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【人】 銀の弾丸 リカルド>>2:78 マキアート (前日からの続きです) その人付き合いの中で、うちで買ったクスリを使って一体何をしているというのか。 そう突っ込みたくなったが、それを口にすることはない。 「愛嬌……いや、流石にそれは俺にはないと思いますが。。 笑顔はともかく、普段から俺が仏頂面しかし無いのは知ってるでしょうに」 眉間のシワは標準装備で、最早取れないのではと言われるほど。 同僚に毎日小言を言うような男の何処に愛嬌があるというのだろうか。 貴方の言葉が理解できないといった顔で、冷たいスプモーニを煽るように飲んだ。 「えぇ。 うちの会社も接待くらいは行ってますからね」 話しているといつの間にかピッツァはもう腹の中。 少なくなった酒も飲み干して席を立つ。 「取引相手は大事にするのが信条です。 ……が、まぁ、接待の場での商談には、どうぞお気をつけを」 そう言うと貴方に一言だけ耳打ちをして。 では、失礼しますねと。 何もなければよそ行きのいい笑顔を残し、会計を済ませ店をあとにするだろう。 (5) 2022/08/14(Sun) 23:23:23 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】>>59 ラウラ 「俺に聞かれても、……お前の予定なんぞ知らん」 手に何かを握りしめているのに気づき、視線をそちらに送った。 女の手の中にあったのは、普段彼女が嗜むことのなどなかったはずの、煙草。 それが幼馴染が愛用していた煙草だと気づくと、胸がチリ……と焼け付くのを感じた。 「……アイツに、会いに行ってきたのか?」 上司と部下。 マウロとラウラの関係について知っていることと言えば、それしかない。 主従の関係でどのようなやり取りがあったかなんて、マウロにだって聞いたことがなくて、今の様子からその心情を窺い知るのは難しい。 自分であれば、と。 想像しては言葉を探して、身体に開いた大きな穴がきっと彼女にもあるのだろうと、推し量るくらいが精々だ。 「アイツは何か……言っていたか? 指示でも、なんでも構わん」 (60) 2022/08/16(Tue) 23:39:35 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】>>61 ラウラ 「おい、……火傷するまで握りしめるんじゃない」 開かれた手のひらに、赤くなった火傷の痕。 表情一つ変わらないけれど、痛くないはずがない。 手当しようにもここは路地裏で、水も氷も無いから冷やすことも出来ずに深くため息を付いた。 「そうか……。 だが、アイツが好んでいた煙草を買って吸おうと思うくらいには、慕っていたんだろう」 マウロが彼女のことをどう思っていたかは知らないが、この様子からそれを推察出来ないほど朴念仁でもない。 自分とて幼馴染の死に何も感じないわけではなかったし、今日一日、普段どおりとは程遠い時間を過ごしている。 「アイツらしい指示だな。 ……全く、証拠を必ず抑えろと言ったのにすぐ先走る」 その結果がこれかと。 先に手を回してやれなかった自分が腹立たしい。 だからこれは、少しでも何か今からやれることはないかという一つの提案。 「………ラウラ、あいつの部屋に行ってみないか」 (65) 2022/08/17(Wed) 1:22:06 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【路地裏】>>66 ラウラ 「別に無理にとは言わん。 だが、この場に留まるよりはよっぽどマシだと思って言っている」 その手も冷やすことができるし。と、火傷した手を差しながら言う。 きれいな手ではないのはお互い様だが、女性があえて傷を残すものではないと、そう思っているような口ぶりだ。 「お前は変にへりくだりすぎる。 上下関係があるのはそうだが、度が過ぎるのも考えものだぞ」 「……行くのを迷ったのは俺も同じだ。 だが……あの部屋を片付けてしまう前に見ておかないと、俺は後悔するだろう。 一人よりは二人のほうがよっぽど良いと思ったのだが……、お前はどうだ?」 くるりと背を向け、問をのせた。 紫煙の香りならば、あの部屋にはきっと染み込んでいるだろう。 貴方がついてくるならば、その香りを求めるかのようにマウロが過ごした部屋に向かって歩いていくだろう。 (67) 2022/08/17(Wed) 8:21:00 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【マウロの部屋】>>73 ラウラ リカルドはツィオほど、気を使った優しい言葉をかけてやることは出来ない。 そんなに上手く口は回らない。 それでも意図が伝わったと感じれば、小さく口元に笑みを浮かべて歩く。 そうして、暫く街中を歩けばマウロが寝泊まりをしていた部屋にたどり着いた。 大家に事情を話せば、部屋の鍵をもらうことは出来たから、簡単にその戸を開くことも出来て訪れた二人を拒むことはない。 蒸し暑い空気に、マウロが好んでいた煙草の残り香が漂っていて、いつ帰ってきてもおかしくないとさえ思えるくらいだ。 それでもまずはラウラの手当が先決であったから、エアコンのスイッチを入れると流し台にラウラを導いて蛇口を捻った。 「まずはその手を冷やせ。治りが遅いと腕も鈍る」 「…………、」 生真面目からのぶっきらぼうな物言いは、ツィオと比べれば幾分マウロの方に近かっただろうか。 貴方が手を冷やし始めるのを確認すれば、少しずつ冷えてくる部屋を見回してある一点、大事そうに飾ってあるそれをみつけて、そこから視線を外せなくなってしまった。 (74) 2022/08/17(Wed) 14:38:48 |
リカルドは、マウロと同じものをちゃんと持っている。 (a30) 2022/08/17(Wed) 14:39:37 |
【人】 銀の弾丸 リカルド【マウロの部屋】>>75 ラウラ 「あぁ……」 水の流れる音を聞きながら頷いて、 写真立てを取りにテーブルに近づいて手にとって見れば、やはり自分たち3人がそれぞれ持っているはずの写真だった。 孤児院に居た頃の、悪ガキだった時代にたった一度だけ撮ってくれた時のことを、今も鮮明に覚えている。 「この元気だけが取り柄みたいなのが俺、少し困ったようにしてるのがツィオ、へそを曲げてるのがマウロだ。 あの頃は正義感ばかり強くてな、二人をよく引っ張り回していたんだ」 この日も確か、二人を巻き込んで屋上に上がって叱られたのだったなと、苦笑しながら戻ってくると、貴方に説明しながら見せるだろう。 今でこそ堅物に軽薄にと変わっていったが、マウロだけはその性質は殆ど変わっていないように思う。 今も昔も、気難しい猫のような男だった。 「俺もツィオも焼き増しを持っているんだ。これは……、アイツのそばに置いてやりたいものだな」 長い睫毛を伏せながらそう言った表情は、過去を懐かしむような、悔しさが滲み出るような、そんな不安定なものだ。 貴方がもしこちらを見上げたなら、どんな表情が見えただろうか。 それは、貴方自身にしかわからないだろう。 (77) 2022/08/17(Wed) 20:07:53 |
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