情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 瑞野 那岐[朝食を食べて、 少し散歩する時間くらいはあったかもしれない。 たった一泊二日の旅行は、短くとも。 濃厚な密度で、彼と過ごせる時間だった。 明日からは、また日常が戻ってくる。 帰りの車の中で、その日常の話をするのもいいけれど。 此処は、良かったと。 次はどこに行こうか、とか。 寂しさを感じさせるものよりは、 次に繋がるものを、自然と口にしていただろうか。 彼との思い出を増やすように、一つずつ。 そうして、硫黄の香りを嗅ぐ度に、 ]きっと、この日のことを思い出してしまうだろう。 (2) 2023/04/03(Mon) 2:13:06 |
【人】 瑞野 那岐[そんな、考えが過ぎったからこそ。 旅先から戻った休み前の晩。 ベッドの中で、彼と横たわりなら一つ提案をした。] ……景斗さんって、フレグランス使います? 決まったものがなければ、 俺が見立ててもいいですか? [硫黄の香りを嗅いで、思い出す香りがあるように。 特定の香りで、彼を想うのもいいかと考えて。 俺自身は仕事中には使えないから、 休みの日ぐらいしか使うことはないけれど。 彼ならば仕事柄、平気かと思って。*] (3) 2023/04/03(Mon) 2:13:50 |
【人】 瑞野 那岐[枕に頭を凭せ掛けながら、 思案に老ける彼の様子を眺めてた。 唐突、と言われればそうなのかもしれない。 だけど、自分にとってはあの旅行から戻った時から、 考えていたものでもあったから、そう?と緩く笑みを添えた。] 香りがあれば、いつも傍に居るような気がして。 [寝転がりなら、彼の髪を撫でる。 風呂上がりにするシャンプーの香りも好きだけど、 時間と場所よって変わるフレグランスはまた、 違ったあなたを引き立たせてくれるだろうから、 それも楽しみの一つ。 自分が選んだ香りを纏わせながら、仕事に行く彼も。 なにかの合間に、自身を思い出してくれたら。] (14) 2023/04/03(Mon) 21:41:57 |
【人】 瑞野 那岐[名乗りを上げれば、彼からも見立ての注文が入って。 笑いながら、いいよ。と応えた。 考えつく先は、同じなのかもしれない。] 仕事中は付けられないから、休みの日だけ。 [それは、同僚も従姉妹も知らない香りになるだろう。 だとするなら、彼と並んだときに、 噛み合う香りがいいだろうか。 選ぶといいながら、あまり詳しくはないけれど。 彼に送りたいものは、いくつか検討がついていたから。 オーダーメイドという話が、 そういうものもあるのか、と感心しただろう。 それはそれで、互いにまた作ることにして。] (15) 2023/04/03(Mon) 21:42:14 |
【人】 瑞野 那岐[季節は春から梅雨へ、梅雨から夏へと移り変わる頃。 旅行のときに、話していた蛍も>>+186 そろそろ見頃の季節がだろうか。 師範代だという祖父は彼に厳しいのだったか。 その話をするときだけ、彼の表情が、 いささか強張ったようなものになったのは、 無意識に祖父を思い出していたのかもしれない。 家族仲が悪いわけではなさそうだけれど。 その話も、これからは耳にする機会もあるかもしれない。 風呂上がりに、いつも。 彼が自身を抱き寄せるのが癖になっているみたいに。 隣に寝転ぶ彼に、寄り添うように身を詰めて、 まだ眠る気配のない彼を下から見上げるのは俺の癖。] (16) 2023/04/03(Mon) 21:42:38 |
【人】 瑞野 那岐……蛍を見に行くの、 景斗さんのお爺さんの家の近くがいいな。 [寝転がりなら、ふわりと柔らかく笑って。 少し、無茶な注文をしただろうか。 難しいと言われたらなら、ごめん、と笑って。 もし、彼も頷いてくれたなら、少し具体的な話をして。 今日も彼の腕の中で、眠りにつく。] (17) 2023/04/03(Mon) 21:42:58 |
【人】 瑞野 那岐[休みを合わせた休日に、彼を引き連れて、 デパートへ足を運んだ。 男性だけでは、少し足を運びにくいかとも考えたけれど、 やはり種類を求めるなら、場所を選んだほうがいい。 いくつかの店を周りながら、 今度はやっぱりオーダーメイドにしようと、彼が言うから。 その時ばかりは、笑って頷いただろうか。 ひと目につく所に連れてきてしまったことに、 少々申し訳なさを感じながら、いろいろな香水を試して、 ようやく選んだ香水は、どこか彼を思わせる。 黒いシックな容器のもの。 最初は情熱的な獣のような匂いすらするけれど、 少し時間をおけば、フローラルな香りも混じって 格段にマイルドな印象になる。 何より、香りを試した際に店員の人が教えてくれた 名前の由来がとても気に入ったものだから。] (18) 2023/04/03(Mon) 21:43:14 |
【人】 瑞野 那岐[俺にとっての日常は、優しく穏やかなものだった。 日々代わりになく過ごすことに、不満はなく。 慣れた道を通り抜けて、店に向かい。 毎日のように顔を合わせる同僚たちと、 今日はどんな料理を作ろうか。と、 少しの不安と、半分以上の期待に胸を膨らませ、 お客様に喜んでもらえるようなサービスを考える。 そんな一日一日は、大した不満はなく、 過ごしていたものだったけれど。 ときに失敗をした夜もある。 疲労した身体をなんとか家まで運んで、 熱いシャワーで洗い流して、 気持ちを切り替えようと、取り出した缶ビール。 話し相手はいないから、AIシステムから流れる ラジオが耳の拠り所だった。] (19) 2023/04/03(Mon) 21:43:59 |
【人】 瑞野 那岐[同じ月を見ていても、 どこか遠いもののように思えいてた世界。 決して混じり合うことのないだろうラジオの向こう。 それが、あるとき。 不意に目の前に形になって現れた。 こんなこともあるのか、なんて驚きが一番近くて。 常連として見慣れていた姿が、一気に身近に感じた。 あなたの声が好きです。 いきなりそう告げてもきっと驚かれるだろう。 距離感は保ったまま、それでもいつか。 伝えられたらと思っていた日々はあっという間に過ぎて。] (20) 2023/04/03(Mon) 21:44:15 |
【人】 瑞野 那岐[俺が伝えるよりも早く、彼が一歩踏み込んだ。 好きなタイプを聞かれたときに、 ふと頭に思い浮かんだもの。 今思い返してみれば、少し恥ずかしい。 だけどきっと、その時から、大切だった。 優しくて穏やかな声を、聞いた日は。 あの月を探した夜を思い出す。 一人でいても、どこかで繋がっているような。 ひとりじゃないと、思わせてくれた声が確かに 在 った。] (21) 2023/04/03(Mon) 21:44:35 |
【人】 瑞野 那岐[今は、一人ではなく、隣に貴方がいる。 一人じゃないと教えてくれた貴方が。 二人で過ごすことの心地良さを、 大切な人が居ることの強さを教えてくれる。 夏に近づいた帰り道、数歩先を進んで、 彼が追いついてくるのを待つ。 再び隣にならんだら、プレゼントを持っていない手を 伸ばして、小指だけを絡めるように少しだけ繋がって。] ……もうすぐ、夏ですね。 [『なんでもない』ことを、 さも日常に溶かすように口にする。 なんでもないことが特別なように、一日一日を過ごして、 これからも、ずっと貴方と過ごせていけるなら――。] (22) 2023/04/03(Mon) 21:44:56 |
【人】 瑞野 那岐[風呂が長くなった時は、暗にそういう合図でもある。 きっと彼も長くなっていることには気づいている、はず。 それを口に出されることは、恥ずかしいから、 できるだけ気づかない振りをしていてほしいけれど。 ほんのりと上気した頬を隠すように頭からタオルを被り、 自宅用の緩めのTシャツとハーフパンツを履いて、 浴室から出てみれば。 まるで正座するみたいに畏まったあなたがいて、 いつもと違う様子に、タオルで口元を抑えながら小首を傾げた。 目の前に差し出されたのは、 真新しいながらも洗濯された、自宅向けのよくあるエプロンで。] ……俺に? [既に彼の家には使用してるエプロンが、 俺用のものと、時々彼も使う用として二着ある。 だから、三着目?と素直に疑問符を浮かべたら。] (35) 2023/04/03(Mon) 23:58:43 |
【人】 瑞野 那岐[ぽそり、とエプロンを前に慾を告げられて。 一瞬、理解できなくて。] え? [思わず聞き返してもう一度視線をエプロンに落とした。 『着けた君と、したくて』 頭の中で反芻して、ぐるぐると思考を回す。 自身が男ということが念頭にありすぎて、 発想がなかったけれど、エプロンでしたい、といえば。] ……あー…………、 [ようやく合点がいったように感嘆を洩らして。 タオルで隠れた顔が、ほんのりと赤く染まる。] (36) 2023/04/03(Mon) 23:58:57 |
那岐は、景斗にキスをした。 (a0) 2023/04/04(Tue) 0:59:41 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新