「……あーあ。勝っちゃった」

「……皆前向きに公開できる秘密ばっかりじゃない？何だかんだでさ」

「勝ったんだし、言わなくてもいいのか。
　……知ってる人達だけの秘密にしちゃおっかな」

まあ、それもそれで。

「分かってるよ、皆が最初は嫌がったり覚悟決めてたりしてたの」

だからこそ。どんどん自分が卑怯な存在な気がしてくる。
ただでさえずっと自分のことは好きになれないのに。

「……花火かあ。それも楽しいのかもな。
　寒いし、あったかいかもしんないから……いこっかな。戸森も」

あったかいお茶でも持っていった方がいいだろうか。
保温バッグもらってペットボトル詰めていこうかな。

「シャレになんないって」

山火事はやばーい。

「めんどくさい神いるって〜〜」

「綺麗かもしんないけどさ〜。
　…ま、それもたまにはいいのかな？羽目外したいって気持ちもあるか」

向けてないのならよし、と自分の花火に火をつけている。
どこまで行っても普通を、目立たないことを考えてしまうな。

「わ、何　どーもと、まだ花火点いて―――」
袖が引かれて、少し驚いたように反対の手に花火を持ち替える。

>>50　どーもと


こくりと頷いて、少しだけ手を離してもらう。
今手に持っている花火が燃え尽きるのを見て、バケツに入れてから。
また君のところに戻ってくるだろう。

「どこ行く？任せるよ」

あんまり離れすぎないところがいいかもしれないね。
それでいて、それほど目立たないような。