蜜のこもった瓶の飾りを見つめ、目をぱちくりさせて。
はテレベルムの髪の横で囁くように揺れている。

「……」

今日も目立つ男が居るのはインク屋の横。
背もたれがない椅子に、傍らには白紙のキャンバス。
表に他国の商品の数々を並べつつ頭を悩ませて趣味の絵を描いていた。

今日もテレベルムの蜜は無事です。にゃ。

>>+2　ラサルハグ

「……？」

今日の絵を描いたところであなたの視線に気付く。
珍しい品物を買いに来たのだろうか、それとも白いキャンバスが気になったのだろうか。

そんなことを考えていると、その視界の前をが通り過ぎた。



「――旅人のラサルハグ。近くで見ると、もっといい赤色だな」

その水晶はそれっきり静かに見上げ続けていた。

>>+11　ラサルハグ

「見てもらった方が、商品も俺も嬉しい」

あなたが買わずとも他人が買ってくれる可能性があがる。
視線を集めることは商売にとって有利である、これも商業ギルドの長から習ったことだ。

「その髪の色は特徴的で、描くのが楽しかった。
　昨日の描いた絵なら持って行ってくれると、絵もうれしがる。

　ラサルハグのその赤は目立って綺麗だった。
　インクやなら、赤のアネモネやポピーの色が売っているから参考にしてくれ。
　…………？　が気になるのか、邪魔ならしまう」



「可愛いと言われないと、大人しくならない奇妙な奴なんだ」

>>+12　ラサルハグ



「気が向いたから世話をしてくれているんだそうだ、嬉しいことだな」



「ありがとう、ラサルハグ。
　興味がなければ絵も色もわからないことばかりだろう。鏡、のようなものだと思ってくれ。
　他人から見えたお前たちの色だ。俺は色をみる目だけはあるんだ」

いつかラサルハグ色変わった？と聞く頃にはすでにお爺ちゃんになっている可能性があるやもしれない。
そんな不思議な会話が交わされるような交流があるかはわからないが。



両手に丁度乗るぐらいの小さなキャンバスを包装して貴方へと渡す。とても満足げな様子は、作品を褒められた子供のよう。

「お金はいい、リボンはいるか？　気分が上がる」

>>+13 ラサルハグ



何故照れているかわからないが、頷いた。大丈夫だ。

「店の前に居るだけで、十分、目立つ。
　きっとこの後あのイケメンは誰だったのかと話しかけてくる客がいる。
　其れで儲かる。大丈夫だ」

人を見る目はあるんだ、と無表情で笑う。無問題。

「本来は、描いてほしいものがあれば描くんだ。
　白いキャンバスに興味を持った客の望みを聞く。
　その分の代金は貰うしついでに商品も買ってもらったりする。

　この祭りの間に少しは稼げたから、余裕を持っている」

「それに……感謝の気持ちのような物だから、気にするな。
　もし申し訳ないと思ったら、向こうで綿菓子が買えるぐらいのお小遣いをくれ」

>>+13 >>22ラサルハグ

「……明日も描く。祭りが終わったら、閉じてしまうが…
　よかったらまた店の前を見るだけでもしてくれ。
　それだけで集客になって、売り上げの役に立つ」

絵画とリボンを渡せば、それが思い出になることを祈って丁寧に渡した。

既にテレベルムは欲しいものを受け取っている。
このやりとりで十分お代はもらっているようなものなので。


「どういたしまして、ラサルハグ。今日も良い祭りを」