りない届かないもの。] もしも君が自分の可能性を信じているのなら。 私と契約を交わそう。 [男は女に向けて手を差し出した。] (73) 2022/11/21(Mon) 19:40:42 |
【人】 大富豪 シメオンなに、これはただの先行投資だ。 女神を『美』を魅せたものに望むものを与える。 だが、私は先に与えよう。 もしかすると潰えてしまうかも知れない『美』が、 確かにそこにあるのだと信じてな。 [男は差し出した手をそのままに、そう告げた。*] (74) 2022/11/21(Mon) 19:42:50 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [その金貨の重さは女の可能性の先にある『美』の価値。 そして同時にそれは挑発でもある。 明らかに見合わぬ対価にお前はどうやって贖うのか、と。 憂うその眼差しは音を濁らせたりはしない。 だが、それこそがこの女の落とし穴ではないだろうか。 心惑わされても変わらぬ音に大したものだと感嘆しつつも、それ故にそれは技であって『美』ではないと男には感じられる。] (81) 2022/11/21(Mon) 20:01:08 |
【人】 大富豪 シメオン[チャリと金貨の音。 男は声なく告げる、それでは足りないと。 女の価値はこの程度ではないと、値を吊り上げていく。 曲の一つが終わるたびに。 音の一つが響くたびに。 今の女には釣り合わぬ枚数の金貨が積まれていく。 男は決して容赦することなく、女の可能性、未だ聴けぬ『美』に相応しいだけの枚数を重ねていく。*] (82) 2022/11/21(Mon) 20:04:39 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [何か一つを極めるということは、様々なことに通じるという。 男にとってそれは剣であったが真理とは得てしてそういうものなのだろう。 故に、男は女に圧をかけ続けた。 まるで覚醒を促す様に、女の音の先がもうすぐそこまでであるかの様に、それを見透かす様に。] (98) 2022/11/21(Mon) 20:54:17 |
【人】 大富豪 シメオン[男は口の端をくいと上げた。 それと共に金貨を積み上げていた手が止まる。] ……届いたな…… [その呟きは満足そうだった。 そう、確かに届いた。それは一瞬だったかもしれないが、しかし可能性は確かに現実となった。 女神へ捧げるに相応しい『美』が確かにあった。] まさか本当に届くとは。 [いつかは届くという確信はあった。 だが、今この瞬間に届いてみせるとは男ですら慮外のことだった。*] (99) 2022/11/21(Mon) 20:56:05 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a21) 2022/11/21(Mon) 21:23:58 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [リュートの音が変わる。 女の演奏に変わりはないというのに、その音の響きは澄み渡る水面の様であり、荒ぶる春の嵐の様でもある。 掴んだのだろう。 女は確かに『こちら側』に足を踏み入れた。 その音は確かに美しい。] (131) 2022/11/21(Mon) 23:16:35 |
【人】 大富豪 シメオン……美しい音色だ…… [綺麗に積み上げた金貨を崩す。 それがジャラジャラとテーブルに散らばる。 男はその老いた風貌に合わぬ鋭い眼光で女を見る。 いや、女の奏でる音を見ていた。*] (132) 2022/11/21(Mon) 23:17:15 |
【人】 大富豪 シメオン─ 中央広場 ─ [優しげな笑みを崩さぬまま男その手を引いた。 眉一つ動かさず、だが、その目は暗く深く沈んでいく。] そうか。 私を知ってなお断るか。 [優しげな声色はそのまま変わらず。 女はきっといつかその『美』を花開かせるかもしれない。 男の援助などなくともその才のみで。 野に咲く花は人から水を与えられずとも美しく咲くのだ。 だが、手にできない『美』に何の意味がある?] (144) 2022/11/21(Mon) 23:51:16 |
【人】 大富豪 シメオン[男は薄らと笑う。 このシメオン・ジョスイの誘いを断った女に向けて。] それも……いいだろう。 だが、もしもそうなるなら、 その時は私の力など必要なくなるだろうな。 [肩を小さく竦めて「残念だ」と溢した。 だが、その口元は薄く笑ったまま。] 後悔しないようにな。 この私の誘いを断ったことを。 [男は踵を返して雑踏の中へと紛れ込んでいく。 唯一度だけ振り返り女を一瞥する、とそのまま男の姿は掻き消えた。*] (145) 2022/11/21(Mon) 23:51:36 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [斬り結ぶか。 それとも舞い踊るか。 交わされる視線は女の弾くリュートの音に乗せて。 変わる女の気配にバーの客たちも気付き始める。 ある者は、その美しさに目を奪われる。 ある者は、その気迫に圧倒され。 ある者は、その佇まいに情欲を揺さぶられた。 だが、それは本質ではない。 変わったのは女自身だけではなく音。 この場にいる幾人がそれを理解できただろうか。 それは恐らく最前列で聴くこの男以外には未だ。*] (151) 2022/11/22(Tue) 7:21:46 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a31) 2022/11/22(Tue) 7:31:27 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [男は驚嘆する。 女のその才覚に、その変わりように。 可能性の芽は確かにあった。 いつか『美』へと至る芯が確かに音の中にあった。 だが、それは今日明日に花開くものではない。 そのはずだった。] (その歳でその境地に至るのか) [そのとき男が抱いた感情は嫉妬であった。 同じ頃の自分はどこにいたのか、女のいる場所の遥か手前で燻っていてのではないか。それでいて女の音は『未熟』なのだ。 それは女の『美』が無限の可能性を孕んでいるという証左。 もしも女の才覚が音ではなく剣であれば、それはきっと己をも越えることさえあり得るだろう。] (157) 2022/11/22(Tue) 13:07:49 |
【人】 大富豪 シメオン[そう、それは女の世界に飲まれていくように。 その心象、感情が音を艶やかに彩る。 まるで蜘蛛の糸に絡みとられるように。 気づいた時にはもう虜になっているのかもしれない。 今の女の音にはそれだけ人を魅せる力が宿っている。 それは男とて例外ではないのだ。 音が耳の奥に響く。 それはいつしか胸の奥へと届いていく。 次の音を求め、さらに次の音を望むように女の演奏に魅入られていく。*] (158) 2022/11/22(Tue) 13:08:04 |
【人】 大富豪 シメオン─ 過去 ─ [男は多数の『美』に対するパトロンである。 それは老若男女問わずではあるが、多くは専属的な契約の元で自由な活動を許している。逆に言えば、極少数についてはいわゆる『囲っている」状態だった。 女がを『お盛んなこって』と評した>>87のはそのあたりだろう。 それは、各ギルド代表級の集まりである商工会の一員として、女の実家を訪れたときだった。 男は数人の女達を引き連れて現れた。それはパトロンとして彼女らを売り込むためであり、自らが所有する『美』のお披露目でもあった。 見目麗しい美女や、歌姫であったり、舞姫であったり、工芸家であったり、はたまた『画術師』だったりした。 彼女達はその才と可能性を男の審美眼によって見初められた者達である。そして男の審美眼と影響力は確かなもので、こうして引き連れられているということは、成功は約束されたも同然であった。] (159) 2022/11/22(Tue) 15:09:02 |
【人】 大富豪 シメオン[齢、50を超えているであろう中老の男。 女の父と同じか少し上ぐらいだろうか。 だが、その立ち居振る舞いは年齢を感じさせないほど剛健かつ流麗である。大富豪としての名声を確かにしている男であるが、かつて剣を振るっていたという程度のことは女にも知られているかもしれない。] リュディガー。 まだ「やっている」のか? [男は女が『画術師』であることを知っている。 それどころか彼女が幼い頃から知ってはいる。特別に親しいわけではないが、女の父親とはそれほどの長い付き合いだ。] 父君をあまり心配させないようにな。 [だけど、男が女に『画術師』として声を掛けたことはない。 それは無論、知人の娘だからという理由ではない。 男はそんなかことで『美』への欲求は抑えたりはしない。たもえそれが知人の娘であれ、たとえ友人の細君であってもきっと手に入れようとするだろう。*] (160) 2022/11/22(Tue) 15:11:03 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a33) 2022/11/22(Tue) 15:14:24 |
【人】 大富豪 シメオン─ かつてのこと ─ [男の『美』に対する執着は並外れていた。 価値を認めたもの、可能性を秘めたるもの。 その何もかもを欲した。 人を裏切ることも辞さず、たとえ友が愛した人でさえも手に入れた。 それほど『美』に執着した男であったが、それが手に入らないと知るや冷酷なまでの仕打ちを与えた。手に入らぬ『美』など消えてしまえと言わんばかりに。 機会を奪われた者、ここから追われた者、そして──── ある日、男はとある歌姫に執心していた。 彼女の歌は可能性に満ちていて、男にとってその声は天の御使いもかくやと思われた。 だが、彼女は男のものになることを拒んだ。 男の在り方を否定し、男の『美』への執着を否定した。 それから彼女の姿を見たものはいない。 そしてもう一人、表舞台から消えた者がいたが、男がそれを知ることはなかった。**] (163) 2022/11/22(Tue) 17:38:15 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a37) 2022/11/22(Tue) 17:39:08 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [殻を割ったのは女自身だ。 男は何も助力などしてはいない。ただその殻は破れるのだと、そう知らせたに過ぎない。 今はまだ空を飛ぶことの出来ぬ雛鳥。 だが、鳥は生まれ出でてより既に鳥なのだ。 今は飛べずともいつか飛ぶもの。 男はその姿を愛でるのみ。 ────神に感謝しなければならない。 女の才がもしも剣ならば、きっと男と女のどちらかが血の海の中でその命運を終わらせていたかもしれない。 それは世界にとっての損失。 幸いにもそんなことにならなかった。 故に、斬り結ぶ様に交わる眼差しが、艶やかな音と共に舞い踊る。] (175) 2022/11/22(Tue) 20:03:32 |
【人】 大富豪 シメオン[男は女の世界に浸る。 その旋律に、その音一つに女の情念を感じながら。 美しい。 リュートを奏でるその姿。 上気し酒に染まる頬、弦を弾く白い陶磁のようや指先。 なんと美しい音か。 男はただその演奏の終わりまでそこに佇む。 女の『美』が何処へと至るのか、愉しみにしながら。*] (176) 2022/11/22(Tue) 20:04:19 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [それはいつ見ても良いものだ。 花開いた『美』がさらにその輝きを増していく様子。 極上の瞬間。 音が世界を支配する。 美しき調べ、その一つ一つに世界は魅了される。 客達は女とその演奏に心奪われる。 男は女が誘う世界へと足を踏み入れる。 旋律の美しさも艶やかさに惑わされながら、その本質に戦慄する。 まるで男の全てを喰らわんとするその貪欲な情念。 ……全ては『美』のために。] (195) 2022/11/22(Tue) 21:48:43 |
【人】 大富豪 シメオン[しかし、どんなに美しいものにも永遠はない。 その極上の旋律にも終わりはくる。 女の白い指が最終節を奏でる。 それを惜しむ気持ちはある。 だが、それは楽しみでもあった。 終わりがあれば次もある。 そう、『美』を知った女は、それをさらに磨き上げるだろう。その可能性こそ男が女を見出した理由なのだから。 男はゆっくりとその瞼を閉じていく。] (197) 2022/11/22(Tue) 21:52:25 |
【人】 大富豪 シメオン[……その瞬間。 女の指が最後の音を奏でていた。 訪れる静寂。 音に魅了された者たちはその余韻の中で揺蕩う。 静けさの中で人々の呼吸だけがホールに存在していた。 パチ、パチ、パチ、パチ 手を叩くその音は最前列で聴いていた男のもの。 ゆっくりと立ち上がり拍手を続ける。 それは最上級の賛辞。 惚けたままだった客たちもまた男に続いて次々と賛辞を送った。 椅子の動く音、そして万雷の拍手がホールに鳴り響き、女を包んでいった。*] (198) 2022/11/22(Tue) 21:58:39 |
【人】 大富豪 シメオン─ とある画術師の過去 ─ [男は『美』に異常なほどの執着を見せる。 それはこの街では決して珍しいことではないが、男はその執着を現実のものとする権力と財力があった。 見染めたものは決して諦めない。 だが、その逆に男の審美眼に掛からないものには見向きもしない。] お前の父親も存外と娘には甘いな。 いつまで『道楽』を続けさせるのか。 理解できん。 [男は振り返って悪態をついた娘>>201に毒を吐く。 娘のそれを『道楽』と吐き捨て、それを許す娘の父を甘いと評した。それはつまり、画術師としての娘の力量を、そして可能性を男は感じてはいないということ。] 私がどうこう言うことではないがな。 [そうして男の口元に浮かんだのは嘲りではなく、憐れみに近い笑みであった。*] (212) 2022/11/22(Tue) 22:40:33 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [男は拍手を止めると女へと近づく。 柔らかな笑みをつい浮かべた好々爺としていて、まるでさっきまでの斬り結ぶような視線は交わした相手とは思えないのでないだろうか。] 素晴らしい演奏だった。 対価を支払いたいが生憎と手持ちはあれだけでな。 [視線を向けた先にはテーブルに広げられた金貨。 麻袋いっぱいになりそうなそれは、女にとって何ヶ月かの稼ぎを軽く凌てきた。だが、男はこう言っているのだ、これでもあの演奏の対価にはまだ足りないと。] (222) 2022/11/22(Tue) 23:22:54 |
【人】 大富豪 シメオンもしも望むのなら。 [男の柔和な目が僅かに鋭く光を放つ。] 次をと望むのなら。 私がその機会を用意しよう。 望むのなら、機会も、舞台も、必要なものは全て。 [『美』に投資することに男は躊躇わない。 それも、この様な極上の『美』と更にその先を感じさせる可能性ならば尚のこと。] (223) 2022/11/22(Tue) 23:23:13 |
【人】 大富豪 シメオン君なら大歓迎だ。 いつでも訪ねて来なさい。 [男は懐から名刺を取り出すと、それをそっと女の髪とフードの間に刺し入れた。*] (226) 2022/11/22(Tue) 23:25:13 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a47) 2022/11/22(Tue) 23:29:01 |
【人】 大富豪 シメオン─ Bar passion ─ [屋敷の場所は伝えなくてもわかるだろう。 わからなければ人に聞けばいいい、それを探すことは容易なこと。そして、その名刺があれば門番が女を止めることもない。] 待っている。 [礼には短い言葉で応じて、男はバーを後にする。*] (236) 2022/11/23(Wed) 0:04:46 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a53) 2022/11/23(Wed) 0:09:49 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a55) 2022/11/23(Wed) 2:00:22 |
【人】 大富豪 シメオン─ 影街 ─ [夜空の下、男は護衛も付けずに一人で歩いていた。 冷えて締まった冬の空気が火照った肌に心地よい。 男は今夜の収穫に満足していた。 明日から始まる『フェス』を前に、女神に捧げるに相応しい「美』を見出し、それを手に入れられるという実感がある。 心の奥にある渇き。 それが潤いを得ていく充足感。 その側から感じていく飢餓感。 満たされていくと同時に飢えていく。 見出した『美』はさらに磨きをかけ一層その美しさを求め。 未だ見ぬ『美』を求めてその渇望は際限というものを知らない。 男は酷く強欲なのだ。] (246) 2022/11/23(Wed) 10:11:43 |
【人】 大富豪 シメオン……そういえばこの辺りか。 [ふと気づけば、かつて訪れたあの店の近くだった。 男は暫し足を止めて記憶の中を辿り始めた。] (247) 2022/11/23(Wed) 10:13:38 |
【人】 大富豪 シメオン─ ヴンダーカマー ─ [それは今よりも昔のこと。 男は焦燥感に包まれていた。 力も、名誉も、財力も、地位も手に入れた。 己が剣は人々から最高の『美』の一つとして認められている。 だが、男はそれで満足はできなかった。 見出し、育て、かき集めた『美』のコレクションは誰に自慢してもいいぐらいとなった。 だが、男はそれで満足はできなかった。 己が『美』はもっと先があると。 手にしていない『美』のあまりの多さに。 男は飢え、そして焦っていた。] (248) 2022/11/23(Wed) 10:14:03 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a57) 2022/11/23(Wed) 10:18:29 |
【人】 大富豪 シメオン─ 夜の居住区 ─ [それは夜と言うには遅く、深夜と呼ぶには早い時間。 男はとある人物を訪ねに来ていた。 アポイントは取っていないため、目当ての人物がそこにいるとは限らないし、もしかすると客が来ているかもしれないが、男はそれを考慮することはなかった。] スカリオーネ、居るか? [男がその名を呼んだのは、かつて『美肌の魔術師』と呼ばれた男。 無論、男自身がかの魔術師から施術を受けようと言うのではない。] (258) 2022/11/23(Wed) 14:10:59 |
【人】 大富豪 シメオン─ 邪毒 ─ シメオン・ジョスイだ。 単刀直入に言おう……私の支援は欲しくないか。 [それはある日の昼下がり、2名の護衛を引き連れ男はその店を訪れた。閑古鳥の鳴くその店で男は唐突に切り出した。] 『美肌の魔術師』がこんなところに居たとはな。 いや、生きていたかと言うべきか。 [巡らせる視線は店の中から彼の顔へ移り、そこで眉を顰めた。] (259) 2022/11/23(Wed) 14:11:34 |
【人】 大富豪 シメオン醜いな。 [ただ思うがままに口にする。 何の遠慮も配慮もなく、侮蔑の言葉を投げかけて男は笑った。 だが、その笑いもすぐに形を潜めた。] いくらならその腕を売る? [男は回りくどいことはしなかった。 価値を見出した『美』に男は投資を惜しまない。 それは彼の顔が醜かろうとも関係のないこと。欲しいのは『美』を磨き上げるその腕、その術。] (260) 2022/11/23(Wed) 14:11:57 |
【人】 大富豪 シメオン[続けて男は条件を告げる。 営業は好きにしていい。 客を取るも取らぬも自由にしていい。 だが、男の依頼は何をおいても最優先とすること。 そして、磨き上げた『美』を男に知らせること。 それは専属契約ではなく優先契約。 これを飲むならば店も道具も用意するし、客も融通する上に毎月報酬も支払うと言う。] 悪い話ではないはずだ。 [額面通りに受け取れば決して悪い条件ではないはずであり、魔術師にとって大きく不利益のある内容にはなっていないはずだった。 ただし、この男はシメオン・ジョスイである。 この街においてさえ『美』に並々ならぬ執着を見せる有力者。数々の『美』を収集し、数々の『美』の庇護者であり、そして数多の『美』を食い物にしたと噂される男。 その男が、閑古鳥の鳴く店の主人のその腕を買うと持ちかけていた。*] (261) 2022/11/23(Wed) 14:13:20 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a61) 2022/11/23(Wed) 14:35:17 |
【人】 大富豪 シメオン─ 邪毒 ─ [この魔術師は、かつてのように腕に見合う名を馳せることもなく、街の片隅へと追いやられながらもその矜持を保っている。故に、申し出を断られることは想定の内。] だが、金がないために花開かなかった『美』もある。 違うか? こんなところにら追いやられて、 こんな場所で燻りながら、 どれだけの『美』を磨くことができたか。 お前をそうしたのも、また『金』ではないのか? [金は『美』にはならない、ある面でそれは真理である。だが、金は『美』を磨くための道具にも、『美』を腐らせる毒にもなる。] (271) 2022/11/23(Wed) 15:55:02 |
【人】 大富豪 シメオン[本来であれば、そのような物言いを許す男ではない。 この魔術師が自身が『美』そのものでたるならば、男はきっと許さなかっただろう、この手に入らぬ『美』を。 だが、この魔術師は違う。] 酷い言われようだな。 私はお前の腕を買っている。 だから今のは聞かなかったことにしよう。 何、心配するな。 私は金の卵を産む鶏を台無しにしたりはしない。 どこぞの小娘のようにはな。 [この魔術師は『美』ではない。 だがこの魔術師の先に幾つもの『美』が存在する。 原石のまま輝くことのできなかった者たちが『美』に届くために必要なものをこの者は有している。] (272) 2022/11/23(Wed) 15:55:27 |
【人】 大富豪 シメオン私には必要ない。 私に必要なのはお前の腕だ。 [男は不愉快さを隠さないまま、それでも尚この魔術師の腕を欲した。 『美』を産む稀有な才能を男は誰よりも正しく評価している。] まあいい。 今日のところはな。 そのうち気が変わることもあるだろう。 私の気は短いがな。 [男は喉を鳴らして笑きながら、そのまま店を後にした。] (273) 2022/11/23(Wed) 15:55:56 |
【人】 大富豪 シメオン─ 店舗・夜 ─ 明日は『フェス』だな。 女神に捧げる『美』は用意できたのか? [男は問う。 こんな場所に追いやられて、果たして望むようにその腕を振るうことができているのかと。かつてこの魔術師が一世を風靡していた頃のように数多の『美』を世に送り出すことはできているのかと。] 実に勿体無いな。 こんなところで、燻らせるのは。 [それは男の本心であった。魔術師の操る術は『美』の可能性を現実のものとする。それは芽を出すことなく腐り落ちてしまう花に本来の姿を与えるものだから。] (274) 2022/11/23(Wed) 16:01:19 |
【人】 大富豪 シメオン……気は、変わっていないか? [男が魔術師を誘うのはこれで二度目。 本来であればそれ自体がすでに稀有なこと。 故に、三度目はなく、これが最後の機会となる。 道は二つに一つ、男の申し出を迎合するか、それともこの男を敵に回すか。*] (275) 2022/11/23(Wed) 16:01:38 |
【人】 大富豪 シメオン─ 回想 ヴンダーカマー ─ [男を知らぬ者はモグリであるが、この魔女を知る者は多くはない。 そもそも影街に明るい者などこの街にはいないだろう。 ここは夢に敗れた者たちの集まる吹き溜まりなのだから。] 隷属か、それとも人間を辞めろと? [これは魔女との取引。 真っ当な対価ではないと分かっていてが、それでもその条件は男をしても慮外のこと。どちらにせよ、男が望むものではない。] 失った時は戻らないということか。 [そんなことは当たり前のこと。 だからこそ、それを得ようと思うのなら失う物もそれに相応しい。] (299) 2022/11/23(Wed) 19:41:34 |
【人】 大富豪 シメオン[だが、男は首を横に振った。] それを失えば私は『美』に辿りつけなくなるな。 [隷属してしまえば言うに及ばず。 人でなくなれば積み重ねてきたもの全てを失うことになる。 気付かされる。 時に限りがあるからこそ『美』に近づけるのだと。 悠久の時の中では『美』を磨くことなどできないのだと。 限りある『時』の中では見据えた先には届かない。 悠久を得たなら「美』を永遠に失うことになる。] ……そうか、それが私の限界ということか。 [ならば、この先の己にできることは何であろうか。] (300) 2022/11/23(Wed) 19:41:59 |
【人】 大富豪 シメオンもしも、もしもだ。 若さをただ一日だけ望むことがあれば。 その時はもう一度ここへ来るとしよう。 [悠久ではなく刹那のような時間を僅かに望むとしたなら。 それでもこの魔女は望みを叶えられるのだろうか。*] (301) 2022/11/23(Wed) 19:43:03 |
【人】 大富豪 シメオン─ 夜の居住区 ─ [魔術師の言葉が嘘だとは思わない。 だが、男にはそれが真実であるとも思えない。 それが真実だというのなら、かつての魔術師と今の魔術師の違いは何か。] 惜しいな。 その矜持がなければな。 [男は笑った。 座して『そこ』に留まる魔術師を惜しみ、そして同時にその矜持を失えばきっとこの魔術師は『美』に届かなくなるのだろうと感じていた。] その選択……後悔するなよ。 [それはそれとして、男は自分の誘いを二度も断ったこの魔術師をどうしてやろうかと思案しながら、その場を後にすることにした。*] (305) 2022/11/23(Wed) 19:58:00 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a68) 2022/11/23(Wed) 20:00:44 |
大富豪 シメオンは、メモを貼った。 (a79) 2022/11/23(Wed) 23:11:45 |
【人】 大富豪 シメオン─ 月夜 ─ [段々と騒がしくなっていく祝祭前夜より屋敷に戻る。 不愉快なこともあったが、大きな収穫もあった。 思い出すだけで血が滾るようだ。 庭に出て『カタナ』を抜く。 これもまた多く所有する『美』の一つ。 刀匠が魂を込めて鍛え上げた業物。 それを己の腕の様に軽やかに振るう。 月の光を撥ねて鮮やかな軌跡を描く。 それが男自身のもつ『美』である。 大陸中を探してもこの剣よりも美しい剣などありはしないと自負がある。だが、理想の剣には遥か及ばない。たとえ残りの生を全て費やしたとしても。 それでも、理解しても尚、『美』を渇望して止まないのだ。] (346) 2022/11/23(Wed) 23:54:05 |
【人】 大富豪 シメオン[今一度カタナを振るう。 耳の奥に残る旋律に合わせて舞い踊るように。 未だあの音が耳に残っている。 あの音。 今はまだ小さな世界だが、いずれ彩り豊かで誰をも魅了する『美』と成長するだろう。 ……欲しい。 流れる剣筋がその鋭さを増す。 空気さえも切り裂いてしまいそうなほど。 ……妬ましい。 その可能性、その若さに。] (347) 2022/11/23(Wed) 23:55:35 |
【人】 大富豪 シメオン……ふぅ…… [カタナを鞘に納めても心臓の鼓動が鎮まらない。 情動が、渇望が、興奮が、欲動が抑えられない。] 嗚呼、愉しみだ。 [本当に愉しみだ。**] (348) 2022/11/23(Wed) 23:56:07 |
(a85) 2022/11/24(Thu) 0:18:20 |