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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:人


ソニー無風 マウロに投票した。
リカルド無風 マウロに投票した。
ヴィオレッタ無風 マウロに投票した。
テンゴ無風 マウロに投票した。
ストレガ無風 マウロに投票した。
ルチア無風 マウロに投票した。
ツィオ無風 マウロに投票した。
マウロ無風 マウロに投票した。

マウロを処刑するには畏れ多かったので、取りやめた。

月が姿を変え、新たな一日が始まった。村人は集まり、互いの姿を確認する。
マウロが無残な姿で発見された。

優しい光が村人たちの姿を映し出す……。
しかし、その場に立っているのは“村人”だけでは無かった……


【見】 暁光 クリスティーナ

 

「……止むを得ないな」
 
(@0) 2022/08/24(Wed) 21:02:31


【人】 ガット・リベロ ルチア

「ℑ𝔬 𝔠𝔯𝔢𝔡𝔬 𝔦𝔫 𝔇𝔦𝔬, 𝔓𝔞𝔡𝔯𝔢 𝔬𝔫𝔫𝔦𝔭𝔬𝔱𝔢̀𝔫𝔱𝔢,𝔠𝔯𝔢𝔞𝔱𝔬𝔯𝔢 𝔡𝔢𝔩 𝔠𝔦𝔢𝔩𝔬 𝔢 𝔡𝔢𝔩𝔩𝔞 𝔱𝔢𝔯𝔯𝔞」

声が潮風に乗る。
積み上げられた煉瓦の壁に座って、
ぱたぱたと少女は足を揺らして。
祈っている。

太陽の光を受けて、煌めく海面は目も眩むようで。
祈り以外には、カモメの声が空から降りてくるばかり。
(0) 2022/08/24(Wed) 21:43:41

【人】 ガット・リベロ ルチア

「𝔢 𝔦𝔫 𝔊𝔢𝔰𝔲̀ ℭ𝔯𝔦𝔰𝔱𝔬, 𝔰𝔲𝔬 𝔲𝔫𝔦𝔠𝔬 𝔉𝔦𝔤𝔩𝔦𝔬, 𝔫𝔬𝔰𝔱𝔯𝔬 𝔖𝔦𝔤𝔫𝔬𝔯𝔢,𝔦𝔩 𝔮𝔲𝔞𝔩𝔢 𝔣𝔲 𝔠𝔬𝔫𝔠𝔢𝔭𝔦𝔱𝔬 𝔡𝔦 𝔖𝔭𝔦𝔯𝔦𝔱𝔬 𝔖𝔞𝔫𝔱𝔬,」

ほんの少しだけ時間を潰して。
それから、珈琲豆と、チョコラータを買うのが今日のお役目。
少女は今から、エスプレッソに合わせるフレーバーを考えている。
(1) 2022/08/24(Wed) 21:45:01

【人】 ガット・リベロ ルチア

「ℭ𝔯𝔢𝔡𝔬 𝔫𝔢𝔩𝔩𝔬 𝔖𝔭𝔦𝔯𝔦𝔱𝔬 𝔖𝔞𝔫𝔱𝔬, 𝔩𝔞 𝔰𝔞𝔫𝔱𝔞 ℭ𝔥𝔦𝔢𝔰𝔞 𝔠𝔞𝔱𝔱𝔬𝔩𝔦𝔠𝔞,
𝔩𝔞 𝔠𝔬𝔪𝔲𝔫𝔦𝔬𝔫𝔢 𝔡𝔢𝔦 𝔰𝔞𝔫𝔱𝔦, 𝔩𝔞 𝔯𝔢𝔪𝔦𝔰𝔰𝔦𝔬𝔫𝔢 𝔡𝔢𝔦 𝔭𝔢𝔠𝔠𝔞𝔱𝔦,
𝔩𝔞 𝔯𝔦𝔰𝔲𝔯𝔯𝔢𝔷𝔦𝔬𝔫𝔢 𝔡𝔢𝔩𝔩𝔞 𝔠𝔞𝔯𝔫𝔢, 𝔩𝔞 ...」

カモメの声が、ひときわ大きく響き渡る。
何かが弾けるような乾いた音が、それに重ねて、ひとつ。
(2) 2022/08/24(Wed) 21:45:37

【人】 血塗れの聖・ ルチア

(────ああ)


懐かしい味。
チョコラータを食べ過ぎると、
決まって鉄の味を感じるの。

欲張るからだぞって、あなたはいつも笑っていて。
わたしがそれを否定するんだ。
(3) 2022/08/24(Wed) 21:46:38

【人】 血塗れの聖・ ルチア

「𝔄 ... 𝔟𝔢𝔩... ...」


世界がぐるりとまわって。
まるで夢でもみているよう。

ここは 静かで。
今は何も聴こえない。
(4) 2022/08/24(Wed) 21:47:38

【置】 Niente ラウラ

青空が、広がっている。
果てのない青空だ。

下は水面のようで。
その上に、女は立っていた。

「………また、ひとり ですね」

誰に言うでもなく零した言葉は。
空に溶け、消えていく。

"誰か"の体に回した腕は、もう。
──熱を感じない。

「…………さみしい、」


先程の言葉をもう一度口にして。
応えの返らない呟きに、胸が痛んだ。

──視線が、落ちていく。

足元に広がる波紋は、ひとり分だけ。
だとすればあの人は。

…………。
…………………………。

(L0) 2022/08/24(Wed) 22:27:17
公開: 2022/08/24(Wed) 23:00:00

【置】 Niente ラウラ

「ふっ………………」

漏れた声は、確かに女のものだろう。
けれどきっと、生前には零さなかったもの。

「…………ふふっ」

その表情は、どんなものだったか。
分からない。それを見たものはいない。
己でさえも……………………。

ぱしゃり、と音を立ててその場に座り込む。
沈むことはない。
ただ、波紋が広がっていくだけ。

「…………ラウラのお願い、ようやく 叶いました」

約束や願いが叶わないと知って尚。
それでも手放せなかったのは、きっと。

──いつか叶うと、信じていたから。

笑ってください。
ラウラは、皆様の笑顔が大好きですから。


(L1) 2022/08/24(Wed) 22:27:53
公開: 2022/08/24(Wed) 23:05:00

【置】 Niente ラウラ

「………………マウロ様、…ラウラは」

言うべきことは沢山あった。
言いたいことも沢山あった。

けれどそれら全てを語るのは。
きっと野暮で──だから。

「……ラウラは、血の掟を行いました。
ですから、マウロ様よりも 少し前を行きます」

傷のついた親指を見て、静かに呟く。
アソシエーテではなく、メイドマン家族として。

だから早く、貴方は更に上を目指してください。

貴方の優しさをきっと、他にも気づける人がいますから。
ラウラにはもう、お傍で支えることは叶いませんが。

「……お慕いしております、から。
──心から、願いましょう」

──月桂樹ラウラの名において。

この先の貴方の未来に。
"
栄光
"と"
勝利
"が訪れますように。

(L2) 2022/08/24(Wed) 22:28:38
公開: 2022/08/24(Wed) 23:10:00

【置】 Niente ラウラ

「…………リカルド様。
ラウラに、"好き"を教えて下さり。
……ありがとう、ございました」

違いを正しく理解するには。
──やはり、他者の存在が必要だった。

「それから」

「…それから、……約束。
守れなくて、ごめんなさい」

傍にいた時には告げることのなかった、謝罪の言葉。

貴方は、光だったのだろう。
暗い迷路の中でさ迷っていた、女にとっての。

そんな貴方との約束。
守れなかったことが、酷く悔しい。

「………………行ってらっしゃいませ」

どうか、長く生きてください。
そうして互いに、知ることが出来ればいい。

その手はもう、誰にでも届くのだから。
握りしめる必要はない──きっと、大丈夫。

(L3) 2022/08/24(Wed) 22:29:05
公開: 2022/08/24(Wed) 23:15:00

【置】 Niente ラウラ

ぽつ、ぽつり。波紋がひとつ、ふたつ。
弾けて、広がる。

震える喉が、吐息を零す。
答えを知ったことは、今の状況では酷く残酷にも思える。

声にならない声で、彼の名を呼ぶ。

本当は、その手を取りたくて。
幸せに、なりたくて。

それでも、望めなかった。


望みたかった。ただ一人の、人間として。
もっと素直になれたなら、貴方に。


「……………全てが終わった、その時に」

なんて、夢物語は 紡がれない。
あの日言えなかったこの言葉は、飲み込むべきだから。

落ちていく雫はやはり拭われることもなく。
静かに、静かに波紋に変わる。

もう、慰める手はここにはない。それはきっと。
──その手はきっと、代わりに 別の誰かを救うだろう。

(L4) 2022/08/24(Wed) 22:29:46
公開: 2022/08/24(Wed) 23:20:00

【置】 Niente ラウラ

「………………貴方は、」

貴方の傍には、
マウロ様とリカルド様がおります から。
どうか。

──どうか、言葉を飲み込まないで。

「…………貴方は、孤独ではありません から。
ラウラは、……ラウラ は、」

貴方の幸せを──願い続けましょう。
身勝手に、無責任に。

だからどうか貴方も。

「──貴方自身の幸せを望んでください」

いつかにあの人が唇をつけた指先へと口付けを落とす。
そこに、"赤"が染みることはない。

ここにあるのは、どうにもならない虚しい感情だけだ。

未練がましく、あの人を想って。
ただひとり──嗚咽を堪えて 泣き続けていた。

叶わないかもしれない約束や願いでも。
最後に何か叶えば、いつかの傷は癒やされていくはずだ。


「──そうでしょう、ツィオ様」
(L5) 2022/08/24(Wed) 22:30:59
公開: 2022/08/24(Wed) 23:25:00

【置】 Niente ラウラ

貴方の傷を癒したかった。
貴方に傷を癒して欲しかった。

残された"証"に後悔はない。
貴方に触れられて──確かに、幸せだった。


貴方となら何処へでも。

貴方となら何処までも。

その命が果てる、その時まで。


貴方を、愛しています──ツィオ様。
(L6) 2022/08/24(Wed) 22:31:58
公開: 2022/08/24(Wed) 23:30:00

【人】 銀の弾丸 リカルド

【ノッテアジトの廊下】

闇医者を抜け出し、とある少女と出会い。
アジトへ向かって、上司やテンゴなど頼りの人がいなくて、
ふらふらと探し歩いて、今。

上司の部屋から出てきたリカルドの手には、あるノートパソコンをカバンに入れて持ち出してきていた。
この時はまだ少女がこの後、身を投げ出してしまうなんて事には気づくはずもなく。

ただ、重体とも言える身体にムチを打って仕事に戻るつもりでいた。
あの2人が動けない今、しっかりしなければならない立場にいる自覚は十分にあったからだ。
寝ている暇は、1分とてなかった。

「これは俺の部屋に保管することになるな……」

などと呟いて。
(5) 2022/08/24(Wed) 22:42:00

【人】 風は吹く マウロ

>>5 忠犬君
【ノッテアジト廊下】
会議が終わった後。
散々釘を刺されたからか、体に負担がかからぬよう所作に気を使って会議室を出たところ。
見覚えのある"忠犬"の姿を見つけて。
ああ、と口角を上げて口を開く。

「―――なあウサギちゃん。
 "死にぞこないの犬"が迷い込んでるみたいだぜ」

それは、孤児院にいた頃に見せた悪童の笑み。
もう一人の悪童に声を投げて、ゆっくり近寄っていくことだろう。
(6) 2022/08/25(Thu) 0:15:56

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

【路地の店】

ごつっ、ごつっ。
荷物を満載した、ブーツの重い音が路地を通る。
思えば、グラスハープの音がない時に
ここに来たことはあっただろうか?

だからと言って、魔女の歩みが止まる事はない。
なにせ、あの店じゃあきっと猫が鳴いている。
少なくとも1匹。下手をすれば2匹。
……もしかしたら、3匹。
それを思うと、足を止める気にはなれなかった。

欠けた頬と耳から未だ流れる血は、適当な布切れを
ダクトテープで貼った応急処置のおかげで
鳴りを潜めている。猫も店も、汚す事はそうないだろう。

そして、店を覗き込む。ドアベルの前に、中を覗く。
店主は、まだそこにいるだろうか。
それとも、烏が既に片付けた後だろうか。
(7) 2022/08/25(Thu) 11:18:55
村の更新日が延長されました。

村の更新日が延長されました。

【人】 銀の弾丸 リカルド

【路地の店】>>7 ストレガ

抜け出した当日よりは多少マシな顔色になったか。
頭に包帯を巻いたスーツの男が、慎重な足取りでそこを訪れる。
そこは口数の少ない同胞が営んでいた店だった。
こういう状況だからこそ、背景を掴んでおかなければ大変なことになりかねないと思って来てみれば、見知った貴方の背中をみつけ、ほう、と言葉を漏らした。

「そうか。……お前たちは交友があったのだったな、ストレガ」

忠告を受けながらも無理をしている手前、雷の一つや二つ落とされることは覚悟しているが、さて。
(8) 2022/08/25(Thu) 13:15:44
鳥葬 コルヴォは、メモを貼った。
(a0) 2022/08/25(Thu) 16:28:17

鳥葬 コルヴォは、メモを貼った。
(a1) 2022/08/25(Thu) 16:28:41

【置】 鳥葬 コルヴォ

 
 
「結局のところ、俺は一人で生きていけるほど強い人間ではなくて」

「死んでいく人間の全てなんて、到底受け止めきれるような人間でもなくて」

「一人でも、誰かとでも、生きていくっていうのは苦しみに変わるばかりで」

「一緒に死ぬにしたって、それは死ぬ以外に選択肢の無い奴だけでいい」

「何から何まで、ただ自分の為にしていることで」


「だから俺は一人で死ななきゃならなかったんです。」

「そう思っていたんですよ」

 
(L7) 2022/08/25(Thu) 16:30:25
公開: 2022/08/25(Thu) 17:00:00

【置】 鳥葬 コルヴォ

 
 
「けれど今更になって、それも違うと気付いてしまった。」

「だから俺は、」

「あんた達の運が良ければ、その内あんた達の思う通りになって」

「俺の運が良ければ、その内俺の思う通りになる」

「どちらも運が悪ければ、どちらにもならない。」


「それでいいって事にしようと思うんだ」

 
(L8) 2022/08/25(Thu) 16:31:12
公開: 2022/08/25(Thu) 17:00:00

【置】 鳥葬 コルヴォ

 
最後の夕暮れ、最後の夜の、その前の事。
そして、誰かと港の埠頭で再び会う少し前の話。
僻地の廃倉庫での、誰も知る事の無い、観客の無い幕間。

「俺にとって、明日が続いていく事は苦痛だった。
 いつか終わりが来る事だけが希望だった。
 ……続いた先に、一握りの希望さえ信じられなかった事を」

誰にも手を伸ばす事さえしなかった者は、
何を得る事も無い。
誰も悲しませたくなかったからこそ、
遠ざける事しかできなくて。
誰の言葉も真と信じていたのに、
そこに希望を信じる事ができなくて。
結局は最後の最後まで、
誰の手も取る事ができなくて、


ごめんな、許さないでくれ


この血を吐くようなひとことが、誰にも届かなければ良いと思う。


無宗教者に、懺悔する先は無い。
あてのない言葉は、人知れず夕暮れ前の薄闇に溶けて消えた。
それでいい。祈りの真似事は終わり、立って行くべき先は決まっている。

そして黒衣が翻り、重苦しい靴音の後、廃倉庫は今日もまた静かになる。

次の夜も、その次の夜も。
もう二度と、この場所で、掃除屋から誰かへの弔辞が告げられる事は無い。
(L9) 2022/08/25(Thu) 16:32:54
公開: 2022/08/25(Thu) 17:00:00

【置】 鳥葬 コルヴォ

 
そうして、生者達には今日も変わらない夜明けが来て。
名もなき烏はもう何処にも居ない。それが全てだった。

烏は亡骸を晒さない。
人の営みから遠い何処かの夜闇にて、
ぽとりと枝から地面に落ちて、それで終わり。

烏同士は目を啄かないが、
屍となれば共食いをする。
屍は同族に啄まれ、
後には何も残らない。


事実どのような結末に至ったのかは、今は定かではないこと。
確かな事と言えば、もう誰の死を弔う事も無いという事だけ。
(L10) 2022/08/25(Thu) 16:34:11
公開: 2022/08/25(Thu) 17:30:00

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>8 リカルド
「あ?……うわ、すげえ。
 あんだけあたいが言ったのに出歩いてるド級のバカがいる」

ぐりんと振り向くその顔に、呆れと呆れと呆れを貼り付け、
そんな言葉。常なら雷だっただろうが、
まあ、なにせ今は普段そうやらない"暗殺"帰り。
暗というには派手な鐘の音ではあったものの、
つまりは魔女のやり方があの子とは違うというだけの話。
とにかく、両手は塞がり、背中に荷物。
ついでに疲労と頬の欠けもくっつけて、
釘打ち機を取り出すような気力は今はなかった。

「交友ね……ま、そうかもね。
 ビビってる腰抜け共の態度に比べれば、
 あたいのは十二分に交友だと思うよ」

ほんの僅かの間、閉じた瞼に浮かぶのは
いつも変わらないあの顔と、それが少しだけ動いた時の顔。

「……。……で?まだしないわけ?」

あたいの方のことはさておき、と目を開いてそう切り出す。
何を、とでも返せばもう一太刀。

「ケツ拭いてもらった相手の顔に向かって
 思いっきりクソを塗りたくるような現状への言い訳。
 そろそろ来るかと思ってんだけど」

魔女は、多少疲労した所で、辛辣さが抜けるわけもなかった。
(9) 2022/08/25(Thu) 18:37:39

【人】 銀の弾丸 リカルド

【路地の店】>>9 ストレガ

予想と違わず辛辣な言葉を受け、さすがの仏頂面も少しばかり眉を下げ。
それでも、辛辣な言葉の裏に面倒見の良い一面がある事を知っているから、降参の意味を込めて軽く両手を上げた。

「お前の言葉には何一つ言い返せないな」

頭を撃たれて絶対安静にならないわけがない。
ド級のバカと言われればそのとおりだが、どうにもそういう訳にはいかない。
外回りを押し付けられてる時点で、色々警戒すべきこともあるのだが、それはさておき。
正面から貴方の顔を見れば、流石にその大荷物と欠けた頬と耳の状態には気づくだろう。

「……だからその傷を作ってきたのか?
 その大荷物も気になるが……闇医者で見た時はそんな傷、なかっただろう」

表に見える範囲でしか、彼女たちの交友を知るわけもなく。
自分とて、あの2人上司とラウラを殺した人物は洗い出したいと思っているから、その様子を見れば何をしてきたかくらいは想像がついた。
断られるだろうなとは思いながらも、両手に荷物があることを良いことに流してある横髪に触れ、傷を診た。

「俺が密売に使ってる港の5番倉庫の地下によかったら来い。
 綺麗に手当をしてやろう。女の顔にこの傷をそのまま残すのは忍びない」

続く言葉には「言い訳……」と頬をかけば、

「テンゴさんがそこで、俺以上の重体で寝ている。
 俺が今、ベッドで寝ている時間は1秒たりともない。心配させてすまんな」

と言い、そこには最新の医療施設を作っていると告げ、そこでマウロを手術したことも告げた。
貴方になら、あそこに今寝ているテンゴにも会わせてもいいと、思っているからこそのことだった。
(10) 2022/08/25(Thu) 19:39:01

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>10 リカルド

「言い返してたらあんた今頃女になってるよ。
 ついさっきも女を一人造ってきた所だから、すぐやれるね」

ふん、と鼻を鳴らす。命の保証のない性転換の話、
分かるものはこの場に魔女しかいないだろうけど。

「ま、そんなとこ。住処を吹き飛ばしたんでね、
 ああ、あとあたいここに引っ越すから。この店貰うよ」

上への確認もなしに、勝手な事を言いながら。
髪に触れた瞬間、ぐんと首を逸らして避けて、
「次勝手に触れたら指なくなっても文句言うんじゃないよ」
なんて恐ろしい事を口走る。

「まだヤクが抜けきってないのがよくわかるね。お断りさ。
 これくらいある方が、かえってハクがつくよ。それに――」

数日前、烏に言った言葉を呼び起こし。

「『忘れねばこそ、思い出さず候』、ってね。
 これはあたいのものだ、あんたなんかにあげない」

魔女は魔女らしく、凶暴に笑う。
きっと、大きな疵痕になる。
だが、魔女はそれを捨てる気はないらしい。
(1/2)
(11) 2022/08/25(Thu) 19:59:55

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>11
そして言い訳に関しては、

「お、よかった。頼りになる幹部殿が2人とも……
 じゃああたいとしても困るからね。
 腑抜けの下につくつもりもないし」
「ま、気が向いたら見舞いにくらいいくよ。
 ……あんたはさっさと用事を済ませて
 マウロ共々ベッドに戻るんだね、
 じゃなきゃあの時のあんたのツラと状態について
 ソルジャーの間でもちきりの噂にしてやるから」

と、やはり恐ろしい事を口にした。何が恐ろしいか。
それは、この魔女なら本当にやりかねない、という事。
あなたは身体を大事にしなくてはならない。自分の為にも。
そして、ファミリーの為にもだ。
(2/2)
(12) 2022/08/25(Thu) 20:03:51

【人】 銀の弾丸 リカルド

【路地の店】>>11>>12 ストレガ

「……それは、そいつは大層泣きわめいたことだろうな」

それは大体の男は震えあげる話だった。
言葉通りに受け取って、それを想像してみれば痛いどころの話ではなく、いっそ死にたいくらいの絶望だろうなと理解した。

「時計塔まで吹き飛ばしてきたのか。その荷物は引っ越し道具か?
 ……まぁ、いい。今の話で件の経緯はだいたい予想はついた。
 この家は好きに使うと良い。
 ……下手人は、トスキファミリーの者かどうかだけ教えてくれ」

これが今ここにいる本来の仕事のため、確認を取り。
内容を聞き出せれば、助かったと礼を言う。
避けられ断られとするだろうから、然程気にはしてない様子だが、あなたの言葉には「わかったわかった」と返している事だろう。

「ヤクについてはしばらく後遺症が残るかもしれん。
 とはいえそれでお前に迷惑をかけるつもりはないから安心しろ。
 ……まぁ、お前がそれを残したいというのであれば無理強いはしないさ」

この傷は、お互いにきっと、一生残る。
大きさや酷さの話ではない。
強い願いを成す傷とは、案外消えずに残るものなのだ。
その傷を持つものが、忘れない限りは、ずっと。

(13) 2022/08/25(Thu) 20:43:43

【人】 銀の弾丸 リカルド

【路地の店】>>13 ストレガ

「あぁ、手当はともかく見舞いには行くと良い。
 あの人も話し相手が出来れば喜ぶだろうからな」

ただの昼行灯ではないと、ちゃんとわかっている人間がここにもひとりいる。
それはとても良いことだ。
あの人がどう思おうと、まだまだ彼には現役で居てもらわなくてはならない。

「あの時の件については是非内密にしていてもらいたいものだが……、
 状況が許してくれるようになれば、その時はゆっくり休ませてもらうことにしよう」

随分心配をしてもらえたものだなと、小さく笑った。

……俺が、ツィオが、マウロが。そして貴方も。
それぞれ力をつけて立てる日が来るまで、あの人達にはずっと見ていてほしいと、そう思うのだった。
(14) 2022/08/25(Thu) 20:44:44

【人】 孤独では死なない兎 ツィオ

>>5 >>6 負け犬 猫被り
【ノッテアジト廊下】

はぁ、と嘆息して、
マウロの横でそのザマを見る。
なんともまあ……締まらない。
それくらいが、自分たちには似合いなのかもしれないが。

「噛まれたらコトだから、
 手出さない方がいいんじゃないかな。
 もしかしたら野良犬かもしれないしな」

拾ってくれる優しい飼い主がいたら、
今度こそ首輪の一つでもつけてもらいたいものだ。
マウロの後ろから、近寄っていく。
(15) 2022/08/25(Thu) 21:17:12

【人】 銀の弾丸 リカルド

【ノッテアジト廊下】>>15 幼馴染のくそったれ共

締まらない。
それはそうだろう。
頭には幾重も巻かれた包帯が巻かれていて痛々しい。
血の気のない肌に、泣いた後と窺える目の腫れは隠しきれるものではない。

「……誰が野良犬か、くそったれ共」

貴方達の声が聞こえ振り向いた顔は、実にスン……とした表情だ。
それでも、二人の様子がわかればこそ。
悪態をつきながらもほっとした心は、内だけでとどめておいた。
(16) 2022/08/25(Thu) 21:48:00

【人】 風は吹く マウロ

>>16 悪ガキ達
【ノッテアジト廊下】

「どの面で"無理するな"なんて言ってんだかな」
「人に説教する前に、自分を鏡で見てみろよ。箱入りの室内犬でももう少し自分の世話が出来るんじゃないのか?」

人に見せられないような顔で出歩くなんて本当にらしくない。
本来ならもう少し手心を加えてやるところだが。
なにしろ、君には言いたいことが沢山沢山あるのだ。

「とりあえず座れる場所に行こうぜ、会議の疲れもあるしな」
「"リック"の部屋でいいだろ、五体満足なんだから荷物くらい持ってやれよ ツィオ」

いつからか呼ばなくなった愛称を口にして。
先に部屋の方へ向かって歩き出すのだろう。
(17) 2022/08/25(Thu) 23:12:36

【人】 孤独では死なない兎 ツィオ

>>17 >>16 腐れすぎ縁
【ノッテアジト廊下】

「見てみなよリック、
 俺たちの愛息子はこんなに立派に育ってるのに、
 ベビーシッターのお前がそのザマじゃ笑いが出るな」

やれやれ、世話の焼けるやつらだと肩を竦めて。
生憎、女性以外の荷物を持つように、
俺の肩は出来てないんだけどなと言いながら荷物を持つ。
肩に荷物を抱えたまま。二人の前を行き、振り返る。

「まあ、病み上がり二人抱えて、
 こんな場所でダンスを踊るつもりはないから安心しなよ。
 たださ、キミら俺に何か言うべきことあるんじゃない?
 なあ、マウロ、リック」

そろそろ俺も――"おかえり"が言いたいんだが。
それは言葉にせずに、たった四文字だけ相手に求めて。
右手をマウロのために、左手をリカルドのために。
すれ違いざまにそれが出来るように、顔の横で相手に向けて開いた。
(18) 2022/08/25(Thu) 23:43:14

【人】 銀の弾丸 リカルド

【ノッテアジト廊下】>>17>>18 どうしようもない奴ら

「随分良いように言ってくれるじゃないか。
 散々面倒をかけてくれるのはいつもお前たちだというのにな」

荷物を奪われ、少しだけ慌てたように「それは大事なものだから、丁重に扱え」と指示をして、前を歩くツィオの後に続く。
慎重に歩かねばならないのはマウロと同じだから、ゆっくりとした足取りだ。
ふらふらした様子を見せないのは、気を張っているからだろう。

それでも、ツィオがこちらを向いて手を掲げれば、
貴方達にしか見せない顔が、ここに確かにあって。
本当に泣きそうな、それでいて安堵したかのような。そんなくしゃり、とした笑みを浮かべて手を伸ばす。

「――ただいま、兄弟」

こつん。
本当に軽く、拳を手のひらに当て、
その開かれた左手にそっと手のひらを重ねた。
(19) 2022/08/26(Fri) 0:17:24

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>13 >>14 リカルド
「そりゃね。玉と棒に1本ずつ、合計3本釘打ったからね」

女性にはその痛み、想像し辛いという。
恐らく9割方の男性は、或いはあのツィオや、
下手をすればコルヴォでさえ、
この話を聞けば顔を引きつらせるかもしれない。

「荷物はそんなとこ。ああ、トスキの屑だったよ。
 立場は知らないけど、末端のカスにあの子が
 やられるとは思わないからそこそこの立場じゃない?」
「ま、ダクトテープと布切れよりはガーゼの方がいい。
 その内行っとくよ。今は優先事項があるんでね。
 精々内密にして貰えるように振舞いな」

「んじゃ、あたいは店ん中に用があるから。
 この辺一帯も改造しなきゃな。ソルジャーも配置して……」

結局。魔女は、魔女のまま。
なんだかんだと先を見て、自分のことを優先して。
好きなように、生きていく。

チリン、と鳴るドアベルが、或いは猫の鈴のようだった。
(20) 2022/08/26(Fri) 0:58:42

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

【アンティークショップ】

そして、ストレガは店内に足を踏み入れた。
首を左右に、何かを探す様にして。
(21) 2022/08/26(Fri) 1:02:46

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>21 ストレガ

猫が好きだった。
死を悟り、誰もいない場所に消えるその生き物が好きだった。
死を見るのが嫌いだった。
どうしようもなく悲しくて、泣きそうになってしまうから。
だから、猫が好きだった。

猫のようになりたい、と誰かに言った。
死んだ時、どこへでも消えて、無くなって。
誰も悲しませないように、そんな生き物になりたかった。




女は、店の中にて。
2匹の猫を抱いたままの体勢で、そこに居た。
猫になれなかったのか、ならなかったのか。
烏はまだ来てないのか、置いてあるだけか。
何もかもわかることはないけれど、ただ。
女がそこに居る事だけが、確かだった。

店は散々な状況だった。
撃ち抜かれて止まる時計、割れたランプ。
壁も窓も、扉だって傷だらけ。
激しい戦闘が行われたのだろうことが分かる。

女は、無防備に眠るような顔で。
横たわっている。
(22) 2022/08/26(Fri) 17:38:52

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>22 レヴィア
「よう、Piccolina.おちびちゃん

女は、それらをすべて見て。
見た上で、軽く手をあげてそう言った。
軽い挨拶を、いつものように。

それから眠る姿の隣に行って、散らばる木くずや、
ガラス片なんかを軽く足で払って。
重い荷物を下ろすと、女の隣にあぐらをかいて座り込んだ。

「はあ。おかえりが言えなくて残念だよ」
「……なあ、寝ながらでいいから聞いてくれよ」
「ちゃあんと、あんたの仇は討っといた」
「それもとびっきりの方法でね」
「それに、吹っ飛ばした分だけよく聞こえたろ?」
「弔いの鐘って奴。いい音だったと思うんだ」
「まあ、あんたのグラスハープには負けるけどさ」

返事もない、他愛のない話。
傷だらけの店をぼんやりと眺めながら、
笑い交じりにぽつぽつと落としていく。


魔女は、猫が好きだった。
可愛い顔して、人を寄せ付けず、かと思えば寄ってきて。
自由そうで、不自由で、その癖時々凶暴な、ワガママな奴。
まるでどっかの誰かみたいだ。
そんなやつが、魔女は好きだった。
(1/2)
(23) 2022/08/26(Fri) 18:50:55

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>23
女は、眠り姫へと手を伸ばす。その髪を軽く撫でてやる。

「……。ああ、そうだ。時計塔、吹っ飛ばしちゃったからさ。
 あたいここに住む事にしたから。いいだろ?
 これなら毎日、借りに来ることが出来るじゃんか」

勝手な事を口にして、髪を撫でていた手を離し、
抱かれた猫の片方、くたくたになった黒猫の頬を突く。
くにゃりと曲がった顔は、首を傾げるようだった。

「でもさあ、あんたは……あんたはさ、
 いつまでもここにいる訳にもいかないだろ?
 それにハエなんかたかってるの見たら、
 あたいがまた住処を吹っ飛ばしちまいそうだし。
 ……だからさあ、提案なんだけど」

そう言って、抱かれた猫の内、幾らかしゃんとした
白い猫を腕の中から抜け出させてやる。

「あたいがこの子、借りていくよ。
 で、あんたにはその子、貸したままにしとく。
 それでさあ……いつかまた会う時が来たら、
 お互いの猫を返すってのは、どうよ?」

名案だろ?なんて微笑んで、返事もないのに様子を窺った。
(24) 2022/08/26(Fri) 19:01:00

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>24 ストレガ



「馬鹿ね、そんな事で住処を吹き飛ばすなんて。」
「貴女がどこに住もうと、興味がないわ。勝手に─────」



(25) 2022/08/26(Fri) 19:16:26

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>24 ストレガ

そんな声が聞こえてくるわけもない。
死体は何の音も立てない。
もう口から冷たい言葉を吐くことも。
細い指先がグラスを撫でる事もない。
何もかもが終わってしまった、ただの肉の塊。
もう少しすれば死の匂いが強くなり、やがて腐り。
きっと見るに耐えない姿になっていく。

黒猫を、胸に近い側に。
白猫を、その一つ外側に。
そうやって抱きかかえていたから、死後に固まる腕の中、
黒猫の方は随分ぎゅぅ、と抱きしめられていた。
まるで離さないとでもいうような、いいやきっと、
それはただの現象でしかなく、そこに意味などないのだけれど。
それでも何となくそう思えるような、抱きしめ方で。

白猫は、すんなりと取れる。
黒いリボンが一つ増えている。
女の頭のリボンが一つ減っているのも、貴方にはきっとすぐわかる。
足の付け根には拙い刺繍。
L..v...と、少しぐちゃっとした文字のようなもの。
殺すだけの女の手では、針子の才能はなかったようで。
手袋の取れた指、何度か針の刺さったような傷がその証拠。

背中にも、目立たない縫い目がある。
中に何かを入れて、また閉じたのか。
やはり拙いそれは、糸を切ればすぐに開いてしまうような
縫合だったけれど。
(26) 2022/08/26(Fri) 19:24:18

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>25 >>26 レヴィア

窺えど、返事もなければ、身じろぎもしない。
当たり前だ、それは死体で、終わった話。
ため息ひとつも零れるだろう。

それでも、強く抱かれたようにみえる黒猫と、
"大事にされていた"白猫を見れば、口元には笑みが浮かぶ。

「……ありがと。次会ったら裁縫くらい教えてやるよ」

ぽつりと呟いて、またその髪を撫でた。
それからふと、白猫の背中に拙い縫い目を見つければ。

「……。ちゃんと後で縫い直してやるから、
 ちょっとだけ……ごめんね」

片手をカバンに、工具箱から小さなニッパーを取り出して。
努力の証を開くのも、なんだかなあと零しながら
糸を切って中を確かめてみた。
(27) 2022/08/26(Fri) 19:59:35

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>27 ストレガ

教えてやる、と言われて返す言葉は、きっと決まってる。
いつもと同じ温度で、同じ抑揚で、きっと頭の中に響く。

猫の胸の辺り、心臓の代わりに入っていたのは、
小さな紙きれ。
少し丸い文字が並んでいる。口語体の文章。

『貴女がこれを読んでいるなら、きっと私は死んだのね。
 そして貴女は生きている。そういう事だと思うわ。』
『件の抗争は決着がついてるかしら。
 ついてたらいいわ。そうしたら、死から少し遠くなる。
 怪我はしてないかしら。治さなきゃだめよ。
 貴女、ただでさえ目立つって自分で言ってたもの。』


『貴女が今どんな感情でいるか、なんて知らないけれど。』
『私、濡れるのは嫌いなの。』
『貴女の雨で濡らさないで頂戴ね。』


『手紙なんて、書いたことがないから、
 何を書けばいいのか分からないわ。
 何事もなく終わって、ずっと後にこれが見つかったら、
 どんな顔をすればいいのかしら。』


『そうね。』
『伝えたい事があるの。それを書いて終わるわ。』
(28) 2022/08/26(Fri) 20:41:18

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>27 ストレガ

『私、誰でも殺せる女なの。』
『敵も、味方も。殺せと言われたら殺せるわ。』
『つい最近も、ノッテの人を殺したもの。』
『誰を殺せと命令されても、その通りにしてきたわ。』


『でも最近、命令をされるのが怖かったの。』
『あなたのせいよ。』
『貴女が懲りずに話に来て、律儀に飲みものを用意して』
『贈り物なんて考えて、いってらっしゃいなんて告げて』
『怖がりもせずに、当たり前のように接してくるから。』
『怖かったわ。』
『怖かったのよ。』


『───命令で貴女の名を呼ばれる事が、怖かった。』



『だって、私、そうなったら。』
『きっと』
『きっと、命令に添えなかったもの。』


『私、貴女だけは殺せそうにないわ。』
『あなたのせいよ。』
『馬鹿。』

(29) 2022/08/26(Fri) 20:49:50

【人】 誰も殺さなくていい レヴィア

>>27 ストレガ

『……それだけよ。』
『ねぇ、これを読んでるのが、殺せない貴女なら。』
『どうか、祝福してくださらない?』

『貴女を殺さずにすんだ、殺すしか能のない女の事を。』
『祝ってほしいの。』


『文字を書くというのは疲れるわね。』
『ここまでにしておくわ。』
『じゃあね、唯一人の貴女。』
『Arrivederci.』



『PS:』
『リボンは貴女がつけなさい。』
『嫌そうな顔をしないの。』
『その方が』


『目立って見つけやすいかもしれないじゃない。』




そんな拙い文章の手紙が数枚、
ぬいぐるみLevia心臓部こころに入っていた事だろう。
(30) 2022/08/26(Fri) 20:55:52

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>28 >>29 >>30 レヴィア

きっと、いつもの通りに返されれば、
いつものように返すのだ。『かっわいっくねえー』なんて。
そして、いつもの言葉を脳内で呼び起こしながらも、
隠されていた心を読めば読むだけ、言いたい言葉が一杯だ。

『遺書を用意するなんて、用意がいいのね、だっけ?』とか。
『なんで生きてないんだよ本当に、あー無駄になった』とか。
『馬鹿なのはどっちなんだよ、まったく』とか。
『あたいにリボンとか、趣味が悪いよあんたは』とか。

だけど、そのいずれも出やしない。
代わりに、雨が降り出した。それは、どしゃぶりの雨で。
濡れるのが嫌いなあなたを濡らさないように、
無理矢理に手で掬うから、その手に赤い雨が滲むのだ。
強い風は唸り声と紛う事もあるというから、
今吹き付ける甲高い嵐もきっと何かと紛う事もあるだろう。

ああ、それにしてもまったく、魔女というものは
誰にとっても、本人にしたって、御しがたいもので。
きっとそれは、猫のように、気まぐれで、自由で。
お願いしたって、碌に聞いてくれやしないのだ。
傷だって、ずっと持っていこうと思っているし。
雨だって、当てないようにしたって少し零れているし。
どうしようもないほどに、ままならない。

あなたの言葉を借りるなら、きっとこの魔女ストレガは馬鹿だった。
(31) 2022/08/26(Fri) 21:26:54

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>28 >>29 >>30 レヴィア

やがて、その雨風が弱まって。
時計の音が雨音をかき消すくらいになった頃に。
やっと、落ち着いたストレガは口を開く。

「……悪い、ちょっ、とだけ、濡らしたね」

がらがら声が、無理矢理に元気を作っている。
白猫Levia手紙こころを返して、優しく抱いて。

「まあ、……許してよ。次会う時、怒ってくれていいからさ」
「それで、祝福だっけ?あたいそういうの、
 全然知らないんだよなあ……するように思える?
 思えないだろ?そもそもさあ……はあ〜〜〜〜……」

ぐちぐち、続けそうになった口を適当に切り上げて、
代わりに溜息を吐いて。肩を竦めた後、
目元を親指でぴっ、と拭う。

「あんたは、ノッテ・ファミリー家族
 だけど、それ以上にあたいの……ハ、唯一の。友達だよ。
 言っとくけど!家族になるより友達になる方が
 何百倍も難しいんだからね。ことあたいにとっては!」

なんだか、ちょっと怒ったような口調でそう言って。
黒いリボンを、おもむろに白猫からひとつ、解いて見せた。

「……友達の頼みじゃ、一等断れない。
 まったく、ちゃんと見つけないと承知しないからね」
(32) 2022/08/26(Fri) 21:43:39

【人】 高らかに、あなたの元へ届け ストレガ

>>27 >>28 >>29 唯一人の貴女

そうして、ぼさついて広がった髪を後ろでひとまとめ。
根元をきゅっと、黒いリボンで結わえて。

Ti voglio bene, Levia.
次に会うのを楽しみに待ってなよ、レヴィア


呟くと、物言わぬあなたの、額に唇を落とした。
少しだけ長く、別れを惜しむように。
やがて離れて、最後にもう一度だけ髪を、そして頬を撫でて。

「……やれやれ、最後に一仕事だけしなきゃ」

鞄を探ると、取り出したのは針と糸。
黒い猫には白い糸を。抱かせたままに、縫い付ける。
友達が縫った所と同じ場所に、『Strega』と。

白い猫には、黒い糸を。背中を敢えて、
はじめと同じように少し緩めに縫い合わせ。
友達の名前は、そのままに。これが、一番いい形だから。

「出来た。……なあ、次に会うのは随分先になるからさ。
 そん時はレヴィアの顔、驚きと喜びで
 ふにゃふにゃにさせてやるからな?
 ……おやすみ、唯一人の貴女」

そう告げて、……一旦。この場を去るだろう。
一枚、烏達に向けて。「ぬいぐるみと一緒に、頼む」と添えて。
(33) 2022/08/26(Fri) 22:00:43

【人】 貴女の友達 レヴィア

>>33 ストレガ
結局、一つだって約束を守ってくれない貴女。
それでも女が怒ることは、きっとない。
たとえ頬を突かれたって、怒ったりしなかったのだから。

だから、女は。
もうあなたに見える事も、触れる事も出来ない、
曖昧な存在のまま、
雨が降るのをただ見ていた。
まさか見られてる、なんて貴女は思わないだろう。
貴女もそんな顔するのね、なんて言葉も、届かないだろう。

「友達、そう。」
「………馬鹿ね、人を見る目もないなんて。」

「リボン、やっぱり似合わないわね。」
「見つけやすくて助かるわ。」

伝わらずとも、そんな事を呟いて。
ぬいぐるみに刻まれる名前も、閉じられていく傷も見届けて。
全部、全部、全部。
その最後まで、見届けて。

額にキスされたのを見れば、そっと、顔を寄せて。
ぐっと背伸びして、同じようにして。
きっと貴女の額には、届かなくて、それより下になったけど。

「Anche io.」

そんな言葉を、呟いて。
(34) 2022/08/26(Fri) 22:24:37

【人】 必ずまた会いに行く レヴィア

>>33 ストレガ

最後に黒のぬいぐるみを傍に置かれて、
立ち去っていく貴女を、その背中を眺める。

「……必ず、見つけに行くわ。」
「だって私、暗殺屋だもの。」
「必ず、必ずよ。」

だからそれまで、待っていてちょうだい。
次に会った時、それが貴女とは違う姿形で、
私も違う姿形だったとしても。
絶対に見つけて、また、同じように。
貴女に同じ言葉を言わせるわ。

だって、私は暗殺屋。
暗殺屋は、狙った標的を絶対に逃がさない。


レヴィア暗殺屋が狙う、最後で、最初の標的は────
(35) 2022/08/26(Fri) 22:32:59
レヴィアは、指鉄砲を、貴女のに突き付けて。
(a2) 2022/08/26(Fri) 22:34:23

レヴィアは、くすり、年相応に、楽しげに笑って。
(a3) 2022/08/26(Fri) 22:34:52

【人】 暗殺屋 レヴィア





BANGばーん




───暗殺屋と魔女の物語、つづく遠い未来に
(36) 2022/08/26(Fri) 22:38:45

【人】 風は吹く マウロ

>>18 >>19 馬鹿ども
【ノッテアジト廊下】

「誰が息子だ、気持ち悪いこと言うな」
「面倒掛けてんのはお前も一緒だろうが、自分は大人だとでも思ってそうだな?リック」

揶揄うように笑いながら。
横を抜けていくツィオの姿を横目で見て。
そして振り返った君が手を挙げたのならば。少し面食らったような顔。
ああ―――と、納得をしたように笑みを浮かべ。
何でもなさそうな顔で、君の元へ歩いていく。

「遅くなった。―――ただいま、兄弟」

奇しくももう一人の幼馴染と同じ言葉を乗せて。
開いた手を、君の右手にぶつけ。
ぱん、軽い音を響かせた。
(37) 2022/08/27(Sat) 1:49:06
鳥葬 コルヴォ(匿名)は、メモを貼った。
2022/08/27(Sat) 2:36:40

鳥葬 コルヴォ(匿名)は、メモを貼った。
2022/08/27(Sat) 2:36:57

【置】 家族愛 サルヴァトーレ

「​────Abbie,」
(L11) 2022/08/27(Sat) 19:12:04
公開: 2022/08/27(Sat) 22:10:00
サルヴァトーレは、家族を愛している。
(a4) 2022/08/27(Sat) 19:20:15

【人】 孤独では死なない兎 ツィオ

【ノッテアジト廊下】>>19 >>37 ファミリー
――すれ違いざまに
軽い音で叩いていった手と、軽く重ねられた手に、
目を瞑って、笑いながら満足げに、口の端を持ち上げた。

「おかえり、俺の愛しい悪童ども――」

振り返ると、すれ違っていった怪我人二人の首を
纏めるように両手で抱いて廊下の行く先を指さす。

そこには。
あの日三人で忍び込んで、こってり怒られてなお、
網膜から消えてなくならなかった『街並み』がある。

俺たち大人になり切れない少年が、
――不要の烙印を押されたはずの孤児が。
何かを求め、希求してしまうほどに光り輝く街並みがあった。

(38) 2022/08/27(Sat) 19:51:39

【人】 孤独では死なない兎 ツィオ

【ノッテアジト廊下】>>38 "マウロ" "リック" "ツィオ"
――俺は嗤う。

「――天辺取ろう。
 今度こそ、手を伸ばしても届かなかったあの景色を、
 諦めの悪い死にぞこないの俺たちのものにしよう。
 独りじゃ無理だ。二人でも足りない。
 ただ三人なら、急に敵が居なくなる――そうだろ?」

こいつらの顔を束ねて見えなくしたのは、
互いの表情を見えなくするため。
だってキャラじゃないだろう――?
本気で夢を見るときの横顔なんか、
いつだって、男は見られたくないもんだ。

その三つ並んだ背中が。
あの日、監視塔の上で街を眺めたその背と重なる。
               carina.
「――さあ。――踊ろうか、カワイコちゃん」

兎は、マフィアの顔で嗤った。
(39) 2022/08/27(Sat) 19:58:25

【人】 銀の弾丸 リカルド

【ノッテアジト廊下】>>37>>38>>39 俺の家族

「――ハ、ついに天辺ときたか」

夢を語るのは俺の役目だったはずなのにな、と嗤う。
俺の上にいるべき上司は、たった一人だけ。
その上司に送り出されたのだ。……ならば、あの方の元へ行くときは、誇れる自分であらねばならない。

「お前たちに耳に入れておくべき情報がある。
 特大級の機密だ……3人でなら……、
 上手く料理できるだろう。――わかるな?」

これだよ、と。
ツィオが持つノートパソコンとUSBが入ったカバンを撫でた。。
上司が長年努力して作り上げた情報収集装置。
ラウラが残した軌跡を見たならば、貴方達はなんと言ってくれるだろう。

閉じた目の裏に描くのは、あの日見た広い街並み。
あの全てを手にするために。

地獄のよしみだ、肩を組んで歩いていくとしよう。
(40) 2022/08/27(Sat) 20:36:45

【人】 風は吹く マウロ

>>38 >>39 >>40 Tesoro mio
【ノッテアジト廊下】

「……いいじゃねえか、ツィオ。俺たちでこの街獲れたら最高だ」

混じった血では、届かなかった場所へ。
凝り固まった組織を新しく変化させて、夢見たあの景色を。
あの時、夢の中で見た烏に話したように。
3人で肩を並べて。そうあれたのなら、これほど幸せな事はない。

「どこまでも―――最高だな」

そのための準備はもう始まっている。
この2人が一緒にいるなら、無敵だ。壁なんて、壊して進んでやろうじゃないか。

あの時のような景色を、あの時とは違った目線でもう一度眺めて。

悪戯を思いついた子供のように、笑ってみせるのだ。
(41) 2022/08/28(Sun) 0:26:21

【置】 陽炎 アベラルド

昔なら涙の一つでも流しただろうか。

妹が殺されたと知らされた時だって、死体すら見ちゃいないのにやるせなさと哀しみで馬鹿みたいに泣いた覚えがある。
だというのに。

幼なじみが目の前で息絶えたというのに、
頭はどこか冷たく冴えていて穏やかだった。
哀しみよりも、虚無感よりも、何よりも凪のような気持ちがあった。
『仕事』の後のような昂ぶりも無い。

恋愛ではなかった。性愛でもない。
いちばん近いのは友愛だとか親愛なのだろうか。
そのどちらも、またどこか違うような気がした。
ただこれは「愛」であることは変わりなく、貴方が死んだとしても潰える様子も無かった。

貴方が死んでくれて嬉しい。
貴方が自分のせいで死んでくれて嬉しい。

貴方の死に顔を眺めている間、
自分はきっと穏やかに笑えていた。

奪われなくてよかった。
(L12) 2022/08/28(Sun) 20:36:06
公開: 2022/08/28(Sun) 21:30:00

【見】 郵便切手 フラン

【街中】

「集荷に来ました。
 ……人が少なくなって来ましたね」

路地の裏で誰かが消えても、何一つ変わらなかった祭りの喧騒。
終わる日が近づいて、やっとお祭り騒ぎは収束していく。
纏められた荷物を確認して、サインを受け取る。
慣れない世間話を交わしながら人混みの奥へ目を凝らし、以前に見た屋台を探した。
どうやら変わらず営業を続けていたらしい。
いつの間にか、あのゴロツキたちは消えていた。

知らないところで、知らないうちに景色が変わる。
時には変わったことにも気づかない。
鉄錆や硝煙の臭いも車の排煙も人々の喧騒も、時間がろ過して元通り。
誰かが死んだ時に吐いた空気を、生きてる誰かが吸い込んで。
生きている誰かが吐いた空気を、死にゆく誰かが吸い込んで。
そうして全てが巡っていく。
それが日常なんだろう。

「良い一日を。」

胸ポケットに過去を仕舞って。
得意先が減って、また増えて。
配達員の日々は、これからもきっといつも通りだ。
(@1) 2022/08/28(Sun) 21:55:45

【置】 家族愛 サルヴァトーレ


「うん? ああ​────いや、そういうわけでもないんだけど」
「どうしてかな、捨てる気になれなくてね……持ってるんだ。邪魔になるものでもないし」

男はそれをいつも持ち歩いているらしかった。
金具がひしゃげ、チェーンもちぎれたそれは、もう元の装飾品として扱えそうにない。古いものなのか、ところどころ錆びたような色がこびりついてもいた。大切なものなのかと問われれば首を振り、実際大切にしているわけでもないらしく、誰かが興味を持てば簡単に貸して寄こした。
けれどもやっぱり、最後には手を出して返すように促した。それからまた、スラックスのポケットに仕舞ったのだった。

(L13) 2022/08/28(Sun) 22:20:13
公開: 2022/08/28(Sun) 22:20:00

【置】 金毛の仔猫 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

うたがきこえる。

おまえなんか生まなければよかった

――Ninna nanna,mio figliuolo!ねんね、ねんね、私の坊や


幸せそうにはにかむ美しいかんばせ。

私を見ないで、その目がいちばん嫌い

――Ninna nanna,occhi ridenti…ねんね、ねんね、かわいい瞳…


石畳の上を踊るステップ。

私を呼ばないで、その声も嫌い

――Canta,canta,rusignolo…歌え、歌え、ナイチンゲール


繋いだ手が揺れる。

おまえも同じ苦しみを知るべきよ

――…che il mio bimbo s'addormenti!私の坊やが眠れるように!
(L14) 2022/08/28(Sun) 23:08:22
公開: 2022/08/28(Sun) 23:10:00

【置】 金毛の仔猫 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

あなたはいい育て親ではなかったのかもしれない。
  ――それでも、その細腕は確かに、ゴミ捨て場の命少年をすくい上げた。
あなたは母親ではなかったのだろう。
  ――それでも、その不器用な愛が、人間少年を育てた。

天使アンジェロ自らを生み落とした女母親を見殺しにした。
だれも、それがわるいことだと教えなかったから。
けれど翠眼の少年ヴェルデは、  ビアンカの手を握ったままでいたかった。
自ら考え、選び、そういう未来がほしかった。



おやすみ、■さんビアンカ
死んでしまってごめんなさい。


少年はあなたのことを愛していたし。
――――死にたくなんて、なかった。

ただそれだけの、ことだった。
(L15) 2022/08/28(Sun) 23:09:11
公開: 2022/08/28(Sun) 23:15:00

【置】 翠眼の少年 ヴェルデ

>>-17 >>-18 >>-19

確証はないけれど、託したものは何となく、届く気がしている。
裸の紙幣をそのまま渡したのは、残るものは少ない方がいいと思ったからだ。
ただでさえ、部屋に荷物を置いたまま。
そう多くないと言えど、処分するにはやはり、手間もかかるだろう。
思い出してしまうかもしれない。悔いてしまうかもしれない。旅行の約束は守れなかった。


それでもヴェルデは幸せだった。
意識を手放すそのときに思い出した、この歌が。
よく眠れるようにと祈ってくれたから。



願わくば、あなたもよく眠れますように。
(L16) 2022/08/28(Sun) 23:09:52
公開: 2022/08/28(Sun) 23:20:00

【人】 銀の弾丸 リカルド

【港の防波堤】

――慌ただしかった1日からいくらか経ったある日。
日参して治療を受けている地下病院から出て、一人、防波堤から海を眺めていた。
今日も忙しく仕事をして、治療後はテンゴに報告ごとを耳に入れたりしていたけれど、この時ばかりは紫煙を昇らせ、静かに波の音に耳を澄ませていた。

居なくなってしまった人たちの、いろんな声が聞こえる気がした。
ラウラの控えめな声や、上司が俺を呼ぶ声。

それから、この海に攫われてしまった少女のこと。
行き場を失っていたその少女を引き取って、育てる、つもりだった。
約束通り独り自由にしないと、約束して。

まるで、あの男に言ってやりたかったセリフみたいだな、なんて思ったりしながらも、差し出した手が届いたのが嬉しかったのに。

亡くなった者の後を追いたい気持ちがわからないわけではない。
自分とて、地獄の果まで上司のお供ができるなら、今すぐにでもあの人のもとに行きたい。
だけど、出来ない。
命など、大事な物のために捨てる事はいつだって出来るし、惜しいわけではない。

自分の大事なものは、たった一人だけではなかった、から。

幼い頃から苦楽を共にした幼馴染を置いては何処にもいけない。
マウロが死んだと思わされた時の、ツィオの顔。
手を伸ばしても決して触れられないと思った、あの時。

気づくのが遅くても、あんな顔をさせるなら駄目だと思った。
俺は、上司を、幼馴染を傷つける者を許さないが、
俺が傷つくことで、あいつらにあんな顔をさせてしまうなら、
俺は
それ
を絶対に許してはならない。
(42) 2022/08/28(Sun) 23:10:53

【人】 銀の弾丸 リカルド



「だから、俺はお前たちとは違うんだ」

「―――――絶対に」
(43) 2022/08/28(Sun) 23:11:31

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ

【アルバアジト】

 ――

まだ静けさに包まれた暁闇あかつきやみの中

扉を開く音が響く


こつ……こつ…………こつ


ゆっくりとした足取りが、部屋をめぐる


……罰せられ、ませんでした
引き金を引いた、と思っていたのですが見当違いのようです
黒幕の情報もとうにノッテあちら……
今はもう我々うち、でしょうか……が掴んでいて

……ふふっ、ただの道化、ですね 私は


溜息がひとつ、薄闇に零れた
(L17) 2022/08/29(Mon) 4:13:36
公開: 2022/08/29(Mon) 4:45:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ


こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、壁に掛けられた額縁に触れる
これは確か家族を題材にした絵、だっただろうか


”家族”を愛し、家族に愛されたひと

私も彼が嫌いでは……いえ、いいえ 好き、でした
最初はそれに面食らって、曖昧な笑顔しか返せなかった私にすら
愛を向けて、与え続けてくれたひと



「……トト―」

虚空に声が 溶けた

――彼の椅子を 見る
(L18) 2022/08/29(Mon) 4:16:37
公開: 2022/08/29(Mon) 4:50:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ

こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、花瓶の花が目に入る
色とりどりの花は夜の帳の中でも華やかに


遺された華達を守ろうと誰よりも苦悩したひと

事態に真剣に立ち向かい
絶望の中でも冷静であり続けようと、苦しんでいました
これからは少しでも助けになれるでしょうか



「……ソニーさん」

虚空に声が 溶けた

――彼の椅子を 見る
(L19) 2022/08/29(Mon) 4:18:17
公開: 2022/08/29(Mon) 4:55:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ


こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、感じたのは甘い香り
それはほのかに残ったショコラータの甘くて苦い

互いのためと尽くしあった親子


隠すことのない愛情を拾い子に向けたひと
その愛を受け止めて、それ故に尽くそうとしたあの子
誰がなんと言おうと素敵な親子でした



「……アベラルドさん、ルチアさん」

虚空に声が 溶けた

――彼の椅子とその後ろを 見る
(L20) 2022/08/29(Mon) 4:21:27
公開: 2022/08/29(Mon) 5:00:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ


こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、聞こえたのは鳥のさえずり
まだ暗い空に自由な歌声が響く

不器用な、でも想いあっていたふたり


誰よりも案じているのに表向きは隠し続けたひと
きっとそれに気が付いて、それ故に去れなかった子
あなたたちに自由をあげられたら、よかったのに



「……ビアンカ、ヴェルデさん」

虚空に声が 溶けた

――未だ暗い空を 見る
(L21) 2022/08/29(Mon) 4:23:02
公開: 2022/08/29(Mon) 5:05:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ


こつ……こつ……


足音が止まる


薄闇の中、伝う雫の塩辛さが舌を痺れさせる
あの夜にすべて零したと思っていたのに、今も……まだ

誰にでも優しくて、誰よりも眩いひと


遺された手帳には色々なことが書いてありました
努力の跡、誰にも見せなかった悩み……私のことも
私はどれほどのものをあなたに返せたでしょうか



「……先輩。…………せんっ……ぱい」

虚空に声が 涙と溶けた

――彼の椅子を 見る
(L22) 2022/08/29(Mon) 4:24:53
公開: 2022/08/29(Mon) 5:10:00

【置】 プレイスユアベット ヴィオレッタ

こつ……こつ……

扉の前で足音が止まる



窓の外 空が白み始めた

間もなく夜は、暗く長い夜は、明けるだろう

悪夢は終わって、新たな始まりが訪れる



けれど、夜に溶けた者たちが戻ることはない



「Arrivederci.
 皆さま、どうぞ良い夜をお過ごしください」

虚空に声が残る

――部屋を 見回す


そして、扉の閉まる音

もう誰もいない
(L23) 2022/08/29(Mon) 4:27:20
公開: 2022/08/29(Mon) 5:20:00
ソニーは、ヴェネリオを、
愛している。
(a5) 2022/08/29(Mon) 10:07:10

【置】 家族愛 サルヴァトーレ


これはいくらか昔の話。
そのマフィアにはある女がいた。
大口を開けて笑う豪快な女だった。縮れた赤毛に咥え煙草がトレードマークで、話す言葉には異国の訛りがあった。
彼女は組織の人間とよく付き合った。酒を酌み交わし、よく人と話した。その陽気な様子は、この国のマフィアに相応しかった。

────カタギに惚れられちゃってさ……。


初めはそんな言葉。
彼女には、休日に図書館に行くという日課があった。幼少期を異国で暮らしたために、この国の絵本なんかが珍しいのだという。そこでよく会う学生に声をかけられたのだと。

────ガキのくせにね……。


侮るような口調はしかしあたたかい。眉根を寄せながらも口元はにんまりと笑んでいて、つまりはまんざらでもない様子が伺えた。

程なくしてそのガキカタギは彼女の傍に現れるようになる。図書館の外でも彼女に話しかけるようになる。​────つまりは、そういうことだ。
社会の厳しさも汚さも微塵も知らないような少年はその無知ゆえに彼女に付きまとった。贈り物と共に甘い言葉を携え、行く先々で慕うように後に続いた。君を守りたいと言った額を女が小突く。少年はいつだって、薔薇色の頬をして女に笑顔を向けていた。


いつしか少年は青年へと成長する。
家族が増えるのだと女はその腹を撫でた。
(L24) 2022/08/29(Mon) 20:10:08
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00

【置】 家族愛 サルヴァトーレ

笑い声が聞こえる。

笑い声が聞こえる。


誰かの声が聞こえる。


銃声が聞こえる。


罵声が聞こえる。


慟哭が聞こえる。

幸福は脆く崩れ去る。


路地裏に倒れる。


何人かが死んだ。

うち一人は女だった。

男はそれを見ていた。

見ていただけだった。


脳漿が滴って落ちる。
(L25) 2022/08/29(Mon) 20:10:36
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00

【置】 家族愛 サルヴァトーレ


────目を覚ました男がどう振る舞うかはファミリーの中でも注目の話題だったという。

血の掟、その7。妻を尊重しなければならない。
血の掟、その9。ファミリーの仲間、およびその家族の金を横取りしてはならない。

マフィアとて妻の命は大事にする。仲間の家族の命も大事にする。とりわけその男が女を深く愛していたのは誰もが知っていた。最愛を奪われた家族が狂うのは、蛮行に走るのは、復讐に傾倒するのは、何も珍しいことじゃない。

家族を処分するのは当然気分が悪い。
誰もが狂ってくれるなと願っていた。

果たして。

男は、狂いはしなかった。

彼は蛮行に走ることも、復讐に傾倒することもなかった。
恨み言のひとつも吐かず、怒りを見せることもなかった。

ただ笑っていた。
ただ明るかった。

不自然な程に。

彼はいくらかの肉と頭蓋骨の欠片、
それから脳みそ数グラムと一緒に、
記憶の一部も路地裏に落っことしてきたらしかった。
男の記憶にあの女はいない。


ちぎれた鎖は戻らない。
落とした螺は戻らない。
(L26) 2022/08/29(Mon) 20:11:20
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00

【置】 家族愛 サルヴァトーレ

細いチェーンは銀色。
ペンダントトップはデフォルメされた白い花のモチーフ。
その中心には小ぶりのダイヤモンドがはめ込まれている。
それだけの、酷くシンプルなネックレス。
​────それは10年と少し前に流行ったものだ。


それを首に輝かせた女がいたことを、もう誰も覚えていない。

亡くした人は還らない。


幸福な終わりじゃないから、おとぎ話にはなれない。
語る口などどこにもないから、物語にすらならない。
(L27) 2022/08/29(Mon) 20:13:05
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00
ロッシは、黄金の色が好きだった。
(a6) 2022/08/29(Mon) 20:16:55

サルヴァトーレは、家族を愛している。
(a7) 2022/08/29(Mon) 20:18:33

【置】 家族愛 サルヴァトーレ


サルヴァトーレは、傷の入ったレコードだった。
サルヴァトーレは、四小節のオルゴールだった。

穴の空いた記憶を無理矢理埋めて。
解れた矛盾の糸を無理矢理繋いで。
足りない部分をただ愛で満たして。

不純物がない宝石は硬く透き通る。
男の中には家族への愛だけがある。

最期までただ愛だけが残っていた。

(L28) 2022/08/29(Mon) 20:18:47
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00
サルヴァトーレは、家族を愛している。
(a8) 2022/08/29(Mon) 20:18:57

コルヴォは、もう誰の元にも戻らない。きっと子守歌を聞く事も無い。
(a9) 2022/08/29(Mon) 20:34:09

コルヴォは、もう誰の死を葬る事もない。その必要がない。
(a10) 2022/08/29(Mon) 20:34:19

【置】 紅烏 コルヴォ


それでも、うっかりいつか、何処かで再び逢う事があったなら。

誰にも許しを請いはしないから、許さなくていいから。

その時は、ただ怒ってはくれないか。

家族・・の望み一つ拾い上げられなかった、このちっぽけな男の事を。
(L29) 2022/08/29(Mon) 20:34:43
公開: 2022/08/29(Mon) 20:50:00

【置】 銀の弾丸 リカルド

――ある、晴れた日。

男は、花束を3つ抱えて墓地に訪れた。

ひとつは、数日間しか共に居てあげられなかった少女の小さなお墓に。
ひとつは、心を知らなかった無垢な女の墓に。
ひとつは、心から敬い愛した上司の立派な墓に。

立場の違いがあるから大きさや場所までは揃えられなかったが、それでも同じ墓地の中にそれぞれ準備することが出来た。
勿論それは、俺一人の力ではなく、ツィオやマウロも共に尽力してくれたからに他ならない。

「一緒に来る事が出来たら良かったんだが、まぁ……、
 二人共後で来るだろう―――と、」

墓標にLaura・Liberatoreと記された墓の前に来ると、そこには違う花束がふたつ置かれている。

「――なんだ、二人共先に来ていたんだな」

ふ、と可笑しそうに笑って。
墓の前に腰を下ろし、同じように花束を捧げて、両手を胸の前で組んで目を閉じた。
それぞれ話したいことがあったんだろう。
それを他の二人に聞かれたいとも思わないのは、自分も同じだ。
男というものは得てしてそういうものだが、果たしてここに居るはずの女は理解しているだろうか。
(L30) 2022/08/29(Mon) 20:37:42
公開: 2022/08/29(Mon) 20:55:00

【置】 銀の弾丸 リカルド

「聞いたとは思うが……アルバファミリーと合併を視野に入れた同盟を組むことになった。
 一人でも多くの人間を迎え入れたいと思って尽力しているんだが、……なかなかうまくいかない」

互いに多くの命を散らしてしまった。
組むくらいなら抜けるという人間もいれば、大事なものを追って死んでしまったものも居る。
その気持はわからないでもないが、俺はとても同じ道を歩もうとは思えない。

「なぁ、俺は。
 お前の答えが聞けなかったなぁ……、まぁ、おおよそわかった気はしてるんだが。
 今は聞けなくて良かったとも思ってるんだ」

「結局の所、俺もお前も、二人共が大事なのは変わらないからな」

自分にとっては、どちらが上も下もないから。
上司だけはまた違った位置にはいるけれど、それでも3人共何より大事な存在であったのは変わりない。
あの人のことだから、きっと、ラウラを一人にはしていまいと、
そんな事を思いながら目を開き、真っ直ぐに墓標をみつめた。
(L31) 2022/08/29(Mon) 20:38:35
公開: 2022/08/29(Mon) 20:55:00

【置】 銀の弾丸 リカルド

「ラウラ。
 お前に一つだけ報告がある」

「俺は今日から、名前を変えたんだ」

「だから……今日から俺の名は、
 リカルド・
フィルマーニ
だと、覚えておいてくれ」


――――姿の見えないあなたの声が聞こえた気がする。


大事なものを二度と喪わないよう、
その名をしっかりと、自分に刻んで誓う。

いつの日か絶対に、3人であの景色全てを手にする為に。
(L32) 2022/08/29(Mon) 20:39:51
公開: 2022/08/29(Mon) 20:55:00

【置】 天使の子供 ソニー

本名:ソニー・アモリーノ(Sonny Amorino)
死因:頭蓋部の損傷
発見場所:自宅バスルーム
遺体の様子:
頭部に二発、肩に一発銃撃の痕あり。頭部と肩からはそれぞれ別の口径の弾が摘出された。
一発目は喉から視床下部の下を通り後頭部へ抜け、貫通して後ろの壁に突き刺さっていた。
再度引き金を引いて、二発目は頭頂葉へ食い込み頭の中に弾丸が残っていた。
発見場所までの道は完全に施錠され、また荒らされた形跡もなかったことから、
拳銃は本人の所持物であり、自殺であると認定した。

器官のいくらかは壁にへばりつき、眼球からはすっかりと水分が抜けていた。
死亡から発見までは数日が経過しており、発見時には既に腐敗が進んでいた。

(L33) 2022/08/29(Mon) 20:44:09
公開: 2022/08/29(Mon) 20:45:00