【人】 環 由人[ 鶏レバーと青じそのピリ辛炒め 南瓜とトマトのカレー 豚バラと茄子の塩だれ炒め 鮭の幽庵焼き 豆もやしと胡瓜とツナのナムル オクラとささみの梅和え おにぎりは、4種類 みょうがごはん ピーマン入り鶏そぼろ ちりめんと大葉と天かす 炙りねぎ味噌 いつものメンチカツ コロッケ、それから唐揚げ。 待宵町という小さな町にある商店街。 西側の入り口から入って程なく、 「惣菜 たまき」は店を構えている。] (4) 2020/09/10(Thu) 13:01:28 |
【人】 環 由人[ 朝10:00から開けるこの店に立ちはじめて もうかれこれ2年半ほどになる。 さして愛想がないのは相変わらず。 己をWゆうちゃんWと呼ぶ 常連のおばさま方の顔は もうすっかり馴染んできたけれど。 この街に居場所なんてなくて、 どこにいってもひとりぼっちだと、 そんな寂寞に押しつぶされそうになる夜は 相変わらずないわけではないけれど。 だけど、一年と少し前までよりは 随分とその重苦しさは減った気がする。 どうしてかって…そりゃあまあ、 思い当たる節は───あるな。 自分の作ったものを目の前で美味そうに 食べてくれる人がいる。 ・・ 俺のことを理解してくれる人がいる。 たったそれだけで。] (5) 2020/09/10(Thu) 13:01:48 |
【人】 環 由人───おかえり [ 机の上に並べた余った惣菜。 これをW処理Wしてもらうことが、 同居の第一条件だった。 手元にあった小説をそっと机に置く。] (6) 2020/09/10(Thu) 13:02:09 |
【人】 環 由人温めようか? [ 部屋にはいつもと同じ、 深夜のラジオ番組が流れている。 柔らかな女性パーソナリティの声が 夜の中に静々と落ちていく。 席を立って、持ってくるのはマグカップ。 ぬるくなった飲みかけのほうじ茶が入った 自分のマグカップの隣に置いて、 注ぐついでに自分のにも足した。 湯気がゆらゆらと立ち昇る。 正面の椅子の前にカップをことん、と置いて 短く息を吐いた。]* (7) 2020/09/10(Thu) 13:02:41 |
環 由人は、メモを貼った。 (a1) 2020/09/10(Thu) 14:14:50 |
【人】 マリィ ー 『Edge』店内にて ー やっだァ!!つけまブスがまた つけまモリモリで来たじゃなーい!! おかえりー♡今日も化粧ノリ最悪ね! [しなを作って出迎えれば 常連の若いOLはゲラゲラ笑いながら いつものカウンターの隅に腰を下ろした。 多分これ上司にまた虐められたパターンかな、 ……なんて、アタシの第六感が囁いている。 いい加減職場変えるか、でなければ戦うか とっとと覚悟を決めればいいのに、 多分この優柔不断な彼女には無理な話。 「でも」「だって」を繰り返して 散々吐くまで飲み明かして…… そうしてまた日常へ帰って行く。 この店は、ゲイのゲイによるゲイバー。 だけど、ゲイのための店ではないから 色んなお客さんが来るの。 お仕事疲れのOLちゃんから、 冷やかしのノンケ、恋人探しのゲイ…… 老若男女のごった煮共が雁首揃えて 毎日の悩みを吐き出しに。] (8) 2020/09/10(Thu) 14:21:56 |
【人】 マリィ[アタシはその誰にも言えない悩みや秘密の 体のいい吐き出し口ってワケ。 ……って、言うとなんか便器みたいだけど。 楽しいことだけして、辛いこと全部全部 忘れるための、場所。 常連のミキちゃんの顔は、冗談抜きで 化粧で誤魔化しきれない窶れが浮いていて 本当に、ブス。 このブスが、明日にはもう少し まともな顔になれるように アタシは思い切り体をくねらせて笑いを誘うの。] ……なぁに?なになに? シケた顔のブスの席なんか無いわよ。 そんな顔してると廊下に出しちゃうんだから。 ─────何飲む? [マゼンタに塗った唇で、そっと優しく囁いて。 そうして飲む。飲む。 辛いことも悲しいことも、全部洗い流して ブスが明日を進むための禊の儀式。] (9) 2020/09/10(Thu) 14:22:34 |
【人】 マリィ[そうして夜が白むと共に 明日を歩むためにお客さんは帰って行く。 残ったアタシは、この時ようやく アタシがアタシに帰れる場所へと帰れるの。 一年くらい前から転がり込んだ家には 愛想の無い家主と>>5 暖かい寝床、それから何だか落ち着く味の 手料理の数々がある。 玄関を開ければすぐ誰かに 「おかえり」って言って貰えて 空きっ腹にすぐ温かいご飯が入れられる。 それが、アタシのために作られたんじゃなく 余ったご飯だなんて、なんの問題でも無く。] ……相変わらず色合いは地味ねェ。 [なのに、憎まれ口が先行するのは もはや職業病の一種なのかも。] (11) 2020/09/10(Thu) 14:23:52 |
【人】 マリィ[温め直してもらっている間に メイクを落として部屋着に着替えたら 食卓につく由人の正面に腰を下ろすの。 映えない、だけれど食欲をそそる香りに 自然と口角を上げて。] いただきます。 ─────それと、ただいま。 [由人と食卓を囲むこのひとときだけ。 アタシは誰かのためじゃなくて 自分のために箸を動かしている。 話を盛り上げるための軽口も おかまトークも一旦お休み。 オクラとささみの和え物を口に運べば 甘酸っぱい梅の風味に、きゅっ、と 唾液腺が弾けそうになる。] オクラって、ピーマンの出来損ないだと 思ってたのに……。 [やるじゃない、なんて独り言言いながら 同居のための「義務」以上に 熱心に箸を進めてしまうの。] (12) 2020/09/10(Thu) 15:00:09 |
【人】 マリィ…………もう無いわ。 [あっという間に空になった小鉢を前に つい恨めしい声を出してしまう。 「美味しい」って口にしたことあったかしら。 でもアタシの前に座って じっと見守ってる由人には 多分、全部お見通しな気がして。]* (13) 2020/09/10(Thu) 15:04:06 |
マリィ は、メモを貼った。 (a2) 2020/09/10(Thu) 15:08:04 |
【人】 希壱『 〜〜♪♪ 』『 〜〜〜♪♪♪ 』[買ったものを詰めたエコバッグを片手に提げて、 スーパーの駐車場へと向かう。 17時になると流れ出す夕焼け小焼けのメロディと、 急ぎ足で自宅へと向かう子供たちの笑い声を聞いて、 そろそろ妹も家に帰って来る頃だろうかと その足を早めた。] ……おーてて、つーなーいで、 みーなーかーえーろー……… [つい、口ずさんでしまう。 お手手を繋いで皆で帰ろう。 …そんな歌詞に、ほんの少し胸が締め付けられる。 あの出来事から丸一年と半年。 悪夢を見ることはしなくなったけれど、 心の中に残った痼が消えることはなかった。 何時までも何処までも、此処に残っている。] (14) 2020/09/10(Thu) 17:25:37 |
【人】 希壱……あれ、鍵、どこやったっけ [買ったものを足下に置いて、 相棒である桃色スクーターの鍵を探す。 そういえば、 コイツを姉に貰ってからもう二年になるのか。 最初こそ、男が桃色なんてモテに繋がらないのでは? と、焦っていたけれど。 今となってはそれもいい思い出だ。 …というか、 あの感覚は少しばかり黒歴史にもなりつつある。] …ん、あった [いつの間にか背負った鞄の奥底へと 沈んでいた鍵を引っ張り出して。 漸く、スクーターのエンジンをかけた。] (15) 2020/09/10(Thu) 17:27:35 |
【人】 希壱…………急がねぇとな。 [妹よりも先に家に帰って、おかえりを言うこと。 寂しい思いをさせてやらないこと。 過保護だって言われても、 俺みたいになって欲しくなかったから。 些細な嫉妬に心を蝕まれて。 誰かを恨んで、憎んで。 認めてくれないなんて叫んで。 それが、たとえ誰かに操られていた事だとしても。 結局、内側にあったのは本心だ。 だから、そうならない為にも。 今できる精一杯を、あの子に与えてやりたかった。] (16) 2020/09/10(Thu) 17:29:11 |
【人】 希壱『 ♪♪〜〜………… 』[ミラーに引っ掛けていたメットを被って、 夕焼け小焼けのメロディが終わると同時に。 オレンジ色に染まる街の中、家路へと、 桃色スクーターを走らせた。]* (17) 2020/09/10(Thu) 17:30:01 |
希壱は、メモを貼った。 (a3) 2020/09/10(Thu) 17:43:57 |