最後の処刑、なのは。もう分かりきっていること。きっと。

最後だからこそ、いつも通りにまた、最後尾を陣取る。
皆を促すように。

皆が、何も言わないなら。

今日も、最後を。
最後の最後まで、トドメを。

ムルイジはそうして、ドア付近で処刑室全体を視界に収めている。

「……アタシ、一つしかやり方わからないもの。指定でもされなきゃ」

手に取ったのは、やっぱり刃の厚い短剣だ。
察せるだろう、この刃を水平にして喉に押し込むのだと。

血を見るのを毎度嫌がっていたと知っているキファが相手でも、それしか。
確実に最期を贈れる術を知らない。

「……アタシだって別に、血が見たいわけじゃないわよ」

薬は自信がないのだ。口に含んで無理矢理飲ませるくらいには。

けれど、見て、それが実践できそうなら、薬を選ぶだろう。

「……、構わないわよ」

初めて。何度も処刑を行なった数日間で、初めてラストを申し出られた。
少しだけ驚くが、いつも通りを崩すほどでは無い。

深い緑色の薬剤を手に取りながら、どうしようかと周りを窺いながら。自分の番を待つ。

どうぞ、と言われて。あぁ、そういえば最後では無いのは初めてで。



薬剤を、注射器にとる。見様見真似で、血管と思しきものを探し、そこに針を刺す。
本当に注入されているだろうか。血管の色が肌から透けているのが見える。

針を抜いて、キファの頬へと軽く口付ける。
……場所を、あけなければ。

下がる、というよりも横にズレて、最後の一人を見た。

「………そうね」

答えるように呟いた。

最後まで処刑室に残る、という部分だけは、曲げなかった。
まだ暫くそこにいるだろう。

「……もう少し」



いつも通りの声色で、一言だけ答えた。

>>29　カストル
「………」

平気よ、といつも通りに返すこともできたし、手を取って大丈夫と言いながらすぐに退室することもできた。
けれど。

無言のまま、手を取る。
宣言通りに、もう少しそこにいるままで。

それから、笑って、処刑室を出るだろう。

ずっと、ロビーにいた。何をするでもなく、

ただいま、の声が聞こえて、緩やかにそちらに顔を向ける。

「……おかえりなさい、バーナード」


いつも通りの顔で、ヒラヒラと手を揺らした。

>>51　バーナード
一瞬、ちらと、連れ立ってやってきた貴方の大事な人に視線を向ける。
よぎるのは、おねがいのひとつめ。

「バレるわよ、馬鹿ね」


いつも通り、可愛げのない言葉を吐きながら、緩やかに両腕を開いた。
ハグを受け止める為に。

>>57　バーナード
「……ふふ」

やっちまった、の顔を見ておかしそうに笑う。
嬉しそうな顔を見て、目を細める。

飛び込まれて抱き締められ、やっぱり手から力は抜けるのだけど。
抱き締め返せすらしないのだけど。

>>62　バーナード
今は、が、やけに耳に残った気がするが。とりあえずはそういうことにしておく方に重点を置いて、よしとする。


身体が離れ、視線が別の方向を向く。その方向に誰がいるのかを知って。

「いいんじゃない？……ハンカチならあるわよ」

ポケットからシンプルなハンカチを取り出した。

やってきた顔、バーナードと二人でワイワイ大声を出している顔。
それを見てこっそり、長く長く細い息を吐いた。

「おかえり、カストル」

いつも通りの顔で告げた。

>>98　カストル
ご飯、と聞いてゆっくり一つ瞬く。


「……そうねぇ…あんまりお腹空いてないから、飲み物だけか、軽いものならご一緒しようかしら」

いつも通りの顔で、そんな返事をした。

>>101　カストル
「……そうねぇ…あ、ならミネストローネ少しもらおうかしら……？」

頼んでいるものを眺めながら。チョココロネをちょっともらうのは難しそうなので。形状的に。


>>102　バーナード

心配していた最後一人の姿も見えると、

「おかえりなさい、キファ」

いつも通り、なんでもないように挨拶をするが。
ちょっとだけ、声が柔らかくなりすぎたかもしれない。

>>7:113　テンガン
生きてはいたけれど、姿がずっと見えなかった貴方をちら、と眺め。

「もう大丈夫なの？」

なんて聞いた。いつも通りの顔で。

>>7:117　テンガン
「……それ随分酷い状態だったんじゃないの…？」

ゲーム中はほぼ議論でしか会話を交わしていなかったので、貴方に起こっていたことは殆ど知らないのだけど。

「…大丈夫って言うなら信じるわよ。お疲れ様」

労いと共にほんの少しの釘刺し。貴方の平穏を願う。


>>7:118　キファ
アタシ何もしてないけどね、なんて口が言いかけて、やめた。代わりに。

「……ありがとう」

一言、とりあえず礼を先に。

「貴方もね。やりたくなかったでしょうに、本当にお疲れ様」

貴方が血を見ることを嫌がっていたことを、ずっと見ていたので。
けれど、安心したような様子に、ひとまずは胸を撫で下ろしたのだった。

>>7:124　テンガン
「そう？ならよかったわ」

信じる、と言ったからには信じる。この時点で恐らく嘘はつかないだろうという推測もあり。

「アタシ？……、まぁまぁ大丈夫よ」

大丈夫でなかったのを知ってる人が近くにいるため、大丈夫とは言い切らなかったが。
その代わり、ケラケラと笑ってみせた。

「見届けた、って感じね。……あはは、生者仲間よねアタシたち」

>>129　キファ
「辛さってね、人と比べるものじゃないわよ。でも……そう。大丈夫が嘘じゃなさそうだから、いいわ」

皆に囲まれて、皆と話す貴方が随分安らいで見えたので。
素直に信じて、微笑ましそうに見守ることにした。


>>130　テンガン
「死なせてくれなかったのは誰なのよ？……なんてね。いい判断だったと思うわ、実際。
本当にね。死を体験はできなかったけど……しなくてよかったみたい、って今なら言えるわ」

誰かを待たせて悲しませることになるかもしれないなら、生きていてよかったと心の底から言える。今は。