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【人】 ウユニ そうして、私はふらふらと 町から町へと彷徨って。 ただ彷徨うだけではなくて、 自分の身に咲く花が何なのかを知ろうと 行く先々で書物を漁った。 私はW花咲病Wという病気を患っているのだと 知ったのは、貴方に出会う前の事。 (23) 2022/08/08(Mon) 16:04:40 |
【人】 ウユニ───朝の一幕:サルコシパラの家─── バラへと声をかける彼の姿を眺めるのは ここに来てからの私の日課の一つ。 彼が街の人から何と言われているか、 知らないわけではない。 でも、私は花を溺愛する彼を変だとは思わないし 優しいのだ、と思っているから。 私が奇異の目を彼に向けることもない。 (24) 2022/08/08(Mon) 16:06:59 |
【人】 ウユニ「おはようございます。 あら、そんなことを言っては 貴方の可愛いバラが嫉妬してしまいますよ。」 いつもの挨拶に、私もいつものように返して。 小さく口角を上げてみせるの。 血縁者ではない、家をなくした私を 住まわせてくれる彼は、優しいと思う。 彼を家族のようには思わず、W友人Wだと、 そう思っているのが、彼と私の違いかしら。 (25) 2022/08/08(Mon) 16:08:09 |
【人】 ウユニ 毎日のように貰う言葉を 軽く受け流していた理由は、 ここにいるのも、貴方との時間も、 期限付きだと決まっていて。 踏み込まないようにしていたから。 私と彼の関係は、そういうもの。* (26) 2022/08/08(Mon) 16:09:08 |
【人】 ウユニ───出会い─── 花咲病のことを知った後の私は、 独りで散ることができる場所を探していた。 誰にも踏み込まず、踏み込ませず。 一人で静かに、終わりを迎えようと。 この街に来たのも、そんな経緯。 (27) 2022/08/08(Mon) 19:47:59 |
【人】 ウユニ道行く人に、この街を見渡せる場所はないか 聞いてたどり着いたのが、街の奥にある丘。 ついた頃には日が沈みかけて。 沈んでいく太陽を、ただ眺めていたの。 髪を、頬を、風が撫でて 黒のロングスカートがはためいていく。 風に揺られる花はこんな気持ちなのかしら、 なんて、ふと考えて、くすりと笑った。 (28) 2022/08/08(Mon) 19:48:56 |
【人】 ウユニ花弁 が一枚、風に乗って飛んでいったのに 私が気づくことはなかったけれど。 もし、見た人が居るのなら、 少し疑問に思ったのかもしれない。 (29) 2022/08/08(Mon) 19:50:40 |
【人】 ウユニ「困ったわ。 今日泊まる場所も決まってないのに。」 あまり困っていなさそうな口調で 呟いて苦笑いした頃だったかしら。 それとももう少し後だった? ―――私以外の人が居るのに、気付いたの。* (30) 2022/08/08(Mon) 19:51:57 |
【人】 サルコシパラ何をもって普通と呼ぶか なにをして奇とするか ただ一つ確かなことは 普通などという不安定で曖昧な戯言には なんの価値もないということだ。** (33) 2022/08/08(Mon) 22:39:50 |
【人】 サルコシパラ(よもやこの私が運命? 滑稽だろう?それでいて光栄だ。 私は貴女に選ばれたのだろうか。 貴女が私の事を選んだのだろうか。) (37) 2022/08/08(Mon) 22:43:30 |
【人】 ウユニ踏み込むまいという私の態度は 花々にとってどう取られていたものか。 踏み込まないから、知ることもなく。 彼のWこの子達もWの意味に気づかないほど 私は鈍くはなかったけれど 鈍く、気付いていないふりをしていた。 (41) 2022/08/08(Mon) 23:57:22 |
【人】 ウユニ 人が花を選ぶように 花だって、人を選んでいいはず。 言葉を持たない、自ら動けない花には それが出来ないだけで。 貴方に頼ろうと思ったのは 紛れもなく私の意思。 それを選んだというのなら、そうかもしれないわ。 (44) 2022/08/08(Mon) 23:59:53 |
【人】 ウユニまさか誰かいるとは思っていなかったから 後ろから声をかけられたときはそうね、 驚いてしまったから。 一瞬反応が遅れてしまったけれど。 (45) 2022/08/09(Tue) 0:00:24 |
【人】 ウユニ仮面の彼の方へと向き直った。 W普通Wなら仮面に驚いたり どうして、と聞いてしまったりするのだろうけれど 踏み込まないと決めている私はそれを聞かず。 そもそも、疑問に思うこともなかったわ。 (47) 2022/08/09(Tue) 0:01:44 |
【人】 ウユニ 人は皆、仮面を付けているようなもの。 いつ、本性を表すかなんて分からない。 彼の場合は、見える形で仮面をつけているだけ。 ただ、それだけのことよ。 それに、私だって本心を見せまいとしているのだから 仮面を付けているのと同じでしょう? (48) 2022/08/09(Tue) 0:03:04 |
【人】 ウユニ「……さっきの独り言も 貴方には聞かれてしまったのかしら。 私はウユニ。 この街には今日来たばかりです。 行く宛てがなくて、 どうしようかと思っていたところだったの。 貴方は、どうしてここに?」 軽い自己紹介の後に、小さな声で もしかして、貴方の時間を邪魔してしまったかしら なんて、聞いてしまったのは……。 何故でしょうね? いつもなら人の話は聞かないのに。** (49) 2022/08/09(Tue) 0:04:24 |
【人】 サルコシパラサルコシパラがウユニと同居を始めてから 最低でも1年は経つ。 しかしサルコシパラが知るウユニなど 氷山の一角、せいぜい数パーセントの欠片だ。 それが証拠に、その言葉が紡がれたきっかけ 過去のしこりをサルコシパラは察することが 出来ずに、見込みのない憶測を浮かべては ひたすらに首を傾けるばかり。 (50) 2022/08/09(Tue) 1:06:54 |