164 夏の想いのひとかけら【R18】
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| ― 翌日 ―
[朝、目覚めて、スマホに届いている透さんからの メッセージを見る。]
…あ
[昨日の今日、泣いてお店を飛び出してしまったことも 会ったばかりの人の告白を受けたことも、どこか自分の ことではないような、パラレルワールドの中に居たよう な感覚。 その錯覚が、届いたメッセージに現実の記憶なのだと 修正されて、私はそっと息を呑んだ。] (12) 2022/08/07(Sun) 10:03:20 |
| [透さんは久部さんの代わりだから、夜がメインの シフトだっただろうか。 朝の時間も、会って一緒に過ごしたかもしれない。 その後、シフト制ではない私は、昨日と変わらず 今日もいつものように冷やし中華の仕込みを終えると、 事務作業に入る前、休んでいる蛇ヶ原さんの部屋を訪れた。 靴擦れを起こしたという彼女のことは、グループチャット の報告を見た時から気にかけていたから。 >>1:223] 蛇ヶ原さん、今、大丈夫かな? [ドアをノックして問いかける。 手には作り立ての冷やし中華。店に出すものに アレンジを加えた特別版をレジ袋に入れている。 動けないなら、食事も困るだろうと思い、 用意してきていた。]** (13) 2022/08/07(Sun) 10:03:25 |
| [ドアが開き、蛇ヶ原さんが顔を出す。 >>15なんとなく恐々、伺うような感じだったのは気のせい だろうか。 そんな疑問は一旦仕舞って、顔を見れたことにほっと したように私は彼女に微笑みかけた。] …休んでいるところ、ごめんね これ、お見舞い 動けないとご飯も困るでしょう? [冷やし中華とペットボトルのお茶の入ったレジ袋を 見せる。] (16) 2022/08/07(Sun) 12:03:36 |
| 仕込みのついでに作ったの 良かったら食べて
[店で見る冷やし中華とは違うことはわかるだろう。 特別版だよ、と彼女に伝えて、差し出した。]**
(17) 2022/08/07(Sun) 12:03:40 |
| ― 蛇ヶ原さんと ― ううん、ついでだったから [差し入れを受け取って貰えれば、仕事に戻ろうとする。 休んでいるのだから、邪魔をしてはいけないと 思っていたし、顔を見て安心したのもあった。 >>18だから当然、思いも想像もしなかったよ。 そもそも、それまで蛇ヶ原さんが変な映画(夏至ってい うの?)を見ていたことも知らない。 >>14まして、その映画に影響されて、差し入れに毒を盛ら れているとか生贄とか。 そんな妄想が彼女の脳内で繰り広げられているなんて わかる筈はなかった。 >>21] (24) 2022/08/07(Sun) 13:37:00 |
| ────? [はし、と手首を掴まれて、 向けた顔にかかる声。 >>22] ……い、いいけど… [圧のある雰囲気に気圧されながらも頷いて、 どうしたの?とその顔を心配そうに覗き見た。]** (25) 2022/08/07(Sun) 13:37:06 |
| お邪魔します [暇だと言う蛇ヶ原さんに中に通してもらう。 >>26間取りとかはたぶん、私の部屋とそんなに変わりないと 思う。 案内された場所に座って、彼女が冷やし中華を片づけに 行くのを見守った。] 夏至?ううん、見たことないけど… [戻ってきた蛇ヶ原さんからお茶を受け取りながら私は 記憶の引き出しを探る。 そういえばいつだったか、TVで話題になってたような 気がする。] それがどうかしたの? [私は何とはなしにそう、尋ねた。]** (28) 2022/08/07(Sun) 14:44:52 |
| ― 映画のお誘いは突然に ― 蛇ヶ原さん…? [なんだか凄く落ち込んでいるように見える彼女に 声をかけた───その時 >>31] っ!…え、地獄って───? [襲い掛かるように肩を掴まれ、揺さぶられた。 >>32私は驚きに動揺しながら、何を言っているのか尋ねたが それが、先ほど聞いた映画を一緒に見ないかとの意訳だ と気づけたかどうか。 気付けたとしても、流石に仕事中に 映画は見ることはできないのだけれど] (34) 2022/08/07(Sun) 16:05:31 |
|
……お、落ち着て、蛇ヶ原さん…
[蛇ヶ原さんの腕に手を添える。 頭がクラクラして、意識が遠のく感覚。 これ以上は、不味いかもしれない。]**
(35) 2022/08/07(Sun) 16:06:03 |
| [思い返すと今日は少し、体調が良くなかったのかも しれない。昨日は本当に色々なことが起こって 良くも悪くも、心の奥の奥にあったものや新しく芽生えた ものなど、多くの思いが揺れ動いたから。 久しぶりの感情の起伏に、疲れが残っていたのだと思う。 立ち眩みのように、ふっと気を失いそうになった私に 蛇ヶ原さんの謝罪の声が響いた。 >>37] ────…ぁ、私… ありがとう… [肩に乗せられていた手 >>36はすぐに背中へと移動し 支えながらも、摩るように動かされていることに 私は小さく微笑んで、彼女にお礼をいう。] (43) 2022/08/07(Sun) 19:11:13 |
| …う、うん、少し休めば── ごめんね、迷惑かけて… [クッションを用意してもらえたなら、頭を預けるよう にして横になった。 >>39そうして暫くの間は目を閉じて、呼吸を整えるように して、落ち着いたころ。 私はそっと口を開いた。] 蛇ヶ原さん… 何かあったの? [あの時、垣間見せた彼女の表情。 >>38まるで、泣いているようだった。]** (44) 2022/08/07(Sun) 19:15:41 |
| [横になっている間もずっと、傍で背中をさすって くれた蛇ヶ原さん。 >>47お店での仕事ぶりもオーナーから聞いている。 昨日だって、自分の休憩は後回しでみんなを先に 休ませていたのも知っている。 そんな彼女が内心に抱える自身に対する嘆きを 私は知らなかったけれど。 >>46] ───そう [問いに対する応え。 首を傾げる彼女を見つめて、まずはその言葉を 受け止めた。 >>49] (50) 2022/08/08(Mon) 7:51:40 |
|
…初日は教えることがたくさんあって 大変だものね
[いくら透さんに接客経験があるといっても 初日から業務をこなすのは無理というもの。 蛇ヶ原さんが何かにつけてフォローしていたのだろう ことは想像出来た。]
でも…… それだけ?
[私は続ける。]
(51) 2022/08/08(Mon) 7:51:42 |
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蛇ヶ原さん… すごく辛そうな顔してるから
[昔の私なら、顔色を窺って立場を弁えて。 無難な対応をしただろう。]
…思い過ごしだったらいいのだけどね
[けれど、もう。そういうのはやめると決めたから── …ううん、それだけじゃなくて]
(52) 2022/08/08(Mon) 7:51:45 |
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昔ね、私…すごく苦しい時があって あの時、誰かに寄り添って欲しかったから 何か辛いことがあるなら、話だけでも聞けたら って思ったの
[そう、これはあの時の私が求めていたこと。]**
(53) 2022/08/08(Mon) 7:51:48 |
| [蛇ヶ原さんに何があったのか、私は知らない。 曇る表情を見て、察することは出来ても その心の内を見通すことは出来なくて。
出来ることは、もし、穴の奥で彼女が膝を抱えて いるなら、手を伸ばしていると伝えること。
もし、彼女が顔を上げ、その手を差し出すなら いつだって掴むんだよって、気持ちを話すことだけ。
それを彼女がどう捉えても、後はもう。 彼女のいう事を信じるしかないと思うんだ。] (60) 2022/08/08(Mon) 16:07:30 |
| ───そ、か。それならいいの [蛇ヶ原さんに私は安心したように頷く。 >>57一瞬、動きが止まったことも、顔色が変わったことも 彼女が触れられたくないのなら、触れない。] …こんなに、なってたんだ [見せて貰った絆創膏だらけの足には眉根を下げる。 痛かったでしょう、と伝えて労った。] (61) 2022/08/08(Mon) 16:07:35 |
| [ごめんね、わからないよ。 >>58心の中でどんなに叫んだって 気付いてあげられない。 私の事、嫌いになってもいいんだよって それでも私は、蛇ヶ原さんが好きだよって 伝えることも出来ない。 私だけが手を伸ばしても、駄目なの。] (62) 2022/08/08(Mon) 16:09:29 |
| …流石に仕事中に映画は見れないよ [蛇ヶ原さんは夏至という映画が本当に好きなのかな。 ヘラっと笑う様子に苦笑しつつ、私はゆっくり身体を 起こした。 >>59] お見舞いに来たのに休ませて貰ってごめんね そろそろ、戻らなきゃ [ありがとう、ともう一度お礼を言って立ち上がると] 今度また、その夏至?の話聞かせてね [そう彼女に微笑みかけた。]** (63) 2022/08/08(Mon) 16:12:17 |
| ― 昨夜/自室前 ― [透さんと二人で海から帰ってきたのは 日付が変わるぎりぎりの時間だったかな。 >>69それはシンデレラなら魔法が解ける時間。 目の前で彼を見ていても、頭がぼうっとして まるで、すぐに消える幻のような気がしたこと を覚えている。] …今日はありがとうございました はい、じゃあ、おやすみなさい [その時は、食べに行くのか作るのか、明日の約束 は決まらず、透さんが後でメールしてくれるとのこ とで別れた。 透さんは間際まで、私の身体を心配して、早く休むよ う念を押したりしていて。 その気持ちが、なんだかとても嬉しかった。] (71) 2022/08/08(Mon) 19:00:03 |
| ― 朝 ― [届いていたメッセージの時間を確認すると 早朝と言っていい時間だった。 >>70] (早起きなのかな……、透さん) [そんな些細な発見にも、笑みが零れて、 昨日の事が現実なんだと実感していく。] 『 おはようございます。 仕事終わりの予定、開けておきますね。 スーパーへは、お買い物ですか? 』 [返信に乗せる何気ない問いかけ。] (72) 2022/08/08(Mon) 19:00:07 |
| [花火にお祭りに、この時期はあちこちで イベントがあるけれど、彼はあまり関心ないのだろうか。 ふと、そんな考えが浮かんだのは昨日、オスカーくんから もっと夏を満喫したいという話を聞いていたからかもしれ ない。 >>0:560>>0:570]** (73) 2022/08/08(Mon) 19:02:54 |
| ― 朝 ― カレー、透さんが作ってくれるのかな…? [返信を見て呟く。 >>74涼しい朝の時間、差し込む光に窓の外を見遣ると 今日も天気が良いのか、綺麗な水色が空に広がっ ているのが見えた。] 『 わかりました。 お仕事は私のほうが早く終わりますので 透さんのお仕事が終わったら 連絡くださいますか? 』 [私は、スマホをローテーブルに置くと カーテンを開ける。 朝の始まり、シャワーを浴びて着替えよう。]** (75) 2022/08/08(Mon) 20:18:34 |
| ― 夕方 ― [昨日分の会計ソフトへの入力を終え、私はパソコンを 閉じる。宿の一室を使用している事務所、日中、ここに は基本的に私しかいない。]
( 頑張ってるかな……透さん )
[自室に戻れば、窓の外、ひとなつ荘のある方向を 眺めた。
昨日と同じように、お風呂場でゆっくり身体を洗い、 着替えるつもり。
買い物に行くだけだというのに、どんな服にしようかと 悩む私を窓ガラスが半透明に映している。 その中の私は、自分でも驚くくらい、これからの時間に 胸を躍らせていた。] (86) 2022/08/08(Mon) 23:16:18 |
| 『 お仕事、お疲れさまでした。 では、玄関で待ってますね。 』 [届いたメッセージに返信する。 >>81支度が済んでいる私は読んでいた本を閉じると スマホを鞄に仕舞い、部屋を出る前に今一度 自分を確認した。 昨日とは違いチュニックとマキシスカートというラフな 格好ではあるが、チュニックは肩に刺繍風のデザインが 施されており、裾が長めのテールカットのもので、 スカートの模様はチュニックに施された刺繍に合わせる ようなデザイン。 髪はサイドにゆるく編み込んでいる。]** (87) 2022/08/08(Mon) 23:16:23 |
| [そよ風にチリリンと聞こえる風鈴の音。 空を見ながら透さんを待っていた私は透さんの 声に振り返る。 >>92] いえ、私も今来たところです [傍まで来た彼を見上げて笑みを浮かべる。 息が弾んで、少し顔が赤い。 仕事が終わって、急いで来てくれたのかな。] (93) 2022/08/09(Tue) 8:28:23 |
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大丈夫です、私もお料理するときは使わせて 貰ってますから 大体、何でも揃ってますよ
[彼について歩きながら、調味料について応える。
朝も大根のバター炒めスープを作ったし、毎日の 仕込みもしている。調味料の在庫を確認して 補充するのも私の仕事だった。]
→ スーパーへ
(94) 2022/08/09(Tue) 8:28:26 |
| ― スーパー ― [それなりに人の居る明るい店内。 入口には神社のお祭りのポスターが貼られ 花火コーナーが設置されていた。]
…線香花火、私、好きなんです 良かったら後で一緒に、どうですか?
[目立つ派手な花火の隣、ひっそりあるひとつを 手に取り、私はいう。
あの微かで、乾いた独特の音。 細かく震えながら作られる丸い火の玉。 その周りでパチパチと順番に花が咲いてく。
線香花火は人間の一生を表現すると聞いた ことがある。]** (95) 2022/08/09(Tue) 8:28:40 |
| [張り切っている透さんに和んだ視線を 向けつつ、2人で店内をまわる。 >>104] …お肉、私は大体豚肉で作ります スープカレーの時は鶏肉も 牛肉は嫌いとかではないのですが 普段使いするには高級品だから 考えたことなかったかな カレーって、人によって内容が全然違いますよね [じゃがいもは欠かせないと言う人も居れば、具材は 玉ねぎとお肉だけという人も居たりして。 だから、透さんのカレーが楽しみだと伝えながら 人参を手を伸ばした。] (113) 2022/08/09(Tue) 19:12:32 |
| [ピーマンは入れないでという透さんを笑う。 昨日のレストランで、私からなら食べると言い 切っていたけど本当だろうか。 茄子は大丈夫かと問う声に私は頷く。 惣菜コーナーで、出来立てのコロッケも付け合わせに 購入する。 デザートには良く冷えたカットスイカを選んだ。] …多めに、そうですね [自然な流れで、透さんと2人でという前提で線香花火 について話していた私は、彼のみんなの分もいう 提案には目から鱗が落ちたような顔を 向けていた。 >>104] (114) 2022/08/09(Tue) 19:12:37 |
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