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【恋】 探偵 闇谷 暁互いに達した後。 精を内壁へ擦られれば、 身体にあなたを覚え込むかのように、ひ、と小さく喘いだ。 「………高志」 身を寄せる貴方を慈しむように、その頭を撫で続ける。 まるで寝付きの悪い子供をあやすみたいに。 「凄くないよ、 俺だって失敗ばかりだ。」 貴方の、あなた自身への嘲笑を聞く。 何かを背負って、傷を負って、固い仮面の奥にそれを隠していた───そんな貴方に対して、 かんたんに『わかるよ』、『辛かったね』とは言えない。 どんなに望んだって 過去のあなたの感情は『わからない』し、 その痛みは未だに貴方を蝕み続けている。 想像しただけで、ぎゅっと胸の奥が痛んだ。 「弱いことは、悪いことじゃない。 強いことばかりが、決して良くもない。 俺たちは支え合って生きてるんだしさ。 ……俺は、お前やリョウが居るから、何とか頑張れてる。」 (?0) 2021/11/23(Tue) 21:30:43 |
【恋】 探偵 闇谷 暁「お前だけが強くなくて、良いんだよ。 二人で……三人で強くなっていけば良い。 俺たちは、ひとりきりじゃないんだから、」 ……それに、と付け足すように口を開く。 「高志の色んな表情が見えて、 俺は嬉しい……けど、な。」 何度も何度も、あなたの輪郭を確かめるみたいに、 藤色の髪を梳く。撫ぜる。 「もっと頼ってくれたら嬉しいよ。 出来ないことは出来ないって言えば良い。」 するり、撫でていた手を離し 貴方の両頬へと添えた。 熱が冷めきらない掌が、指先が、 あなたへ惜しみなく温もりを伝えていく。 「……ずっと高志の側に居るから、 高志も俺から離れないでくれよ。 お前と支え合って、生きていきたい………。」 (?1) 2021/11/23(Tue) 21:31:34 |
闇谷 暁は、あなたの額に口付けた。 (a0) 2021/11/23(Tue) 21:32:11 |
【恋】 貴戸 高志しとしとと言葉が降り注ぐ。 くたりと力が抜けた体に、静かに紡がれる貴方の言葉が心地よく巡っていく。 「…………ずっと考えていた。 眩しいほどにまっすぐで、温かなお前にきちんと同じほどの気持ちを返すことができているのかと。 俺ばかりが支えられているんじゃないのかと。 ……日に日に、弱くなっていくばかりじゃないかと不安で仕方がなかった」 仮面の下から転がり落ちた感情が、唇からも溢れて宙へと溶けていく。 ▽ (?2) 2021/11/24(Wed) 17:11:52 |
貴戸 高志は、首に枷を嵌め続けた人生だった。 (a1) 2021/11/24(Wed) 17:12:02 |
貴戸 高志は、敷かれたレールを歩く為の見えない血色の首輪を付けていた。 (a2) 2021/11/24(Wed) 17:12:12 |
貴戸 高志は、偽りの自由を得る為に異能を抑える黒色の首輪を付けていた。 (a3) 2021/11/24(Wed) 17:12:22 |
貴戸 高志は、箱庭を出てもなお、自分から首輪を嵌めようとした。好きな人の為に強くなくてはいけないと。 (a4) 2021/11/24(Wed) 17:12:34 |
貴戸 高志は、漸く、その首を縛ることをやめるだろう。自ら巻いた首輪は、恋人の白い刃が切り裂いてくれた。 (a5) 2021/11/24(Wed) 17:12:59 |
【恋】 貴戸 高志「"人の上に立つ者は強くあれ"。 昔から貴戸の人間に言われ続けていたことだ。恵まれて生まれた者であるのなら、恵まれずに生まれた者の為にも強くならなければならないと。 …………ああ、でも。弱くて、いいんだな。 俺はお前たち……暁と、リョウの上に立つのではなくて、隣に並んで歩くのだから」 泣きそうに、眉を下げて微笑んだ。 藤色の少年の頬に触れる貴方の両手に、無色透明な温かな雫がぽつぽつと降りてくるだろう。 「……出来ないことは出来ないと言っていい、か」 額に甘やかな口付けを受けながら思案する。 「…………きっともう、俺はお前無しでは、色鮮やかな世界で生きることは出来ないよ」 ▽ (?3) 2021/11/24(Wed) 17:13:19 |
【恋】 貴戸 高志顔を寄せる。 震える唇で、もう一度貴方に口付けを落としていく。 額、鼻、頬、そして唇。 それから…………叶うならば、左手を取って、その薬指にも。 「暁。離れない。離れたくないよ。 死が二人を別つまで、傍にいる」 飾り気のない言葉を送り、少しだけ体を揺らす。 貴方の内側に熱を埋めたままだった。 「だから……もっと、お前を愛させてくれ。 これだけじゃ、全然足りない。 お前の全てが欲しいよ、暁」 (?4) 2021/11/24(Wed) 17:14:28 |
【恋】 探偵 闇谷 暁「高志は嫌かもしれないけど、弱くて良いんだよ。 ちゃんと辛いこと、痛いこと、 悲しかったこと……教えてくれよ。」 親指の腹で、ほとほと降ってくる雫を拭う。 「お前が強がって、一人で苦しんでる方が 俺はずっと寂しいし、悲しい。 ……リョウや俺が相談してくれなかったら、 高志もそう思うだろ?」 同じものをくれなくて良い。 貴方が側に居るだけで、 貴方だけがくれるものを、充分受け取っているから。 「そのままの高志が好きだ。 でも、変わりたいなら応援するし きっとそんな高志も好きになる。」 もうW貴戸Wではなくて W高志Wを愛すると誓ったのだから。 「俺も、 お前が居ない世界は嫌だ。」 (?5) 2021/11/25(Thu) 2:51:23 |
闇谷 暁は、あなたの首元へ顔を寄せて、キスを落とす。 (a6) 2021/11/25(Thu) 2:51:42 |
闇谷 暁は、見えない傷を癒すように、舌を這わせた。 (a7) 2021/11/25(Thu) 2:51:54 |
【恋】 探偵 闇谷 暁「………ん、」 そうしてあなたから口付けが降ってくれば くすぐったそうに受け入れる。 左の薬指へ唇が付けば、 目尻を緩ませて嬉しそうに笑った。 「W死が二人を分かつまでWか。 ……高志を置いて、 一人で死にたくは無いな。」 そうして、その逆も。 まるで結婚式での誓いの言葉のようなそれ。 人間には逆らうすべのないW死W以外で W夫婦でなくなることを認めないW意味を込めた言葉。 「死んでも、高志と…… それからリョウとも、一緒だと良いな。」 空想。絵空事。──綺麗事。 それでも口にするだけなら、 きっと許されるだろう。 なにより自分達は、 ひとつの無茶な『夢』を叶えたのだから。 (?6) 2021/11/25(Thu) 2:52:44 |
【恋】 探偵 闇谷 暁「───あ、っ」 あなたの腕の中。 繋がり合う互いを遮るものは、何もない。 貴方に合わせて腰が揺れた。 「………おれも、欲しい。 ひ、久しぶり……で、 全然、足りなく……て。」 今度は自発的に、腰を揺らす。 腹の中にある貴方を、 さらに深くまで求めるように。 「もっと……愛して、愛させてくれ。 ……高志が好きだ。」 あんなに喉をつかえていた言葉が 今では何度だって言える。 自分達は幸せだ、と、胸を張れる。 ──夜の帳は、まだ下りたばかりだ。 (?7) 2021/11/25(Thu) 2:53:19 |
闇谷 暁は、貴戸 高志の左手に、そっと左手を重ねた。 (a8) 2021/11/25(Thu) 2:54:11 |
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