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【人】 平台の宮廷楽士 メイレン (277) 2020/09/30(Wed) 11:52:53 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン─表彰式翌日・舞台付き屋外庭園(午後)─ [予定通り開催された、1日目の舞台。 この舞台付き屋外庭園に私は 3番目の奏者として演奏をする。>>1:1>>1:2 場所は屋外なので華やいだ印象の曲は必須、 しかし宮廷にも程近いので 昨日のような楽曲はさすがに不向きでしょう。 ( と言いつつ昨日はホールで演奏してしまったのですけど )午前のうちに微調整を済ませ、天候と風向きを考慮し 当初予定した曲を変更しながら 脳内で構成を組み立てていきました。] (278) 2020/09/30(Wed) 12:37:37 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン (279) 2020/09/30(Wed) 12:38:07 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[私の登場は3番目、この演奏最後の出演者。 歌劇の終幕のような華やか且つ人々が体を揺らし リズムに乗れるような曲を。 まるで歌劇歌手が最後の大団円を 高らかに歌い上げるように。 しかし、最後の箇所にいつもとは違う 合言葉のような掛け合わせの箇所を取り入れて。] (280) 2020/09/30(Wed) 12:38:26 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[次には打って変わって変調を加え 不穏な要素を入れた旋律を。 これもまた、彼らの影響。>>2:231 まるで暗い森に迷い込み、 暮れゆく日に不安を抱えながら 延々と彷徨い混んでいるかのように。 周囲の観客が何やら不安げに そわそわする様子を肌で感じる。 心にふと過ぎる思いを別の伴奏で加え、 突如────不安定なまま、止めた。] (281) 2020/09/30(Wed) 12:38:53 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[1拍置いて、次にゆったり奏でるのは ある意味宮廷楽士らしい優しい奏で。 これは本日の天候を見て考えた即興曲。 遥々この地を訪れた彼らへの労い。 その才能に出会えた喜びと、 あの手紙を読んでこそ感じた ────彼との約束。>>-263 あの、運命のようなものを感じた。>>-262 その言葉を噛み締めていくかのように。 やがて最後の音を優しく弾き終えれば……] (282) 2020/09/30(Wed) 12:39:22 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[最後に響くは音色の推移と階調。 スタッカートによる迫り来る音を入れ、 大胆でありつつも宮廷音楽としても 十分に入れられる範囲を模索した1つの試作曲。 この国はどうだったかしら? この国の音楽は、人々は──── 私の音楽は、あなたたちにどう影響したかしら? ────気を付けてお帰りなさい。 また会いましょう、敬愛なる好敵手のあなた方よ。 あなた方の地でもどうぞお元気で。] (283) 2020/09/30(Wed) 12:40:11 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[こうして全ての演奏を終え、 カーテシーをして舞台を降りたのでした。 昨日のように口々に声を掛ける観客の方々、 6人組の姿を確認すれば会釈して 「私の演奏はどうでした?」と言いたげに その眼差しを真っ直ぐに向けて。]** (285) 2020/09/30(Wed) 12:40:57 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン─表彰式─ [頭を下げるエヴィに、裏方はしっかりと頷き>>286 子供達ににこやかに笑いかけました。 (途中「えらいひとってだぁれー?」>>286の声と 吹き出してしまった彼女を見遣った裏方が 『今、あちらにいらっしゃる宮廷楽長様。 とあなた達のお姉さんの才能を、 一番素晴らしいとお認めになったお方です。』 苦笑しつつも丁寧に教え、その後も質問があれば これまた一つ一つ丁寧に答えてくれたことでしょう。)] (315) 2020/09/30(Wed) 19:12:23 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[宮廷楽長は、傷だらけの顔を見ても>>287 眉毛一つ動かしませんでした。 宮廷楽士となった様々な経緯に出会ってきた方です。] (え、あの子の傷……) [平台で演奏した時は恐らく距離のせいで 看破出来なかった顔の傷。>>190 むしろ内心動揺したのは私の方でした。 一部からも「あの傷、痛そうだわ……」「大丈夫か……?」と 気遣わしげな声が聞こえてきます。 他の審査員達も心なしか心配そうな様子で見つめています。] (316) 2020/09/30(Wed) 19:12:39 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[宮廷楽長様が胸章を授与し>>287>>288 彼女の頭上に掲げたティアラ。>>289 それが頭上へと飾られた瞬間、 ひときわ大きくなる拍手。 裏方も子供達の面倒を見ながらも 惜しみない拍手を送ります。] (嗚呼、いいのよ。幾らでも泣いて……。 おめでとう。この国はあなたを見つけ、 そして選んだ。) [一筋伝い落ちた雫を見て、>>289 笑みを絶やさず私は彼女を慈しみながら見つめます。] (317) 2020/09/30(Wed) 19:13:01 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[こうして係の裏方が彼女を誘導しようと 近づいた時のことでした。>>290] 『周囲への感謝の気持を持てるのは良いことだな。 ……これは君が実力で勝ち取った結果だ。 存分に誇ると良い。』 [彼女の言葉を聞き、学長は満足したように笑うと>>290 私達や王族の方々に彼女が体を向けました。 その視線は逸らされることなく、 まるで射抜くようにも見えました。] (318) 2020/09/30(Wed) 19:13:14 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[ですが、次の言葉を耳にした瞬間。>>291] (──────!?) [周囲がどういうことだ?と言いたげに 少しばかりどよめきます。>>291] (あなたに歌を教えた人間は、 あなたに傷を与えた人間なの……!?) [彼女の才能を開かせた者が同時に、 彼女を傷付けた者だというような物言いに 学長はおろか、審査員達の顔色も一気に変わります。 >>291>>292] (何ということ、私は。私達は。) (319) 2020/09/30(Wed) 19:13:41 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[でも、彼女は自分なりの結論らしき言葉を告げると 一層深く頭を下げました。>>292] 『……あなた達のお姉さんは、 ご立派な方ですね。』 [裏方が無意識に子供達へ呟きます。] 『────君の強さと勇気も 追加で賞賛されるべきだな。』 [楽長の言葉に、私含め審査員全員が一斉に頷きます。] (320) 2020/09/30(Wed) 19:14:00 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン (この歌は…………) [ふと、彼女の歌声が小さくとも 確かにホールへと響き渡りました。>>293 1日目の歌声を知る者、知らぬ者もその歌声に魅了され ため息をつく声が聞こえてきます。 咎めるものは、誰もいませんでした。 楽長は歌う姿をじっと見つめておりましたが、 やがて一つ頷くと] (321) 2020/09/30(Wed) 19:14:20 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン 『俺にその人物へどうこうする権限は無いが、 俺個人として心に留めておこう。 君の訴えが此処に控える方々へ 届くことを願う。』 [楽長はそう口にして、元いた場所に戻ろうとする あなたを見送ったことでしょう。] (323) 2020/09/30(Wed) 19:14:35 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[でも、これだけは思いました。 あなたの道のりがどうであれ、 あなたの歩みが何であれ、 この国はあなたを見つけ、そして選んだ。 彼女の勇気と感銘を受けた言葉に。>>291>>292 彼女の才能を讃える他の審査員と全ての人々に。 そんな彼女の言葉と心自身も賞賛すべきだと 言葉を発した楽長に誇りと感謝の気持を持って。 そして、願いました。] (325) 2020/09/30(Wed) 19:15:42 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[あなたの痛みと苦しみを補って、 余りある程の幸福の到来を。 その才能が国だけでなく、 自身を幸福へ導いてくれますようにと。 そして、この才能のために出来ることがあれば 出来る限り尽力しようと。] (327) 2020/09/30(Wed) 19:16:28 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン─後日談─ [コンペの後、私は以前よりも精力的に 才能を掘り出すのと同時に、才能を見いだす者達の 人材育成にも力を入れ始めました。 それと同時に最優秀者のエディの支援と 異国の6人組による国内巡業も。 巡業地は東西南北希望があった地や 新たな土壌が育ちやすい土地を選びました。 最終的な判断は彼らにお任せしましたが。 中には楽器修理の娘の工房がある地や、 エヴィの教会近くの会場もあったことでしょう。 後は彼らの希望も全面的に聞き入れて。 勿論私はその巡業をバックアップいたします。] (330) 2020/09/30(Wed) 19:55:59 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[彼らが国内で巡業を果たしてくれるということ、 音盤の普及の褒賞も相まって 新たな分野はまだ荒削りではありますが この国に根ざし、定着し始めていくことでしょう。 まだまだ妨害の手が来るやもしれません。 何が起こるかなんて私だって分かりません。] ご安心を、私の目に光が宿る内は 全て才能や学ぶ者達を虐げられぬよう 全精力を以って守り抜く所存ですわ。 [楽長の油断するなよ、という声に 私は不敵に笑いながらも力強く頷きます。] (331) 2020/09/30(Wed) 19:56:35 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン ねえ、宮廷楽長様。 私がやっていることは 地道で時間が掛かると仰いましたわね? [かつて告げられた言葉を思い出し、 私は楽長へ語りかけます。] 逆ですわ、 こちらのほうが長期的に見て1番の近道ですの。 (332) 2020/09/30(Wed) 19:56:59 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[いつになく真剣な私の声に 楽長は作業の手を止め、耳を傾けます。] 特定の分野を嫌い、弾圧するもののように 私達も迫害の道を選べば 彼らは余計に反発します。 その結果、巻き添えになる者も 数の大小問わず出て来ることでしょう。 [暖かな紅茶が湯気を立て、 楽長の研究室にその香りを広げます。 メイドのファラリスが私達を見つめる目も いつしか真剣なものに。] (333) 2020/09/30(Wed) 19:57:17 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン ですが、彼らに対抗せず 後続のものを次々と育成していけば。 固定概念を持った者達の声は小さくなり、 それが世論を変えていきましょう。 [それが何を示すかなんて、 賢い貴方ならもうお分かりね?] ────かさぶたの治し方と同じことですわ。 古い傷の組織を排除すれば、 下にある新しい組織も巻き込んで 余計に傷を悪化させてしまいますが (334) 2020/09/30(Wed) 19:58:10 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン 逆に古い傷の組織へと手をかけず、 新たな組織の修復と循環に着手すれば 古いかさぶたは新たな組織に押し上げられ、 やがて綺麗に剥がれてしまいますもの。 [紅茶に口をつけながら、私はニヤリと 悪だくらみをするような面持ちで。] 今、私がやろうとしているのは ────そういうことですわ。 [そう告げると「紅茶、ご馳走様でした」と ファラリスとともにその場を後にするのでした。] (335) 2020/09/30(Wed) 19:59:28 |
【人】 平台の宮廷楽士 メイレン[どこかいつかの未来。 あの6人組の1人である編集者の元に、 一通の手紙が届くことでしょう。 内容は、私があなた方の国へ訪れること。 あなた方と私の演奏で共演という名の 対決をしないかという企画の持ちかけ。] (336) 2020/09/30(Wed) 19:59:49 |
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