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人狼物語 三日月国


125 【身内】実波シークレットパラダイス【R18】

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淡い決意は終わりを告げる。


「        え?」


取り繕うことも忘れた空白。
貼りだされたものに対して、
思考が理解を拒んだ。

「やっ、」


瞬間。

「やだ、やだやだやだやだやだ!!!
 どうして!? どうして、だって、
 だって守っ、守ってもらえるって、
 あ、これ、違う? ちが、あ、ああぁ、ああ!!
 やだダメ見ないで見ないで見ないで見ないで
 お願いお願いだから見な、見っ──ッあ」


半狂乱のように叫び散らして、
息継ぎすることさえも忘れて、

壁のメモを剝がそうと躍起になる。

だが、それは叶わない。
少女は何かに足を引っかけたのか、
派手に転倒し、そして──


「あ、おい。
 水銀ちゃん落ち着けって――――」

半狂乱のようになったあなたを宥めようと手を伸ばした、が。
アァ……そうか、今日は君だった。

腕を大きく擦りむいた。
その傷からは一滴の血も出ない。



▼水銀 莉桜の秘密

水銀 莉桜は、人間を模した生体アンドロイドだ。

 心を宿すほどに高度な発展を遂げたAIを搭載し、
 パーツの定期的な換装で以て、人に溶け込み、
 人と共に歩み生きる。
 それが可能かどうかをテストするための試験体だ。

 人間を模すためのあらゆる機能が実装されている。
 センサーの反応による触覚。成分分析による味覚。
 計測し数値化された温度感覚。
 
だからこそ水銀莉桜に『適温』はわからない。

 
人の主観が含まれるものは理解できない。


 加えて、
水銀莉桜に呼吸機能は搭載されていない。

 
よって会話の際には、自然な……『息継ぎ』がなく、

 
不自然な──『間』が生まれる。


 以上』

すんすんと鼻を鳴らして、「なるほど」と呟いた。

「あ──、
 ──  ──、あたし、
 ──じぶんで、言うって、  決め、たの  に、」

手を伸ばされても、
へたりこんで動けない。
途切れ途切れに再生される声。
より人間らしく見せようとする努力さえ、
もはや砕けて散った。



「水銀ちゃん……」

大丈夫? と手をのばす。
あなたの視界を目を手で覆うようにして。

「落ち着こう、大丈夫。
 誰も変な目でなんてみてないぜ、な?」

そうか、自分で言うつもりだったのかと。
逆の手でぽんぽん背を撫でた。

「今からでも遅くないから、言いたかった人に言ってみたらいいんじゃねーかな。
 嫌がる人なんていないからさ」


「へえ。人間の文明の進歩ってのは恐ろしいね
 俺達もそのうち科学的に解明された事になって
 『存在しないもの』にされるのかもな〜梢矢後輩よ」

人間ごっこはたった10年間。
生物的な情動による苦悩への共感は持ち合わせていない。
だからきっとおおよそ全ての事はそんな事、なのだけど。
本人としてはそんな事、ではないらしいのは汲み取った。

「にしてもこういうのって流石にさあ。
 ここまで大々的にバラされたら困るんじゃない?
 保護者じゃないけどなんかその辺が?
 政府はその辺ちゃんとしてんのかな〜って心配になるね
 次にバラされるのがそういうのじゃないのを願うよ俺は」

気を遣ったり慰めるような優しさだって今は持ち合わせてない。
だからこれはただ単に、もし仮に
政府のせいで若干自分達も悪いみたいな感じになったら
それはちょっと気に食わないなあというだけの。


「むう。俺がこうなったのも妖術ではなく、
 科学で説明できるようになるという話か。

 俺は負けないよ。
 絶対に実験や研究には応じないんですよ」

こちらの狐もさして興味はないのだが、
辺りの雰囲気を伺っては静かにしていて。

「俺は……『俺は』どうでもいい。
 俺を実験や研究じゃないにしろ、
 いじめなければなんでもいい、楽しいなら尚いい」

張り紙が張り出されている……。

―――

【氷室 凛乃の秘密】
氷室 凛乃は『さる指定暴力団組長の娘』である。
波乱の人生を過ごしてきた父親は、
娘には普通の人生を送ってほしいと願い、
あらゆるコネクションを用いて娘の存在自体を秘匿した。
育ての両親他ごく親しい者だけがこのことを知っており、
氷室 凛乃が情報技術に強いのもこのプロセスの課程で
自然に身についたことだ。
また、氷室は偽りの名字であり、本名を浪川 凛乃と言う。


「俺の願いは脆くも崩れ去ったな。崩れ去ったね〜
 この学校の外には漏れやしないだろうけどさあ。
 大丈夫なのかなマジでこれ」

張り紙もう一枚見て流石にうわ〜って顔をした。
現代社会に於いては怪異だとかよりも
よっぽどたちが悪いのが来たな…という顔。

「国って本当どうやって調べ上げたんだろうな……」

謎すぎる。
そも、前世を覚えてるとかまじ言わなきゃ誰も気づかないって必死に隠してたんだけど。


「政府も俺たちの想像のつかない、
 なんかスゴい力を持っている可能性はあるな」

申請を見た。

「なーんか今思うと些細な秘密な気もしてくるよなー。
 妖狐やら山神様を平気で受け入れる連中が、
 ヤクザの組長の娘って聞いてビビるかってんだ」


「国の方に俺より上のなんか……なんかが居たら嫌だな〜。
 首根っこ掴まれてるみたいで嫌な気分」

ざわつく周囲や過ぎ行く人影見ながら至極個人的な感想一つ。
身勝手な奴はどう転がっても身勝手だ。
それはそれとして。
得てして政にそういうなんかは結構絡んでくるので、あるかも。

リアリティライン壊しちゃった。


「俺はここにこれてよかったけど、
 みんなは違うのか。うーん……」

「俺だけが楽しかったのなら、
 それはちょっと悪かったなと思ってる」

さして秘密を重く見ていなかったのか、
それともそれ以上に友人ができたことがうれしかったのか。
いつも通り、ちょっと気遣いのできる、自由な狐だ。

言葉とは裏腹に、そこまで気にした様子はない。

「些細ってことはないと思うけど……
 案外身近に人間じゃないやつっているんだなぁって思ったよな」

自分の秘密がさらされてしまえばもう、何でも受け入れてやるの姿勢である。

 
「……えっと……
き、気の利いた…言葉が、浮かばない……

 
何言っても……だ、
黙ってろ最初に秘密明かされた魔法少女が!

 ……って、なる……かも、しれないし……」


2人の性格的にそうはならない気もするが。
水銀のアンドロイドの苦悩は、人間の自分にはわからない。
氷室はまだ元気そうに思えるが、安易に口出ししていいのかもわからない。ところで2人共名字水属性だね。

 
「……多分、色んな人に怒られる……かも、だけど……あと、

 
うるせえこの最初に明かされたから余裕だろうがよ!

 
……って、お、怒られる…かも、……なんですけど……」


仮想のこの怒っている相手、誰なんだろう。
たまに話題に出ている彼の部長辺りなのかもしれない。

「……ちょっと、……一葉くんの、言ってる事……わかる、な……
 ……短い間、だったけど…受け入れて、くれる人…がいるって知れて……
 気にしないで、お出かけ…してくれたり……雪で、遊んでくれたり……

 
まああとなんか変な意味で手出しされたりもしたけど……


 ……隅にはずっと居たし、バレた時…死にたくなったのも嘘じゃないけど…
 ……夢、みたいで…楽しかった、ですよ。……俺は、だけど……」

今日も蛇神と偉智の事を心配そうに見ている。

「2人は可愛いなー。
 よし、俺がなでなでしてやろう」

よしよしと一葉と不破の頭を撫でた。

「大丈夫、わかるよ。
 俺も皆秘密を抱えたここだったから、バラされてもなんとかなったんだ。
 普通に皆受け入れてくれたしな」

「だから俺も、これから何を知ったって変わるつもりはないぜ」


「え?俺はそれなりに楽しくやってるけど 気にすんなよ」

君達はそうだろうね。

「俺としては誰の秘密が何だろうと
 俺に害さえ無ければ些細な事だけどさあ。
 だって秘密が何だろうと接し方変える必要なんて無いし?
 でもまそれで割り切れない奴が居るってのはわかったよ

 まあ本人が些細な秘密な気がしてきたってんなら
 別にそれでもいいんじゃない」

身も蓋もない事言った挙げ句に結局雑に投げ出した。
人の心がわからない奴には見えない所を推測するのは難しい。

変な意味で手出しされたって何?

「ところで不破。
 
変な意味で手出しされてるってなに???

変な意味で手出しされたって何?

「手を出されないだけマシな出生だったなって思う」


「狐よりも欲に忠実だということを、
 たまに人間さんからは感じることがあります」


「生き物は大体みんな同レベルだよ」

アホほど主語がでかい。

「まあ、なんか」

「特別扱いされたくない人に、
 特別扱いされなきゃ、どうでもいいかなって今は思う」

そうされたときにどうなるかはまた別の話。


「わふっ

 
……か、可愛くは…全く、ない、と…思いますけど……」


突然撫でられたが特に嫌そうではない。元より慣れたのもある。何故か堂本くんと久瀬先輩、よく頭を撫でてくる。そんなに頭が丸いだろうか自分は。

「……なんていうか、余りにこう…想像より、皆さん…抱えていたので……
 いやなのは、嫌ですけど……まあ……本当の、一般人相手に……
 ……ばらされてたより、よかった……のかなぁ……?」


なんか政府に丸め込まれそうになっている。
チョロい。実は既に数人に言われてるが、相当チョロい。

「……え?
……?……


何だか話題と注目が、ぼやぁっと呟いた本人にとってはほぼ無意識の言葉が思ったより拾われた。
「もしかして不味い事を言ってしまった?」と今ようやく思い至ったと言う顔をしている。

 
「……変な、手の出し方……
 ……ぇ、そ、そんな気になる、もの……?
 き、聞いても…愉快でも何でも、ないと言うか…
怖くない、ですか…?


どんな手の出し方なんだろう。

「……さ、さすがに色々、恥ずかしい、ので……
 ……二種類ある内の、片方しか……ちょっと……」


しかも二種類あった。

わざわざ自分から言うんだ……。

二種類なんだ。

人前で言えるんだ。

「2種類とも詳しく」

「さ、さすがに……片方、しか……」


片方はいいの?


「一つ言ったら二つ言っても誤差じゃない?」

なんかえらい楽しそうにしている。カス。