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人狼物語 三日月国


167 【R18G】海辺のフチラータ【身内】

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視点:


【見】 郵便切手 フラン

【街中】

「集荷に来ました。
 ……人が少なくなって来ましたね」

路地の裏で誰かが消えても、何一つ変わらなかった祭りの喧騒。
終わる日が近づいて、やっとお祭り騒ぎは収束していく。
纏められた荷物を確認して、サインを受け取る。
慣れない世間話を交わしながら人混みの奥へ目を凝らし、以前に見た屋台を探した。
どうやら変わらず営業を続けていたらしい。
いつの間にか、あのゴロツキたちは消えていた。

知らないところで、知らないうちに景色が変わる。
時には変わったことにも気づかない。
鉄錆や硝煙の臭いも車の排煙も人々の喧騒も、時間がろ過して元通り。
誰かが死んだ時に吐いた空気を、生きてる誰かが吸い込んで。
生きている誰かが吐いた空気を、死にゆく誰かが吸い込んで。
そうして全てが巡っていく。
それが日常なんだろう。

「良い一日を。」

胸ポケットに過去を仕舞って。
得意先が減って、また増えて。
配達員の日々は、これからもきっといつも通りだ。
(@1) 2022/08/28(Sun) 21:55:45

返す返すも、運の無い人生だった。

望んだ事は叶わない事ばかり。だからいつしか望む事さえ諦めた。

諦めた、つもりになっていただけだった。


奪われたものは、奪い返すべき相手からは得られなかった。

未来があって欲しいと願った人々は、やはりその大半を見送る事になって。

受けるべきであった、誰かを殺めた報いを受ける事も無く。

もしも果たされる時が来るなら、ずっと先の事であればいい。
そう思って口にした、他愛無い口約束を果たす事も無かった。

見届けるべき死の全ても、その目で見届けるに能わず。

それらの不誠実を、無力を、差し伸べられた手を取れなかった事を。

誰に謝る権利が自分にあっただろうか。

わかっていて、友人の全てを徒労にし続けた自分に。


けれど、いつかの昔に奪われた終わりは取り戻された。

誰かの道は途絶えても、確かにその先を歩いて行く誰かが居る。

全ては叶いはしなかったけれど、全てが叶わなかったわけでもなく。

良くも、悪くも、結局自分は何もしなかったのだから。
そんなものか、とも思う。

望む事も、望まない事も選べなかった、半端者には相応しい結末だ。


だから、見届けて来た全ての死だけを連れて。

家族も、帰る場所も、行き着く先も求めない必要ない

名もなき烏は、何処へ行く事も選ばない。