【人】 名坂愛子―― ロビーにて>>151 んー……知り合いと出会えて嬉しいような、そうじゃないようなーなんて [こういう不慣れな場所で、知っている人と出会えるのは幸運な事だろう、本来ならば。 けれど、この子はきっと幽霊的な存在の側。 あの女性と仲が良かった、というのはそういう事なのだろう。 扉をすり抜けたのも見間違いではなかったのかもしれない] ――あるよ 何故か分からないけど、入って出られないなら、もしかしたら妹はまだ中にいるかもしれないし [なぜ、幽霊側の子がそんな事を聞くのか。あちらも何か考えがあるのかもしれないけれど、私の答えは一つだ。 数か月前からならもしかしたら望み薄かもしれない。それでも私は妹を探さないと。 その思いを込めて、問いかけてきた男の子にそう答える。 また、どこかへと案内してくれるなら、かすかな可能性に賭けて、またついていくつもり]* (154) 2022/08/12(Fri) 23:34:59 |
【人】 空虚 タチバナ― チハヤを連れ去る前/精神病棟2F廊下 ― [獲物を連れ去ろうとする直前、 絶叫が廊下に響き渡った>>119。 本来己に与えられるにふさわしい、恐怖、拒絶。 故に驚くこともなく視線を向けた。 既に闇へ飲み込まれつつあった中で残された瞳が ずろりと蠢き、蹲る男を捉える。 嗚呼、あんな子に とびきり優しくしてあげたらどうなるんだろう。 怖いのと、優しいのと、気持ちいいのと、痛いのと。 いっぱい混じって、訳が分からなくなって。 その瞳の奥に潜む後悔や怯え、 あるいは不満や言い訳、自己弁護、 もしくは救いを求める心が僅かでもあったとしたら、 きっと、死んだ後にとびきり悔いてくれるだろうに。 しかし、残念ながらどれだけ手を伸ばしても 新しく蹲った生者を捕らえることはできない。 ならば他の子の獲物になるのもいいだろう。] (155) 2022/08/12(Fri) 23:41:41 |
【人】 空虚 タチバナ[いつ死んだかなんて覚えていない。 だから鏡に映る自分を見たのも遠い昔のことだ。 彼らが己の瞳に何を重ね、何を思ったか分からない。 ただ、彼らの表情に絶望や動揺を与えられたことが 嬉しくて、愉しくて、とってもおいしそうで。 彼らが捉えた眼球に、眼光に、視線に、 彼らの望む痛みを注ごうとする。 その痛みを取り除くことで、忘れることで、 悦びから逃れられなくなるように。] (158) 2022/08/12(Fri) 23:44:45 |
【人】 空虚 タチバナ[邂逅は一瞬で、別離は緩慢で容易だった。 周囲に満ちた闇は怪異と似た色をしていたけれど、 そこにあなたを見つめる瞳はもう、ない。]* (159) 2022/08/12(Fri) 23:47:43 |
空虚 タチバナは、メモを貼った。 (a45) 2022/08/12(Fri) 23:49:41 |
【人】 陶酔 カナ―いつかの日・タチバナと― [>>0:218同胞であるタチバナを認識したのは、彼女と同じく医院がその役割を停止した後だ。 生前、調子のよい日には車椅子に乗せられてフロア内の踊り場で日光浴をする事があった。 鉄格子があるので、開放感とは程遠いが。 タチバナが廊下を通る事があったなら、看護師の挨拶に続くようにして挨拶をした事くらいはあったかもしれない。] こんにちは。 [自身の拘束された手足を見て驚いた顔をした彼女に、女は笑顔で挨拶をした。 拘束具などまるで気にしていないように。 ベッドから足を下ろし、床に足を下ろせば、拘束具は音もなく消える。 女はそれを不思議とも感じない。] (160) 2022/08/12(Fri) 23:55:24 |
【人】 陶酔 カナ[>>0:219彼女の胸にぽかりと穴が空いていたとしてもそれを怖がる事はない。 夢の中で揺蕩うように。 覚えていたくない事からは目を逸らして。 故に、タチバナの姿を見かければ、女は笑顔で声を掛けた。 互いを認識した時に姓名を名乗ったものの、名前で呼んで欲しいと頼んだのは、森前姓は引き取られた際に変わったものだった為に。 高校を出ると同時に恋人を頼って外に出たのは、十数年暮らしても自身の居場所だと思えなかったから。] こんにちは、タチバナさん。 黒い髪が素敵ね。 私は元々明るかったから憧れちゃう。 [女は微笑を浮かべて彼女の黒髪を褒める。 二つに結った女の髪は染めたものだ。 せめてものお洒落として、生前は髪色を保つ為に何度か医院内で染めて貰っていた。 二十年経過しても、その色は保たれたまま。**] (161) 2022/08/12(Fri) 23:57:47 |
陶酔 カナは、メモを貼った。 (a46) 2022/08/13(Sat) 0:02:31 |
【人】 勢喜 光樹………四谷。 お前は何があっても……… 生きろ 。[失った二つの命と、 消えてしまったかもしれない、友の分まで。 俺のことは───忘れてくれて、良いから。 ] (163) 2022/08/13(Sat) 0:19:00 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ―― ロビーにて>>154 ――分娩室で見つけた「人物」>>62が、少女の『イモウト』でなければいい。 『私』の中の誰かが願った。 『俺』が見つけた手がかりは、何の役にも立たず、少女は諦めてこの病院を生きたまま出ていく。 そうなってくれればいい。 この病院には、『僕達』のような存在だけが居ればいい、と。 (164) 2022/08/13(Sat) 0:20:03 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ「――『私達』は「ヒルコ」。 生まれてこれなかった、『俺たち』の集まり。 さっきまで一緒にいたおねぇさんの名前は、「カナ」。 昔、歌を教えて貰ったんだ。」 地面が黒く泡立ち、無数の手、足、顔が覗く。 生きる場所を無くした、惑う魂の集合体。 本当の『僕達』。 「おねぇさんの名前、聞かせて。」 問いかけながら、顎でこれから行く先を示す。 それが、少女にとって地獄となるかもしれないと悟りながら。 (165) 2022/08/13(Sat) 0:20:34 |
【人】 勢喜 光樹[それは、"最期"の願い───…。 肩に触れていた掌を、四谷の頭の上に ぽふり。優しく落としながら もう片方の手は、己の懐へとしのばせて] (166) 2022/08/13(Sat) 0:20:59 |
【人】 勢喜 光樹………………………… [痛みや、流れる血は 何故か掌にのみに感じて。 熱くなった掌からは ぽたぽたと、手首から腕にかけて落ちるだけで 斬り裂く寸前に、刃先を握っていたことに気付いた。] (169) 2022/08/13(Sat) 0:37:33 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ―いつかの日 カナと― いつだったか、カナおねぇさんに歌を強請った事がある。 おねぇさんの歌は、『私達』が知らなかった「愛」という感情に満ちていて、無くした心臓に暖かさが宿るような、微睡みに落ちる瞬間の心地よさにも似た、例える言葉の無い幸福感。 だからこそ、耳に届いた彼女の呟きは、喉元に棘が刺さった様に、『僕』を苛むのだ。 (171) 2022/08/13(Sat) 0:51:38 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ―それから 精神病棟― 「―〜~※―Ж――♪」 生ぬるさを感じる湿気と、張り詰めるような静けさが満たす病棟内に、いつかの日より整った歌声が響く。 『私』は、またカナおねぇさんに歌を強請りに、再び彼女の病室を訪れていた。 傍らには黒い大きなビニル袋がいくつか、まだうめき声をあげている。 「これだけ■■さんが居たら、おねぇさんもいっぱい歌えるよね。 『アタシ』、もっとおねぇさんの歌が聞きたいんだ。」 その為に用意した■■さん達。 彼らは『私達』に「優しくない」、要は「どう扱おうが一切心の痛まない者たち」を集めた。 カナおねぇさんも、■■さんは多くいた方がいい>>46と考えていることは知っていたから、なるべく多くを狩ってきた。 (172) 2022/08/13(Sat) 0:52:07 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ「ねぇ、歌って? いっぱい、いっぱい!」 もっと、『愛』という感情を知りたい。 その為に、何人■■さんが犠牲になるかは知らないけれど。 その感情は、とても尊いものなのだから。* (173) 2022/08/13(Sat) 0:52:19 |
勢喜 光樹は、メモを貼った。 (a47) 2022/08/13(Sat) 0:54:03 |
【人】 空虚 タチバナ[彼女が立ち上がると拘束具は掻き消え、 こちらの胸に穿たれた穴にも興味を示さない>>161。 いや、興味がないというよりは、 そもそも認識できていないという方が正しいか。 彼女こそ夢をまことにしたのかもしれないが、 ]残念ながら当時の私の内に在る言葉ではなかった。 こんにちは……カナさん。 [彼女が名を告げたから、私もタチバナと返した。 姓で呼ばれることを好まない彼女に続こうとした口は なぜか何の音も発してくれず、今に至る。 微笑みを浮かべる彼女は、 まるで今でも生きているかのように談笑する。 私はそれに合わせることもできず、 いつも言葉少なに返すことしかできない。] (177) 2022/08/13(Sat) 1:10:11 |
【人】 空虚 タチバナえ……。 [その日、彼女は私の髪を褒めた。 視線を下ろすと無気力だった内に伸びた黒い髪が 背と腕を覆うようだった。] ……一度でいいから、伸ばしてみたかったの。 染めたら手入れが大変そうだし。 [嘘だ。けれど半分は本当だった。 染めていないのはただ放置していただけだが、 小さい頃からずっと長い髪には憧れていた。 ……でも、髪を引っ張られる時、長い方が痛いから。 床に落ちた髪の毛にイライラされるから。 胸の穴がそうであるように、 長く伸びた黒い髪も死の証なのかもしれない。] (178) 2022/08/13(Sat) 1:10:32 |
【人】 空虚 タチバナカナさん……こそ、きれいね。 [自分のことなど考えても仕方ない。 話を逸らすように彼女の髪色に触れた。 二十年近く染め直さずに色を保てるなど 生者にはありえないことだけれど、 それが彼女の望む夢ならば決して壊すことはない。] 陽にあたったら…… ……きっと、もっときれいなんでしょうね。 [すっかり廃れてしまった病院は 壊れた機器や破れたカーテン、 外の手入れをなされていないことも相まって、 昔より薄暗くなってしまったことだろう。 異界化が始まれば尚のこと。ここは夜に包まれる。] (179) 2022/08/13(Sat) 1:11:02 |
【人】 空虚 タチバナ…………それじゃあ。 [きらきらしたあの色が見れないことだけは、 ほんの少しだけもったいないように思った。 それを決して口にすることはないまま、 いつものように彼女の夢から離れる。]** (180) 2022/08/13(Sat) 1:11:40 |
空虚 タチバナは、メモを貼った。 (a48) 2022/08/13(Sat) 1:17:09 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ「『私』は、愛子おねぇちゃんを地獄に堕とすことになるかも知れない。 もし、その時は――。」 彼女に贈ったモノ。 彼女の心が恐怖に耐え切れなければ、全てを塗りつぶしてしまう。 その時は、せめて出来るだけ甘やかな地獄へと、彼女の背を押すだろう。 足を、地下へと向ける。 分娩室に置いてある「人物」の元へと、彼女を導いた。 (181) 2022/08/13(Sat) 1:23:42 |
【人】 水子たちの霊 ヒルコ→分娩室 部屋の中は、先ほど訪れた時>>60と、何一つ変わらない。 死体安置室で扉を開けた時と同じ、強烈な刺激臭が部屋全体に満ちている。 中央の分娩台に置かれていた人物>>61は、今は部屋の隅に置いてある担架に乗せられ、全身に白い布を被せられていた。 「――決めて。 確かめるか、見なかった事にするか。」 彼女の覚悟を問いかける。 まだ、布の下にいる人物が『イモウト』と決まったわけではない。 愛子と共通点がある>>62というだけだ。 もしくは、全てをなかった事にする選択肢もある。 今ならば、まだ――。 全ての選択は、彼女だけが決められる。* (182) 2022/08/13(Sat) 1:23:51 |
(a49) 2022/08/13(Sat) 2:47:23 |
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