168 【飛び入り歓迎】Hospital of Delusion ー妄執の病院ー【R-18RP】
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| [これから、何処へ行こう………? 歩きながら己に帰る場所が無いことを思い出した。 職を失って、寮からも追い出されたんだった。 だが四谷には帰る場所があるのだろう。 ならば家まで送り届けるとして、 それからは………? 今まで誰かに思ったことがないような "寂しさ"のようなものを感じて、 寥寥たる表情で、お前を見つめる。 そうしたら、自然と視線が交わっただろうか。 >>18] (20) 2022/08/15(Mon) 22:51:36 |
| ─後日、我儘の一つ─ [隆史が浪人生として受験勉強に励んでいる間は、 己は再び職を転々としつつも、労働する毎日を送っていた。 犯罪者にとって、逃亡者にとって 働ける場所は限られているし、 短期間でクビになるのはザラ。 その度に住居も変わって、転々として…。 と相変わらずな状況ではあるものの もうそれで、めげる事は無くなった。 隆史という"存在"が居てくれる。 それだけで、俺の生きる気力にも糧にもなるから。] (26) 2022/08/16(Tue) 1:50:11 |
| [だが、その事実や……己の罪を 未だに話せないままでいる。 話すことで、隆史に距離を置かれることが恐かった。 話すことで、隆史の受験勉強を邪魔したくなかったから。 今日は久しく顔を合わせる日だったろうか。 >>22合格通知を貰っていると良いのだけれど。 そうであれば、めでたい話だから また何時かの日まで─── 己のことは、話さないでおいた方が良いかも、な。] (27) 2022/08/16(Tue) 1:50:55 |
| ………………。 [こっちの気も知らないで……本当に、お前は。 恨み言の一つでも言ってやりたくなるような 顔を合わせていきなり、開いた口から出た 唐突な我儘(お願い)には >>23一瞬の沈黙の後、くすり。呆れた笑みを零す。] ………まぁ、一先ず。 合格したんだな。おめでとう。 けど、俺の近くは………… [その我儘は嬉しくもあったし、応えたくもあったが 事情的に、難しいと思った。 まだ何も話せていないから、知らないだろうし そう行って来るのは、仕方ない面もあるけれど どうすれば落ち込ませずに済むだろう? 紡ぐ言葉を考えながら、口にしていく。] (28) 2022/08/16(Tue) 1:51:43 |
| ………隆史が、そう言ってくれるのは嬉しい。 けど、今住んでいるアパートは、職場の寮なんだ。
例えば、近くにお前が引っ越して来たとしても クビになったら、そこに俺は居られなくなる。
つまり……… 近くなれても、また離れてしまう……かも。
[と、ここまで説明するものの 伝わっているだろうか、と。 落ち込ませていないだろうかと、不安げに見る。
説明下手な己を、内心で恨んだ。*]
(29) 2022/08/16(Tue) 1:52:35 |
| [隆史が進路変更を考えたのは 何を思っての事なのか。 >>32それを聞かせて貰った事はあっただろうか。 少なくとも、あの廃病院での出来事が 隆史の中で何か好い方向へと変わったのかもしれない。 廃病院を脱したその後、一度別れる間際に お前に手渡した、 友のスマートフォン。 そこに映る青空が、きっかけの一つになれていると良い。 故に、隆史が自分で考えて決めた その気持ちを、阻んでしまう事は、避けたくもあった。] (34) 2022/08/16(Tue) 13:13:00 |
| [合格を祝う言葉を述べれば、隆史は露骨にも 嬉しそうな表情を浮かべていただろうか。 >>31「頑張ったな」と言葉にするのではなく そういう気持ちを込めて、彼の頭を優しく撫でる。 毎日見ていた訳ではないが、「東京藝術大学」からの 合格通知が、お前の努力の証だとも思うから。] ………すまない。 [衝撃を受けたような反応と、机上に落ちた合格通知。 落ち込ませてしまったことを、少し申し訳なく思う。 済まなそうに、謝罪はしてみるものの ではどうすれば良いのか、という考えは己には至らず 次の言葉を探していた……時だった。] (35) 2022/08/16(Tue) 13:15:00 |
| 一緒に、住む………?
[慌てふためきながら、縋るような目で そんな突拍子もないことを言うものだから 己は目を丸くし、続く提案の言葉を静かに聴く。]
………お前と、暮らしてみるのも 良いかもしれない、な。
[満更でもなさそうに、微笑んだ。
隆史と、ずっと一緒に居られる。 隆史と、離れずに済む。
それが叶ったなら、どれだけ心地良いのだろう。]
(36) 2022/08/16(Tue) 13:15:48 |
| [だがその夢を描き零れた微笑は、 すぐに消えていった。
決して、肯定される事のない罪。 穢れた者は、闇の世界にしか生きられない。 光ある未来を進もうとしている お前の足を、阻害してしまうことを恐れて。]
………だが。 平穏には、暮らせないかもしれない。
[話すなら今、なのだろうか。 こんな目出度い時に、話すこともないのでは。 そう己の中で、葛藤が生じるものの
黙っていれば、変な誤解を生んで 余計に落ち込ませてしまうかもしれない。 それは避けたかった。だから、] (37) 2022/08/16(Tue) 13:30:25 |
| お前と、一緒に暮らしてみたい その気持ちに、嘘はない。
[己の気持ちを言葉にする お前にちゃんと伝わっていることを願いながら]
けれど……… 俺は、綺麗な人間なんかじゃない。 胸を張って生きられるような、立場にもない。
お前の光ある、新しい生活に 影を落としてしまう。
そういう可能性が……ある。
[その事情を、理由を明かすかどうか。 苦悩する表情で、お前を見据えた。]*
(38) 2022/08/16(Tue) 13:37:02 |
| [近くに居たい。一緒に住みたい。
己になんの後ろめたさもなかったならば、 強く頷けただろうし、躊躇う事だってなかった。
それは、遠慮とは違う。 前へ進もうとしているお前を阻みたくなかった。 己が要因で、蔭りが生じてしまう事に抵抗があった。
自責の念に駆られながら、苦しんで、涙して。 弱くて、優しい。その姿と心を知っているから…。
これからは、光の下で生きて欲しい。 だがその願いはきっと、己のエゴなのかもしれない。] (53) 2022/08/16(Tue) 21:18:57 |
| ………隆史。 [きっぱりと言い放った >>41お前の言葉が、苦悩していた己の心を 吹きすさんで行くような心地。 自ずと、笑みが零れる。 続く言葉が、想いが。 もう、あんなに躊躇っていた己が 馬鹿らしく感じる程に、眩しいと思った。] ありがとう。 お前は………強くなったな。 [少しずつ、隆史の中で何かが変わっていっている。 泣いてばかりいた、あの時のお前とはもう違う。 そのひたむきで真っ直ぐな気持ちが。 伸ばされた、掌が。 不安も恐れも、何もかもが払拭されていくようで 伸ばされた手に、そっと。己の掌を重ねる。 その想いが同じである事を、示すように。] (54) 2022/08/16(Tue) 21:19:41 |
| ………一緒に、暮らそう。
[お前の我儘は、己にとっての切望。
もう、躊躇わない。]
聞いて欲しい。 俺の………全てを。
[過去と告白。 その全てを、お前にだけは話しておきたいから。
己の傍に居れば、平和には暮らせないだろう。 知ってしまえば、後戻りは出来ないだろう。
それでも、俺は
──── もう、決めたから。]
(55) 2022/08/16(Tue) 21:29:02 |
| [過ちを後悔し、嘆いて終わりではなく もう「二度と」繰り返さないように。 失わないようにと、手を差し伸べられている。] それが、"強さ"なんだと 俺は………そう、思う。 [ 例えその腹の内に、思惑や欲望が孕んでいるのだとしても
己は悦んで、お前を抱き留めよう。 この温かな掌も、そしてその笑顔も >>-152ずっと己の為だけに在れとさえ、希う。] (65) 2022/08/17(Wed) 0:07:47 |
| それは………痛そうだな。 まぁ、どうでも良いか。 [その言葉の頼もしさが愉快でもあり、嬉しくもあり。 くすりと零れた微笑みを、お前だけに向ける。 全てを明かした後でさえ、 お前は己を拒むことも、自首を促す事もなく。 何が何でも、己との"明日"を描こうとする。 >>57その真っ直ぐな心と決意が、掌に込められていた。 それは、己を余計に掴んで離さず、 己もまた……… 「死ぬまで」離さない。と誓うように 繋ぐ掌へ、"想い"を籠めた。]* (66) 2022/08/17(Wed) 0:12:21 |
| ─後日、手料理─ [少し前までは、想像も出来なかった。 今こうして生きている事も。 …… お前との、生活も。 少し前までは、在り得なかった。 ……子供の頃には無かった 決して、夢見る事の無かった、温かな暮らし。 それは充分過ぎる程、満ち足りた日々。 目が覚める時も、眠る時も。 己の傍には、必ずお前が居てくれる。 その"幸福"が、これからも在って欲しいと願う。] (95) 2022/08/17(Wed) 22:29:31 |
| [一緒に暮らして暫くした、ある日の事だった。 "好物"について、問われたのだった。 >>94] 好きな……料理………? お前の作ったものなら、なんでも。 好きだと思っている、けれど……… [きっと、そう言う事ではないのだろう。 だから考えてはみたものの……。 隆史の手料理以外、何も思いつかなくて。 困ったような表情でお前を見つめる。] (96) 2022/08/17(Wed) 22:30:32 |
| ごめん………。 考えてみたが、よく分からなかった。 [俺はお前以外の、手料理を知らない。 誰もが持っている「お袋の味」の想い出もない。 子供の頃は、カップ麺かコンビニ弁当。 あとは、酒を飲み時につまむ乾き物の余り。 そういうものしか、与えられなかったし 飢えを凌ごうと思えば 携帯食でもなんでも、幾らでも手段はあったし。 >>92そこに好みや関心を抱いた事は、 一度もなかった事に、問われて初めて気付いた。] (97) 2022/08/17(Wed) 22:31:51 |
| でも………
お前の料理は、"優しい味"がする。 それだけは……分かっている。
[好き嫌い、得意苦手。 辛い甘い。しょっぱい苦い。 ………そう言う事、などではなく。]
(98) 2022/08/17(Wed) 22:42:41 |
| [己の歪みきった思考や価値観は、 >>-221傍に居てくれるお前の存在によって、 別な視え方へと変わって行くよう。 仕事の都合で、朝帰りになる事もあったし 作ってくれたお弁当だって、 >>93きっと持っていけない日もあっただろう。 そんな日々が続く事があったとしても、 お前は毎日、手料理を作って この"家"で俺を待ってくれているから。 >>99この"家庭"では、この温かな食事が 冷え切ってしまう事など、決して無く。] (111) 2022/08/18(Thu) 1:02:37 |
| ["家族"とは────…もしかしたら、
隆史という"存在"、なのかもしれない。]* (112) 2022/08/18(Thu) 1:03:27 |
| ─記憶─ [居間はいつも散らかっていた。 空になった酒瓶とアルミ缶。 空になった煙草の箱と吸い殻。 空になった弁当箱と、カップ麺の器。 食べ掛けの乾き物と、飲みかけの携帯ゼリー。 台所はいつも汚れていた。 埃の被った炊飯器とオーブントースター。 油に塗れた電子レンジとガスコンロ。 黒ずんだ冷蔵庫と、黴臭い流し台。] (113) 2022/08/18(Thu) 1:44:19 |
| [俺に部屋なんてなかった。 寝る場所はいつも、この汚い居間か台所。
両親にはあった。 穢れたベッドのシーツ上。毎晩、事に及んでいる。
己の存在など無いかのように振舞う日もあれば、 己をゴミを見るような目で視認し、罵る日もあった。] (114) 2022/08/18(Thu) 1:45:07 |
| [分からなかった。
何故こんな所に居なければならないのか。 何故両親は俺を縛るのか。
少しでも反抗しようとすれば ガムテープで口を塞がれた。
少しでも抵抗しようとすれば 麻紐で身体中を括り付けられた。
少しでも歯向かおうとすれば 結束バンドで手足を絡げられた。
身動きの取れなくなった己は、 この汚い場所で、寝転がされるだけ。] (115) 2022/08/18(Thu) 1:46:08 |
| [何かしたい。
そんな欲求すら抱く事を赦されない。
何故、俺は生まれて来た? 何故、俺は生きている? 何故、そんな目で見る? 何故、そうやって貶す?
何故、俺は……………
何故………………何故………………] (116) 2022/08/18(Thu) 1:47:47 |
| ─後日、願いは空に─ [隆史の我儘にはもう慣れていた。 >>136傍に居たいのは己も同じだったし、 温もりが欲しければいくらでも応えた。 どんなに疲れていても、切羽詰まっていても。 いつも己を想い考えてくれているのを知っていたし >>117帰ればお前が、笑顔で迎えてくれるから。 >>118だが今日は、そういう日常の事とは違う。 お前にとっては特別で、大切な日。 " 子"を想う お前にとって 大切な行事である事も知っている。 「 贖罪を見届ける」 >>2:-22そう約束をしたのだから、己が快諾しないはずはなく。] (143) 2022/08/19(Fri) 0:16:36 |
| ん………。分かっている。 ? 美術館………? [故にそれは唐突感もあり、想定外でもあった。 頷いた後は目を丸くしながら、小首を傾げる。 だがきっと、何か理由あっての事なのだろう そう思って深くは問わないまま 隆史と共に、とある美術館の個展へと赴いていた。 >>134] (144) 2022/08/19(Fri) 0:17:47 |
| ………ああ、それは。 [あの廃病院で見つけた端末を >>137お前に手渡したのが最後だったろうか。 >>34久しく、それを目にした時 あの日の出来事が、一瞬脳裏に蘇る……。 泣いてばかりのお前。死のうとしていた自分。 深い闇。錆びた鉄格子と拘束具。 埃被ったシーツ。血の滲む床。大嫌いな歌。 真っ暗な影と消えゆく人。壊れ朽ちて行く廃墟。 そして────… " 青空 "] (145) 2022/08/19(Fri) 0:20:16 |
| [それは、この端末に映っていた"色"と同じ。 ────"千早 要" >>135それは、見つけられなかった探し人と同じ名。 彼の下の名前は知らない。 だからこの絵の作者本人かは分からないが。] ………そうだな。 それが、良いと思う。 [お前の「したい事」が、チハヤの元へ届けば良い。 あの時、初めて見た青空に 何の感想も抱けなかったけれど。 今なら、少しだけ分かるような気がした。] (146) 2022/08/19(Fri) 0:21:42 |
| [互いの指を絡め合い、そして微笑む。 >>138あの日の出来事を、決して忘れやしないだろう。 そして今日という日が、お前にとっても 己にとってもどんな日であるかを、胸に刻む。 あの日出来た" 結び付き "が──── いつか、あの 空 へ届く事を、願った。*] (147) 2022/08/19(Fri) 0:22:15 |
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