情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 ガット・リベロ ルチア【路地裏】 ──薄暗い路地裏を歩く。 嫌な予感がして、悪い予感がして。 きりきりと目の奥が締め付けられるような感覚がして。 ──歩く。右を、左を、見て回る。 転がっているのは、放られたゴミか。 自由猫たちは、珍しい来客に足元までやってきて。 「……ねこさん、ねこさん。 わたしの大事なひとを、知りませんか?」 そっと、猫に語り掛ける。 それに応えてくれたのかは、わからないけれど。 つい、と首を振って、猫が路地の奥へと駆けていった。 予感はその先へ、わたしの足を促している。 ──嫌な予感がする。 おぼろげな記憶。わたしが、ここにいる理由。 頭が痛くて、はっきりとは思い出せないけれど。 ──嫌な予感がする。 昔の記憶、それを路地の壁模様がなぞっているよう。 少しずつ、少しずつ、潜り込んでいく。目の眩むような暗闇に。 ──嫌な。予感は。 いつだって、当たるんだって。知っていた。 (1) 2022/08/17(Wed) 23:33:06 |
【人】 ガット・リベロ ルチア【路地裏】 「……アベルさん?」 ──そこにあったのは。 首に穴を空けて、その周囲を真っ赤に染めて。 虚の瞳で天を見上げている──。 「……あは。うそつき。無茶はしないって、言ったのに」 こんな所でひっそりと。 ──きっと、何かをしようとしたのだ。 真相に近づいたのか、それを追跡していたのか。 深奥へ触れ過ぎたのか。引き際を誤ったのか。 「……ねえ、大丈夫だよって。言ってたのに。 わたしを置いて行かないって、言ってたのに。 ひとりぼっちになんてしないって、言ってたのに」 あなたが拾ってくれたから、わたしは今ここにいるのに。 ──太腿に括り付けたホルスターから、ハンドガンを抜いて。 お祈りをするように握って、ホロサイトを額に押し付けた。 (2) 2022/08/17(Wed) 23:34:37 |
【人】 ガット・リベロ ルチア【路地裏】 「……うう」 崩れて、膝を折る。 「うぁ、ああ……」 縋るように、天を仰ぐ。 「ああああぁ…………」 雨も無いのに、床が濡れる。 (3) 2022/08/17(Wed) 23:35:29 |
【人】 ガット・リベロ ルチア【路地裏】 今、すぐに。あなたに触れたい。触れたくない。 駆け寄って泣き叫びたい。けれどそうしてしまえば。 砂のように──崩れ去ってしまいそうな、気がして。 いいや。そうだ。 わたしの、このつかの間の幸せだった時間こそ。 砂で固めた、脆い牙城で。それをわたしは。 もっと、全力で、出来る限りのことをして守るべきだったのに。 わたしは、また。 こうしてすべてを失うまで、結局。 また、何ひとつすら出来なかったのだ──。 (4) 2022/08/17(Wed) 23:36:41 |
【人】 ガット・リベロ ルチア【路地裏】 ふらふらと。 少女は歩く。 コーヒーショップは、仕事にならないから。お休みをもらって。 なんのあてもなく、ただ、周囲を窺って、なにかを探すように。 うつろな表情で、瞳だけをぐるぐると回しながら。 ……歩いている。 (14) 2022/08/18(Thu) 12:39:47 |
ルチアは、捜している。 (a46) 2022/08/20(Sat) 20:18:21 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新