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【人】 妖もどき 辰沙……でも。 『ま、これからどうなるかはわからないが、 あの星が落ちてくるのが、人間やら この星の生き物に対する天罰だっていうのなら。 これはな。 俺たち自身が解決しないといけない話なんだよ、辰沙』 『何より、お前もあの子ももう十分傷ついてきた。 俺も、うちのかみさんも あの子に幸せになってほしいと想っているが。 それと同じくらいお前にだって、 俺たちは幸せになってほしいと思ってるんだよ。 それは、どうか忘れないでくれな』 …。 (25) 2022/09/26(Mon) 22:21:42 |
【人】 妖もどき 辰沙『さ、話はこれでしまいだ。 さっさと部屋に戻って寝なさい。 あの子のそばについていてやってくれ』 [ そう促されれば、 それ以上何も口にすることもできなくて。 ひとつ、こくと頷いてからその場から姿を消した。 ] (26) 2022/09/26(Mon) 22:22:32 |
【人】 妖もどき 辰沙[ 寮の部屋に戻れば、 すやすやと穏やかな寝息がベッドから聞こえてくる。 転がり落ちそうな彼女の体勢を再度整えて 先程部屋を出たときと同じように毛布を掛け直す。 ] ……理音。 [ 彼女の髪を撫でて、そのまま頬へと手を滑らせる。 もし、彼女と出逢うことがなかったら。 あのとき。>>3:D37彼女に受け入れられなかったら。 きっと、今の僕はここに存在しなかった。 人間を無条件に善いものだとは決して思わない。 それは今でも変わらない。 ……それでも。 僕は、あの夜の闇の中、彼女に見つけてもらって。 『あたたかさ』を、教えてもらった。] (27) 2022/09/26(Mon) 22:25:40 |
【人】 妖もどき 辰沙[ 僕が、ソラナキの欠片である以上、 彼に伝えなければならないものがある。 この星に落ちてから、ただ、人から忌み嫌われ 利用され続けるばかりたったけれど。 それでも、たとえ千年の時のなかの ほんの十年に満たないような時間であったとしても、 この心に刻まれた温かな記憶を。 ―――僕は、彼に、伝えなければならない。 ]** (28) 2022/09/26(Mon) 22:27:03 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 宴は終わり、セシリーとの婚約を正式に王に認められ その後はディナーでしばらく身動きが取れずにいた。 いざディナーが始まると、会場にヘンリの姿は無かった。 兄さんに聞いてみると、体調が悪いとか。 兄さんもヘンリも気遣ってくれたのだろう、と 優しさに感謝しながら時は流れ、気付けばこの時間。] ヘンリ、体調は大丈夫? [ 落ち着いた頃、ヘンリの部屋の扉をノックする。 昔からあまり病弱なイメージは無かったから、 素直に心配だった。] (29) 2022/09/27(Tue) 20:42:27 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ エドゥが帰ってから数時間が経過した頃 再び扉をノックする音が響き渡る。 エドゥかしら、と思っていたら聞こえた声は] …………。 [ アスだった。 私の大好きだった、聞き馴染んだ暖かい声。 なのに、今は耳に入るだけで胸が突き刺さるように ……──痛い。 どう返事すれば良いのか分からず、 出す言葉を悩みながら時だけが過ぎていく。 ノックの回数も徐々に増え、ノブを回そうとする音も やがて響き始める。] ……ね、そのままで。 今のままで……少し話を聞いてくれる? [ 扉は開けず、互いに顔が見えないまま話し出す。 ぐしゃぐしゃになった顔を見せたくなかったのと 彼の顔を正面から見れば、再び泣き出す自分が 容易に想像出来た。] (30) 2022/09/27(Tue) 20:42:34 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 何故か扉を開けない様子に首を傾げるも 夜中に女性の部屋に強引に入る訳にもいかない。 しかも自分は、王女と婚約中の身であり 変な噂でも出たら目も当てられない。 結果、扉の前に立ったまま話を聞くことにした。] 体調悪いって聞いてたけど 大丈夫……? [ 彼女の声はどこか震え──怯えたように聞こえて 体調不良が続いているのかと、不安になり始めた頃。] (31) 2022/09/27(Tue) 20:44:57 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 声が震える。 正面から向き合ったら言えないだろう、と 扉を開けなかったのに。 何の意味も無かったことに打ちひしがれ 同時に、自分の駄目さ加減に頭を覆いたくなる。 この想いを墓まで持っていくかは悩んだ。 墓までとは言わずとも、時を置いて伝えることも考えた。 でも、私のような小心者で勇気も無い人間は この機を逃したら一生言えない気がした。 未来、笑い話にも出来ない気がした。 同時に────貴方のことを思っていた人間は 此処にも居たのよ、私の事も見て、といった 今更アピールも含んでいる。] (33) 2022/09/27(Tue) 20:49:17 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス…………え、っ。 [ 予想もしなかった言葉が、告白が 扉の奥から聞こえてきた。 彼女とは同い年で、何でも気軽に話せる間柄で 前衛同士のコンビネーションも文句無し。 小さい時は、二人で兄さんに悪戯を仕掛けたり その後一緒に怒られたり。 兄弟のようでもあり、失いたくない大切な仲間だ。 とはいえ、俺に恋愛感情を持っていたとは寝耳に水。 仲間、幼馴染の関係と思っていたから。] ヘンリ、開けてくれ……! [ 扉を強く、激しくどんどんとノックするが 開く気配は、一向に見えぬまま。] (34) 2022/09/27(Tue) 20:53:09 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム……ごめんね。 今更何を言うんだ、って思うだろうけど……。 でも、もう、最後だから 私の想い、伝えておきたかったの……。 セシリーと、幸せにね……。 [ これ以上は無理、と扉前から離れ、ベッドに飛び込み 布団に埋もれ大粒の涙を流す。 アスベルの声が、激しくノックする音が暫くの間 聞こえていたけれど、耳を塞ぎ続けていた。] (35) 2022/09/27(Tue) 20:56:31 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 拳が赤く腫れ上がる程にドアを叩き続けるが、、 やはり反応は無い。] ヘンリ……。 [ こんな経験、過去に経験したことが無いものだから どう声を掛ければ良いのか分からず、沈黙が続く。] なあ、好きなら開けてくれよ……。 俺の頼みを聞いてくれよ……! [ 沈黙を破り、振り絞って出した言葉はか細く、小さく 既にドアの前から離れた彼女には、聞こえない。] (36) 2022/09/27(Tue) 21:02:24 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス俺のことを好きになってくれて……ありがとう。 そして……君の純粋な想いに応えられなくて ………ごめん。 でも、俺は昔からヘンリのことが大事で、 それは今も、この先も。 ずっと変わらないままだから。 それだけは覚えていて欲しい。 また、話せる時を、楽しみにしている……から。 [ 既に彼女には聞こえていないだろうけど 心からの礼と謝罪を残し、部屋の前を去っていった。*] (37) 2022/09/27(Tue) 21:07:08 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ セシリーと契りを交わした宴の日から暫くが経過し あの日から、俺を取り巻く環境は一変した。 結婚式をなるべく早く行って欲しい、と国中が躍起になり 式の予行練習から勉学やら作法やら 山のように勉強や覚えることが増えた。 しかも小さな村育ち、作法なんてほぼと言ってもいい程に 分からないのだから。 最初の方は全てが新鮮で、やがて訪れる未来を思えば 楽しさが勝っていたけれど、いかに俺が勇者であれ 当然、疲れもすればだるさを覚えることもある。 それでも、傍には常に妻のセシリーがいてくれたから 毎日を幸せに過ごすことが出来た。 正確に言えば未だ妻では無いのだが、既に気分は夫婦。 なんていえば惚気だと思われそうだが。] (38) 2022/09/27(Tue) 21:10:17 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 兄さんとヘンリは、あの後旅に出たらしい。 結局ヘンリとは別れの言葉も言えないまま、 直接話せないままだったけれど きっといつか話せる時が来ると思う。 生まれてからずっと俺を見守り続けてくれた兄さんと 苦楽を共にした昔からの仲間が居なくなって寂しいけど きっとふらっと立ち寄ってくれるだろう。 その時には、昔に戻り 皆で笑って時を過ごせるだろうと信じている。 それまで、俺は待ち続ける。 その頃には、俺達はどうなっているだろうか。 式を無事終えて、婿入りが終わった後か。 父を知らぬ俺が、父親となった後か。 ……この先訪れる未来は、きっと明るいものだから。] (39) 2022/09/27(Tue) 21:12:53 |
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