［僕も>>?2と
　同意から続く台詞に
　感極まって、それだけしか返せなかった。

　握られた掌が温かい。
　俺を救うことができる
　唯ひとつの、特別なタロの手。>>?4

　繰り返される悪夢の中で
　この手と体温にどれほど焦がれたか。］
　

　
［でも、それだけでは
　終わらなくて
　見惚れるような微笑を添えて
　告白までもらってしまった。>>?5］



　　　うれしい……



［喜びとか、安堵とか
　色々な気持ちが綯い交ぜになって
　訳がわからない。

　自分の中にこれほど複雑な
　人らしい感情があったなんて思わなかった。

　言葉になったのは、そのほんの一欠片。］
　

　　
［掴みきれない
　怒涛の想いと組み合っていると
　タロの綺麗な笑顔が曇った。>>?5

　理由が分からなくて
　それもまた感情に疎い己の脳を
　混乱させる。

　居ないと生きていけないのは
　言葉の綾なんかじゃなくて、本当なのに
　何を彼は悩んでいるんだろう。］



　　　どうして…？



［無粋なのかもしれないけれど
　理由を尋ねれば、
　戸惑いながらも重い口を開いて教えてくれた。>>?6］
　

　　
［その答えを、必死に真剣に聴き入って…
　きょとんとした。］　


　　　　
　　　外見が、変わったところで
　　　タロはタロだろ？



［何か問題があるとは思えない。
　確かに、一般的な趣味かと言われれば
　そうじゃないけど
　己にとっては、あまりに些細なことすぎて。

　纏う衣服どころか、性別すら
　俺には大きな問題なんかじゃない。

　皮膚を裂いた内側の美しさも
　痛みを堪らえて
　差し出してくれるいじらしさも
　そんなことで損なわれたりはしない。］
　

　
［けど、─────
　どうでも良いことって訳でもないな？と
　タロの女装してる姿を
　想像してみようとして思う。］



　　　むしろ、さ。
　　　好きなことに夢中になってる時
　　　タロがどんな風になるのか、興味ある。



［薬が引き起こす身体症状に似て
　女の子の格好が
　彼にどんな変化を唆すのか。
　気になりだしたら止まらない。］
　

　


　　　一緒に暮らすようになったら、

　　　見せて？　見たい。



［瞳をギラつかせて
　かなり前のめりに詰め寄ったから
　窮屈そうに学生服を押し上げる彼のモノと
　俺の太ももが
　ずり…と強く擦れあった。］*