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【人】 希壱ガタ────、と立ち上がる。 目を開き、汗が垂れ落ちる。 今、何を考えていた? 今、誰を忘れていた? 久しぶりの一人の時間。 それを味わえて、幸せで、 ずっと、この時間が続けばいいって、 あの子を忘れかけてまで、そんな、願いは──] (96) 2020/09/23(Wed) 3:06:36 |
【人】 希壱[名前を呟いて、唇を噛む。 あぁ、そうか。 結局虚しいだけだった。 一人の時間はたしかに大切だ。 とても楽しくて、幸せで、 店員が誘惑めいたことを言ったのも頷ける。 でも、ダメなんだ。 俺だけ楽しく過ごしたって意味がないんだ。 だって、俺はあの子といる事が何より一番幸せで。 あの子が楽しく話してくれる事が何より一番幸福で。 笑いかけてくれる、ことが…… なにより、嬉しくて……] (98) 2020/09/23(Wed) 3:08:16 |
【人】 希壱…………泣いてたな、なずな。 [最後に見た光景を思い出す。 赤く染った水の中、 醜く集まった野次馬の音と共に、 大粒の涙を零して俺を呼ぶ、あの子の姿。 安心させるように笑ってみたけれど、 血に埋もれた表情では、 怖いだけだったかもしれないな。] (99) 2020/09/23(Wed) 3:09:13 |
【人】 希壱[もし、ここに来たことに意味があるのなら。 きっと、少し休め、という意味だったのかもしれない。 誰かに自分を認めて欲しいと望んでいた。 あの修学旅行をキッカケに、 そんな感情、無くなったと思っていた。 けれど、心の奥底では全然消えていなくて。 そんな感情に雁字搦めにされて、 たぶん、自分を見失っていたんだ。 雨の中、レインコートを着たあの子を見た時。 俺はもう要らないんじゃないかと思った。 そこまで気が回らなかった自分を、 ずぶ濡れで、周囲に好奇な目でみられる自分を、 あの子に嫌われたんじゃないかと思ってしまった自分を、 自分自身で" 呪っていた "んだ。] (101) 2020/09/23(Wed) 3:10:17 |
【人】 希壱帰るよ。 ……まぁ、元の場所に帰れるかはわかんないけど… これ、お代。 貧乏学生だから、手持ち、これだけしかねぇんだ。 ["千"と書かれた紙切れを一枚取り出して、 カウンターの上に置く。 ちら、と見えた店員の手元の本は、 なんだか少し難しい日本語が書かれていて よく分からなかった。] ……もう会うことはないと思うけど、 また会ったら、よろしくな。 (104) 2020/09/23(Wed) 3:13:09 |
【人】 希壱[それから踵を返して、店の扉の前まで歩く。 ドアノブに手をかけた時、 ふと、振り返った。] 本、面白かった。 勧めてくれてありがとう。 ……もし、生きてたら、 あの続き、集めて読むよ。 [少しギザギザな歯を見せて、ニッ、と笑う。 彼が何かを言っても言わなくても。 そのまま扉を開けて、外へと出た。] (105) 2020/09/23(Wed) 3:13:55 |
【人】 希壱[もう、休憩はお終いだ。 もし、これがあの頃見た夢の延長線なら。] ……もうすぐ、覚める頃合だ。 [ボヤ、と視界が揺れる。 歩いていた足が少しずつ感覚を失っていく。 黒かった視界が白く染っていって。 徐々に、意識が薄れていく。] (106) 2020/09/23(Wed) 3:14:29 |
【人】 希壱……あぁ、ほら、やっぱり、 死んだ夢には、慣れてるんだ。 [浮遊感に包まれて、 そんな言葉を零した時。 ズキ、と、最後の痛みが襲った。] …………まぁ、慣れてても、痛いもんは痛い、な。 [ゆっくりと意識が底へと落ちていく。] (107) 2020/09/23(Wed) 3:17:41 |
【人】 希壱[ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、ピ、 と、電子音が聞こえる。 ツン、 と、消毒液の匂いが鼻をつく。] ……………ん、……………んん、 [モゾ、 と、動いて、瞼を開ける。 飛び込んできたのは真っ白な天井] (108) 2020/09/23(Wed) 3:27:08 |
【人】 希壱………なずな、 [掠れた声で何とか名前を呼ぶ。 そんな俺の言葉に、あの子は益々涙を流す。 鼻声で何かを言いながら、 ボタボタと涙を落として、 ぐしぐしと、手で目を擦るもんだから。 あぁ、ほら、瞼がはれちまうぞ。 なんて。 ようやく持ち上げた右手で、あの子の涙を拭った。] (111) 2020/09/23(Wed) 3:28:23 |
【人】 希壱『希壱────!』 [慌ただしく部屋のドアが開いたと思ったら、 涙を浮かべた母親と、 安心したのか腰を抜かし父親がいて、 姉貴が慌ててどこかへ駆けて行った。 『先生!!!』 って叫んでるから、 たぶん医者を呼びに行ったとは思うんだけど。] (112) 2020/09/23(Wed) 3:29:04 |
【人】 希壱……病院だろ、ここ。 [そんな苦笑を漏らしながらも。 でも、やっぱり、 皆が俺を心配してくれていた事が、 何よりも嬉しくて。 生きてた方が幸せだ、なんて 柄にもなく思ったりもして。] (113) 2020/09/23(Wed) 3:29:53 |
【人】 希壱[ ……後で聞いた話、傷口は結構深かったらしいし 三日三晩眠り続けていたらしいから、 こうして、なずなが今、 俺の上に跨って抱きついてくる痛みには、 再会の喜びとは違う涙が流れたけれど、 まぁ、それでも。 あの空間で、一人寂しく本を読むよりかは、 きっと、こちらの方が幸せなんだって。 …そう、思った。]* (116) 2020/09/23(Wed) 3:32:06 |
【人】 希壱[────それから数ヶ月後。 あの不思議な喫茶店 ─名前は忘れた─ で読んだ本をゆっくりだけれど、集め始めた。 戻った時に、既に百巻近く出ていると聞いた時は 一瞬目を丸くしたけれど。 きっと、ゆっくり前に進め、 なんていうあの店員の意図を感じられなくもなくもなくて、 疲れたら、ほんの少し休憩すればいい。 本を読んで、本の世界へ入り込めばいい。 …とかいう想いも感じなくもなくもなくて。 今は漸く、 あの日に読んだ十一巻までを集め終わったとなろだ。] (117) 2020/09/23(Wed) 3:50:48 |
【人】 希壱[あの場所で感じた気持ちは、 決して悪いものじゃなかったから。 だから、これからも気長に集めていこうと思う。 きっと、これを全部集め終わる頃には なずなは俺が傍にいなくても 大丈夫な年になってるんだろう。 ……もしそうなったら、 もう少し他の本にも手を出してみるのも ありかもしれない。 …なんて未来図を描きながら。] (118) 2020/09/23(Wed) 3:51:35 |
【人】 希壱おはよう、なずな。 今日は晴れだから、水色の靴、履いてこうか。 [今日も、まだまだ手のかかるこの子の傍にいるのだ。] って、 えっ!今日弁当いるの?! うげぇ!まじか! そういうことは 昨日のうちに言いなさーい!! [──こんな、何気ない日常の幸せを噛み締めながら、な。]** (119) 2020/09/23(Wed) 3:53:34 |
【置】 尊龍のお嫁さん 月森 瑛莉咲誰も知らない黄色の花畑に いっせいに 紫色の 野菊が 咲き乱れました。 (L5) 2020/09/23(Wed) 6:59:07 公開: 2020/09/23(Wed) 7:05:00 |
【置】 尊龍のお嫁さん 月森 瑛莉咲雨つゆにぬれた二色は いつまでも、いつまでも、よりそって 揺れていました** (L6) 2020/09/23(Wed) 7:00:22 公開: 2020/09/23(Wed) 7:05:00 |
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